2022年12月10日(土) 12:00
甘粕代三
【香港国際競走2022】レース展望④<香港カップ>史上最強の日本勢。総大将はパンサラッサ
閲覧 1,738ビュー コメント 0 ナイス 2
■香港カップ(シャティン芝2000m)
さてさて、香港国際競走の華、香港カップです。この10年間に日本勢が5勝、ウインブライト、ノームコア、ラヴズオンリーユーと3連覇中、香港G1とはいえ自家薬籠中のレース。キーボードを叩いていて昨日公開までの3レース以上に胸が高鳴り、その反面で史上最強といっても過言でない日本馬5頭をこの目でシャティンのターフに躍動する姿を見られないことが残念でなりません。ずばり一言! 日本馬の上位独占は間違いなし! 香港での甘粕代三の代名詞、穏如泰山! 鉄板です!!
まず、パンサラッサ(牡5・矢作芳人厩舎)から。ツインターボ2世と見られていたパンサは今や日本勢の総大将です。中山記念快勝をステップにドバイターフに挑戦しました。レースを引っ張り直線でも一向にその逃げ足を衰えさせることなくゴール板を通過するまで矢作夫妻と手に汗握って声をからしたことが昨日のようです。その後の戦績は皆さんもご存じの通り。前走天皇賞(秋)は7番人気の低評価を嘲笑うように、そしてあのプリティキャストを彷彿とさせる大逃げ! プリティの再現を確信させた瞬間にイクイノックスに交わされましたが、勝馬との斤量2キロ差を考えれば勝ちに等しい2着と言って差し支えありません。
シャティン芝2000mは直線が430mと短く、2015年にエイシンヒカリが逃げ切っているように先行馬有利。エイシンとパンサを比べれば月と鼈とまでは行かないまでも三役と前頭ほどの違いはあります。他に逃げ馬はおらず、パンサが自分のペースで逃げられれば後続はなし崩しに足を使い、レースの焦点はパンサが勝つか負けるかではなく着差をどれだけつけられるか、その一点にあります。
パンサの次に評価したいのがジャックドール(牡4・藤岡健一厩舎)。実はジャックドールのオーナーさんに香港渡航を誘われていたのですが、オーナーさんも私同様、ワクチン未接種のため断念。オーナーさんの社員さんが代わりに応援に行っていらっしゃいます。ジャックはスーパーG2札幌記念で強烈な逃げから先行へと脚質転換に成功。天皇賞(秋)では◎を打ちましたが、直線で不利があって4着と涙を飲みました。でも香港での予想では4連単勝負だったので大いに懐を潤してくれたんですよ。香港カップでは天皇賞(秋)同様3~4番手からパンサを追う形になりますが、シャティンの芝コースは府中よりも時計一つ以上遅く、札幌よりもやや遅い馬場。このコースのアドバンテージはパンサよりもジャックでしょう。香港では日本馬のオッズが日本以上、特にジャックは抜け目になる可能性高く、単複をちょっと買っておきたい気分です。
日本勢3番手はいずれ菖蒲か杜若、悩みは尽きません。横一線もいいところなのですが、私の馬券戦術、秋の第一条にカタカナ騎手3馬身があります。日本人騎手には申し訳ないのですが、欧州、大洋州で鍛えられてきた日本のぬるま湯競馬でぬくぬくと生きてきた日本人騎手がいくら鯱鉾立ちしても叶うものでないことは秋の一連のG1が証明している通りです。故障から復帰し引退を決意、その雨のラストライドツアーで香港に舞い戻った雷神、J.モレイラがラストランの手綱を執ることになったレイパパレ(牝5・高野友和厩舎)、調教師試験に合格し引退の決まった福永祐一から英国の名手、W.ビュイックに手が代わったジオグリフ(牡3・木村哲也厩舎)が横一線。復調著しくともカタカナ騎手ではないダノンザキッド(牡4・安田隆行厩舎)は一段下とします。
日本勢5頭を脅かせるのは地元香港昨季のダービー馬にして準三冠のロマンチックウォリアー(セ4・C.シャム厩舎)と世界の名伯楽、A.オブライエンが送りこんできた刺客、オーダーオブオーストラリア(牡5)。ロマンティックは4歳クラシック三冠の後に外国馬不出走ながらクイーンエリザベス2世カップまでぶっこ抜くという離れ業を演じて香港中距離界に敵がいないことを証明しています。今季節復帰の前哨戦、ジョッキークラブカップを不利な大外枠を引きながら快勝。本番では3~4番手からパンサに襲い掛かかり、ジャックと追い比べになります。レイパパレ、ジオグリフの日本勢3番手以上、ジャックより若干下の評価をしたいと思います。
そしてエイダンの秘密兵器、オーダーは昨年のブリーダーズカップ・マイルを1分33秒73の好時計で快勝しているように香港ヴァーズのストーンエイジ同様、北米の芝コースの適性あり。シャティン芝も全く問題ありません。日本勢3番手と同様と見ました。
パンサラッサを中心にジャックドール→ロマンティックウォーリアー→レイパパレ・ジオグリフ→ダノンザキッドという番付になりますが、さてこれをどう3連単、4連単に落としこむか、眠れぬ夜が続きそうです。甘粕代三畢生の予想は10日(土)夜公開、ご期待下さい。
★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。
甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベットの香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。 |
|
[もっと見る]
【TAROの競馬研究室】メイケイエールの敗因/毎日王冠展望
閲覧 2,114ビュー コメント 0 ナイス 2
先週は秋G1開幕戦、スプリンターズSが行われた。
スプリンターズSは枠順と馬場状態がカギになる一戦。2年前はグランアレグリアがものすごく強く見えたかもしれないが、同じくらい強い競馬をしたのは内枠から踏ん張ったダノンスマッシュ。グランアレグリア、3着アウィルアウェイは展開馬場がハマっての好走でもあった。
昨年は一転して内枠先行競馬。サッと好位インを奪ったピクシーナイトが抜け出し、3着には最内枠のシヴァージ。
同じレースでもまったく対照的な内容だったのが直近2年だが、今年は昨年同様の内枠先行馬場。というわけで、最終結論は2番枠の◎ジャンダルム。当コラムでの推奨馬から変えて当たった場合は一切触れないというのを基本的なルールにしているが、今回の場合は推奨したウインマーベルも来たので例外ということにする。
なにはともあれ、勝ったジャンダルムは内枠先行馬場を生かしての快走、幸運を味方につけた面も大きかった。2着ウインマーベルは7番枠だったが、さすが松山騎手という立ち回りで持ってきた。
期待されたメイケイエールは、残念ながら14着と大敗。ただ、今回は結果的に13番枠という外枠に加えて、最もロスを被る形の先行策になってしまった。かといって控えて馬群に入れて差して来る…というのも現在の馬場ではなかなか厳しいので、隊列や枠が合わなかった=メイケイエールの日でなかった、というのが敗因といえば敗因なのかもしれない。
右回りとか、中2週とか、メンタルとか、敗因は探せば何でも出てくる(出すことができる)ものだが、競馬は必ずしもすべてに明確な理由があるわけではなく、枠や馬場が合わなければよほどの名馬でもない限り(いや、よほどの名馬でも!)、意外なほどアッサリ負けてしまうものでもある。
なので、今回のメイケイエールの大敗は、
「そういうこともある」
というくらいでいいのではないか。写真集も発売され注目を集めたタイミングだっただけに期待した多くのファンは落胆も大きかったかもしれないが、また順調に使えればその能力を発揮してくれるはずだ。個人的にはまたスプリント戦以外でも見てみたいなと思わされたレースぶりでもあった。
~毎日王冠展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末は(特に嬉しくもないが)3日間開催。秋の東京開幕週恒例の毎日王冠が行われる。注目したいのはこの馬。
・レイパパレ(川田将雅騎手)
昨年の大阪杯を制して以降はやや迷走気味だが、不向きな条件を使われ続けている面もある。持久力を問われる2200mはそもそも合わず、前走のヴィクトリアマイルは外枠に加えてスタート直後に落馬寸前のアクシデントがありその後先行するまでに脚を使ってしまった。もともとスピードが武器で、本年も金鯱賞~大阪杯ではキッチリ2着と好走しておりまだまだ衰える段階ではないだろう。開幕週の1800mは合うはず。久々に持ち味を発揮できる条件が揃った。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
|
[もっと見る]
【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2022年10月02日号】特選重賞データ分析編(326)~2022年毎日王冠
閲覧 2,437ビュー コメント 0 ナイス 5
次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G2 毎日王冠 2022年10月09日(日) 東京芝1800m
<ピックアップデータ>
【“同年、かつJRA、かつ1600~2200m、かつG1・G2のレース”において5着以内となった経験の有無別成績(2013年以降)】
○あり [7-8-5-32](3着内率38.5%)
×なし [2-1-4-51](3着内率12.1%)
格の高いレースを主戦場としてきた馬が中心。2013年以降の3着以内馬27頭中20頭は、年明け以降にJRA、かつ1600~2200mのG1・G2で5着以内となったことがある馬でした。一応付け加えておくと“同年、かつJRA、かつ1600~2200m、かつG1・G2のレース”において5着以内となった経験がない、かつ出走数が14戦以内の馬は2013年以降[2-0-4-17](3着内率26.1%)で、例年ならばそれなりに高く評価できる水準。ただし、今年はキャリア14戦以内の馬が多いので、強調材料と見做すべきではないかもしれません。
主な「○」該当馬→サリオス・ポタジェ・レイパパレ
主な「×」該当馬→キングストンボーイ・ジャスティンカフェ・レッドベルオーブ
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「“前年以降、かつ東京、かつ1400m超、かつ2勝クラス以上のレース”において2着以内となった経験がある」馬は2013年以降[9-8-8-34](3着内率42.4%)
主な該当馬→キングストンボーイ・ジャスティンカフェ・ポタジェ
|
|
[もっと見る]
【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2022年05月08日号】特選重賞データ分析編(305)~2022年ヴィクトリアマイル
閲覧 2,705ビュー コメント 0 ナイス 5
次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G1 ヴィクトリアマイル 2022年05月15日(日) 東京芝1600m
<ピックアップデータ>
【前走の出走頭数別成績(2017年以降)】
×12頭以下 [0-0-1-18](3着内率5.3%)
○13頭以上 [5-5-4-54](3着内率20.6%)
少頭数のレースを経由してきた馬は過信禁物。前走の出走頭数が12頭以下だった馬は期待を裏切りがちでした。今年は主要な前哨戦と位置付けられている阪神牝馬ステークスが11頭立てだったので、別路線組を重視すべきでしょう。
主な「○」該当馬→アカイイト・アブレイズ・レイパパレ・レシステンシア
主な「×」該当馬→デアリングタクト・メイショウミモザ
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「出走数が13戦以内」の馬は2017年以降[5-3-3-33](3着内率25.0%)
主な該当馬→アブレイズ・デアリングタクト・レイパパレ
|
|
[もっと見る]