【TAROの競馬研究室】改めて東京競馬場の排水性の良さを知った週末/エプソムC展望
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豪華メンバーが揃った安田記念は、ソングラインが外から差し切って同レース連覇を成し遂げた。同時にヴィクトリアマイル→安田記念の連覇も達成し、これは2009年のウオッカ以来、史上2頭目。使っては休む…が当たり前になった現代の競馬で、中2週でのチャレンジは想像以上にハードなのだろう。それを成し遂げた陣営の手腕も称えられるべき勝利だった。
1番人気のシュネルマイスターは直線よく追い込んできたものの3着止まり。一昨年から3着→2着→3着と惜敗にピリオドを打つことはできなかった。ルメール騎手は何もミスをしていないが、馬体を見ても走りを見ても、どちらかといえばパワータイプ。ルメール騎手のゆったり溜めて末脚を生かすスタイルがベストではないようにも思える。このスタイルで行くならば秋は距離を延ばして天皇賞路線でぜひ観てみたい。マイル路線なら別のジョッキーで臨んでも面白いかなと感じさせる内容だった。
最終的に期待した◎ソウルラッシュは、スタートから流れに乗れず、厳しいインを突いたこともあり惨敗。上がりの速さを問われる高速馬場は厳しかった。
今回の安田記念を見て改めて感じたのは、週末の雨予報も、レース中に降らない限りは大きな影響を与えないということだ。ローカルならまだしも、主要4場(東京、中山、京都、阪神)は特に馬場整備も行き届いており、とりわけ排水性の高い東京競馬場では金曜段階でどれだけ雨が降っても、レース中に降らなければちょっとやそっとでは馬場は悪化しない。先週は金曜~土曜の朝までに250ミリを超える雨が降ったようだが、それでも芝に関しては驚きの回復を見せ、日曜のメインレースは良馬場、通常通りの高速馬場に戻っていた。
さすがにダートは雨の影響を大いに受けるが、芝に関してはレース中に降るかどうかが大きなカギ。先週のようにどれだけ雨が降ってもその後晴れて風も吹けば、すぐに乾いていくということを改めて実感する開催だった。
というわけで、最後は先週からの狙い馬と、今週末の展望を。
【次走狙い馬】ヘネラルカレーラ 6/4(日)東京9R 2番人気2着
すんなりとハナを奪い粘り込み。馬場を考えても上々の粘りで、やや決め手に欠けるのでなかなか勝ち切れないが、安定したレースぶりが光っており連複軸なら信頼度は高い。近走崩れているのは2200mのみ。2000m以下なら次走以降も引き続き信頼したい。
~今週末の注目馬~
最後は週末の注目馬で締めたい。今回はエプソムカップから。
・ヤマニンサルバム(三浦皇成騎手)
注目はヤマニンサルバム&三浦皇成騎手。
重賞に挑んだ直近2走はともに7着と見せ場を作るに至っていないが、金鯱賞は外枠、新潟大賞典は道悪と条件が厳しかった。本質的にはセンスある立ち回り型で、距離短縮はプラスになる。3走前の白富士Sで上位争いをしたサリエラ、ドーブネ、カレンルシェルブルはいずれもその後オープンや重賞で好走しており、本馬も能力的にはヒケを取らないはず。三浦騎手も荒れ馬場の東京は上手いので、人気も落ちそうな今回は狙いどころ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【TAROの競馬研究室】トップ厩舎なのに穴激走も多い矢作厩舎/弥生賞ディープインパクト記念展望
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先週の中山記念は最終的にシュネルマイスターに本命を打ったものの、直線勢いよく伸びて来たところで進路が塞がってしまい4着。少々悔しい結果となった。もちろん内を突く以上詰まるリスクがあるのは当然なので、こればかりは仕方ない。
勝ったヒシイグアスは4コーナーで上手く脚を溜めた松山騎手の好プレーが光った。これで2年ぶり2度目の中山記念制覇。リピーターが強いレースらしい結末だった。今後という意味では2着のラーグルフにも注目。いかにも距離不足を感じさせるレースぶりだったが、それでもラストは力強く伸びて勝ち馬に迫った。モーリス産駒らしく、古馬になっての本格化を予感させる好内容だった。
さて、遠くサウジアラビアでは日本馬が今年も大活躍。バスラットレオン、シルヴァーソニック、パンサラッサの3頭が勝利した。
3頭のうち2頭は矢作厩舎の管理馬。矢作厩舎といえば既に世界的に名を知られるトップ厩舎だが、それでいて穴馬券の供給が多いのも特徴。パンサラッサの快挙から約半日後の阪急杯では、ホウオウアマゾンが6番人気で3着と好走。昨年のマイラーズカップで2着好走ののち4走連続で2ケタ着順が続いていたが、その間マイルや1400m、そしてダートを挟み、約10カ月ぶりの馬券圏内好走となった。
矢作厩舎は昨年JRAでの出走回数が523回。これは全厩舎の中でトップ。ちなみに2位は清水久厩舎で504回、3位は391回で斎藤誠厩舎。
・2022年厩舎別出走回数トップ3
矢作厩舎 523回
清水久厩舎 504回
斎藤誠厩舎 391回
なお、昨年の全国リーディングも1位が矢作厩舎、2位が清水久厩舎、関東リーディングが斎藤誠厩舎。まさに出走回数通りとなっている。
数多くのレースを使える…というのはそれだけ勝つチャンス、さらには稼ぐチャンスが増えるということでもあり、厩舎力に直結するのかもしれない。そして数多くのレースを使うからこそ、凡走も多いが、凡走が多いからこそ穴での好走が増える。1戦必勝型厩舎は人気になりやすく、穴での激走は少ない。
阪急杯では中内田厩舎のグレナディアガーズが単勝1.7倍。中内田厩舎は昨年の出走回数が245回。2022年の全48勝のうち45勝が1~3番人気でのもの。レース数を絞るため人気になりやすく、5番人気以下では2勝。矢作厩舎は2022年の59勝のうち1~3番人気で39勝、5番人気以下で15勝。清水久厩舎は52勝のうち1~3番人気で31勝、5番人気以下で15勝。
以下のように並べてみると顕著な差が出ている。
・2022年人気別勝利数
矢作厩舎 59勝 1~3番人気 39勝 5番人気以下 15勝
清水久厩舎 52勝 1~3番人気 31勝 5番人気以下 15勝
中内田厩舎 48勝 1~3番人気 45勝 5番人気以下 2勝
ホウオウアマゾンを例にしたが、同じレースに出ていたミッキーブリランテも、本当によく名前を見かけ、毎年のように穴をあけている。穴馬券を獲るためには、戦績や騎手も大事だが、厩舎も大事だと痛感する。
~今週末の注目馬~
というわけで、今週末からいよいよクラシックトライアル戦線がスタート。ココでは弥生賞ディープインパクト記念を取り上げることにする。現時点での注目馬はコチラ。
・タスティエーラ(松山弘平騎手)
ハイレベルだった共同通信杯組のタスティエーラに注目したい。共同通信杯は4着と競り負けたが、いかにも距離が延びた方が良さそうな内容だった。父サトノクラウン自身も古馬になって宝塚記念、香港ヴァーズを制したスタミナ型。本馬もレース内容&血統面から距離延長はプラスになる。先週の中山記念で好騎乗を見せた松山騎手には、今週末も期待したい。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2023年02月19日号】特選重賞データ分析編(346)~2023年中山記念
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次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G2 中山記念 2023年02月26日(日) 中山芝1800m内
<ピックアップデータ>
【“前年以降、かつJRA、かつ出走頭数が16頭以上、かつ重賞のレース”において2着以内となった経験の有無別成績(2014年以降)】
○あり [9-8-7-23](3着内率51.1%)
×なし [0-1-2-58](3着内率4.9%)
2022年以降の重賞における実績が明暗を分けそう。なお“前年以降、かつJRA、かつ出走頭数が16頭以上、かつ重賞のレース”において2着以内となった経験がない、かつ同年の白富士ステークスにおいて2着以内となった経験がない馬は2014年以降[0-0-1-56](3着内率1.8%)でした。該当馬は思い切って評価を下げるべきでしょう。
主な「○」該当馬→シュネルマイスター・スタニングローズ・ダノンザキッド
主な「×」該当馬→ショウナンマグマ・ソーヴァリアント・モズベッロ
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「“前年以降、かつJRA、かつG1のレース”において13着以内となった経験がある」馬は2014年以降[8-6-8-34](3着内率39.3%)
主な該当馬→シュネルマイスター・スタニングローズ・ダノンザキッド
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【香港国際競走2022】レース展望③<香港マイル>香港馬2強に日本馬2強が踏破を図る、という図式
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■香港マイル(シャティン芝1600m)
香港マイラー陣はスプリント陣とならび世界に屹立してきました。この10年間で香港スプリントは日本馬はロードカナリア連覇と一昨年のダノンスマッシュの3勝を許しましたが、香港マイルはモーリス、アドマイヤマーズの2勝のみ。日本馬にとってマイルの頂はスプリント以上の高みにあります。
この頂きに日本から昨年の3歳マイル王、シュネルマイスター(牡4・手塚貴久厩舎)、2019年の2歳マイル王、サリオス(牡5・堀宣行厩舎)に今年の2歳マイル王、ダノンスコーピオン(牡3・安田隆行厩舎)、フランスでG1を勝ったオーストラリア馬のローズオブインディシーズ(牡4・A.ニーシャム厩舎)が登頂に挑みます。
今年はフルゲートに遥かに満たぬ10頭立てとなりましたが、香港マイルの頂が天に迫らんとしているからでしょう。その高き頂に蟠踞(ばんきょ)しているのが、日本にもその名が知れた香港三冠馬にして、このレース3連覇を虎視眈々と狙うゴールデンシックスティ(セ7・F.ルイ厩舎)です。香港デビュー以来、25戦22勝、負けた3走も負けに負けの理由あり。香港史上最強馬といって差し支えありません。
昨季は春のマイル王決定戦、チャンピオンズマイル(G1・シャティン芝1600m)を2馬身差で快勝して休養。今季は昨季と同じく前哨戦のジョッキークラブマイルから戦線復帰。ポン勝ちして王者の王者たる姿を見せてくれました。
これに続く香港第2の頂がカリフォルニアスパングル(セ4・A.クルーズ厩舎)です。この馬は私が最も親しくしている調教師、A.クルーズの管理馬。香港に渡航できなかったこの3年間、国際競走の前には日本馬の敵情偵察で電話をかけてきてくれるのですが、昨年も一昨年も国際競走に出走しない前に、「うちの厩舎には逸材がいる」と強調していたのがこの馬でした。
スパングルはトニーの期待に応えて昨年の4歳三冠シリーズの前に6戦して5つの勝ち星をあげ三冠に臨み緒戦のクラシックマイル2着、第2レグのクラシックカップを快勝、第3レグの香港ダービーは頭差2着と準々三冠の好成績を残します。その勢いを借りて昨季春のマイル王決定戦、チャンピオンズマイルでは絶対王者、ゴールデンの胸を借りると弱冠4歳馬ながら2馬身差の2着。香港マイラー陣に新星が現れたことを強く印象づけました。
今季は若馬らしく早めに仕上げて9月25日のセレブレーション・カップ(G3・シャティン芝1400m)で戦線復帰すると2馬身差の快勝。続くシャティン・トロフィー(G2・シャティン芝1600m)もダントツの1番人気1.3倍に応えてぶっこぬくと前哨戦で絶対王者の胸に再びぶつかっていきます。この前哨戦では休み明け連勝のスパングルが単勝1.6倍と目が高い香港競馬ファンは休み明けのゴールデンよりも高い評価を与えたのです。
スパングルは2度目の挑戦でも絶対王者の軍門に屈しましたが、着差は首! チャンピオンズマイルの2馬身差から大きく縮めて天の頂に迫って見せたのです。この馬の強みは強力な逃げにあります。これまでの13戦、ハナを譲ったことは一度としてなく、道中交わされたとしてもしぶとく逃げ残る。これで13戦全連対を果たしてきたのです。今年は10頭の小頭数、スパングル以外に逃げ馬は見当たりません。一方のゴールデンは中団かさらに後ろから直線勝負の馬、ペース次第では前走首差を逆転させることも十分可能と見ます。
この2強に続く香港第三の男がワイクク(セ7・J.サイズ厩舎)です。昨季スチュワード・カップではゴールデンにあっと言わせたクラッチヒッター。その裏返しで好走と凡走を繰り返すわけですが、前哨戦では2馬身3/4差の3着と2強には及びませんでしたが、4着には2馬身1/4としっかり力の差を見せました。4着モアザンディス(セ6・C.シャム厩舎)、エクセレントプロポーザル(セ6、J.サイズ厩舎)はこの着差では挽回は厳しく、2000mの前哨戦、ジョッキークラブカップ7着から路線を変更して香港マイルに臨むビューティージョイ(セ6・A.クルーズ厩舎)はいくらなんでも家賃が高すぎ、ここでは馬場掃除の評価しかできません。
対立の構図は香港2強いずれが高いか測りかねる最高峰に日本勢が踏破を図る、という形。連なる二つの高き頂から最も近い高みにいるのはラストランにメイチの仕上げで臨み、世界の盟主R.ムーアを鞍上に迎えたサリオスと見ました。日本の秋G1シリーズでカタカナ名騎手が上位を独占したことが物語るように日本の騎手と外国人、特に欧州競馬シーズン閉幕後、短期免許を取得して来日する世界の名手との技量差は歴然。マイルCSでは3着と惜しい競馬になってしまったR.ムーアは勝手知ったるシャティンのマイル戦で前走の雪辱に燃えているはずです。
これに続くのがシュネルマイスター。こちらもマイルCSは不本意な競馬、ここでは今春のドバイ遠征の経験が着てくるはずです。
香港2強に日本の2強がどこまで迫れるか、香港マイルの焦点はここに尽きます。いずれも人気を集めると思いますので、買い目を絞って3連単勝負が王道、私は香港で4連単で大勝負をかけ田園調布に家が建つ甘い夢を見ることにします。甘粕代三の渾身の予想は12日(土)夜公開、ご期待下さい。
★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。
甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベットの香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。 |
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