【TAROの競馬研究室】芝が荒れてノーザンF↓ビッグレッドF↑が顕著だった札幌芝/京成杯オータムハンデ展望
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小倉2歳ステークスは大外枠のアスクワンタイムが外から伸びて差し切り勝ち。これで全兄ファンタジスト(小倉2歳S)、全姉ボンボヤージ(北九州記念)に続く兄弟3頭目の小倉芝1200m重賞制覇という快挙を達成した。
2頭の兄姉もアスクワンタイムと同じ梅田厩舎。血統も同じなら育成も同じなので、似た適性の馬が育つのだろう。一方厩舎が異なると、アルアイン(皐月賞)、シャフリヤール(日本ダービー)の兄弟のように、同じ血統でも少し異なるタイプの馬に育つこともある。
なお、小倉2歳Sはこれで3年連続で大外枠の伏兵馬が好走。開催後半の荒れた芝での開催になるので、外枠が有利、差し有利、さらにキャリアが生きるという傾向通りの決着となった。基本的に同じことを繰り返すのが競馬なので、来年も覚えておきたい。
さて、今回は先週無事終了した札幌開催の芝傾向の話。
~荒れ馬場になればノーザンF勢は戦力ダウン、ビッグレッドF勢は戦力UPが顕著
猛暑が列島各地で話題になった今年の夏競馬だったが、札幌に限れば暑さと同時に開催中に直撃する雨も多く見られた。開催6週目の日曜日には大雨でレースが中断するシーンもあり、最終週はその影響を大きく受けた馬場状態となった。
タフな洋芝になると、通常東京芝をはじめとする主流の競馬とは全く異なる適性を問われるのは当然。通常のトラックであれば圧倒的に覇権を握るノーザンF勢が、札幌芝においてはむしろ不振傾向だった。特に芝が荒れて来ていた札幌開催のラスト2週ではその傾向が顕著で、生産者別の成績を確認すると…
・札幌芝ラスト2週の生産者別成績
ノーザンF(4-4-5-47)勝率6.7% 複勝率 21.7% 複勝回収率 47%
社台F(3-1-3-25)勝率9.4% 複勝率 21.9% 複勝回収率 101%
ビッグレッドF(2-2-1-8)勝率15.4% 複勝率 38.5% 複勝回収率 122%
ご覧の通り、タフな芝になり総じてノーザンFは苦戦傾向。社台Fはそれなりに頑張っており、何よりビッグレッドF生産馬の活躍が目立った。
現代の、特に芝競馬においては基本的にノーザンF勢のスピードと決め手が生きることが多いが、それはあくまでも主流条件での話。雨の影響を大いに受けたタフな洋芝が舞台となれば、そもそも別競技をやるようなものなので、主流条件だと決め手不足を露呈しがちな馬たちが逆に巻き返す傾向にある。
基本的にノーザンF勢は人気になりやすいので、同生産馬が不利な条件ほど穴を狙うチャンスが増える。秋の中山開催も決め手を生かしづらい条件なので、引き続き生産牧場に注目したい。
それでは最後に先週からの狙い馬と、今週末の注目馬を。
【次走狙い馬】 9/3(日)札幌9R スカイキャンバス 1番人気3着
最終日の芝1200mはかなりインが厳しい条件。その中でスンナリ逃げて上手く直線は外に持ち出したが、最後の追い比べで苦しくなった。それでも3着確保は地力の高さの証明。スタートセンスが良くスピードは非凡、通常のスピードと立ち回りが生きるスプリント戦なら即巻き返せる。
~今週末の注目馬~
今週末は京成杯オータムハンデから。
・ラインベック(石橋脩騎手)
注目はラインベック&石橋脩騎手。
ディープインパクト×アパパネの「12冠ベイビー」としてデビュー前から注目を集めた馬だが、今年に入って本格化。前々走の米子S、前走の関屋記念ともにセンスの良い立ち回りで粘り込んで好走。中山では4走前に好位抜け出しで勝利を収めており、当時と同じような立ち回り戦に持ち込めれば、引き続きチャンスがありそうだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2023年08月13日号】特選重賞データ分析編(371)~2023年札幌記念
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次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
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<次週の特選重賞>
G2 札幌記念 2023年08月20日(日) 札幌芝2000m
<ピックアップデータ>
【馬齢別成績(2018年以降)】
○5歳以下 [5-4-4-30](3着内率30.2%)
×6歳以上 [0-1-1-26](3着内率7.1%)
高齢馬は不振。2018年以降の3着以内馬15頭中13頭は、馬齢が5歳以下でした。たとえ実績上位であっても、6歳以上の馬は評価を下げましょう。
主な「○」該当馬→シャフリヤール・ソーヴァリアント・ラーグルフ
主な「×」該当馬→イズジョーノキセキ・ウインマリリン・ヒシイグアス・ルビーカサブランカ
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「“JRAの、G1・G2のレース”において1着となった経験がある」馬は2018年以降[5-5-5-22](3着内率40.5%)
主な該当馬→イズジョーノキセキ・ウインマリリン・シャフリヤール・ヒシイグアス
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【TAROの競馬研究室】タスティエーラ、そして現役ドラフト、環境の変化が新たな可能性を引き出す/安田記念展望
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日本ダービーは期待通り◎タスティエーラが好位から抜け出し、接戦を制した。今回はレーン騎手への乗り替わりが大きな買い材料だったが、レースも完璧な運びだった。
今回、皐月賞2着馬にレーン騎手が騎乗した割に人気がなかったのもポイント。テン乗りでの勝利がないというデータも多少は人気を抑制したのかもしれないが、何より、直近2週のレーン騎手に対するファンの印象も悪かったのかもしれない。
2週前のヴィクトリアマイルではソダシに騎乗し、連覇の期待に応えられず2着。それだけでなく、スタート直後の斜行によって過怠金5万円を科されるオマケつき。1週前はオークスでコナコーストに騎乗し大敗。ともにデビュー以来吉田隼人騎手、鮫島克駿騎手が騎乗してきた馬だけに、ファンの心証も悪かったのかもしれない。
もちろん何でもかんでも上位騎手に乗り替わればいいとは思わないが、一方で、何でもかんでも同じ騎手が乗り続ければいいとも思えない。とりわけソダシの場合は近走結果が出ていなかったことは事実だし、何よりデビュー以来同じ騎手が乗り続けることはメリットもある一方、パターンが決まってしまうデメリットもある。
今、プロ野球の世界では「現役ドラフト」で移籍した選手の活躍が目立っている。本稿で野球の話を長々するのもアレなので詳細は「大竹耕太郎」選手や、「細川成也」選手について興味があれば調べていただきたいが、もともといたチームでは燻っていた、あるいは出番がなかった選手が、異なるチームへ移籍し大活躍する。もちろん馬も人もベースとして能力があってこそではあるが、環境の変化がもたらす恩恵は大きい。
タスティエーラはデビュー戦がムーア騎手。その後福永騎手、そして弥生賞~皐月賞は松山騎手、日本ダービーではレーン騎手が騎乗した。各レースを観ると、それぞれのジョッキーの特徴がよく見える。初戦からビッシリ気合を入れるムーア騎手、教育を重視する福永騎手、正攻法の松山騎手、そしてムーア騎手に近いが、やや柔らかさもあるレーン騎手。走るのは馬、されど走らせるのは人。人によって引き出す馬の長所もそれぞれだ。
テン乗りでの日本ダービー制覇はなんと69年ぶりらしい。もっとも、2年前にはシャフリヤールが乗り替わりとして36年ぶりの日本ダービー制覇を果たしている。時代は変化していることを感じさせる日本ダービーだった。今後も既存のコンビにこだわらず、乗り替わりによって引き出される新たな可能性を楽しみに競馬を観て行きたい。
~今週末の注目馬~
というわけで今週も、最後は安田記念の注目馬で締めたい。
・ソダシ(川田将雅騎手)
注目はソダシ&川田将雅騎手。
デビュー以来コンビを組んできた吉田隼人騎手からレーン騎手に乗り替わった前走は、道中2番手から抜け出す形。近走はやや位置取りが下がることも多かった本馬にとって、乗り替わりによって再び位置を取る競馬をできたことは大きな収穫だった。今回は川田騎手。川田騎手はダノンスマッシュやラヴズオンリーユー、ウシュバテソーロなど、完成期を迎えた古馬への乗り替わりに強いジョッキー。キレるというよりはバテないしぶとさを武器とするソダシとも手が合うはずで、人気でも有力だろう。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【ドバイワールドカップデー2023】レース展望④ドバイシーマクラシック・ドバイワールドカップ
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ドバイワールドカップデー展望第3回を公開した直後、ドバイターフの大本命に推したドウデュースが突如出走を取り消しました。その速報が伝えられたドバイのプレスルームは騒然。それもそうです。友道調教師とは夜明け前にメイダン競馬場で会ってドウデュースに自信満々のコメントを聞いていたのですから。取消発表の後、友道調教師とは会っていませんが、JRAの発表によれば左肢に跛行が原因。大本命に推していただけに残念でなりませんが、前途ある馬だけに出走取消を決めた友道調教師の決断を支持せざるを得ません。
気を取り直して残る2レースを展望します。最後の1回に2レース、字数も限られているため急ぎ足になってしまうことをお許し下さい。
ドバイシーマクラシック(芝2410m)
僅か10頭立てと寂しい顔ぶれとなってしまいましたが、これは昨年の年度代表馬イクイノックス(牡4・木村哲也)と昨年の覇者シャフリヤール(牡4・藤原英明)2頭が名乗りを上げたためではないでしょうか。当地21日、イクイノックスとドバイワールドカップ出走の厩友ジオグリフの最終追い切りを終えた木村調教師は自信満々に語りました。
「イクイノックスはいい動き、追い切りは上手く行った。美浦にいる時と同じくいい状態で、厩舎の仕上げは計画通りに出来た。ドバイの芝への適性は未知数だが、昨日午後雨が降って、その後も相当散水している。馬場も押し固めているようだ。気候、環境ともドバイは日本よりも良好。馬場の心配はしていない」
単勝2倍を確実に切る人気を背負うことになるでしょうが、この馬を抜きにこのレースを考えることはできません。
相手一番手も昨年の覇者シャフリヤールをおいてありません。追い切りに騎乗したかつての主戦、合格したばかりの福永祐一調教師に今朝(24日)シャフリヤールの状態を確認したところ、連覇に自信満々との由。イクイノックス、シャフリヤール2頭を軸に考えれば、勝負馬券は3連単以外にありません。
もう一席も日本勢を中心にせざるを得ません。昨年12月香港ヴァーズを勝ってG1女王となったウインマリリン(牝6・手塚貴久)は世界一高速馬場の日本では時計半分足りないものの、日本よりも時計半分から一つ重い香港シャティンの芝で本懐を遂げたように、シャティン芝に極めて近いメイダンへの適性はイクイノックス、シャフリヤールよりも上。逆転の可能性を否定することはできません。
ドバイの経済低迷から不振をかこつゴドルフィンですが、この舞台に取って置きの切り札を送り込んできました。レベルスロマンス(英・セ5・C.アップルビー)です。一昨年のUAEダービー勝ち馬が昨年6月から芝、それも2400mの選手権距離を使い始めるとリステッドレースからブリーダーズカップターフまで破竹の5連勝で芝ダート兼用のG1ホースに上り詰めました。芝も重い欧州、軽い北米と兼用、メイダンの芝に一転の心配もありません。純正のゴドルフィン生産馬とし上記日本馬を一気に交わす爆発力があることに留意しなければなりません。日本勢が人気を集める日本で人気薄になるようであれば、単勝の妙味に千両以上の魅力を感じています。
上記4頭に迫る可能性を唯一持つのは昨年のアイルランドダービー馬ウエストオーバー(愛・牡4・R.ベケット)までと見ています。この5頭をどう3連単に組み立てるか、このレースの焦点はこの一点に絞られます。
ドバイワールドカップ(ダート2000m)
日本勢が出走15頭の過半数となる8頭を占めました。ダート馬天国の北米勢に圧倒されてきたドバイワールドカップの歴史を振り返ると正に隔世の感があります、日本馬でここで凱歌を上げられたのは、ヴィクトワールピサ。2011年東日本大震災のあの年まで遡らなくてはなりません。
さて字数も尽きつつあるので、まずは私の本命から手短に書かせて下さい。サウジカップからここの連覇を狙うパンサラッサ(牡6・矢作芳人)です。当地22日夜、枠順抽選会からホテルへの帰途、担当の池田厩務員と同じバス、それも隣席に乗り合わせました。昨年ドバイターフで長い写真判定をパドックの中で待ち、同着となって共に歓喜の涙を流して以来、一年ぶりに言葉を交わしました。サウジからの転戦で疲労が心配ではないか、と訊ねました。
「ドバイは厩舎の周りが静か。日本では車の僅かなエンジン音、鳥の声にも敏感で煩くなるパンサラッサがドバイでは落ち着きはらって状態は更によくなっているよ。何なら明日(23日)朝、パンサラッサを触らせてあげようか?」
余裕綽々の笑顔でした。しかし、枠順は逃げ馬には致命的な大外枠。これを今朝(24日)、朝食で一緒になった矢作調教師にぶつけました。
「中途半端な競馬はしない。何が何でもハナに立たせる。それでも保つのがパンサラッサですから」
ときっぱり。パンサラッサはハナ切れなければ後はどこにもいないという一介の逃げ馬ではありません。この馬を抜きに馬券を組み立てることはできない、と2人の談話から結論を得ました。
さて、パンサラッサを脅かす一番手はサウジカップ直線で日本勢上位独占の夢を打ち砕いたカントリーグラマー(米・牡6・B.バファート)。今回パンサが大外を引いてしまった分は前回の着差を詰めてくることでしょう。この2頭のほかにはカフェファラオ(牡6・堀宣行)、ジオグリフ(牡4・木村哲也)、クラウンプライド(牡4・新谷功一)のサウジカップ上位馬にダートでは底を見せていないウシュバテソーロ(牡6・高木登)、昨年のサウジカップ覇者エンブレムロード(サウジ・牡5・M.アルムロワ)までを相手に馬券を組み立てたいと考えています。明日25日(土)の予想公開をお楽しみに!
★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースのドバイWCデー4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。
甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベットの香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。 |
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