2023年12月22日(金) 14:00
TARO
【TAROの競馬研究室】実は怪しい「内枠有利説」も、今年は本当に内枠有利になるかもしれないその理由とは?
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思えば初めて枠順抽選があった有馬記念から、数えること今年で10回目になる。……たぶん。
たぶん、というのはコロナ禍でどうだったか……などについて調べていないためだ。調べればい話なのだが、正直本稿の趣旨とはあまり関係ないので割愛した。ご容赦を。
何はともあれ、有馬記念の枠順抽選、最初は2014年。ただ、この時はシステムが違った。
まず抽選をして→選ぶ順番を決める→そして抽選で決まった順に→入りたい枠を指名する
といった流れだった。現在のやり方との大きな違いは、陣営が入りたい枠を指名できるという点だ。
ところが、ここでなんとも具合の悪いことが起こってしまった。最初に枠を選ぶ権利を得て、2枠4番を選択したのがジェンティルドンナ。2番目に枠を選ぶ権利を得て、3枠6番を選択したのがトゥザワールド。
ココまで書いたら勘のいい方はおわかりだと思うが、なんとこの2頭がレースでも1~2着になってしまった。しかもジェンティルドンナは4番人気1着、トゥザワールドは9番人気2着。馬連は万馬券である。
「なってしまった」
というのも変な話なのだが、これは主催者としては歓迎せざる事態だったと思われる。そりゃそうだろう。できる限り競馬は公平であると示す努力を日々しているにも関わらず、枠順という人間が決める要素によって、こうも有利不利があることがわかってしまうと、
「なんだ、実力よりも枠が大事なのかよ」
と思われてしまう。ましてライト層が多い有馬記念でそういった事態が起こるインパクトは大きい。枠が結果を大きく左右するということをあまりに公然と知られてしまうのは、主催者にとっては嬉しい話ではないのだ。
ただ、この出来事のインパクトは大きく、それまでも内枠有利だと思われていた有馬記念が、より一層そう(内枠有利だと)思われるようになった。それを意識してなのかどうか確実なことは言えないが、恐らくそんな状況を受けて、翌年からは選択制ではなく、今と同じように抽選で枠が決まるというシステムになった。つまり、陣営に選択権はなくなった。
とはいえ、以後も内枠が欲しいという各陣営の願いは変わらず続いている。だが、続かなかったこともある。それは、
「内枠有利」
という傾向そのものである。
とりわけ近年はむしろ外枠有利とまではいわずとも、内枠はあまり良くない。直近5年をみると顕著で、1~2枠はほぼ壊滅。もちろん外枠有利ではないのだが、代わりに台頭しているのが内過ぎず、外過ぎない中枠だ。
<参考>過去5年
1~2枠(0-1-0-19)
3~5枠(5-2-3-20)
6~8枠(0-2-2-26)
この通り、ハッキリ「中枠有利」の結果が現れている。1~2枠から馬券圏内まで突っ込んできたのは、昨年2枠3番から2着に入ったボルドグフーシュのみ。この馬とて後方に下げて外をマクって来たもので、イメージするような「内枠先行」ではなかった。
理由を説明すると、
1,コース自体は外枠不利
2,馬場が良ければ内枠有利
3,馬場が悪くなると内枠有利ではなくなる
4,かといって外枠はやっぱり不利
5,内枠不利で外枠も不利なので、最も有利になるのは中枠
ということになる。
こういうことを書くと、
「いやいや、イクイノックスがたまたま中枠に入っただけじゃないか」
とか、
「ほかの強い馬も中枠に入ったのではないか」
とか、
「たった5年程度のデータではサンプル数が……」
とか、
「たったひとつふたつ枠がズレるだけでそんなに違うのか」
とか、いかにもそれらしい反論が来そうではあるが、そういう意見もあることを踏まえた上で、すべて反論するほどの時間もないので話を進めたい。(最後の質問だけは明確に、違う、と伝えたい。枠が1つズレるだけでレースの動きは全く異なるケースが多々ある)
前述の仮説が正しいとすると、コース形態は外枠不利で不変であるが、馬場が悪くなると内枠も不利になる。そして、馬場が悪くなるかどうかは天候も大いに関係してくる。
そこで気になるのは今年の天候推移だ。実は過去5年の有馬記念が行われる12月の中山開催においては、必ず芝がやや重に悪化する日があった。12月の前半開催であれ有馬記念当週であれ、開催中の馬場悪化は、当該週のみならず、その後の馬場状態にも大なり小なり影響を与えるのが競馬という競技だ。4週目の日曜日に行われる有馬記念は、開催中の馬場悪化の有無の影響を受けやすい。だから、近年は内枠有利になっていないという側面がある。
ところが、今年の中山は好天に恵まれている。3週目まではずっと良馬場で、4週目を迎え寒さこそ厳しくなってきてはいるが、幸いにして有馬記念が行われる週末も晴れ予報。このままいくと、
「ずっと良馬場のまま有馬記念を迎える」
ことになる。仮にそうなれば、2017年以来6年ぶりのことである。
となると気になるのは2017年の有馬記念の結末だが、この年に限っていえば、実はイメージ通りの内枠有利だった。キタサンブラックの逃げ切りは馬の力が違った可能性があるにしても、2着に突っ込んだのは2枠3番に入った8番人気の牝馬クイーンズリングだった。クイーンズリングは道中インをロスなく立ち回ると、直線もしぶとく内から伸びて2着確保。外から伸びて来たシュヴァルグランやスワーヴリチャード、ルージュバックといった馬たちの追撃を退けての好走だった。
つまり、有馬記念の「内枠有利説」は案外怪しいものでもあるのだが、今年に関しては「空模様の関係で」本当に内枠有利になる可能性が高い。
~有馬記念の注目馬は?~
以上を踏まえて、最後に有馬記念の注目馬を挙げたい。
・タイトルホルダー(横山和生騎手)
引退レースとなるタイトルホルダーに注目。今回は絶好の2枠4番を引けたのがまず大きい。過去2度の有馬記念はいずれも外枠で、しかもパンサラッサがいたりしてレースの組み立てが難しかった。今年はその点スンナリと内枠から先手を取れそうで、明確に絡んでくるような馬もいない。まして有力馬はいずれも溜めるタイプで、早めに押し上げて来る地力上位馬はタスティエーラくらいだろう。過去2年よりマークも薄くなりそうなので、ラストランでの激走のチャンスありとみている。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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2023年12月17日(日) 15:00
伊吹雅也
【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2023年12月17日号】特選重賞データ分析編(389)~2023年有馬記念
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<次週の特選重賞>
G1 有馬記念(グランプリ) 2023年12月24日(日) 中山芝2500m内
<ピックアップデータ>
【前走の条件がG1、かつ前走のコースが国内だった馬の、前走の着順別成績(2016年以降)】
○4着以内 [6-4-6-21](3着内率43.2%)
×5着以下 [0-2-0-43](3着内率4.4%)
前走の条件がG1以外だった馬は2016年以降[0-0-0-22](3着内率0.0%)と3着以内なし。また、前走が国内のG1だった馬に限ると、大敗直後の馬も苦戦していました。ビッグレースで好走を果たした直後の馬に注目するべきでしょう。
主な「○」該当馬→ドウデュース・ハーパー
主な「×」該当馬→タイトルホルダー・ディープボンド
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「“前年以降の、JRAの、G1のレース”において1着となった経験がある」馬は2016年以降[6-4-7-22](3着内率43.6%)
主な該当馬→タイトルホルダー・ドウデュース
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2023年11月10日(金) 14:00
TARO
【TAROの競馬研究室】モレイラ騎手土日で11勝から見える得意条件/エリザベス女王杯展望
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先週は地方競馬の祭典・JBCに加えて、本家米国でブリーダーズカップ、さらには国内でも重賞×4レースと、1年でも屈指の重賞多数の週末だった。
その影響を受けたのがジョッキーたち。ルメール騎手、川田騎手、戸崎騎手などが米国遠征で不在。そうなると、東西とも勝てる騎手は限られてくる。
結果…
モレイラ騎手=11勝
坂井瑠星騎手=7勝
横山武騎手=6勝
この3人でなんと24勝の荒稼ぎ。3場合計72レースだから、ちょうど3分の1の勝ち星をこの3人だけで稼いだことになる。特に東京はモレイラ騎手&横山武騎手の寡占状態で、土日の東京合計24レースのうち、2人で17勝。過半数どころか3分の2以上が2人のどちらかの勝利だった。
もっともその内容は個性がよく出ていた。
モレイラ騎手は11勝のうち5~8枠で14回騎乗し、10勝。逆に1~4枠では4回騎乗し1勝。外枠での騎乗自体が多かった。
横山武騎手は1~4枠で12回騎乗し5勝。5~8枠で7回騎乗し1勝。
京都で騎乗した坂井瑠星騎手は、1~4枠で9回騎乗し4勝。ファンタジーSで9番人気ながら2着と好走したドナベティも最内枠。
モレイラ騎手はもともと外枠が得意なジョッキー。何でもかんでも持って来ているようで、実は枠順傾向通り。ある意味、抽選で外枠をたくさん引けたという意味では、実力に加えて運もあった週末といえるかもしれない。
それでは最後に今週末の注目馬を。
~今週末の注目馬~
今週はエリザベス女王杯から。
・マリアエレーナ(三浦皇成騎手)
注目はマリアエレーナ&三浦皇成騎手。
今年のオールカマーは例年以上にメンバーが揃ったレース。ローシャムパーク、タイトルホルダー、ゼッフィーロに続く4着は好評価できるもの。追わせるタイプで三浦騎手とも案外手が合いそうだ。G1の三浦騎手ということで予想以上に人気にならなければ、オッズ面でも妙味あり。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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