今後の活躍が期待される若手騎手にスポットライトを当てる「夏に飛び出せ! 若手ジョッキー」の6回目は、永野猛蔵騎手(20)=美・伊藤圭=を直撃。デビュー3年目の今年は、GⅠ初騎乗を達成するなど活躍中。約1年ぶりの参戦となる、地元新潟開催に懸ける思いに迫った。
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剣豪・宮本武蔵の幼少期の通称といわれる「たけぞう」にちなんで名付けられた永野猛蔵騎手。着実に成長を続ける3年目の若武者が、約1年ぶりに故郷・新潟に帰ってきた。
「勝てるだけ勝ちたいですね。いいところを見せたいです。ただ、その時の運もありますし、一生懸命がんばっていければ」
地元開催への意気込みを語る永野騎手。2021年のデビュー1年目から29勝を挙げ、翌年も30の勝ち星を積み上げた。一見、順風満帆な騎手人生だが、昨年は2度の骨折を経験し、レースに騎乗できない苦難の日々を味わった。
それだけに並々ならぬ思いで挑む3年目。4月には未勝利戦からコンビを組むエンドロールで天皇賞・春に出走(7着)し、初めてGⅠの大舞台に立った。格式ある一戦の雰囲気に心を震わす一方で、「GⅠに毎回乗れるジョッキーになりたい」と新たな決意が芽生えた瞬間にもなった。
ひと回り大きくなって帰ってきた越後路。永野騎手にとって、騎手人生の原点といえる思い出の場所だ。小学5年生の時に新潟競馬場の乗馬クラブに加入。15年にはジョッキーベイビーズの東北地区代表として出場するまでに腕を上げていくと、次第に騎手への漠然とした憧れは、現実味を帯びた目標へと変わっていった。
今年は同じ新潟市出身の小林美駒騎手がデビュー。先輩として、手本となるような騎手を目指す。「勝たないと評価されない世界。勝つことが目標です」と言葉に力を込める猛蔵。「僕に夢を与えてくれた場所」と話す新潟競馬場の暑い夏の戦いに勝つため、日々その刀を研ぎすましている。(山口遥暉)
◆永野 猛蔵(ながの・たけぞう) 2002(平成14)年9月8日生まれ、20歳。新潟県出身。JRA競馬学校37期生で、同期には古川奈穂、永島まなみ、角田大和らがいる。21年に騎手免許を取得し、3月6日の中山3Rタマモヒップホップで初騎乗初勝利を挙げる。3日現在、JRA通算1729戦72勝。美浦・伊藤圭三厩舎所属。161・5センチ。45・5キロ。