【TAROの競馬研究室】波乱度の重要性を考える 〜勝つ馬がわかるA氏、荒れるレースがわかるB氏の話
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先週の当コラムでは、重賞で12レース連続3連複万馬券が継続中…と書いたが、得てしてそういうことを言い始めると途切れるもので、アイビスサマーダッシュは9番人気のビリーバーが3着に飛び込んだものの、上位2頭が人気で3連複は5,000円ジャスト。久々に堅めの決着になった。
競馬予想というと我々がまず考えるのは、
「どの馬が走るか」「どの馬が強いか」
といったことだと思うが、実はこの”波乱度”を考えることも非常に重要だ。そのレースがどれくらい荒れるのか…がわかると、馬券で勝てる確率は大いに高まる。
〜1倍台で勝つ馬がわかるvs100万馬券の出るレースがわかる
波乱度の重要性について、ここでひとつ問を出したい。あくまでも架空の話だが、競馬予想の達人と呼ばれるA氏とB氏がいるとする。2人は自分の得意分野を以下のように語る。
A氏
「私は単勝1倍台で良いなら確実に勝ち馬を当てることができる」
B氏
「私はどの馬が勝つかはわからないが、3連単100万以上の配当が出るレースなら確実にわかる」
このような2人がいたら、どちらの人物と友達になりたいだろうか?
条件反射としては、A氏かもしれない。例え1倍台であっても確実に勝つ馬がわかるのならば、単勝を買えば確実にお金を増やすことができるからだ。もちろん、それはそれで間違いではない。A氏から勝つ馬を教われば、例え単勝1.5倍であっても100万円賭ければ150万円になる。
(あくまでも仮定の話なので、単勝を100万も買えばオッズが動くとか野暮なことを言うのはやめておこう)
だが、私は迷わずB氏と仲良くなりたい。なぜなら、もしそのレースで3連単100万馬券が出ると確実にわかるのならば、仮に18頭立てで全通りを購入しても、順列(18 P 3=18×17×16=4896)通り、つまり48万9,600円である。仮に配当が期待値として最低のジャスト100万円であっても、
”1,000,000÷489,600=約2.04”
つまり、最低でも期待値は2倍を超えて来る。単勝1倍台の馬を知るよりも明らかに得なのである。仮に勝つ馬が何かわからなくても…だ。つまり、単純に計算をするならば明らかにA氏よりもB氏からの情報の方が有益ということになる。
付記するならば、カッコ書きしたオッズが動くという面についても、よりシェアが大きく(3連単は全券種で最も売れる)、1点当たりの購入金額が小さくて済む3連単の方が、気兼ねなく大金を突っ込める点でも有利だろう。
(これまた余談であるが、100万馬券が出るとわかっているのならば、100万馬券にならない組み合わせを買うのは無駄だという突っ込みを心の中でした方はそれはそれで正しいのだが、あくまでも今回伝えたいのはそういうことではなく、波乱度を知ることの意味と重要性についてなので、ご指摘の正しさを認めつつも趣旨とは異なることを理解していただきたい)
私はよく、万馬券を獲るには万馬券が出るレースを探せ、10万馬券を獲るには10万馬券が出るレースを探せ、100万馬券を獲るには…(以下同)、と申し上げるのだが、それだけ、波乱度を見極めることには意味があるのだ。
競馬は確かに馬の駆けっこではあるが、同時に馬券を買う以上、我々にとってはギャンブルである。ギャンブルとは何か、それはオッズを介した他者との戦いである。以上のようなことを考えると、競馬予想に臨むスタンスも少し変わるのではないか。
なお、私はアイビスサマーダッシュでの最終結論は◎ビリーバーだった。だが、波乱度を読みが甘かったために、ほとんど儲けることができなかったのだ。荒れるかどうかを考えることは、どの馬が走るかを考えることと同じくらい重要なのである。とりわけ、私のような穴党にとっては…。
〜クイーンステークスの注目馬
さて、今週末はクイーンステークスが行われる。重賞2連勝中のフェアリーポルカに注目が集まるが、今年も混戦模様で波乱の可能性もありそう。ココでは、波乱の主役になり得る注目馬を2頭挙げておきたい。
カリビアンゴールド
昨年は3着と健闘。折り合いに課題があるがコントラチェックが引っ張りそうな流れは合いそう。洋芝適性も高く、福島牝馬S4着の内容から衰えもない。今年もそこまで人気にならないだろうがチャンスはある。
リープフラウミルヒ
福島牝馬Sでは13番人気2着と健闘。小回り1800mがベストで、札幌1800mでは昨年の藻岩山特別を制している。過去3勝はすべて丹内騎手騎乗時で、手の合う鞍上に戻る今回は狙いどころ。
※重賞の結論は、『TAROの競馬』にて無料公開予定。また、馬券の買い方や券種の選び方なども含めた結論は、競馬ノートにて限定配信の予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。 |
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2020年07月26日号】特選重賞データ分析編(212)~2020年クイーンステークス~
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次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G3 北海道新聞杯 クイーンステークス 2020年08月02日(日) 札幌芝1800m
<ピックアップデータ>
【“JRA、かつG1のレース”において11着以内となった経験の有無別成績(2013年以降)】
○あり [7-6-6-34](3着内率35.8%)
×なし [0-1-1-28](3着内率6.7%)
夏季競馬期間中のG3、しかも牝馬限定ということで、これから大舞台を目指すような新興勢力にも注目が集まりがち。しかし、2013年以降に好走を果たした馬の大半は、既にビッグレースで善戦したことのある馬でした。条件クラスのレース、格が高くないレースを主戦場としてきた馬は強調できません。
主な「○」該当馬→カリビアンゴールド・スカーレットカラー
主な「×」該当馬→サムシングジャスト・タガノアスワド・フェアリーポルカ・リープフラウミルヒ
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「“JRA、かつ1400~1800m、かつオープンクラスのレース”において3着以内となった経験がある」馬は2013年以降[7-7-7-35](3着内率37.5%)
主な該当馬→カリビアンゴールド・スカーレットカラー・フェアリーポルカ・リープフラウミルヒ
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秋華賞・2019
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先々週のスプリンターズSは本命はバッチリでしたが、秋初戦を大幅馬体重増で逃げられずに凡走したモズスーパーフレアは数戦使わないと立ち直らないと踏んで消し、失敗。ただ、人気サイドでの決着だったので切り替えていきます。
日本馬3頭を消しにして(非国民と言われそうですが)、凱旋門賞はしっかり的中できましたし。
秋華賞はここ数年は堅く収まっているのですが、基本的にG1にしては紛れの多いレースだけに馬券的には楽しみ。
内回りだけに差しにくく、内枠先行が恵まれやすいので、馬券的には人気を背負っての差し損ねに期待(笑)
桜花賞馬グランアレグリアもオークス馬ラヴズオンリーユーともに不在で確固たる軸馬不在、という点も妙味期待をそそる一戦です。
それでは恒例の全頭診断へ
1番人気想定 ダノンファンタジー:暮れの阪神JFを勝利した2歳女王で、桜花賞、オークスともに人気ほど走れなかったが、秋の始動戦はやや掛かり気味ながら終いずばっと差し切っての白星発進と、この相手なら人気でも仕方ないか。本質的にはマイル以下が乗りやすそうだが。実力上位は間違いない。ガツンと掛かって終了というのもありえるが。
2番人気想定 クロノジェネシス:オークスは正直長いんじゃないかと思って見ていた(世間一般ではオークス向きと早い時期から言われていましたが)マイラー寄りの走りの馬。ここは人気になるが、小さい馬で成長力に疑問があって、差しにくい舞台設定でのこの脚質で、その上ぶっつけ本番での参戦。消しもありか。
3番人気想定 コントラチェック:デビューから4戦連続1番人気だったように人気先行の良血馬という印象だが、ルメール騎手が結局乗るようで、スイスイ逃げ切るというのもあり得る話ではある。ただ、オークス9着からのぶっつけ本番は決してプラスでないのでは?
4番人気想定 カレンブーケドール:オークスでは12番人気2着と激走したが(ちょっとうまく行き過ぎたか)、秋始動戦の紫苑Sは人気に応えられずの3着。腕のあるジョッキーと言われ続けてきた津村騎手には頑張って欲しいが、関西だと(秋華賞は特に難しい)ちょっと力を出し切れないかも。
5番人気想定 ビーチサンバ:オークスでは距離的なこともあり惨敗したが、ローズSでは2着と巻き返してきた。ただ今回はそれなりに人気になりそうで、妙味は極めて薄い状況に。
6番人気想定 パッシングスルー:新馬勝ちの後はシンザン記念とフローラSで負けたが、夏に1勝クラスを福島で勝って、更に紫苑S(近年、同レースはレベルが上がってきている)も勝ち5戦3勝としての臨戦。ルーラーシップ産駒らしい成長曲線を見せていて、本番でも期待できる。
7番人気想定 エスポワール:5戦3勝のここまでで、3勝目を挙げた7月のシンガポールTC賞(2勝クラス)では古馬・牡馬相手に4馬身差の完勝。その後は、敢えてトライアルを使わなかったようで、調教の動きも絶好。ここにきての成長力を加味すると頂点まであるのでは。オルフェーヴル産駒は打率は低いがホームランもあり、ここも然り。かなり期待大。
8番人気想定 サトノダムゼル:鋭い末脚見せて3戦3勝だがいかにも相手が弱く、さほど妙味は生まれないか。良血馬らしく、まだ成長していくのだろうが、活躍はまだ先とみたい。
9番人気想定 シゲルピンクダイヤ:秋初戦はレース前からイレ込んで、末脚不発。気難しくなってきての距離延長は難しく、また末脚を生かすこのタイプはレース適性が高くない。
10番人気以下想定
シェーングランツ:昨秋は良血らしく、能力だけで未勝利勝ちの後にG3アルテミスSも勝ってしまったが、どんどん馬体重が減ってオークスは惨敗。そこからのぶっつけでの秋初戦では、苦しいだろうし、繁殖で期待の馬。
フェアリーポルカ:紫苑S2着からの参戦。2戦目でヴェロックスの勝った若駒Sを使われ3着(リオンリオンには先着)したように期待されつつ、ようやくルーラーシップ産駒らしく、ゆっくりめの成長が追いついてきた感じか。それなりに期待できる馬ではないだろうか。
ブランノワール:2勝クラスを3馬身差で完勝(しかも2連勝)してきての臨戦で、本格化をうかがわせる内容で、ここもヒモには面白いかもしれない。
レッドアネモス:新馬、500万下(サフラン賞)と連勝した馬だが、成長力がいまひとつなのか、春は白百合Sを勝ったもののラジオNIKKEI賞は13着と惨敗。特に期待できず。
シャドウディーヴァ:前走ローズSはハナに立って下げてその後も失速とさっぱりな内容だったが、オークスで6着したように(春はフラワーC、フローラSと重賞でも上位に来れていた)前走をノーカウントとすれば巻き返しあるかも。
メイショウショウブ:実績もマイルまでで、前走ローズSでも池添騎手が距離が長いとレース後にコメントしており、さらに距離延長となるここは大駆け期待できず。
コパカティ:牝馬限定2勝クラスで、ブランノワールに3馬身以上の完敗を喫しており期待薄。
シングフォーユー:春はスイートピーSでカレンブーケドールの2着がある馬だが、夏にようやく1勝クラスを勝っただけと成長力がいまひとつか。
ローズテソーロ:紫苑Sは10番人気6着どまりだがハーツクライ産駒らしく、ひと夏を越しての成長がみられ、キャリアの浅さから上積みもまだまだありそう。今回も激走があっておかしくない。
トゥーフラッシー:2勝クラスで掲示板に載れるかどうかという状態が続いており、ここでは荷が重い。
<まとめ>
有力:エスポワール、ダノンファンタジー
ヒモに:パッシングスルー、コントラチェック、カレンブーケドール
穴で:フェアリーポルカ、ブランノワール、ローズテソーロ |
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2019年10月06日号】特選重賞データ分析編(171)~2019年秋華賞~
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次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G1 秋華賞 2019年10月13日(日) 京都芝2000m内
<ピックアップデータ>
【“JRA、かつ1800m以上のレース”において“着順が1着、かつ2位入線馬とのタイム差が0.1秒以上”となった経験の有無別成績(2012年以降)】
○あり [7-7-7-57](複勝率26.9%)
×なし [0-0-0-46](複勝率0.0%)
中長距離のレースを完勝したことのある馬が中心。単純に優勝経験がない馬はもちろん、タイム差なしの優勝経験しかない馬も、本質的には短距離~マイル向きと見るべきでしょう。今年はこの条件に引っ掛かる実績馬が多いのでご注意ください。
主な「○」該当馬→コントラチェック、サトノダムゼル、フェアリーポルカ
主な「×」該当馬→カレンブーケドール、シゲルピンクダイヤ、ダノンファンタジー
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「前走の上がり3ハロンタイム順位が3位以内」だった馬は2012年以降[7-5-4-28](複勝率36.4%)
主な該当馬→サトノダムゼル、フェアリーポルカ
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2019年09月04日号】週末メイン「1点」分析EXTRA編(166)
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週末の注目レースを伊吹雅也プロが「1点」の傾向に注目して分析するウマニティ会員専用コラム。「さらにプラス1!」として挙げている種牡馬別成績も含め、ぜひ予想にご活用下さい。今週のターゲットは、エニフステークス、紫苑ステークス、産経賞セントウルステークス、京成杯オータムハンデキャップの4レースです。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒http://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
▼2019年09月07日(土) 阪神11R エニフステークス
【前走との間隔別成績(2014年以降)】
●中2週以内 [2-1-0-31](複勝率8.8%)
●中3週以上 [3-4-5-24](複勝率33.3%)
→2014年以降に好走を果たした馬の大半は前走との間隔が中3週以上。臨戦過程に余裕のない馬は信頼できません。
▼2019年09月07日(土) 中山11R 紫苑ステークス
【“JRA、かつ1800m以上、かつ2勝クラス以上のレース”において5着以内となった経験の有無別成績(2014年以降)】
●あり [4-4-5-22](複勝率37.1%)
●なし [1-1-0-51](複勝率3.8%)
→距離適性を重視したい一戦。特別登録を行った馬のうち“JRA、かつ1800m以上、かつ2勝クラス以上のレース”において5着以内となった経験があるのは、カレンブーケドール、パッシングスルー、フェアリーポルカの3頭だけです。
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