【TAROの競馬研究室】少頭数のスローは経験値になりにくい?/共同通信杯展望
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東京新聞杯は内枠からスンナリ先手を取ったウインカーネリアンがそのまま押し切り勝ち。関屋記念以来の重賞2勝目を飾った。ウインカーネリアンは三浦騎手とのコンビで8勝目。好位から抜け出す正攻法スタイルが三浦騎手とは非常に合っているようだ。もっとも正攻法過ぎるがゆえに、大一番になるともうワンパンチ足りない印象もある。そこをどう補うのか…というのが人馬ともに課題になりそうだ。鞍上の三浦騎手は悲願のJRA・G1制覇を期して臨む予定だったフェブラリーSのお手馬ギルデッドミラーが残念ながら故障で回避→引退。この春はウインカーネリアンとのコンビで改めてG1初制覇に挑むことになるかもしれない。
ちなみに当コラムで期待したピンハイはいい位置を取ったが伸び切れず。久々のマイルの流れに戸惑ったのかもしれない。また最終的に本命にしたサクラトゥジュールは脚を使えず大敗。ピントハズレな予想になってしまった。
一方中京で行われたきさらぎ賞は今年も少頭数のスローとなり、直線は人気2頭の叩き合い。最後はフリームファクシが追いすがるオープンファイアを退けた。ただ、このレースが今後に繋がるかどうかはかなり微妙かもしれない。
かつてはスペシャルウィークやナリタトップロード、ネオユニヴァースがこのレースをキッカケにダービーを制するなど出世レースとして知られたきさらぎ賞だが、近年は2016年のサトノダイヤモンド以降、下記の通り目立った活躍馬が出ていない。
【近年のきさらぎ賞勝ち馬】
2017年 アメリカズカップ
2018年 サトノフェイバー
2019年 ダノンチェイサー
2020年 コルテジア
2021年 ラーゴム
2022年 マテンロウレオ
その要因のひとつは、少頭数のスローになりやすいことだろう。上記の6年+今年のきさらぎ賞を含めた過去7年はいずれも少頭数で、最大でも2021年の11頭立て。スローが多いのも必然で、経験値として蓄積されにくい面がある。いわずもがなクラシックは基本的にフルゲートになる。少頭数のスローの経験しかない馬が、いきなり18頭立ての厳しい流れに放り込まれては、対応しきれないのも無理はない。
サトノダイヤモンドが勝った年も9頭立てじゃないかといわれるかもしれないが、だからこそ同馬くらいの圧倒的なパフォーマンス(楽々と3馬身半突き抜け無敗で制覇)を見せないとクラシックでは厳しいのだろう。もっとも、サトノダイヤモンドも2戦目で15頭立ての経験があった。
ちなみにスペシャルウィークが勝った1998年は16頭立て、ナリタトップロードが勝った1999年は15頭立て、ネオユニヴァースが勝った2003年は14頭立てだった。有力馬ほど直行ローテを選ぶケースが増え、総じて前哨戦の頭数が減る傾向にあり、その中で凋落著しいのがきさらぎ賞でもある。川田騎手騎乗でノーザンファーム生産、金子真人オーナーの重賞勝ち馬としてクラシックに出走してくれば当然注目を集めそうだが、相手関係や内容からはそれほど強調できるものではなかったことを覚えておきたい。
~今週末の注目馬~
というわけで、最後は週末の注目馬で締めたい。今回は共同通信杯を取り上げる。現時点での狙いはコチラ。
・シュタールヴィント(戸崎圭太騎手)
素質馬が揃い相手関係は楽ではないが、穴で面白そうなのはシュタールヴィント。前走は勝ちに行ったことと急坂二千が少し長かったことでラスト失速。2戦目の勝ちっぷりは上々で、その時の舞台が今回と同じ東京芝1800m。好位から立ち回れるので、前々で勝負できれば今回の相手でも好勝負になって良い。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【TAROの競馬研究室】単複配当逆転現象が起こった背景とは?/根岸S展望
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AJCCは岩田康誠騎手騎乗のノースブリッジが勝利。道中は内でじっくりと脚を溜めて抜け出す、ジョッキーの得意パターンだった。
岩田康誠騎手は、継続騎乗で手の内に入れていくのが最近の勝負パターン。ノースブリッジには2歳時から騎乗しており、今回も2週連続で調教にまたがっていた。まさに「満を持して」の一戦だった。ノースブリッジ自身も最近にしては珍しく2年以上放牧に出さず在厩調整を続けている。これで重賞2勝目、成長力のあるモーリス産駒だけに、今年はG1戦線でも期待できそうだ。
敗れた中ではユーバーレーベンが久々に好走。東京でG1を制したことで東京を使われる機会が多かったが、本来は上りが掛かる中山の方が合うタイプ。これをキッカケに再浮上できれば面白い。
期待した◎ラーゴムは、4コーナーで外から上がって来た際にはやったかと思ったが、あとひと伸びを欠いてしまった。昨年ほど外が伸びる馬場にはならなかった点も痛かった。
また、1倍台の支持を集めたガイアフォースは5着どまり。すっかり白くなった馬体の美しさに画面越しとはいえ目を奪われたが、同コースで行われたセントライト記念の時のような伸びが見られなかった。そんなガイアフォースに絡めて、今回は配当の話を少ししてみたい。
今回1倍台のガイアフォースが飛んだことにより、上位3頭の複勝配当は、
ノースブリッジ 300円
エヒト 380円
ユーバーレーベン 270円
ご覧の通り、人気を考えればなかなかの高配当だった。複勝オッズは1倍台の馬が4着以下に敗れると期待値以上に跳ねる傾向にあり、今回もまさにその傾向通り。
さらに象徴的だったのは、土曜小倉の3R。このレースでは単勝1.3倍という断然の支持を集めたカンフーダンスが6着に敗れる波乱が起こり、複勝が大波乱。
勝った2番人気のメタマックスは、なんと単勝340円、複勝400円という理論上は考えれない逆転現象が起こった。2着のクリーデンスも、単勝オッズ17.5倍ながら複勝配当は1,160円、3着コスモジョセフも同様に、単勝オッズ22.8倍ながら、複勝配当1,220円。
単勝1倍台の馬が4着以下に敗れると、複勝は期待値以上に跳ねるケースが多い。心情的には逆転を期待できるほかの馬の単勝を買いたくなるが、相手筆頭1番手の単勝は逆に売れ過ぎになることが多い。
様々なファン心理を反映した結果の、単複逆転現象だった。こういう配当をピンポイントで狙うのは現実的ではないかもしれないが、単勝1倍台の馬が飛ぶと、途端に他の馬の複勝は跳ねる、ということくらいはアタマに入れておけば生かせるシーンがあるはずだ。
~今週末の注目馬~
というわけで、最後は根岸Sの注目馬で締めたい。現時点での狙いはコチラ。
・レモンポップ(戸崎圭太騎手)
レモンポップに注目。フェブラリーSに向けて好メンバーが揃ったが、その中でも安定感ならこの馬。戦績通りレースセンスが高く抜群の安定感を誇る馬。正攻法の戸崎騎手とも手が合っており、本番のマイルよりも、前哨戦でこそのタイプだ。この舞台なら武蔵野Sで敗れたギルデッドミラーを逆転することも可能とみる。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【TAROの競馬研究室】ヴェルトライゼンデはぜひ凱旋門賞に!/AJCC展望
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先週のコラムでは「日経新春杯は外枠と差し馬に期待」と書いたが、馬場の見た目は荒れていたものの、スローになり、外を回った差し馬にとっては厳しい競馬になった。
勝ったヴェルトライゼンデは、道中イン→直線外に持ち出す先週の中京芝におけるヴィクトリーロード(前日の愛知杯・アートハウスと同じ)を立ち回り抜け出し。着差は僅かながら完勝だった。これでヴェルトライゼンデは外国人騎手騎乗時(3-1-1-0)と一度も崩れていない。コントレイル世代の遅れて来た大物が、いよいよ本格化してきた。少々気は早いが、個人的にはこの馬にこそ国内の結果に関わらず凱旋門賞に挑んでほしい。“世界旅行者”というその名の通り、欧州のタフな馬場&密集した馬群の適性は間違いなく高いはずだ。
一方、東の京成杯はソールオリエンスがキャリア1戦ながら外から差し切り勝ち。直線入り口ではヨレるシーンを見せるなどまだまだ実が入っていない印象が強いものの、素質の高さを示した一戦だった。中山芝2000mでは年明けに中山金杯が行われたが、当時と比べると開催6日目を迎え、徐々に芝の内側が荒れてきている。最終週となるAJCCの頃には、昨年同様に外が伸びる馬場が出現するかもしれない。
また、中京ダートは金杯当日~3日間開催は差しが届くダートだったが、先週末はそれなりに先行力も生きるダートになっていた。中京ダートは昨年同様に、
・良馬場で乾くと外有利傾向
・雨が降って湿るとフラット~場合によってはイン有利
という感じで良さそうだ。今週末は今のところ雨予報は出ていないので、東海Sは昨年同様に外が伸びるダートになるかもしれない。
~今週末の注目馬~
というわけで、最後はAJCCの注目馬で締めたい。現時点での狙いはコチラ。
・ラーゴム(テオ・バシュロ騎手)
ラーゴムに注目。中山金杯は立ち回り戦になり対応できず。それでもラストは伸びて来ており、9着とはいえ勝ち馬からは0秒3差と大きくは負けていない。大型馬でギアの入りが遅い分、小回りの2000mよりはゆったり走れる2200mの方が合いそうなタイプ。引き続き追えるバシュロ騎手、そして最終週の荒れ馬場もプラスになりそうで、一発に期待したい。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【TAROの競馬研究室】2023年復権に期待している騎手/フェアリーS展望
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新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年暮れのホープフルSは◎トップナイフが2着好走。もっとも、勝利したドゥラエレーデ、3着キングズレインはともに3列目だったため、大的中とはいかず悔しい結果に。それでも横山典騎手らしい変幻自在の騎乗を見ることができた。
年明け最初の重賞中山金杯で期待したのはバシュロ騎手のラーゴム。スタートでやや後手を踏んで流れに乗れずに終わってしまったが、正月開催から同騎手は3勝。早速存在感を見せている。3勝はすべて500キロ超の大型馬で、欧州ジョッキーらしくビッシリ追えるのは強みだ。
勝ったラーグルフはモーリス産駒。クラシックでは通用しなくてもその後成長するのが同産駒の特徴で、ラーグルフも良い成長曲線に乗ってきている。
京都金杯は上手くインで溜めたイルーシヴパンサーが馬群を捌いて抜け出し。岩田望来騎手らしい馬場読み力と思い切りが光った好騎乗だった。期待した◎ピースワンパラディは最後に伸び切れず4着止まり。
というわけで、東西重賞は本命馬が馬券に絡めずのスタート。中山金杯は波乱の想定をしていたので、4番手クリノプレミアムからのタテ目を少しだけ押さえておいたことで、負けは最低限に留めることができた。今年もしぶとく、買い方を工夫して、勝負所の強弱をつけて1年間戦っていきたい。
ジョッキー界も若手騎手が伸びて来ている上に、福永騎手は2月で引退。またコロナ禍前のように短期免許の外国人騎手の来日が増える可能性が高く、同時に斤量規定も変わった。
いろいろと変化のある一年を楽しんでいきたい。個人的には、昨年後半から巻き返し気配がみられる戸崎騎手の復権に大いに期待している。
~今週末の注目馬~
では、いつも通り今回も週末の注目馬で締めたい。今週末はシンザン記念が行われるが、7頭立てと少頭数になったので、3日間開催最終日のフェアリーSを取り上げたい。注目馬はコチラ。
・ヒップホップソウル(松山弘平騎手)
今回の注目はヒップホップソウル。
デビュー戦が今回と同じ中山芝1600mで強い競馬。出遅れたがコーナーワークは自在で、大型馬ながら父キタサンブラック譲りの器用さを見せてくれた。最後は余力十分に抜け出し。初戦の内容ならば重賞でも戦えるはずだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2022年02月06日号】特選重賞データ分析編(292)~2022年京都記念
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次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G2 農林水産省賞典 京都記念 2022年02月13日(日) 阪神芝2200m内
<ピックアップデータ>
【“前年以降、かつJRA、かつG1・G2のレース”において3着以内となった経験の有無別成績(2016年以降)】
○あり [6-6-5-14](3着内率54.8%)
×なし [0-0-1-35](3着内率2.8%)
実績馬が圧倒的に優勢。なお“JRA、かつG1のレース”において3着以内となった経験がない馬も2016年以降[0-0-1-39](3着内率2.5%)と苦戦していました。格の高いレースを主戦場としてこなかった馬は、基本的に過信禁物と見るべきでしょう。
主な「○」該当馬→ユーバーレーベン・レッドジェネシス
主な「×」該当馬→サンレイポケット・マリアエレーナ・ラーゴム・レッドガラン
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「馬齢が5歳以下」の馬は2016年以降[6-4-4-17](3着内率45.2%)
主な該当馬→マリアエレーナ・ユーバーレーベン・ラーゴム・レッドジェネシス
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