伊吹雅也のPOG分析室 (2022) ~第2回ワールド上位者レビュー~
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先週5月29日のダービーデイをもって、丸一年間に渡る「ウマニティPOG 2021」が終了。各ワールドの最終順位が確定しました。今回は、前シーズンの結果や上位に食い込んだプレイヤーの指名馬をご紹介します。
ちなみに、現3歳世代の各馬がJRAのレースにおいて獲得した本賞金額ランキングは下記の通りです。
●ドウデュース(牡 父ハーツクライ/母ダストアンドダイヤモンズ 友道康夫厩舎) 35400万円
●スターズオンアース(牝 父ドゥラメンテ/母サザンスターズ 高柳瑞樹厩舎) 31040万円
●ダノンスコーピオン(牡 父ロードカナロア/母レキシールー 安田隆行厩舎) 21200万円
●ジオグリフ(牡 父ドレフォン/母アロマティコ 木村哲也厩舎) 21100万円
●イクイノックス(牡 父キタサンブラック/母シャトーブランシュ 木村哲也厩舎) 18500万円
●アスクビクターモア(牡 父ディープインパクト/母カルティカ 田村康仁厩舎) 13770万円
●サークルオブライフ(牝 父エピファネイア/母シーブリーズライフ 国枝栄厩舎) 13390万円
●マテンロウオリオン(牡 父ダイワメジャー/母パルテノン 昆貢厩舎) 12690万円
●スタニングローズ(牝 父キングカメハメハ/母ローザブランカ 高野友和厩舎) 12640万円
●セリフォス(牡 父ダイワメジャー/母シーフロント 中内田充正厩舎) 12400万円
●ナムラクレア(牝 父ミッキーアイル/母サンクイーン2 長谷川浩大厩舎) 12130万円
●ウォーターナビレラ(牝 父シルバーステート/母シャイニングサヤカ 武幸四郎厩舎) 11930万円
●ナミュール(牝 父ハービンジャー/母サンブルエミューズ 高野友和厩舎) 11390万円
●ジャングロ(牡 父More Than Ready/母Goodbye Stranger 森秀行厩舎) 10090万円
●ダノンベルーガ(牡 父ハーツクライ/母コーステッド 堀宣行厩舎) 10000万円
複数の産駒が1億円以上の本賞金を獲得した種牡馬は、ダイワメジャーとハーツクライだけ。一方、実質的なラストクロップとして注目を集めたディープインパクトは、1億円以上の本賞金を獲得した産駒がアスクビクターモアのみでした。勝ち馬率や1頭あたり賞金は相変わらず優秀だったのですが、優勝を目指して“ディープインパクト産駒固め”を敢行したプレイヤーにとっては、やや物足りない成績だったかもしれません。2歳新馬が始まるくらいの時期にドラフトを行う一般的なPOGと違い、この「ウマニティPOG」は既にデビューした馬の追加指名も可能なルール。こうした展開を読めたかどうか、そしてそれに応じた入札戦略を立てられたかどうかが、最終的な明暗を分けたシーズンと言えるのではないでしょうか。
こんな状況の中、最高位クラスのスペシャルワールドで優勝を果たしたのはバンコクの夜は熱い、昼も暑いさん。総獲得賞金は全ワールドを通じてトップの11億4798万円でした。
ご存じの方も多いと思いますが、スペシャルワールドは1頭1オーナー制。仮想オーナー募集枠が順次解放され、1頭の馬を最大12~37名が獲得できる他のワールドと違い、他のプレイヤーが獲得した馬にはもう入札できないのです。これほど大きなハンデキャップを背負ったうえで他ワールドのチャンピオンを上回ったわけですから、少なくとも前シーズンにおいては、アタマひとつ抜けた相馬眼の持ち主であったと言えます。ウマニティユーザーだけでも数十万人はいるわけですし、対象を“日本全国のPOGプレイヤー”まで広げても、まず間違いなく五指には入ってくるレベルの驚異的な成績と言って良いでしょう。
バンコクの夜は熱い、昼も暑いさんは、G1を2勝したドウデュースや、5月8日のNHKマイルカップを制したダノンスコーピオンを指名していました。特筆しておきたいのは、この2頭を含む指名馬20頭すべてをデビュー前の入札で獲得している点。実際のレースぶりを見てから追加指名した馬は一頭もいません。これなら、仮に一般的なルールのPOGであってもドウデュースやダノンスコーピオンを指名できていたはず。今週末以降にプライベートのドラフトを控えていらっしゃる方は、ぜひバンコクの夜は熱い、昼も暑いさんの第1回入札をチェックしてみてください。
G1ワールドを制したのは一粒万倍さん。オークス週の終了時点ではよ~じさんに次ぐ2番手でしたが、ドウデュースの日本ダービー制覇により突き抜けました。
最大の勝因はスターズオンアースの筆頭仮想オーナーとなっていた点。各ワールドで優勝を果たしたプレイヤーのうち、もっとも多くのポイントを獲得している「主な仮想オーナー馬」がスターズオンアースだったのは、一粒万倍さんだけです。筆頭仮想オーナーは獲得賞金が1.5倍になるルールとなっており、ランキング上位の争いにはこのボーナスポイントが大きく影響してきます。ちなみに、筆頭仮想オーナーとなれるのは各馬を最初に落札したプレイヤーで、複数いる場合は「①落札額が高い順②入札時間が早い順」で決定。可能な状況であれば、積極的に筆頭仮想オーナーの座を狙っていきましょう。
G2ワールドを制したのはロシアン@さん。もっとも多くのポイントを獲得している「主な仮想オーナー馬」は、筆頭仮想オーナーでもあったダノンスコーピオンでした。ただし、ロシアン@さんは朝日杯FSが終わった直後の第30回入札でドウデュースを獲得しており、これが決め手となってチャンピオンの座を射止めています。たとえG1ウイナーであっても、まだまだ稼いでくれる余地があると判断したならば、注目度の高さに臆することなく追加指名を検討したいところです。
G3ワールドを制したのはKarpinさん。2位のほあかPさんに3億ポイント近い差をつけていましたから、完勝と言って良いでしょう。Karpinさんはドウデュースの筆頭仮想オーナーで、ダノンスコーピオンもデビュー戦後に獲得。「ドウデュースとダノンスコーピオンを両方とも指名し、なおかつどちらかの筆頭仮想オーナーになる」というのが、前シーズンの“正解”だったのだと思います。優勝を狙うのであれば、こういった“正解”の存在もイメージしながら指名戦略を立てたいところです。
オープンワールドを制したのは数馬三択さん。オークス週の終了時点で断然のトップに立っており、そのまま逃げ切り勝ちを果たしました。改めて指名馬を拝見してみると、デビュー前に獲得していたセリフォス・ダノンスコーピオンだけでなく、他にも4頭の指名馬が獲得後の重賞を勝っているという非常に層の厚いラインナップ。相馬眼はもちろん、入札の巧みさも一枚上だったということでしょう。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』で「データ分析」のコーナーを、TCKホームページ内『データ&コラム』で「分析レポート」を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラムなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『コース別 本当に儲かる血統大全 2019-2020』(ガイドワークス)、『ウルトラ回収率 2019-2020』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)、『コース別 本当に儲かる騎手大全2018秋~2019』(ガイドワークス)など。POG関連メディアの制作にもさまざまな形で携わっており、「ウマニティPOG 2014」では最高位クラスのスペシャルワールドにおいて優勝を果たした。 |
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今回を含む3週は、「POG分析室」の番外編として、JRAの新馬で優勝を果たした馬たちのプロフィールを紹介していきます。まずは6月1日(土)、6月2日(日)、6月8日(土)、6月9日(日)の勝ち馬からご覧いただきましょう。
■2019年06月01日 阪神05R 芝1600m外
【優勝馬】リアアメリア(U指数79.1)
牝 父ディープインパクト/母リアアントニア 中内田充正厩舎
→シルクレーシングの所属馬で、募集価格は7000万円。母のリアアントニアは現役時代にBCジュヴェナイルフィリーズ(米G1)などを制しています。もともと前評判の高い馬でしたが、デビュー戦後はさらに評価が上がった印象。今後の入札でも激しい争奪戦が繰り広げられそうです。
■2019年06月01日 東京05R 芝1400m
【優勝馬】カイトレッド(U指数73.0)
牝 父ゴールドヘイロー/母ニシノマドカ 和田雄二厩舎
→2018年の北海道サマーセールで購買されており、価格は378万円。半兄に2018年札幌2歳ステークス2着のナイママがいます。SANSPO.COMによれば、この後は7月21日(日)の函館2歳ステークス(2歳G3・函館芝1200m)か8月3日(土)のダリア賞(2歳オープン・新潟芝1400m内)を目指す模様。引き続き目が離せません。
■2019年06月02日 阪神05R 芝1400m内
【優勝馬】タイセイビジョン(U指数83.7)
牡 父タートルボウル/母ソムニア 西村真幸厩舎
→2017年のセレクトセールで購買されており、価格は1944万円。半兄に2018年毎日杯4着のノストラダムスがいます。ちなみに、母のソムニアも2009年函館2歳ステークスで3着に健闘した実績馬。U指数の高さだけでなく、血統背景からも注目に値する一頭と言えるでしょう。
■2019年06月02日 東京05R 芝1600m
【優勝馬】サリオス(U指数75.4)
牡 父ハーツクライ/母サロミナ 堀宣行厩舎
→シルクレーシングの所属馬で、募集価格は7000万円。半姉に2017年エルフィンステークス1着のサロニカ、2018年ローズステークス2着のサラキアがいます。また、母のサロミナは現役時代にドイツオークス(独G1)を制している馬。クラシック戦線でも活躍を期待できそうです。
■2019年06月02日 東京06R 芝1600m
【優勝馬】モーベット(U指数70.9)
牝 父オルフェーヴル/母アイムユアーズ 藤沢和雄厩舎
→シルクレーシングの所属馬で、募集価格は3500万円。母のアイムユアーズは現役時代に2012年フィリーズレビューなどを制しています。全体的にやや晩成なオルフェーヴル産駒とはいえ、この母の仔なら完成は早いはず。なお、SANSPO.COMによれば、この後はノーザンファーム天栄に移動する予定とのことでした。
■2019年06月08日 阪神05R 芝1200m内
【優勝馬】トリプルエース(U指数74.6)
牡 父Shamardal/母Triple Pirouette 斉藤崇史厩舎
→外国産馬ですが、母のTriple Pirouette(トリプルピルエット)は日本で現役生活を送った馬。アイルランドに移動してからは2頭目の産駒となります。現3歳の半兄Isosceles(父ルーラーシップ)はアイルランドで勝ち上がりを果たした模様。国内供用時の半兄にもJRAで4勝をマークしたクワドループルなどがいますし、将来が楽しみです。
■2019年06月08日 東京05R 芝1400m
【優勝馬】グランチェイサー(U指数77.2)
牡 父ダイワメジャー/母キャッスルブラウン 矢野英一厩舎
→母のキャッスルブラウンは現役時代にJRAで3勝をマーク。半兄に2015年クロッカスステークスなどを制したニシノラッシュがいます。POG期間中の勝ち馬率や一頭あたり賞金が高いダイワメジャー産駒ですから、大きな舞台でも活躍を期待して良いんじゃないでしょうか。
■2019年06月09日 阪神05R 芝1600m外
【優勝馬】ルーチェデラヴィタ(U指数77.9)
牝 父キズナ/母トウカイライフ 西村真幸厩舎
→2018年のJRAブリーズアップセールで購買されており、価格は1512万円。半姉にJRA1勝のサーチュインがいます。この馬が早々に勝ち上がったことで、新種牡馬のキズナはさらに注目度がアップしそう。今後の入札に影響があるかもしれません。
■2019年06月09日 東京05R 芝1800m
【優勝馬】ワーケア(U指数78.1)
牡 父ハーツクライ/母チェリーコレクト 手塚貴久厩舎
→2017年のセレクトセールで購買されており、価格は12420万円。半姉にJRA4勝の現役馬ダノングレースがいます。母のチェリーコレクトは現役時代にイタリアオークス(伊G2)などを制している馬。もともと注目を集めていた評判馬だけに、今後も入札が集中しそうです。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』で「データ分析」のコーナーを、TCKホームページ内『データ&コラム』で「分析レポート」を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラムなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『コース別 本当に儲かる血統大全 2019-2020』(ガイドワークス)、『ウルトラ回収率 2019-2020』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)、『コース別 本当に儲かる騎手大全2018秋~2019』(ガイドワークス)など。POG関連メディアの制作にもさまざまな形で携わっており、「ウマニティPOG 2014」では最高位クラスのスペシャルワールドにおいて優勝を果たした。 |
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