マイルCS・2020
閲覧 2,463ビュー コメント 0 ナイス 11
前回のエリザベス女王杯は、コラムでの見立て自体は大体良かったと思うのですが、やはり最後は騎手の差が出ましたね。
ラッキーライラックは大外枠の分、少し厳しいかと思っていたのですが、さすがルメール騎手だけあって、早め先頭の隙の無い競馬でした。札幌記念での不甲斐ない負け方は騎手がイマイチだったんでしょう(笑)。
対して本命を打ったラヴズオンリーユー。ラッキーライラックを奪われた形で奮起するかと思われたM.デムーロ騎手ですが、余分に外々まわって最後たれるという何の工夫も無い残念騎乗でした。
2着に差してきたサラキアは、こちらもコラムでも高い評価を与えていた一頭ですが、北村友騎手(14日12Rでの斜行により今後騎乗停止へ)が鋭く末脚生かす競馬。
ハイペースの失敗逃げのノームコアは、横山典騎手らしいといえば、らしいんでしょうね。行きたがるのをそのまま行かせてハイペース逃げで馬券圏外どころかビリから数えた方が早い惨敗と、高く評価してる人にとっては頭に来る騎乗だったかもしれません。ただ、やはり距離が長かったことと関西輸送もダメだったのではないかとみています。
そんなこんなで、騎手という部分にどうしてもフォーカスしてしまう一戦。個人的には、3連単マルチでちょっとだけ拾えたのですが、あれで210倍は意外でした。今秋は1番人気がきっちりと結果を出すG1続きで、素直さも大事といったところでしょうか。1着3着逆で帯封......、うーん、ルメール騎手がどの馬に乗るか、という時代なんでしょうね。
今年は阪神開催という特殊情勢のマイルCSですが、そこはあまり過剰に意識しないほうが良いのではというのが見立て。そこそこ荒れるレースでも、今年の流れだと1番人気馬がやはり強いのかも。
<全頭診断>
1番人気想定 グランアレグリア:昨年は桜花賞、今年は高松宮記念2着、安田記念とスプリンターズS勝ちと、ディープインパクト×タピット(アメリカでも最高値レベル続く種牡馬)牝馬というだけあり高い能力を示している。前走のスプリンターズSは後方から能力が違うと言わんばかりの突き抜けを見せた。本質的には1400mで世界最強レベルなのだろうが、今の阪神なら、早めに抜け出して、残り1Fは流して勝っちゃうかも。
2番人気想定 サリオス:朝日杯FS勝ち、皐月賞2着、ダービー2着した後、秋は毎日王冠を勝利。コントレイルとの対決となる菊花賞は、距離適性も考え避けたのか、その後はここに矛先を向けてきた。ハーツクライ×ニジンスキー系牝馬だけに正直、菊花賞に出て欲しかったなあとは思うのだが、まあ使い分けとかもある時代だけに仕方ないのだろう。半姉のサラキアもエリザベス女王杯で好走したように、この時期が合う血統とも思われる。ただ、トップ以外はそうレベルが高くないと言われている3歳世代だけに、そのあたりがどうか。
3番人気想定 インディチャンプ:昨年の安田記念とマイルCSの春秋制覇をして、今年も安田記念で3着。調教の動きも鋭く、衰え感じず、ここも当然好勝負必至。
4番人気想定 レシステンシア:桜花賞2着、NHKマイルC2着と活躍しているが、再三指摘のトップ以外は弱いこの世代だけに微妙。正直マイルでも長いのでは。
5番人気想定 アドマイヤマーズ:1番人気になるであろうグランアレグリアが連対を外した2回をいずれも勝利している、天敵とも言える存在。休み明けのスワンSでも3着に来ての参戦で、川田騎手もあり人気になりそうだが、個人的には非常に相性の悪い馬であまり買いたくない。
6番人気想定 ラウダシオン:春はNHKマイルCを勝ち、秋になって古馬相手にも富士Sで2着とマイル路線での実力上位を示した。ラチを頼らないとフラフラする面などもあるので、武豊騎手に戻ることは外を回すM.デムーロ騎手よりプラスなのでは。
7番人気想定 サウンドキアラ:今年前半は京都金杯、京都牝馬S、阪神牝馬Sと重賞3連勝の後にヴィクトリアマイルでも2着と好走した。ただ秋になりスワンSでは1番人気で10着と惨敗していて、好調期間の終わった牝馬は買いにくい。
8番人気想定 ヴァンドギャルド:春はマイラーズCで3着の後に安田記念に挑んだが10着と惨敗。秋になり富士S勝ちの後に、ここで再度G1挑戦となる。昨秋は3連勝しており、この時期がいい馬なのでは。ここでも楽しみ。
9番人気想定 ペルシアンナイト:夏の札幌記念では久々に2着と馬券に絡んだし、その時にはラッキーライラックに先着したのだが、富士Sで4着だったように全盛期の力はない。
10番人気以下想定
スカーレットカラー:前走得意の東京で、陣営がかなり色気をもってがっちり仕上げていた後だけに、調教の動きは良い。ただ、右回りのG1だけに要らないのではないか。
カツジ:前走のスワンSは岩田康騎手による、追い込み馬のびっくり逃げで11番人気での勝利と嵌った形。ここは再現はないだろう。
アウィルアウェイ:実績は1400mまでで前走のスプリンターズSでは10番人気ながら3着と鋭く追い込んできたのだが、初のマイルがG1というのは普通に考えると厳しく、差し難い今の阪神の馬場も向いていない。
タイセイビジョン:早い時期から活躍してきて、昨年は函館2歳S2着、京王杯2歳S勝ち、朝日杯FS2着、アーリントンC勝ち。とここまでは良かったのだが、NHKマイルC4着、秋になっても富士S5着と段々とトップグループから離れつつあり、成長力がいまひとつの可能性(これだけ稼げばもちろん立派ではありますが)。
ケイアイノーテック:2年半前のNHKマイルC勝ち以降は低迷が続き、今年は掲示板の下のほうには来ているのだが、この相手だとやはり厳しいだろう。
ブラックムーン:京都金杯勝ちから2年10ヶ月馬券にならない状態が続いており、要らない。
メイケイダイハード:7月の中京記念ではびっくりの18番人気Vだったが、その後2戦ともに2桁着順ときているようにここでの一発は期待薄。
ベステンダンク:オープン特別で長くコツコツと稼ぐ馬主孝行馬だが、G1でどうこういう馬ではない。
<まとめ>
有力:グランアレグリア、サリオス、インディチャンプ
穴で:ヴァンドギャルド |
[もっと見る]
2020年11月20日(金) 14:00
TARO
【TAROの競馬研究室】運よく人気薄が引っ掛かるのも必然/マイルCSの穴馬候補
閲覧 2,462ビュー コメント 0 ナイス 4
先週はエリザベス女王杯が行われ、1番人気のラッキーライラックが、直線力強く抜け出し連覇を達成。大外枠を不安視されたが、それを払拭する見事な勝利だった。このまま順調に行けば次走は有馬記念に出走する可能性もある。そうなると、今週同じく有馬記念に参戦を表明したクロノジェネシス、そしてフィエールマンなどとの激突が実現することになる。今から年末の大一番を楽しみに待ちたい。
馬券とは別に、様々な議論を呼んだのがノームコア=横山典騎手のアッと驚く逃げだろう。控える競馬で結果を出してきた同馬のいわば”奇襲”に賛否両論…というよりは圧倒的に”否”の意見が多かったように思う。2番人気で16着という結果を目の前にすれば、何か言いたくなるのも仕方ない。
もっとも、過去のレースを綿密に振り返ると、今回の逃げは決して特別なことをしたわけではない。基本的にこれまで通り、スタートからギアを入れずにフワッと出して行くレースをしただけだ。ただ今回はさらに距離が延びた上に、他馬がまったく行く気を見せなかったので、結果的に「1番手」に収まってしまった。これはある意味横山典騎手の得意パターンでもあり、あそこから気分良く逃げてそのまま…ということも多々あった。ただ誤算は恐らく1コーナーだろう。もう少しフワッと入れれば良かったが、そこで掛かってエキサイトしてしまった。こうなるともう手が付けられない。直線早々にガス欠したのは、前半の折り合いが上手く行かなかったことに尽きる。
それでも、個人的には同騎手らしい勇気ある素晴らしいチャレンジだったと思う。
〜武蔵野Sは毎年荒れるドル箱レース
さて、そんな先週だったが個人的な見せ場はまたしても土曜日、武蔵野Sだった。本命にしたのは◎エアスピネル。エルムSは条件が合わなかったが、その一戦で人気が一気に落ちていた。
加えて武蔵野Sは難解なレース。昨年も波乱になったように、ダート競馬の中では差しが届きやすく、通常のダート戦で求められる先行力や立ち回りとは異なる能力を問われる。難解なレースは敬遠するのではなく、むしろ難解なレースは高配当を仕留めるチャンス。今年も波乱があるとみて手広く攻めた。
「競馬は思い通りに行かない。思い通りに行かないことを認めて、その前提で予想をする」
ということである。結果としてかなり高めのソリストサンダーが突っ込んできてくれて、3連複は3万馬券、3連単は20万馬券。

運よく人気薄が引っ掛かったように見えるかもしれないが、そうではなく、運よく人気薄が引っ掛かるレースを選んで勝負している、ということである。本コラムでも再三書いているが、改めてレース選択の重要性、波乱度の高いレースを狙うことの大事さを感じた。武蔵野Sは基本的に波乱の構造なので、来年も忘れないでおきたい。
〜マイルチャンピオンシップ展望
さて、今週末はマイルチャンピオンシップが開催される。来週はジャパンカップが控えているが、負けず劣らずの豪華メンバー。マイルG1ホース8頭が顔を揃えた。
人気は安田記念の覇者グランアレグリア、毎日王冠からの参戦となりコントレイル以外に負けたことがないサリオス、そして昨年の春秋マイル王インディチャンプの3頭だろうか。
いろいろ考えて行くとやはりこの3頭は強そうだが、果たして3頭で決まる確率はどれくらいだろうか。割に合うオッズになれば良いが、今回は上位人気勢のあとに控えている伏兵勢もそれなりに強力なので、やはりひと捻りは加えてみたいところ。
恐らくレシステンシアの逃げはそれほどハイペースにはならず流れは落ち着く可能性が高い。というのも、北村友騎手は無茶をするタイプではない。できるだけ馬なりで入って、そのリズムを守るのが同騎手の流儀だ。スタートが速く加速力もあるレシステンシアだが、そこからは出たなり。他の馬が絡んでくれば譲る可能性もあるし、絡んで来なければ淡々と流れる。
今は馬場が速いので字面は速くても隊列はやや前が有利、差し一手だと厳しいだろう。
というわけで、上記3頭以外で狙いたいのはアドマイヤマーズ。
スワンSは厳しい内枠だったが、それでも最後までじわじわ伸びて一定の力は見せた。もともと叩き良化型で1F延長も歓迎、阪神に替わるのもプラスだろう。川田騎手ならそれなりに位置を取ってくれる可能性は高く、前を見ながら絶好位につけられそうだ。一角を崩すチャンスがある。
※週末の重賞の結論は、『TAROの競馬』にて一部無料公開予定。また、馬券の買い方や券種の選び方なども含めた結論は、競馬ノートにて限定配信の予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。
|
|
[もっと見る]
2020年11月19日(木) 17:00
くりーく
くりーくの中間調教チェック 東京スポーツ杯2歳S2020
閲覧 1,481ビュー コメント 0 ナイス 9
こんにちは、くりーくです。このコラムでは、今週行われる重賞競走の中間の調教内容を中心に分析してご紹介します。私の予想の基幹部分でもある調教分析術を是非あなたの予想にお役立て下さい。
今回も前走からの中間の調整内容(評価はA~F)を中心に各馬コメントをしていきたいと思います。
11月23日(月)東京11R 第25回東京スポーツ杯2歳S(2歳G3・芝1800m)
【登録頭数:10頭】(フルゲート:18頭)
ヴェローチェオロ(D)中1週
新馬戦の後に連闘して、その後は月1ペースで使われてきて今回中1週となるだけに、疲れか気になるところ。日曜日に速い時計を出していないので、無理して使ってくることもなさそうだが。
ジュンブルースカイ(D)中2週
新馬戦前はそこそこの時計が出ていたが前走、この中間と好調子と言えるほどの時計は出ていない。
タイトルホルダー(C)中6週
この中間も週2回時計を出して入念な乗り込み。1週前にも南Wで好時計をマークしていて引き続き調子は良さそう。
ダノンザキッド(A)5ヶ月
新馬戦でも◎にした馬で、休み明けで迎えるここも2週前、1週前とCWを長めから好時計が出ていて、前走並みに良い状態に仕上げてきている感じ。前回、今回の調教内容を見るに、大物感のある馬。
ドゥラヴェルデ(B)4ヶ月
大きな馬だが、前走(新馬戦)ではかなり乗り込まれていて太め感もなく、しっかり仕上げられてのデビュー勝ち。休み明けのこの中間は、前走時ほどではないが1週前に強めに追われて好時計をマーク。仕上りは良さそう。
プラチナトレジャー(A)中5週
約3ヶ月ぶりでの未勝利勝ちを果たした前走時も、調教、パドックとまだ物足りなさの残る内容だった。この中間、併せ馬で入念な乗り込みというのは同様だが、先行しての終いの時計が全体的に良くなっており、休み明けを一度使われての上積みが感じられる。
モメントグスタール(C)中9週
間隔の空いたこの中間、乗り込み量は豊富も特に変わり身を感じる調教内容でもない。
モリノカンナチャン(F)中2週
前走時は、調教時計が新馬戦前の良い頃と比べて物足りず、パドックでもイレ込んでいて良いところがなかった。この中間も間隔が詰まり、1週前も坂路で軽めの内容でガラッと変わる感じはない。
レインフロムヘヴン(B)中1週
前走時は坂路で好タイム2本、パドックでも新馬戦時よりも馬体が締った印象があり、上積みが感じられた。この中間は中1週で軽めの調整。使われてさらに良くなってきそうな感じもあるため、直前の追い切りには注目したい。
トーセンジャック(D)連闘
転入初戦の前走時は、追い切り本数も少なく時計も平凡で、馬体重も+17キロと特に良いところはなかった。連闘の今回は先週よりは良くなりそうだが、前走時の調教内容からだとガラリ一変までは厳しそう。
このコラムからの推奨馬はダノンザキッド、プラチナトレジャーの2頭をあげておきます。
※そして、今週日曜日に行われるマイルCS出走予定馬の中からは、レシステンシア、サリオスの2頭を調教注目馬としてピックアップしておきます。
◇今回は東京スポーツ杯2歳S編でした。
先週に引き続き今週も、2歳重賞の東京スポーツ杯2歳Sが行われます。過去10年の勝ち馬の中から3頭のダービー馬を送り出しているレースで、昨年も3冠馬コントレイルが強い競馬で勝利しています。今年も大物感のある馬が出走してくる予定で、来年のクラシックに期待が持てるような走りを見せてもらいたいものです。
それでは次回、ジャパンカップ編(予定)でお会いしましょう。
※東京スポーツ杯2歳S出走各馬の最終追い切り評価については、最終予想内でコメントする予定です。
※最終結論は、レース当日のくりーくプロページでチェックしてください。
|
|
[もっと見る]
2020年11月15日(日) 15:00
伊吹雅也
【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2020年11月15日号】特選重賞データ分析編(228)~2020年マイルチャンピオンシップ~
閲覧 2,461ビュー コメント 0 ナイス 3
次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G1 マイルチャンピオンシップ 2020年11月22日(日) 阪神芝1600m外
<ピックアップデータ>
【“同年4月以降、かつJRA、かつG1・G2、かつ1800m以上のレース”において5着以内となった経験がなかった馬の、“同年6月以降、かつJRA、かつG1・G2のレース”において2着以内となった経験の有無別成績(2015年以降)】
○あり [2-1-1-9](3着内率30.8%)
×なし [0-0-0-52](3着内率0.0%)
近走成績を素直に評価したい一戦。2015年以降の3着以内馬15頭は「“同年4月以降、かつJRA、かつG1・G2、かつ1800m以上のレース”において5着以内となった経験がある」「“同年6月以降、かつJRA、かつG1・G2のレース”において2着以内となった経験がある」のいずれか、もしくは両方に該当している馬ばかりでした。大阪杯以降の中距離戦線や、安田記念以降の短距離戦線における実績を重視すべきでしょう。
主な「○」該当馬→カツジ・グランアレグリア
主な「×」該当馬→インディチャンプ・ケイアイノーテック・レシステンシア
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「出走数が20戦以内」だった馬は2015年以降[5-5-5-40](3着内率27.3%)
主な該当馬→インディチャンプ・カツジ・グランアレグリア・レシステンシア
|
|
[もっと見る]
伊吹雅也のPOG分析室 (2020) ~第2回 2019ワールド上位者分析~
閲覧 1,167ビュー コメント 0 ナイス 8
日本ダービーが施行された先週5月31日(日)をもって、通算7シーズン目の「ウマニティPOG 2019」が終了。各ワールドの最終順位が確定しました。既に通算8シーズン目となる「ウマニティPOG 2020」の第1回入札が始まっているところではあるものの、今回は前シーズンの優勝争いを振り返ってみたいと思います。エピファネイアやキズナといった新種牡馬の健闘が目立ったり、ノーザンファームの生産馬が年明け以降のG1をひとつも勝てなかったりと、例年とは異なる展開に戸惑ったプレイヤーも多いはず。そんな中で激戦を制したのは、どのような指名をしたプレイヤーだったのでしょうか。後日公開予定の優勝者コメントと合わせてお楽しみください。
1頭1オーナー制のスペシャルワールドで優勝を果たしたのは中(ナカ)さん。総獲得賞金は7億2558万円です。
注目していただきたいのは指名馬のラインナップ。普通に考えると「世代の頂点に君臨したコントレイルやデアリングタクトを一本釣りしての完全勝利」「サリオスやレシステンシアといったノーザンファーム生産の2歳G1ウイナーを指名してそのまま逃げ切り」みたいな勝ち方を想像してしまいますが、中(ナカ)さんはそのどちらにも該当していません。期間中にG1を勝った指名馬は、5月10日(日)のNHKマイルカップ(3歳G1・東京芝1600m)を制したラウダシオン(アンティフォナの2017)のみ。その他の19頭は重賞すら勝っておらず、オープンクラスのレースで優勝を果たしたのも、9月28日(土)のカンナステークス(2歳オープン・中山芝1200m外)で1着となったアルムブラスト(ヴァンフレーシュの2017)のみでした。そもそも、ラウダシオンもNHKマイルカップ以外の重賞では全敗に終わった馬。「重賞1勝で優勝」というのは、おそらく空前絶後の偉業だと思います。
異例の勝利が成立した最大の要因は勝ち馬率の高さ。指名馬20頭のうち17頭が勝ち上がりを果たすというのは、狙ってもそうそう達成できない驚異的な数字です。なお、中(ナカ)さんの指名馬は最終週に1勝クラスのレースを2つ勝つなどして2086万円を獲得したのですが、2位の平出貴昭さんとは最終的に381万円差だったので、この上積みがなければ逆転されていました。手駒の豊富さが最後の最後に効いた形と言って良いでしょう。
余談ながら、私も昔から勝ち馬率を重視して指名候補を選ぶタイプ。参加者や指名される馬の数が多い「ウマニティPOG」はともかく、一般的な人数ならびにルールのPOGだと、1~2勝馬の稼いだポイントが最終的な順位に影響してくるケースも少なくありません。一般的なPOGも楽しんでいる方は、中(ナカ)さんの指名をしっかり研究してみてください。私も、このスタイルで結果を残した尊敬すべき存在として、さまざまな部分を見習っていこうと思います(笑)。
先述の通り、スペシャルワールドで2位に食い込んだのは平出貴昭さん。わずかな差で優勝を逃したとはいえ、コントレイル(ロードクロサイトの2017)が5月31日(日)の日本ダービー(3歳G1・東京芝2400m)を制しました。昨春の時点では注目度がそれほど高くなかったこの馬を第1回の入札で獲得しているわけですから、ご本人としても会心の結果だったはず。さまざまなメディアを舞台にご活躍されている血統のスペシャリストで、血統というファクターそのものの魅力や威力を改めて示した結果と言えそうです。
3位はサリオス(サロミナの2017)らを指名したたけぼう54さん。前評判が高かったサリオスの入札に勝った点はもちろん、外国産馬のダーリントンホール(Miss Kentonの2017)を第4回入札で獲得するなど、相馬眼だけでなく指名戦略も素晴らしかったと思います。今シーズンの入札にもぜひ注目してみてください。
G1ワールドはコントレイルやサリオスを指名していた岡村信将さんと横断歩道さんのマッチレースとなり、最終的に1613万円差で岡村信将さんが優勝を果たしました。
岡村信将さんはプロ予想MAXや各種メディアを舞台にご活躍中で、本来ならば“著名人枠”として最初からスペシャルワールドにご参戦いただくべき存在なのですが、ご本人の希望で一般ユーザーと同じくオープンワールドからキャリアをスタート。初参戦となった「ウマニティPOG 2016」から4年連続で昇級を果たし、最短の期間でスペシャルワールドへの参戦権を獲得しています。私にとっては競馬評論家の大先輩であり、その実力は重々承知していたものの、まさかここまで凄まじい成績を収めてくるとは……。本当に、もう素晴らしいとしか言い様がありません。
以前に当連載でも触れましたが、岡村信将さんはデビュー済みの馬だけを指名していくスタイルです。予想理論「ラップギア」を駆使し、新馬や2戦目のパフォーマンスから各馬の将来性を予測していらっしゃいます。簡単に真似できる芸当ではありませんが、このスタイルでもここまで圧倒できることを証明したわけで、多くのプレイヤーに進むべき道を示した快進撃と言えるんじゃないでしょうか。
そんな岡村さんが1頭1オーナー制のスペシャルワールドでどう立ち回るのかは、新シーズン「ウマニティPOG 2020」における最大の見どころ。デビュー戦後に指名するスタイルを貫く場合、仮想オーナー枠の開放があったこれまでと違って、大半の評判馬が指名不可となっている状態から手駒を揃えていかなければなりません。圧倒的に不利な立場ではあるものの、岡村さんの実力をもってすればまた想像を超えてきそうな気もしますし、結果やその過程を興味深く見守っていきたいと思います。
G2ワールドを制したのはファットラビットさん。G1ウイナーこそ指名していなかったものの、20頭中19頭が勝ちあがりを果たしたうえ、11頭が2勝以上をマークしました。コントレイルやサリオスを獲得したプレイヤーがランキング上位の大半を占める中、2位以下を大きく引き離しての圧勝。スペシャルワールドの中(ナカ)さんと同じく、層の厚さがモノを言った形です。
G3ワールドはコントレイルを指名したプレイヤーが優勝争いを繰り広げる展開。最終的にはサリオスやデアリングタクトも獲得していたマカさんが制しています。ちなみに、マカさんがコントレイルやデアリングタクトを獲得したのは、いずれも2勝目をマークした後。長期間に渡る巧みな指名戦略が最大の勝因と言って良いでしょう。
オープンワールドは11億1433万円ものポイントを稼いだ亀の介さんが断然のトップ。デビュー後の入札で獲得したのは1頭だけで、指名馬10頭すべてが(獲得後に)1勝以上をマークしました。コントレイルとサリオスをそれぞれ第1回の入札で獲得している点もお見事です。
スタイルの違いこそあれ、どのワールドも上位に食い込んだのは素晴らしい相馬眼の持ち主ばかり。入札成績や指名馬全体の傾向も参考になると思いますし、ぜひひと通りチェックしてみてください。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』で「データ分析」のコーナーを、TCKホームページ内『データ&コラム』で「分析レポート」を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラムなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『コース別 本当に儲かる血統大全 2019-2020』(ガイドワークス)、『ウルトラ回収率 2019-2020』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)、『コース別 本当に儲かる騎手大全2018秋~2019』(ガイドワークス)など。POG関連メディアの制作にもさまざまな形で携わっており、「ウマニティPOG 2014」では最高位クラスのスペシャルワールドにおいて優勝を果たした。 |
[もっと見る]