今後の活躍が期待される若手騎手にスポットライトを当てる「夏に飛び出せ! 若手ジョッキー」の7回目は、ルーキーの河原田菜々騎手(18)=栗・渡辺=を取り上げる。師匠からの金言を胸に、「新人賞」という大きな夢を追う期待の女性騎手が、デビューして以来の5カ月間を振り返った。
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今年、デビューした新人6騎手の中で3位の6勝を挙げる河原田騎手。ここまでの5カ月を、真剣な表情で振り返った。
「チャンスがある馬に乗せていただいているのに、落としたレースも多いです。全体的にまだまだ勉強しないといけないですね」
3月4日に阪神でデビューし、同19日に中京で初勝利。5月にはスマートフォンの不適切使用で騎乗停止の制裁を受けたが、復帰後もコンスタントに勝ち鞍を増やしている。「関係者の方々やファンの皆さまにご迷惑をかけてしまった中でも、勝つチャンスのある馬の依頼をいただけていることに感謝したいです」と話す。
まだ5カ月とはいえ、経験を積む中で自分の長所も見えてきた。「もちろんまだまだ未熟です」と前置きしたうえで「ゲートを出すのは、そんなに苦手ではないと思います。馬の追い方もストロングポイントです」。会心の騎乗と語るのは、ビナカントーに騎乗して勝利に導いた7月22日中京の未勝利戦だ。「道中のポジション取りもうまくいって、追い出しのタイミングもぴったり。馬も頑張ってくれて、差し切れました」と回顧する。
キーワードは、取材中にも口にした「謙虚」だ。「渡辺先生からデビュー前にも言われて印象に残ったのは『謙虚に行動しなさい』ということ。メディアの方にも、厩舎関係者の方にも、感謝を持って生活しています。この言葉は、これからも常に頭に置いて騎手生活を送ります」。師匠から授かった金言を常に頭に置いて、プロとしての日々を送っている。
当面の目標は、デビュー前に掲げた新人賞だ。「(田口)貫太(騎手)が抜けている(10日現在で12勝)ので簡単ではないでしょうが、目標は高く持っていたい。できることをひとつひとつ積み重ねて、しっかりと取り組んでいきたいです」。謙虚さと感謝を忘れず、一歩一歩進んでいく。(丸橋正宣)
■河原田騎手・騎乗予定
<土曜・小倉>
3RラミュロスC
5RアイタカB
6RミライハーモニーC
8RビナカントーB
12RオーサムサンライズC
<日曜・小倉>
1RストロベリーナイトC
2RメイショウタイジュB
3RファイブレイナB
4RフリップアコインC
5RカシノブロッサムC
7RシュナップスA
12RピンクムーンB
(A=単争い、B=連候補、C=微妙。評価は取材記者)
■河原田 菜々(かわはらだ・なな) 2004(平成16)年11月13日生まれ、18歳。大阪府出身。小学生のときに祖父が競馬中継を見ていたのをきっかけに、ジョッキーを目指す。20年に騎手課程39期生としてJRA競馬学校入学。23年に騎手免許取得。同年3月4日阪神1Rで初騎乗(サイモンブーケ10着)、同19日中京8Rで初勝利(テーオーソラネル)。10日現在、JRA通算141戦6勝。身長158・1センチ。栗東・渡辺厩舎所属。