2022年11月25日(金) 14:00
TARO
【TAROの競馬研究室】日本+欧州のいいとこ取り?『ハイブリッド型』レーン騎手/ジャパンカップ展望
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マイルチャンピオンシップは、レーン騎手騎乗のセリフォスが大外一気の差し切り勝ち。今回が初騎乗だったが、慌てず騒がずじっくりを脚を溜めたことが、ラストの末脚爆発につながった印象だ。
2着には馬群を捌いて伸びてきた昨年3着のダノンザキッド、3着にはソダシがしぶとく伸びてきた。期待した◎ソウルラッシュは外から伸びたものの、最後の最後でソダシに競り負けて4着。勝ち馬の鋭い決め手が際立った一戦だった。
それにしてもセリフォス騎乗、レーン騎手の勢いが止まらない。これで、春から数えて4戦連続G1好走。それもすべて人気薄なのだから恐れ入る。
安田記念 サリオス 8番人気3着
宝塚記念 ヒシイグアス 5番人気2着
エリザベス女王杯 ウインマリリン 5番人気2着
マイルCS セリフォス 6番人気1着
この他にオークスでもスタニングローズに騎乗し10番人気2着と好走しており、
「G1は黙ってレーンを買え」
という状況になっている。レーン騎手の素晴らしさは、いわゆる短期免許の外国人騎手、特に欧州の騎手から連想される「剛腕」だけではない点だろう。かつてリスグラシューやメールドグラース、ノームコアを勝たせたような腕っぷしの強さはもちろん感じさせるが、前述したオークスではスタニングローズに騎乗しやや長いと思われる2400mを持たせたほか、エリザベス女王杯ではウインマリリンで脚を溜めて好走、今回のマイルCSでもセリフォスで後方待機を選択し直線末脚を爆発させた。
いわば、「日本人騎手の柔らかさ」と「欧州騎手の力強さ」を兼備した『ハイブリッド型』こそがレーン騎手の真骨頂なのかもしれない。しかも意外なことに、今回の来日ではまだ1番人気馬への騎乗ゼロと、そこまでいい馬ばかりに乗っているわけではない。今週末のジャパンカップにもおそらく伏兵になるだろうヴェルトライゼンデに騎乗予定だが、今の勢いならば侮れない存在になるかもしれない。
~ジャパンカップ展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末はジャパンカップ。注目馬はコチラ。
・オネスト(ルメール騎手)
注目はオネスト&ルメール騎手。
今年は外国馬に出番があるとみて、オネストに注目したい。前走の凱旋門賞では全く見せ場なく敗れたが、欧州馬としては決め手のあるタイプで、タフな馬場の2400mはまったく合わなかった。適性外の一戦とみて良いだろう。むしろ再評価すべきは2走前の愛チャンピオンS。このレースは凱旋門賞でも注目を集めた勝ち馬ルクセンブルク以下ハイレベルなメンバーが揃っていた一戦で、3着は本番・凱旋門賞で2着したヴァデニ、4着は日本でもおなじみのミシュリフだった。
本馬の父・フランケルは、すでに日本でも複数のG1ホースを輩出しており適性は証明済み。鞍上には東京2400mを知り尽くした『日本人騎手』のルメール騎手が騎乗できるのも大きなプラス材料だろう。久々に外国馬の快走が見られそうだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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2022年10月14日(金) 14:00
TARO
【TAROの競馬研究室】G1を超えるG2も今は昔/秋華賞展望
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3日間開催では東西で毎日王冠、京都大賞典のG2が行われた。
この2レースはかつて「G1を超えるG2」と言われて盛り上がったこともあったものだが、近年はやや存在感が希薄になっている。それは直行ローテの馬が増えたためで、一流馬は天皇賞(秋)が使い始めの一戦、そこからジャパンカップや有馬記念、あるいは香港へ、というのが主流になっている。
もちろん直行が増えた理由はひとつではない。仕上げ技術の向上により以前のようにトライアルを使うことが一般的でなくなったのもあるし、G1の賞金が高額になり、そこで勝ち負けできる馬はG2に出走するメリットがあまりなくなった…ということもあるだろう。
参考までに、例えばテイエムオペラオーが走っていた2000年と比較すると、秋G1の賞金は以下のように変化している。
天皇賞(秋)〜ジャパンカップ〜有馬記念の賞金推移(2000年→2022年)
天皇賞(秋) 1億3200万円 →2億円
ジャパンカップ 2億5000万円 →4億円
有馬記念 1億8000万円 →4億円
ご覧の通り軒並み賞金は上がっており、とりわけ有馬記念などは倍以上になっている。その間、G2の賞金はほとんど変わっていないのだから、当然有力馬はこれまで以上にG1重視のローテを組む方が合理的だ。
…いきなりお金の話を始めてどうしたのかと思われるかもしれないが、そういう視点で先週のG2を見直すと、やはり「G1を超えるG2」というような認識を改めなくてはならないように思う。
サリオスが勝った毎日王冠は確かに豪華メンバーではあったが、それでは秋G1で即通用するかというと実は相手関係からも怪しい面がある、それは京都大賞典上位組に関しても同様だ。
参考までに過去5年の両レースの勝ち馬を並べてみる。
毎日王冠過去の過去5年の勝ち馬
2017年 リアルスティール
2018年 アエロリット
2019年 ダノンキングリー
2020年 サリオス
2021年 シュネルマイスター
京都大賞典の過去5年の勝ち馬
2017年 スマートレイアー
2018年 サトノダイヤモンド
2019年 ドレッドノータス
2020年 グローリーヴェイズ
2021年 マカヒキ
上記の馬たちがその後の秋G1でどうだったのかというと…実は国内G1で馬券圏内に好走したのは昨年のシュネルマイスター(マイルCS2着)のみ。むしろ負けた組の中からシュヴァルグランやインディチャンプ、キセキなど、秋G1での好走馬が出ている。
つまり、これらのレースで好走しているようでは、秋G1に余力を残せないか、あるいは毎日王冠の場合1800mに適性を見せすぎている。むしろ、何らかの理由で負けているくらいの馬の方が、まだ今後巻き返しの期待をできるということになる。
今年は毎日王冠から、3着のダノンザキッド、6着のポタジェ、京都大賞典からはボッケリーニあたりを巻き返し候補として覚えておきたい。いずれにしても、かつてほどレベルの高いレースではなくなっており、だからこそジャスティンカフェやヴェラアズールのような上がり馬を狙う…というのが両レースのトレンドなのかもしれない。この傾向は来年まで覚えておきたい。
〜秋華賞展望
では、いつも通り最後は週末の注目馬で締めたい。今週末は3歳牝馬の3冠レース最終戦、秋華賞が行われる。注目馬はコチラ。
・アートハウス(川田将雅騎手)
前哨戦のローズSは好位から抜け出し完勝。春のオークスは不発に終わっただけに改めてのG1挑戦となるが、今回のポイントはなんといっても、
「阪神芝2000mの川田」
は買い。川田騎手は阪神芝2000mの鬼で、2020年以降を見ても、川田騎手×阪神芝2000mは複勝率7割超、ほとんどが人気馬騎乗ながら複勝回収値も100円超。
アートハウスはスタートを決めて器用に立ち回れるので、人馬ともに期待大。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2022年10月02日号】特選重賞データ分析編(326)~2022年毎日王冠
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次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G2 毎日王冠 2022年10月09日(日) 東京芝1800m
<ピックアップデータ>
【“同年、かつJRA、かつ1600~2200m、かつG1・G2のレース”において5着以内となった経験の有無別成績(2013年以降)】
○あり [7-8-5-32](3着内率38.5%)
×なし [2-1-4-51](3着内率12.1%)
格の高いレースを主戦場としてきた馬が中心。2013年以降の3着以内馬27頭中20頭は、年明け以降にJRA、かつ1600~2200mのG1・G2で5着以内となったことがある馬でした。一応付け加えておくと“同年、かつJRA、かつ1600~2200m、かつG1・G2のレース”において5着以内となった経験がない、かつ出走数が14戦以内の馬は2013年以降[2-0-4-17](3着内率26.1%)で、例年ならばそれなりに高く評価できる水準。ただし、今年はキャリア14戦以内の馬が多いので、強調材料と見做すべきではないかもしれません。
主な「○」該当馬→サリオス・ポタジェ・レイパパレ
主な「×」該当馬→キングストンボーイ・ジャスティンカフェ・レッドベルオーブ
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「“前年以降、かつ東京、かつ1400m超、かつ2勝クラス以上のレース”において2着以内となった経験がある」馬は2013年以降[9-8-8-34](3着内率42.4%)
主な該当馬→キングストンボーイ・ジャスティンカフェ・ポタジェ
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【TAROの競馬研究室】馬の体調は多くのポイントの一つにすぎない/エプソムカップ展望
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安田記念は4番人気のソングラインが外から伸びて差し切り勝ち。不利が響き5着に敗れたヴィクトリアマイルから見事に巻き返しを決めた。2着のシュネルマイスターは直線で馬群に突っ込んで伸び、勝ち馬に迫った。終わってみれば同舞台で行われた昨年のNHKマイルCの1~2着が入れ替わる結果。ハイレベルといわれる昨年の3歳世代だが、正確には芝路線、それもマイル路線のレベルが高かった。それを証明するワンツー決着だった。
また、外が伸びる馬場も上位勢には味方した。3着サリオスは8枠17番。最終予想でサリオスを本命にしたのも、馬場傾向が合うと考えたため。昨年の安田記念ほど顕著に外が伸びる馬場ではなかったが、それでも終盤開催になり外がやや有利な状況。とりわけ芝の1400m~1600mは枠なりの競馬になりやすく、馬場傾向の影響をモロに受けていた。
実際に先週の東京芝1400m~1600mは合計7レース行われたが、枠順の傾向は以下の通り。
1~4枠(1-3-1-38)
5~8枠(6-4-6-44)
一目瞭然、明らかに外が優勢だった。
~大幅馬体重減で人気が落ちたサリオス
なお、サリオスに関しては調教後馬体重がマイナス22キロと大きく減らしており、その影響で不安説が流れたことも狙う後押しとなった。もちろん馬の体調は予想をする上で重要なポイントではあるが、あくまでもポイントの一つでしかない。馬場なり、枠順なり、騎手なり、そもそもの適性なり、その他諸々多くの要素が折り重なってレースを行うのが競馬で、極論すれば体調が悪くても馬は走ってしまう。
これは人間に置き換えれば想像できることで、例えば体調が多少悪い中で出社(コロナ禍の現状ではあまりないかもしれないが…)したとして、ではまったく仕事にならないかといえばそうとも限らないはずである。体調が悪くても悪いなりに仕事はこなせるだろうし、必ずしも極端にパフォーマンスが落ちるわけでもない。人間と馬を同一視するのは少々強引かもしれないが、結局馬の体調など馬に聞いてみないとわからない面もあるのだから、レースに行ってしまえば多少不安があっても枠なり馬場なりに恵まれてしまえば走れてしまうものでもある。
サリオスに関していえばやはり外枠のアシストは大きかったし、レーン騎手との相性の良さもプラスとなった。一方で絶好調時なら突き抜けるくらいの能力があるはずで、そういう意味ではやはり万全ではなかったのかもしれない。いずれにしても不安説は過剰に人気落ちを生むこともあるので、時にはむしろ買い材料となる。馬の体調に関するネガティブコメントにはついつい過敏に反応してしまいがちだが、話半分くらいで受け止めるのが適切な対応かもしれない。
なお、東京芝は今週末までCコース。基本的には先週の傾向を引き継ぐはずで、特に騎手が対応する前の土曜日は外が狙いになるはずだ。
では、今回も先週の競馬から次走狙えそうな馬を一頭。
【次走狙い馬】フォーチュンテラー(日曜中京8レース・3歳上1勝クラス/3着)
3歳勢が大挙出走してきたハイレベル戦。メンバーが揃った上に厳しい内枠だったが、それでも直線はキッチリ伸びた。馬群も問題ないシニスターミニスター産駒で、レースぶりには安定感がある。ダート1400mならクラス上位は明らか、引き続き軸での信頼度は高い。
~エプソムカップ展望
では、いつも通り週末の注目馬で締めたい。今週末はG1ひと休みで、東京ではエプソムカップが行われる。注目馬はコチラ。
・シャドウディーヴァ(坂井瑠星騎手)
前走のヴィクトリアマイルでは前が残る流れの中で後方からの競馬になってしまったが、それでもラストは最速タイの32秒9の脚で伸びて来た。今回は距離が延びて、前走時よりは馬場も荒れて差しが届きやすくなっているのは有利。昨年の府中牝馬Sを制した得意舞台で、そろそろ巻き返しに期待できそうだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。
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