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ダービーをあらゆる角度から検証し、外せない馬をあぶり出す必殺仕分け人。2日目は血統を検証した。今年は出走18頭すべてがサンデーサイレンスの血を持つという“SSダービー”。要求される血統のレベルも高くなるなか、ここで2頭が脱落。初日の戦績&ステップを加えると、早くも7頭が仕分けされた。
〔1〕父の舞台適性(最大4点減点)
連対馬20頭の父を見ると、17頭の父が自身、または産駒がすでに東京2400メートルのGIを制している。例外は02年2着シンボリクリスエスの父クリスエス、08年1着ディープスカイの父アグネスタキオン、10年1着エイシンフラッシュの父キングズベスト。海外で繋養されているクリスエスとキングズベストは仕方がない面があり、アグネスタキオンも現在の活躍を考えれば、潜在的に高い適性を秘めていた。
ハーツクライはダービー、ジャパンCで2着がある。現3歳世代が初年度産駒でもあり、ウインバリアシオンは1点減点のみ。ステイゴールド産駒は2400メートルの距離には適性を示している。オルフェーヴル、ナカヤマナイト、フェイトフルウォーは2点減点。フジキセキ産駒は国内の芝GI勝ちはマイルまで。適性は低いと判断し、エーシンジャッカル、サダムパテックは4点減点する。
〔2〕父のクラシック適性(4点減点)
連対馬20頭のうち17頭の父は自身、もしくは産駒がすでに日本のクラシックを制していた。例外は02年2着シンボリクリスエスの父クリスエス、04年1着キングカメハメハの父キングマンボ、10年1着エイシンフラッシュの父キングズベストの3頭で、すべて海外の繋養種牡馬。今年はすべて国内種牡馬の産駒だけに、クリアしておきたい条件だ。
ハーツクライは自身がクラシックを勝てなかった。現3歳世代は初年度産駒ではあるが、同じ初年度産駒でも父がクラシック勝ち馬のウオッカ(父タニノギムレット)、ロジユニヴァース(父ネオユニヴァース)は優勝しており、特例は認められない。ウインバリアシオンからは4点減点。フジキセキ産駒のエーシンジャッカル、サダムパテックからも4点減点する。
〔3〕母の血統構成(最大4点減点)
連対馬20頭の母の血統構成をチェックすると、12頭にノーザンダンサーの血が流れており、主流といえる。そのうち、8頭はリファール、ヌレイエフ、ダンジグというND系のなかでもマイラー色の濃い種牡馬が配合されている。ND系スピード種牡馬と、ここ数年の主流であるミスタープロスペクター、サンデーサイレンスの血が母に流れていることが重要だ。
《減点なし》ND系でスピード豊富なフェアリーキングに加え、ミスプロも持つサダムパテック、ミスプロとリファールを持つトーセンラー、ミスプロとヌレイエフを持つノーザンリバー、ミスプロとSSの父ヘイローを持つダノンバラードは満点。
《1点減点》ベルシャザールは母の父SSだが、ND系種牡馬がセクレトでは頼りない。同じ母の父SSのクレスコグランドは、全体の構成がスピード感に欠ける。トーセンレーヴ、ナカヤマナイトはND系がニジンスキーでスピード面ではやや物足りない。母の父がミスプロ系のエーシンジャッカルはND系種牡馬がヴァイスリージェントと今ひとつ。オールアズワンはダンジグを持つが、母の父ナリタブライアンは強調できない。
《2点減点》オルフェーヴルはノーザンテーストの血を持つが、このタイプは近年のダービーで活躍馬が少ない。ウインバリアシオンはND系ストームバード以外に目立った血がない。
《3点減点》フェイトフルウォーは全体的にスピードを強調する血が足りない。
〔4〕母系の質(最大8点減)
《減点なし》ドリームジャーニーの全弟オルフェーヴル、ブエナビスタの半弟トーセンレーヴに減点の理由はない。クレスコグランドもトーセンレーヴと同じ一族。GI3勝馬マンハッタンカフェの甥でもあり、質は高い。シングスピールらを輩出する世界的な名門母系の出であるダノンバラード、米GIトラヴァーズS勝ち馬フラワーアリーの半弟トーセンラーも満点評価とする。
《2点減点》ノーザンリバーは姉の子に09年のダービー馬ロジユニヴァースがいるが、全体的には短距離指向が強い母系。ベルシャザールは母マルカキャンディがGIII府中牝馬Sの勝ち馬。さかのぼれば2400メートル級のGI勝ち馬もいるが、マイル~中距離向きの印象がある。
《3点減点》ウインバリアシオンはBCクラシック、ドバイワールドC勝ち馬カーリンの遠縁。米国のGI勝ち馬が多い一族だが、底力はもうひとつ。サダムパテックも米国母系。スピード優先で、一族にもGI好走どまりの馬が多いのがネック。
《4点減点》ナカヤマナイトの一族は公営での活躍馬がほとんど。中央GIを勝ちきるまでの底力に疑問符。
《5点減点》フェイトフルウォーは遠縁に欧州GI馬がいるが、活力不足は否めない。
《6点減点》エーシンジャッカルは祖母エイシンテネシーが活躍馬だが、近親にこれといった一流馬は不在。オールアズワンも母系の強調材料に乏しい。
初日の戦績&ステップで満点だった3頭に、それぞれ減点があり、満点は不在となった。特にフジキセキ産駒のサダムパテックは11点の大幅減点と、血統面の不安は隠しきれない。
★2日目の結論
ここで仕分けされたのは、15点もの大幅減点となったエーシンジャッカルに、トータルでの持ち点が初日の脱落組を下回ったフェイトフルウォーの2頭。持ち点トップは皐月賞馬オルフェーヴルの96点で、この日は減点がなかったトーセンラーが94点で2位に浮上した。
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