伊吹雅也のPOG分析室 (2023) ~第7回 ワールド上位者考察~
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およそ3か月に渡る夏季競馬シーズンが先週末をもって終了。今週末からは4回中山と4回阪神が開幕し、秋季競馬シーズンに突入します。
7月15日の函館2歳ステークス(2歳G3・函館芝1200m)ではゼルトザーム(ロザリウムの2021)が、8月27日の新潟2歳ステークス(2歳G3・新潟芝1600m外)ではアスコリピチェーノ(アスコルティの2021)が、9月2日の札幌2歳ステークス(2歳G3・札幌芝1800m)ではセットアップ(スリーアローの2021)が、9月3日の小倉2歳ステークス(2歳G3・小倉芝1200m)ではアスクワンタイム(ディープインアスクの2021)が、それぞれ優勝を果たしました。この重賞4鞍を含む計179レースが施行されたことにより、各ワールドのランキングにも動きが出てきたところです。
今回は、9月3日終了時点における各ワールドの上位プレイヤーと、その指名馬をひと通りチェックしてみたいと思います。まだスペシャル以外の各ワールドでは仮想オーナー募集枠が順次解放されていますし、最終的な順位を左右するようなビッグレースが施行されるのはかなり先。目標とするべきプレイヤーの指名戦略を参考に、今後へ向けた対策をイメージしてみてください。
なお、2023年、かつJRA、かつ2歳のレースにおける競走馬ごとの本賞金額(9月3日終了時点)トップ20は下記の通りでした。
【1位】アスクワンタイム(ディープインアスクの2020) 3940万円
【1位】セットアップ(スリーアローの2020) 3940万円
【3位】アスコリピチェーノ(アスコルティの2020) 3820万円
【3位】ゼルトザーム(ロザリウムの2020) 3820万円
【5位】コスモディナー(コスモミールの2020) 2960万円
【6位】ドナベティ(ドナルチアの2020) 2480万円
【7位】コラソンビート(ルシェルドールの2020) 2330万円
【7位】シカゴスティング(マルチスクリーンの2020) 2330万円
【9位】エコロヴァルツ(プティプランセスの2020) 2320万円
【10位】テイエムチュララン(テイエムチュラサンの2020) 2120万円
【11位】ナナオ(バイザディンプルの2020) 2040万円
【12位】ショウナンマヌエラ(ダイアゴナルクロスの2020) 1920万円
【12位】パワーホール(ストロベリーズの2020) 1920万円
【12位】ミルテンベルク(ペルレンケッテの2020) 1920万円
【15位】スカイキャンバス(アポロフィオリーナの2020) 1900万円
【16位】レガテアドール(レグルドールの2020) 1660万円
【17位】キャンシーエンゼル(ヴォルドニュイの2020) 1500万円
【17位】ギャンブルルーム(シャンデリアハウスの2020) 1500万円
【17位】クリーンエア(シルヴァンソングの2020) 1500万円
【20位】アトロルーベンス(キングスローズの2020) 1360万円
上位10頭はすべて異なる種牡馬の産駒。キングカメハメハやディープインパクトの直仔が完全にいなくなったこともあり、混戦模様に拍車がかかった印象です。
ちなみに、2023年、かつJRA、かつ2歳のレースにおける種牡馬別成績を見ると、1着数、2着以内数、3着以内数ともにスワーヴリチャードが単独トップ。前出のランキングにもコラソンビートとパワーホールの2頭を送り込んでいます。新種牡馬であり、初年度産駒の数もそれほど多くないことを考えれば、現在の健闘ぶりは驚異的。この勢いがどこまで続くかも、注目しておくべきポイントのひとつと言えるでしょう。
1頭1オーナー制のスペシャルワールドでトップに立っているのは、1億2640万円を獲得したウーピンさん。現在のところ指名馬の中に2勝以上馬はおらず、8月26日のひまわり賞(2歳オープン・小倉芝1200m)で2着となったアイタカ(ドリームアドリームの2021)が稼ぎ頭だったものの、トータルの獲得賞金はアスコリピチェーノらを指名しているぐれいどていおーさん、セットアップらを指名している競馬の天才!編集部さんより上でした。
勝因は既走馬率や勝ち馬率の高さ。指名馬19頭のうち14頭が既にデビューしており、うち8頭が勝ち上がりを果たしているのです。未勝利馬6頭のうち2頭は新馬で小差の2着に健闘していましたから、勝ち馬の頭数は間もなく二桁に乗るでしょう。今後は勝ち上がった馬たちがオープンクラスのレースで賞金を稼いでくれるはず。後続との差はさらに大きく開くかもしれませんね。
G1ワールドは1億4173万円を獲得しているsabo34さんがトップ。総合ランキングでも首位に君臨しています。ちなみに、sabo34さんは前シーズン「ウマニティPOG 2022」でもシーズンAの賞金王に輝いていました。
今夏は既にエコロヴァルツ・コスモディナー・コラソンビート・セットアップと、4頭の指名馬がオープンクラスのレースで勝利。パワーホールとミルテンベルクも重賞で連対を果たしていますし、さすがというほかありません。なお、この6頭はいずれも初勝利を収めた後の入札で追加指名に成功した馬。既走馬の素質を的確に見抜いていらっしゃるのがお見事です。
G2ワールドは1億3839万円を獲得しているHALLさんがトップ。デビュー前に落札した7頭が既に勝ち上がりを果たしており、そのうちコラソンビートが8月6日のダリア賞(2歳オープン・新潟芝1400m内)を制しています。9月3日のすずらん賞(2歳オープン・札幌芝1200m)でもレガテアドールが2着に食い込んでいましたから、当面の間は首位争いを牽引することになるのではないでしょうか。
G3ワールドは1億1111万円を獲得しているナオキ702さんがトップ。2位のep2017さんもアスコリピチェーノを指名しているのですが、ナオキ702さんは獲得賞金が1.5倍となるアスコリピチェーノの筆頭仮想オーナーで、この差が活きた格好です。まだ所属ワールドで一度も落札されていない馬は、今後の入札でも筆頭仮想オーナーになれる可能性がありますので、チャンスがあったらぜひ狙ってみてください。
オープンワールドは8955万円を獲得しているworldmasatoさんがトップ。指名馬9頭のうち5頭が勝ち上がりを果たしていて、その中にアスコリピチェーノがいました。混戦模様なので何とも言えませんが、これだけ層の厚いラインナップなら、2番手以下のプレイヤーもそう簡単には逆転できないでしょう。しばらくはこのworldmasatoさんを軸に首位争いが繰り広げられそうです。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』において「データ分析」のコーナーを担当しているほか、JRAのレーシングプログラム、TCKホームページ、グリーンチャンネル、ニコニコチャンネルなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『ウルトラ回収率 2023-2024』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)など。2023年03月28日には最新刊『血統&ジョッキー偏差値2023-2024 ~儲かる種牡馬・騎手ランキング~』(ガイドワークス)をリリース。 |
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【TAROの競馬研究室】馬場傾向が反映されやすい1200m戦/中京記念展望
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先週こちらで取り上げた函館2歳ステークスは、逃げて1戦1勝の馬は危険…としたが、該当したバスターコールは2番人気6着、ロータスワンドは3番人気15着と惨敗だった。もっとも、まさかベルパッションが1番人気になるとは思わなかったが…。
最終的に本命にした◎ナナオは2着。ココまでは良かったのだが、肝心な相手が抜け。勝ったゼルトザームはダート1000mを勝ち上がった馬で、3着スカイキャンバスは芝1000mの勝ち上がり。ダート1000m勝ち上がり組は昨年のオマツリオトコも好走しており、函館2歳Sではたびたび見られる穴パターンだった。1200m以上の新馬で緩い流れしか経験していない逃げ馬よりも、1000mのタフな流れの経験が生きるのだろう。来年に向けて覚えておきたい。2歳重賞の大まかな構造は変わらないので、今年の夏の残された他の2歳重賞(札幌、新潟、小倉)に向けても忘れないでおきたい。基本的にどのレースでも、1戦1勝、かつ逃げ切って勝ち上がって来た組が危険なのは変わらない。
~福島芝は雨の影響で面白い馬場に~
先週は各地で雨の影響を受けた開催でもあった。特に福島芝は土曜日に馬場が悪化、その影響が日曜にも残り外枠勢の活躍が目立った。今週はBコース2週目、最終週。これまでの推移から推察するに外が優勢になる可能性が高い。
特に外が有利になりやすいのは芝1200mだろう。先週は同コースの8枠馬は(2-2-1-7)。単複回収率は余裕でプラス収支。施行された6レースうち5レースを5~8枠の馬が制した。函館2歳ステークスもそうだが、芝1200mは特にわかりやすい傾向がでやすい。今週は福島芝1200mを中心に外枠を狙ってみるつもり。
今週末の福島芝1200mは以下の通り。
土曜1レース 2歳未勝利
土曜3レース 3歳未勝利
土曜6レース 2歳新馬
土曜10レース 郡山特別
日曜6レース 2歳新馬
日曜12レース 3歳上1勝クラス
以上6レース。どこかで傾向を利用して仕留めたい。
それでは最後に先週からの狙い馬と、今週末の注目馬を。
【次走狙い馬】 7/16(日)福島6R スピリットガイド 1番人気4着
今回は最内枠がすべて。道中から外に持ち出して盛り返したが馬自身もインで嫌気が差した感じで直線も伸び切れなかった。スピードタイプなのでタフな馬場よりも立ち回り戦でこそ。順当なら次走は巻き返す。
~今週末の注目馬~
今週は中京記念から。
・サブライムアンセム(三浦皇成騎手)
注目はサブライムアンセム&三浦皇成騎手。
2走前の阪神牝馬Sではインで脚を溜める得意の形で直線伸びて2着。久々にこの馬らしい末脚を見せた。馬群で溜めるのが好走パターンなので、上手く脚を溜めて運べるかどうかがカギになりそう。三浦騎手は前走で末脚は確認できたと思うので、あとは道中上手く馬群で運べるかどうか。荒れ馬場も得意で中京実績もあるので、末脚がハマる展開になれば出番がある。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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伊吹雅也のPOG分析室 (2023) ~第4回 新馬勝ち馬レビュー~
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今回と次回の「POG分析室」は、2023年夏季競馬の1~3週目にJRAの新馬で優勝を果たした馬のプロフィールをご紹介します。まずは6月3日(土)、6月4日(日)、6月10日(土)の勝ち馬からご覧いただきましょう。
■2023年06月03日 阪神05R 芝1600m
【優勝馬】テラメリタ(U指数75.9)
牝 父ブリックスアンドモルタル/母テラノヴァ 須貝尚介厩舎
→社台レースホースの所属馬で、募集価格は4000万円。母のテラノヴァは現役時代にJRAで4勝をマークしました。父のブリックスアンドモルタルは現2歳世代が初年度産駒。5歳時にG1を5勝してエクリプス賞年度代表馬に選出された馬ですが、3歳時にもデビュー戦から4連勝を果たしていましたし、産駒は早い時期にも問題なく対応できそうです。
■2023年06月03日 東京05R 芝1600m
【優勝馬】シュトラウス(U指数83.8)
牡 父モーリス/母ブルーメンブラット 武井亮厩舎
→キャロットファームの所属馬で、募集価格は5000万円。ご存じの通り、母のブルーメンブラットは現役時代にマイルチャンピオンシップを制しています。JRAで出走経験のある兄姉9頭中8頭が勝ち上がりを果たしているように、繁殖牝馬としても非常に堅実。今後も目が離せません。
■2023年06月04日 阪神05R 芝1400m
【優勝馬】アトロルーベンス(U指数71.4)
牝 父リアルスティール/母キングスローズ 高野友和厩舎
→社台グループオーナーズの所属馬で、募集価格は4000万円。半兄に関屋記念などを勝っているサトノアーサーがいます。また、母のキングスローズも現役時代にニュージーランド1000ギニーなどを制した実績馬。ポテンシャルの高い血統ですから、引き続きマークしておきましょう。
■2023年06月04日 東京05R 芝1600m
【優勝馬】ボンドガール(U指数79.6)
牝 父ダイワメジャー/母コーステッド 手塚貴久厩舎
→2022年のセレクトセールで購買されており、価格は23100万円。半兄のダノンベルーガは昨年の天皇賞(秋)で3着に、今年のドバイターフで2着に健闘しました。ちなみに、母のコーステッドも現役時代にブリーダーズカップジュヴェナイルフィリーズターフで2着に食い込んだ馬。大舞台でも活躍を期待できそうです。
■2023年06月04日 東京06R 芝1400m
【優勝馬】バスターコール(U指数73.7)
牡 父ルーラーシップ/母デグラーティア 田村康仁厩舎
→サンデーレーシングの所属馬で、募集価格は3000万円。母のデグラーティアはデビュー戦から3連勝で小倉2歳ステークスを勝っています。オープン入りを果たした全兄ドミナートゥスは2000m前後のレースを主戦場としていましたし、もう少し長めの距離も問題なくこなせるタイプかもしれません。
■2023年06月10日 函館05R 芝1000m
【優勝馬】スカイキャンバス(U指数82.2)
牝 父ファインニードル/母アポロフィオリーナ 武井亮厩舎
→2022年の北海道サマーセールで購買されており、価格は1045万円。JRAでデビューした半姉のアポロヴィクトリア、地方でデビューした半姉のアークフィオリーナは、それぞれ初陣こそ3歳春までずれ込んだものの、早々に勝ち上がりを果たしました。本質的には仕上がりの早い血統と見て良いのではないでしょうか。
■2023年06月10日 阪神05R 芝1600m
【優勝馬】ヒヒーン(U指数77.3)
牝 父ジャスタウェイ/母イイナヅケ 須貝尚介厩舎
→本馬と同じく須貝尚介厩舎からデビューした全兄エルデストサンは、2歳のうちに初勝利をマークしています。単勝オッズ24.1倍(5番人気)どまりだったとはいえ、勝ちっぷりは堂々たるもの。人気を集めにくいタイプだと思いますので、過小評価されている場面を見逃さないよう心掛けたいところです。
■2023年06月10日 東京05R 芝1600m
【優勝馬】ゴンバデカーブース(U指数79.0)
牡 父ブリックスアンドモルタル/母アッフィラート 堀宣行厩舎
→G1レーシングの所属馬で、募集価格は5000万円。母のアッフィラートはラストラン&重賞初挑戦だった6歳時の中山牝馬ステークスで3着に健闘しました。ブリックスアンドモルタルは先週と2週前の新馬に出走した初年度産駒3頭のうち2頭が勝利。今後の入札ではさらに注目度が高まるかもしれませんね。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』において「データ分析」のコーナーを担当しているほか、JRAのレーシングプログラム、TCKホームページ、グリーンチャンネル、ニコニコチャンネルなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『ウルトラ回収率 2023-2024』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)など。2023年03月28日には最新刊『血統&ジョッキー偏差値2023-2024 ~儲かる種牡馬・騎手ランキング~』(ガイドワークス)をリリース。 |
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