【TAROの競馬研究室】シルクロードSはハイレベルも中京芝千二は枠次第の面/東京新聞杯展望
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シルクロードSは高松宮記念に向けて好メンバーが揃った一戦だったが、その中で接戦を制したのはナムラクレア。北九州記念は不利、スプリンターズSではやや強引な仕掛けでラストの伸びが鈍ったが、今回は内枠で脚を溜めてタイミングよく抜け出すことができた。2着ファストフォースは持ち味のパワフルなフットワークでタフな中京芝を駆け上がり、昨年のセントウルSに続いて中京で穴激走。3着マッドクールはスンナリ先手を取り粘り込んだ。
高松宮記念を展望する上では敗戦組にも注目。大外枠から流れに乗れず4着に終わったトウシンマカオ、同じ外枠からスタートで後手を踏み流れに乗れなかった7着ウインマーベルは、立ち回り一つで上位との着順は詰まる、あるいはひっくり返すことも可能だろう。今のスプリント路線は昨年の高松宮記念&スプリンターズSがともに大波乱になったように、枠順や馬場次第で大きく順番がひっくり返ることも多い。シルクロードSは好メンバーが揃ってはいたが、その順番は本番へ向けてまだ大きく変わる余地を残していそうだ。
もうひとつ、舞台となる中京芝1200mの傾向も改めて確認しておきたい。中京芝1200mは、2012年の開設当初は外からの差しが届くコースとして知られていた。ところが、年を経るごとに外枠の有利さがなくなっていき、近年はむしろ内枠の方がかなり有利になっている。
例えば、同舞台で7~8枠に入った馬の成績を見比べてみたい。2012年~の改装当初は明らかに好成績だが、近年はむしろ壊滅的な数字になっている。
・中京芝1200mの7~8枠の成績(※2023年は1回中京終了時点)
2012~2013年 勝率 8.9% 複勝率 25.5% 複勝回収率 102%
2020~2023年 勝率 4.9% 複勝率 13.2% 複勝回収率 36%
ご覧の通り、勝率複勝率はほぼ半減、複勝回収率に至っては3分の1近くまで落ち込んでいる。これを見れば、昨年8枠17番に入ったメイケイエールがいかに不利な条件だったかおわかりだろう。
同じコースでも時代が変われば傾向はまったく異なる。現時点ではトウシンマカオ&ウインマーベルの巻き返しに期待したいが、最終的にはやはり当週の枠順発表を待つことになる。
~今週末の注目馬~
というわけで、最後は週末の注目馬で締めたい。今回は東京新聞杯を取り上げる。現時点での狙いはコチラ。
・ピンハイ(坂井瑠星騎手)
ピンハイに注目。昨年のクラシック戦線では桜花賞で不利がなければあわやの5着、明らかに距離が長いと思われたオークスでも4着と大健闘。秋華賞は無念の賞金不足となってしまったが、G1戦線を大いに賑わせた。前走のエリザベス女王杯は外が伸びるタフな馬場になってしまい見せ場を作れずに終わってしまったが、本来の持ち場であるマイルならば本領発揮だろう。久々の分、人気面でも多少甘くなりそうで、今回は絶好の狙いどころとみる。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【TAROの競馬研究室】メイケイエールの敗因/毎日王冠展望
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先週は秋G1開幕戦、スプリンターズSが行われた。
スプリンターズSは枠順と馬場状態がカギになる一戦。2年前はグランアレグリアがものすごく強く見えたかもしれないが、同じくらい強い競馬をしたのは内枠から踏ん張ったダノンスマッシュ。グランアレグリア、3着アウィルアウェイは展開馬場がハマっての好走でもあった。
昨年は一転して内枠先行競馬。サッと好位インを奪ったピクシーナイトが抜け出し、3着には最内枠のシヴァージ。
同じレースでもまったく対照的な内容だったのが直近2年だが、今年は昨年同様の内枠先行馬場。というわけで、最終結論は2番枠の◎ジャンダルム。当コラムでの推奨馬から変えて当たった場合は一切触れないというのを基本的なルールにしているが、今回の場合は推奨したウインマーベルも来たので例外ということにする。
なにはともあれ、勝ったジャンダルムは内枠先行馬場を生かしての快走、幸運を味方につけた面も大きかった。2着ウインマーベルは7番枠だったが、さすが松山騎手という立ち回りで持ってきた。
期待されたメイケイエールは、残念ながら14着と大敗。ただ、今回は結果的に13番枠という外枠に加えて、最もロスを被る形の先行策になってしまった。かといって控えて馬群に入れて差して来る…というのも現在の馬場ではなかなか厳しいので、隊列や枠が合わなかった=メイケイエールの日でなかった、というのが敗因といえば敗因なのかもしれない。
右回りとか、中2週とか、メンタルとか、敗因は探せば何でも出てくる(出すことができる)ものだが、競馬は必ずしもすべてに明確な理由があるわけではなく、枠や馬場が合わなければよほどの名馬でもない限り(いや、よほどの名馬でも!)、意外なほどアッサリ負けてしまうものでもある。
なので、今回のメイケイエールの大敗は、
「そういうこともある」
というくらいでいいのではないか。写真集も発売され注目を集めたタイミングだっただけに期待した多くのファンは落胆も大きかったかもしれないが、また順調に使えればその能力を発揮してくれるはずだ。個人的にはまたスプリント戦以外でも見てみたいなと思わされたレースぶりでもあった。
~毎日王冠展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末は(特に嬉しくもないが)3日間開催。秋の東京開幕週恒例の毎日王冠が行われる。注目したいのはこの馬。
・レイパパレ(川田将雅騎手)
昨年の大阪杯を制して以降はやや迷走気味だが、不向きな条件を使われ続けている面もある。持久力を問われる2200mはそもそも合わず、前走のヴィクトリアマイルは外枠に加えてスタート直後に落馬寸前のアクシデントがありその後先行するまでに脚を使ってしまった。もともとスピードが武器で、本年も金鯱賞~大阪杯ではキッチリ2着と好走しておりまだまだ衰える段階ではないだろう。開幕週の1800mは合うはず。久々に持ち味を発揮できる条件が揃った。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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【TAROの競馬研究室】長距離戦におけるバイアスの怖さ/スプリンターズS展望
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先週は東西で2200mのG1トライアルが開催された。
西の神戸新聞杯は内ラチ沿いを立ち回ったジャスティンパレスが抜け出し完勝。2着にも同じく内ラチ沿いを回って来たヤマニンゼストが突っ込んで3連複7万、3連単は45万の大波乱に。
一方、東のオールカマーもやはり内ラチ沿いを通った組の上位争いに。最終的に抜け出して来たのは2番枠のジェラルディーナ、2着には最内枠のロバートソンキー、3着に3番枠のウインキートス。3連複1-2-3で3万馬券、3連単2-1-3で24万馬券とこちらも大波乱となった。
ともに共通しているのは2200mという長距離戦で、かつ内ラチ沿いが有利になったこと。思い返すと、同じ2200m重賞では今回のような極端な決着がしばしば起こっている。
今回とは真逆の差し決着となったのが、オールカマーと同じ舞台で行われた年明けのAJCC。この時は逆にラチ沿いが不利な馬場状態になり、直線は外からの差しが決まった。勝ったキングオブコージは内枠から出遅れて外を回し差し切り、2着には大外枠の11番人気マイネルファンロンが突っ込んで3連複は7万、3連単は72万の大波乱。
今回と同様にラチ沿いの決着となったのは阪神芝2200mで行われた京都記念。逃げた12番人気アフリカンゴールドがそのまま押し切り、2着にはラチ沿いを追走した1番枠のタガノディアマンテが突っ込んで3連複7万、3連単は67万馬券の大波乱。
今年を振り返るだけでもこれだけ似たような形で大波乱が続くのは、長丁場のレース独特の傾向でもある。短距離は一瞬のロスが命取りになりそれはそれで難しいが、長距離戦の場合は小さなロスの蓄積がやがて大きなロスになり、そのまま大きな差になる。内と外の馬場の違いが大きいと、ダラダラと悪いところを通らされる不利はとてつもなく大きいということだ。
馬券戦略としては、長丁場のレースはほど枠や展開による決め打ちが有効になる。自身の狙う馬がどういうパターンで来るタイプなのか、それを認識した上で、相手にも同じようなタイプを持ってくると思わぬ高配当が引っ掛かるかもしれない。
~神戸新聞杯展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末は秋のG1開幕戦、スプリンターズSが行われる。前哨戦を完勝のメイケイエールが断然の支持を集めそうだが、伏兵馬の中で注目したいのはこの馬。
・ウインマーベル(松山弘平騎手)
やや地味な印象もある本馬だが、スプリント戦では常に堅実で(3-2-3-0)とまだ一度も崩れていない。前走のキーンランドカップでは内枠から上手く立ち回り2着を確保。初の古馬対戦だったが持ち味のセンスの良さを生かした。立ち回りの上手さを生かしたいタイプなので枠順はカギになりそうだが、中山コースは合いそう。今年は有力どころに差し馬が多いので、上手く前々で勝負できれば一角崩しのチャンスもありそうだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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【TAROの競馬研究室】騎手の外伸び意識が逆にイン有利に作用したキーンランドC/新潟記念展望
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キーンランドカップはルメール騎手騎乗、ヴェントヴォーチェが勝利。
道中は馬群の中でジッと待機すると、4コーナーでは外に膨れた各馬を横目に見ながら、内から真ん中に持ち出して抜け出し。最後は内で粘るヴァトレニと外にヨレ気味に伸びたウインマーベルの間を突き抜けた。重賞でルメール騎手が騎乗する馬としてはかなり人気薄の部類になる6番人気の評価だったが、それを覆す完勝だった。
Cコース替わり2週目となったこの週末の札幌芝は、前週と比べると差しも届いており、外がよく伸びていた。同じ芝1200mで行われた同日9Rの小樽特別でも、各馬が内を空けるような隊列になっていた。それを意識した各馬が外に持ち出すのは当然だったが、結果的には2番手のオパールシャルム=江田照騎手が4コーナーで外に膨れ気味に持ち出したことで玉突き的に後続勢がさらに外に膨れ、その間隙を突く形で内~中を伸びて来た馬のワンツースリーという決着だった。
前週の北九州記念もそうだが、馬場は生き物。騎手の思惑やちょっとした動き一つで大きく結果が変わるから難しい。北九州記念も結果的には内枠決着になったが、それも2レース前に伏兵スノーテーラーが派手に大外一気を決めたことで、各騎手の意識がより外に向いたことと無関係ではなかっただろう。実際人気だったナムラクレアも当初は外に狙いを定めていたが、慌ててインに切り替えたように見えた。外伸び馬場は出始めを狙う、あるいは傾向を復習される前の土曜日に狙う…とは以前も書いたと思うが、何事も先手先手が大事だと痛感させられた週末だった。
騎手の思惑といえば新潟2歳Sの直線の攻防も面白かった。勝ったキタウイング=戸崎騎手はゲートで出遅れて開き直れたこともあったのかもしれないが、各馬が外に持ち出す中、馬場の真ん中、馬群で言えば内を選択した。それも2レース前、同じ芝1600mで最内枠のアトリビュートに騎乗し馬群の内から伸びて来て好走したことが伏線としてあったように思う。
1レース単体ではなく、土日の騎乗を線で見ていると騎手の思惑がよく見えるようになる。とりわけ馬場を考えて乗っている騎手ほど、その動きの意図がわかる。鮫島駿騎手や丹内騎手などは内伸びの馬場と判断すればとにかくインに持っていく意識が強いし、田辺騎手などはときに傾向と真逆のトライをしてくるのでそれはそれで面白い。また三浦騎手や内田騎手などはあまり馬場にこだわらず、我が道を行く傾向が強い。
今週末は各場最終週。馬場傾向が出やすく、結果にも直結するローカルの最終週なので、特に芝レースは騎手の思惑や意図を考えながら見ていると狙いが見えてくるかもしれない。
~新潟記念展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末は新潟競馬場で新潟記念が行われる。注目馬はコチラ。
・サンレイポケット(鮫島克駿騎手)
新潟記念の注目はサンレイポケット=鮫島駿騎手。前走の函館記念はキツイコーナーに苦しみ持ち味を生かせずに終わったが、左回りの長い直線となる舞台はベスト。実際新潟外回り2000mには過去3度挑戦し(1-1-1-0)と一度も崩れておらず、いずれも人気以上の好走を果たしている。恐らく荒れ馬場での開催となるので枠順もカギになるが、極端な内枠さえ避けられれば有力だろう。陣営としては秋の大一番に向けての賞金を稼ぐ必要もある一戦、巻き返しに期待したい。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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