【TAROの競馬研究室】末脚を引き出す優雅な田辺スタイル/ヴィクトリアマイル展望
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NHKマイルカップはシュネルマイスターが外から差し切り勝ち。大外枠のピクシーナイトが積極果敢に逃げたため、字面以上に息の入らない流れになった。何度も言うが展開は時計よりも隊列が大事。外から行く馬がいて、内の先行馬が粘れないと、相対的に差し馬が有利になる。
その流れをバッチリ掴んだのがシュネルマイスター。抜け出したソングラインを最後に差し切った。当コラムではソングラインを注目馬として挙げたが、最終的にはリッケンバッカーを本命に。こちらも最後に追い込んできたが、思いのほか粘り強かったグレナディアガーズを捕えるには至らなかった。
シュネルマイスターはキングマン産駒。キングマンは現役時代英2000ギニーで2着に敗れた以外は負けなかった最強マイラー。その2000ギニーも極端な馬場傾向の中で苦しい内に突っ込んだ結果僅かに差されたもので、まさに「負けて強し」の内容だった。弥生賞でも2着したシュネルマイスターだったが、血統的にはやはりマイルでこそだった。
~末脚を引き出す田辺スタイル
G1以外の話を。先週目立ったのは田辺騎手の活躍だ。土曜メトロポリタンSでは手綱の戻ったゴールドギアとのコンビで差し切り勝ち。田辺騎手らしい脚を溜めてゆったり運び、末脚を引き出す騎乗だった。
田辺騎手は基本的に馬のリズムを重視するタイプ。無理に追い出したりしないので脚が良く溜まる。先行するにしても馬の気分に任せるので、馬にとってはリラックスして走れる。半面強引さに欠けるので、ハマり待ちの面もあり、ハマらないとやる気がないように見えてしまう。わかっていれば問題ないのだが、例えば少し古いが2019年のレッドローゼスで挑んだ福島記念などが良い例(悪い例?)だろう。田辺スタイルを貫いたに過ぎないが、「後ろすぎ(怒!)」のように言われがちだ。
前半無理すると脚を使えないゴールドギアはまさに田辺スタイルがマッチする。ゴールドギアに1800mを走らせるなら田辺騎手だと位置が悪くなりすぎるが、長丁場を走らせるならば田辺騎手が良い。実際直近3度の馬券圏内はすべて田辺騎手騎乗時。三浦騎手が騎乗すると一生懸命脚を使ってしまうのでラストで伸びが鈍る。そこら辺は感性の違い。三浦騎手の引き出しにはフワッと脚を溜める騎乗というのがないので。
日曜6Rのアポロセイランでも田辺騎手らしく脚を溜めて直線鋭く伸びて2着。勝ち馬エリモグリッターの上がりは37秒1。2着アポロセイランの上がりは35秒7。ラストで鋭く伸びて来るあの感じが、田辺スタイル。
ダイワクンナナというダイワスカーレット産駒の牝馬が、田辺騎手とのコンビで2連勝中だが、いずれも最後方からの追い込み。これも届かなければ、「後ろすぎ(怒!)」と言われるのだろうが…。理解していれば買いやすい騎手だし、頼もしい騎手でもある。だから、例えば強引にでも行ってほしい馬や、距離短縮の差し馬…みたいなパターンは、積極性が足りなかったり、後方のままのケースもある。個人的に優雅な感じがする田辺スタイルは好きだけど、WINSでヤジられがちな騎手でもある。野球でいうとユニフォームを汚さないタイプ。
やはり騎手は取り扱いが大事ということで、買いどころを知りたい方は、是非『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』を読んで頂ければ…って別に宣伝をしたいわけではないので、興味があれば。(この度、重版で3刷が決定しました、ありがとうございます!)
~ヴィクトリアマイルの注目馬
というわけで、今週末はヴィクトリアマイル。注目馬を一頭を挙げておきたい。グランアレグリアを挙げてもつまらないので、それ以外から選ぼう。
・マルターズディオサ
本編で触れたからってわけではないが、田辺騎手が騎乗するマルターズディオサ。前走の高松宮記念は、手探りの競馬。間隔を空ける意味でも使ったのだろうが、恐らく陣営としては無理に勝ちに行く競馬はしたくなかったはず。実際のレース内容もそんな感じで、ジワっと運んで外から伸びて来たが、次走のマイル延長を見据えた競馬だった。それでもラストの脚は上々。今年は阪神牝馬Sのメンバーレベルが例年ほど高くなく、一方でメンバーが揃っていたのは高松宮記念だった。となればレシステンシアに注目したくなるが、今回は先行勢が揃ったことを考えると、むしろ田辺スタイルの差しがハマりそうで人気もないマルターズディオサを注目馬としたい。
人気もないだろうし、ハマればデカイはず。ハマれば…。
※ヴィクトリアマイルの最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。
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