川田騎乗で4番人気の
ゲンパチルシファーが、好位追走から早め先頭で押し切って重賞初制覇を飾った。
佐々木晶三調教師(66)=栗東=は節目のJRA重賞通算50勝目だ。2着は14番人気の
ヒストリーメイカー、3着に12番人気の
サクラアリュールが入り、3連単71万9650円の波乱決着となった。
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どんよりとした雲を振り払うような快走だ。
ゲンパチルシファーが力強い末脚で重賞初タイトルをゲット。小倉競馬場が昨年に続く高配当に沸くなか、川田騎手が切り出した。
「今回のメンバーで重賞を取るにふさわしい背中をしていましたし、その通りの走りができたと思います。最後までしっかりと自分の脚は使い切ってくれました」
激しい先行争いを見ながら1コーナー手前でスッとインに入り、中団前めでリズム良く運んだ。「向こう正面で自分で動き出してくれたので、逆らわずに気持ち良く走らせました」。少しペースが落ち着いたところでポジションを押し上げ、勝負どころから徐々に加速。直線半ばで抜け出すと、鞍上の右ムチに呼応してしぶとく脚を伸ばす。外から迫る2着の追い上げを半馬身差で封じた。2020年1月以来のコンビに「馬体がとても成長していました」とたたえた。
笑顔で人馬を出迎えた佐々木調教師は、史上29人目、現役10人目のJRA重賞通算50勝を達成。「記録は気にしたことがない」と淡々と受け止めた。1994年の厩舎開業から29年。馬本位の方針を貫いて、13年の
日本ダービー馬
キズナなどの名馬を育て上げてきた。「勝たせたいからね、何でも。1勝馬であろうが、重賞であろうがね。よく勝ったもんだ。大したもんやと思う」とうなずいた。
川田騎手は「より強いメンバーと走れるような能力をつけていければと思います」と結んだ。
次走は未定も賞金を加算し、
ゲンパチルシファーの選択肢は広がった。6歳で初めての勲章を手にした遅咲きの
トゥザグローリー産駒は、これからも地道に歩みを進めていく。
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ゲンパチルシファー 父
トゥザグローリー、母ラブリイステラ、母の父
クロフネ。鹿毛の牡6歳。栗東・
佐々木晶三厩舎所属。北海道浦河町・カナイシスタッドの生産馬。馬主は平野武志氏。戦績29戦5勝。獲得賞金1億5953万円。重賞は初勝利。
プロキオンSは
佐々木晶三調教師、
川田将雅騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+明けの明星(ラテン語)」。