【TAROの競馬研究室】覚えておけば2度3度おいしいハイレベルレース/小倉記念展望
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先週から夏競馬は後半戦。
夏の新潟名物・直線競馬唯一の重賞アイビスサマーダッシュは1番人気のライオンボスが3連勝での重賞初制覇。田辺騎手が好スタートから外に寄せて行った時点で勝負アリだった。わかっちゃいるけど外枠有利、というのが近年のアイビスサマーダッシュ…というより直線競馬全般の傾向。今年もその通りの決着になった。2着にこそスピードの違いで先行した2枠3番のカッパツハッチが入ったが、3着に突っ込んだ9番人気の伏兵オールポッシブルも8枠16番、やっぱり”直線は外”だ。
一方、札幌の開幕を飾るクイーンSはミッキーチャームが快勝。伏兵を行かせてこの日は4番手外を追走する形だったが、余力十分に直線に入ると難なく抜け出した。クビ差とはいえ安定感抜群の立ち回りで、秋に期待を持たせる内容だった。もっとも、距離が伸びて良いタイプではないだけにエリザベス女王杯となるとやや危うさも感じる。仮に府中牝馬Sあたりを使われて重賞連勝でエリザベス女王杯に臨む場合は、少し嫌ってみても面白いかもしれない。本質的には2000m以下、マイル~1800mくらいが適距離だろう。
~ハイレベルレースを覚えておくだけでも馬券に繋がる
さて、先週は札幌と新潟で前述通り重賞が開催されたが、個人的に日曜のメインで最も面白かったのは小倉の佐世保Sだ。直線ではエイシンデネブが絶望的な位置から極上の切れ味を見せて差し切る派手なパフォーマンスを見せたが、何よりメンバーレベルが高かった。
競馬予想において、着順は数字を見ればすぐにわかるだけにその後の人気に大いに影響を与えるが、一方で盲点になりやすいのがメンバーレベルだ。
簡単にいえば、メンバーレベルが高い一戦での5着と低い一戦での2着であれば、実際は前者の方が価値のあるケースも多いのだが、人気を争う上ではやはり後者の方がより有利になる。
これは下級条件になればなるほどその傾向がある。例えば重賞であればメンバーレベルもある程度は記憶されているが、下級条件にまで及ぶとそもそもレベルなど覚えられていないケースがほとんどだからだ。
わかりやすい実例として、6月の東京開催でワーケアが制した新馬戦が挙げられる。このレースは、とてもレベルが高かったように思う。
以下はワーケアが勝った新馬組のその後の成績である。
1着ワーケア →未出走
2着ウインカーネリアン →次走未勝利勝ち
3着ゴルコンダ →次走未勝利勝ち
4着コロンドール →次走未勝利2着
5着コスモインペリウム →次走未勝利3着→その次走で未勝利勝ち
ご覧の通り、このレースの2~5着馬は全馬がその後馬券に絡んでおり、そのうち3頭は既に勝ち上がっているのだ。
ちなみに6着以下に目を向けると、6~7着はまだ出走せず、8着のマラジェッツは次走で11番人気4着と健闘し、9着ペリトモレノは次走8番人気3着と穴をあけている。
もしワーケアが勝った新馬戦は粒が揃っていてハイレベル、と記憶しておけたら、これまでなにがしかの馬券が取れているはずだ。いかにその把握が重要になるかおわかりいただけるだろう。
さて、そこで本題なのだが、前述した佐世保Sも非常にレベルが高かったように思われる。
勝ったエイシンデネブのド派手な差し切りはもちろん印象的だが、例えば4着に粘ったシャンデリアムーンはこの夏注目の上がり馬で、順調なら先々は重賞戦線に乗ってこられる器だ。
その他の掲示板勢も3勝クラスならいつでも好勝負できる実力があるし、6着以下に目を向けても、例えばタイセイブレーク、スターリーステージあたりはすぐに巻き返しの余地がある。また、さらなる大敗組であるブラッククローバーやショウナンアエラ、メイショウカリンあたりだってキッカケ一つで通用するはずだ。
つまりそれだけ粒揃いだったわけで、
「佐世保S組はレベルが高く、今後要注意」
と覚えておくことだけで、今後何度もおいしい思いをできる可能性があるのだ。見た目の着順だけでなく、メンバーレベルがどうだったのか。当たり前ではあるが、こういった情報をきちんと記憶しておくことで、よりカンタンに穴馬発掘をすることができるはずだ。競馬はやはり、記憶のギャンブルである。
~メールドグラースは重賞3連勝で秋G1戦線の惑星となれるか?
では最後に今週末の話を少し。
新潟では3歳のダート重賞レパードS、小倉では小倉記念が行われる。
その中で最大の注目は小倉記念のメールドグラースだろう。前走の鳴尾記念では楽々と逃げるブラックスピネルを交わして新潟大賞典に続く重賞連覇を飾った。宝塚記念に使われていればそれなりに勝負になったのでは…と思える内容で、秋以降の飛躍を感じさせた。
前走に引き続き今回もG3戦、相手関係を考えても、また秋以降に繋げるためにもココは負けられない戦いとなる。鞍上の川田騎手も脚を余すタイプではないので、ある程度信頼の軸となりそうだ。
むしろ難解なのは相手関係ではないか。ステップレースも多様で、どの馬にもチャンスがありそうな一戦。その中で、外差しレースとなった七夕賞で先行して良く粘ったタニノフランケル、宝塚記念で強敵相手に健闘を見せ復調気配が見られるノーブルマーズあたりは人気もそこそこに落ち着きそうで狙いどころではないか。
※重賞の最終結論は、『TAROの競馬』にて一部無料公開しますので、是非当日のブログをご覧ください。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)。2018年12月14日には最新刊『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)をリリース。 |
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【TAROの競馬研究室】函館で好騎乗連発!注目のルーキー騎手/クイーンS展望
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先週は東西で重賞が2レース。
中京記念は3頭出走した3歳馬のワンツー決着。勝ったグルーヴィットはロードカナロア産駒らしい絶妙な立ち回りで直線抜け出し接戦を制した。まだG1クラスになると足りない気もするが、センスの良さは今後も大きな武器になりそうだ。
一方、人気で敗れたプリモシーンはラストで伸びを欠いたが、人気を背負った分早めに動いた不利もあったように見えた。地力の一端は示した一戦で、文字通り負けて強しということで良さそうだ。当初本命予定だったクリノガウディーは結局3番手にしてしまったが、意外なことに今回が重賞初騎乗だった森裕太朗騎手の冷静な手綱も光った。もともと知名度以上に腕の立つジョッキーだ。
函館2歳Sは、新種牡馬キズナ産駒のビアンフェが最内枠を生かしての逃げ切りで完勝。もっともこちらはやや例年よりも低調なメンバー構成で、馬場や枠順の恩恵を最大限に生かした勝利だった。
キズナ産駒は早くも重賞初制覇となったが、総じて産駒はセンスとスピードがあり、逆に言えば今後の伸びしろが課題になってくる。ディープインパクト→キズナに続く父仔3代ダービー制覇の期待が懸かる種牡馬だが、どちらかといえばマイル以下でスピードを生かすタイプが増えそうだ。初勝利、2勝目までは比較的早くても、クラシックの足音を聞く頃には距離の壁に当たるかもしれない。
~好騎乗連発!注目のルーキーとは?
さて、いよいよ夏競馬も後半戦に入るが、新種牡馬の動向とともに気になるのが、今年デビューした新人ジョッキーたちである。今年は前評判も非常に高かったが、実際に乗れる騎手が多い印象だ。
その筆頭格は、既に20勝を挙げている斎藤新騎手だろう。デビュー週にポンポンと2勝を挙げると、以後も順調に勝ち星を重ね、乗り馬の質も日を追うごとに上がっている。最近は人気馬に乗ることも多く、ルーキー騎手ながら穴で狙うよりも人気で買う機会の方が増えてくるかもしれない。いずれにしても、乗れる新人騎手というのは間違いなさそうだ。
ただ、個人的に気になるルーキー騎手は別にいる。その騎手こそ、函館開催では6勝を挙げる活躍を見せ、目下売り出し中の団野大成騎手だ。
団野騎手の騎乗にはこれまでも何度か唸らされている。初勝利を挙げたタガノジーニアスでは好位の馬群に収まり、直線は外から差し切り勝ち。新人らしからぬ、落ち着いた騎乗だった。函館で穴をあけたファンシャンでは、好スタートから上手く位置を取り直線はインの馬群を捌いて10番人気ながら3着と好走した。
そして先週の競馬では、まず土曜5Rの芝2000m戦でモイに騎乗し最後方から脚を伸ばし6番人気ながら2着と好走、返す刀で土曜6Rの芝1200mでは、ホッコーメヴィウスの末脚を生かし外から差し切った。そして極めつけが日曜8Rの芝1800m。ややズブさのあるレッドサイオンに騎乗すると、道中は馬群でじっくり脚を溜め、4角からスパート。ロスなく最終コーナーを回りつつ加速をつけると、直線では粘るルメール騎乗、単勝1.8倍のフォルコメンを差し切ってみせた。ゴール後には思わずガッツポーズが飛び出すほどで、本人にとっても会心の騎乗だったのではないか。
団野騎手の新人らしからぬところは、差し馬での好走の多さだ。普通、新人騎手や若手騎手といえば減量を生かして主に短距離での逃げ先行に活路を見出す。だが、団野騎手の場合はむしろ脚を溜めて差して来るパターンが多い。その証拠に1200m以下での勝ち鞍が少なく、これまで8勝中僅か1勝のみ。これは他のルーキー騎手と比較しても極端に少ない。
斎藤新騎手→20勝中6勝が1200m以下
岩田望来騎手→11勝中6勝が1200m以下
団野大成騎手→8勝中1勝が1200m以下
以上を見ても明らかだろう。
レースぶりを見ていても脚を溜めるのが上手く、バランスが非常に良いように見える。だから馬の伸びが良く、持っている脚を上手く引き出している印象だ。これから開催は札幌へと移るが、今の調子ならば札幌のダート1700mや芝の1800m・2000m・2600mあたりで狙ってみても面白そうだ。幸い斎藤新騎手や岩田望来騎手ほど人気馬に乗る機会も少ないだけに、馬券的な妙味もありそうだ。何より、団野騎手自身も「中距離が得意」と口にしている。飛躍の夏に期待すると同時に当コラム読者の皆様は、いち早く団野騎手で儲けてほしい。
~クイーンステークスはスタミナよりもスピードが生きるレース
さて、今週の重賞は2つ。アイビスサマーダッシュは例年外枠有利のレースで、今年もまずは枠順が重要になるだろう。当然外枠が売れるのだが、それでもなお外枠が儲かる状況。単純な予想だと言われようと、誰に何を思われようとも遠慮なく外枠を、単純思考で狙う方が正解に近づく。
開幕週の札幌ではクイーンSが行われる。こちらは開幕週ということでスピードが重要になる一戦。マーメイドS他、2000m以上の重賞での実績はあまりアテにならず、むしろ1800mでの先行好走歴、そしてマイル以下での実績に注目したい。
上位人気想定の中では、中距離を2連勝のサトノガーネット、中長距離での実績が目立ち1800mだと後方からの競馬になるウラヌスチャームより、マイル重賞勝ちの実績があるミッキーチャームや、小回りでの対応力が高いフロンテアクイーンの方が良いということになる。その中でも、安定感抜群で馬群も捌けるフロンテアクイーンは今回も有力とみる。前走は外枠で流れに乗れず、得意条件に戻れば堅実に駆けてくれるのではないだろうか?
いずれにしても、今週は3場とも開幕週。じっくり馬場を見てから週末の勝負に臨みたい。
※重賞の最終結論は、ブログ『TAROの競馬』にて一部無料公開しますので、是非当日のブログをご覧ください。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)。2018年12月14日には最新刊『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)をリリース。 |
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