★“競馬の祭典”第89回
日本ダービー 3歳馬7522頭の頂点を目指し、22頭が登録
5月29日、東京競馬場では3歳馬の頂上決戦・第89回
日本ダービーが実施される。2019年に生産されたサラブレッドは7522頭(持込馬、輸入された外国産馬を含む)だが、そのうち一生に一度の大舞台であるダービーに出走することができるのはわずか18頭だ。今年のダービーには重賞ウイナー15頭を含む22頭が登録しているが、3歳馬7522頭の頂点に立つのはどの馬だろうか。注目のスタートは15:40。
★史上25頭目の皐月賞&ダービー制覇なるか ドレフォン産駒の皐月賞馬ジオグリフ
皐月賞馬
ジオグリフ(牡、美浦・
木村哲也厩舎)は、今年の3歳世代7522頭のうち、唯一“三冠馬“になる資格を有している。同馬は昨年産駒がデビューした新種牡馬ドレフォンの産駒で、昨年の
札幌2歳Sでは同産駒初のJRA重賞勝利、
皐月賞では同産駒初のJRA・GI勝利を挙げた。新種牡馬産駒がダービーを勝てば2009年
ロジユニヴァース(父ネオニニヴァース)以来13年ぶりで、
皐月賞&ダービーの“2冠”制覇となれば2020年
コントレイル以来2年ぶりとなるが、史上25頭目の
皐月賞&ダービー制覇を遂げることができるかどうか。
★史上初のダービー3連覇に挑む
福永祐一騎手 2冠制覇を目指す
ジオグリフに騎乗予定
“2冠”制覇を目指す皐月賞馬
ジオグリフ(牡、美浦・
木村哲也厩舎)に騎乗予定の
福永祐一騎手が、ダービー3連覇の偉業に挑む。同騎手は2018年、
ワグネリアンに騎乗して19回目の挑戦でダービー初勝利を挙げると、2020年に
コントレイル、昨年は
シャフリヤールをダービー馬へと導き、史上3人目のダービー連覇を遂げた。同一クラシック競走の3連覇は1958~60年の皐月賞を制した渡辺正人元騎手、1972~74年の
オークスを制した嶋田功元騎手の2人が記録しているが、福永騎手は史上初のダービー3連覇を成し遂げることができるかどうか。なお、
ジオグリフは、昨年のダービー優勝馬主(有)サンデーレーシングの所有馬で、同馬主には2011・12年に続く2度目のダービー連覇および歴代単独トップのダービー5勝目がかかる(※5月23日現在では抽選対象だが、同馬主の所有馬は
コマンドライン(牡、美浦・
国枝栄厩舎)も登録している)。
★ダービーで父の雪辱を果たすことかできるか 皐月賞2着の
キタサンブラック産駒イクイノックス
皐月賞2着の
イクイノックス(牡、美浦・
木村哲也厩舎)は、JRA・GI7勝を挙げた
キタサンブラックの初年度産駒だ。
キタサンブラックは2015年の
菊花賞馬だが、
皐月賞では3着、ダービーでは14着に敗れている。
イクイノックスは
皐月賞が今年初戦で、ダービーは年明け2戦目となるが、父の雪辱を果たし、ダービー馬の称号を得ることができるかどうか。同馬には昨年8月の新馬戦からすべてのレースで手綱をとっているC・ルメール騎手が引き続き騎乗する予定。なお、
皐月賞2着馬がダービーを勝てば2016年
マカヒキ以来6年ぶり12頭目となる。
★
木村哲也調教師は皐月賞1・2着馬を登録 騎手&調教師でのV狙う
安田隆行調教師にも注目
ダービー初制覇を目指す
木村哲也調教師(美浦)は、皐月賞馬
ジオグリフ(牡)、同2着の
イクイノックス(牡)の2頭を登録している。同調教師は皐月賞でレース史上4回目のワンツーフィニッシュを決めたが、ダービーでも1・2着を独占することができるかどうか。ダービーで同一調教師の管理馬がワンツーフィニッシュを決めれば、1967年の藤本冨良元調教師以来55年ぶり5回目となる。なお、今年のダービーには
昆貢調教師(栗東)も
マテンロウオリオン(牡)、
マテンロウレオ(牡)の2頭を登録している。また、
イクイノックスがダービーを勝てば、木村調教師は2019年の角居勝彦元調教師(皐月賞=
サートゥルナーリア、ダービー=
ロジャーバローズ)以来史上2人目の“異なる馬での同一年皐月賞&ダービー制覇”となる。
また、
デシエルトを登録している
安田隆行調教師(栗東)は、騎手時代の1991年に
トウカイテイオーとのコンビでダービーを制しており、騎手・調教師双方でのダービー制覇がかかる。
安田隆行調教師は開業28年目にしてダービー初挑戦となるが、騎手時代に続いてダービーのタイトルを手にすることができるかどうか。
★歴代最多のダービー5勝を挙げる
武豊騎手 皐月賞3着の
ドウデュースに騎乗予定
歴代最多のダービー5勝を挙げている
武豊騎手は、皐月賞3着の
ドウデュース(牡、栗東・
友道康夫厩舎)に騎乗する予定だ。同騎手はダービーの騎乗回数も歴代最多で、今回が通算33回目のダービー騎乗となるが、2013年の
キズナ以来、9年ぶり6回目のダービー制覇を遂げることができるかどうか。なお、今年のダービーは「第89回」だが、過去の“第○9回のダービー”の結果を見ると、皐月賞3着馬は3勝を挙げており、第39回ダービー(1972年)では、
武豊騎手の父・武邦彦元騎手が騎乗した皐月賞3着馬ロングエースが勝利を挙げている。
★
共同通信杯で“後の皐月賞馬”
ジオグリフを破ってV 皐月賞4着から巻き返し狙うダノンベルーガ
ダノンベルーガ(牡、美浦・
堀宣行厩舎)は、昨年11月の新馬戦を勝ち、続く
共同通信杯では、次走で皐月賞を勝つ
ジオグリフを破って重賞初制覇を遂げた。
ダノンベルーガは皐月賞では4着に敗れ初黒星を喫したが、ダービーで前走の雪辱を果たすことができるかどうか。Vなら、皐月賞4着馬の勝利は2014年ワンアンドオンリ一以来8年ぶり3頭目となり、同馬に騎乗予定の
川田将雅騎手は2016年
マカヒキ以来、管理する
堀宣行調教師は2015年
ドゥラメンテ以来の勝利でそれぞれ2度目のダービー制覇となる。なお、皐月賞で初黒星を喫した馬は、過去10年では2016年
マカヒキ、2017年
レイデオロがダービー制覇を遂げている。
★史上12頭目の無敗でのダービー制覇なるか 3戦3勝の
毎日杯勝ち馬ピースオブエイト
ピースオプエイト(牡、栗東・
奥村豊厩舎)は、新馬戦1着→アルメリア賞1着→
毎日杯1着とデビューから3連勝でダービーに駒を進めてきた。昨年のダービー馬
シャフリヤールは
毎日杯1着からダービーに直行して勝利を挙げたが、同じローテーションで挑むピースオプエイトはデビューから4連勝で3歳馬の頂点に立つことができるかどうか。同馬には前走に続いて
藤岡佑介騎手が騎乗する予定。なお、デビューから無敗でダービーを勝てば、2020年
コントレイル以来2年ぶり12頭目となる。
★ダービー最多勝の
ディープインパクト産駒 5連覇かかかる今年は6頭が登録
歴代最多のダービー7勝を記録している
ディープインパクト産駒は、
アスクビクターモア(牡、美浦・
田村康仁厩舎)、
キラーアビリティ(牡、栗東・
斉藤崇史厩舎)、
コマンドライン(牡、美浦・
国枝栄厩舎)、
ジャスティンパレス(牡、栗東・
杉山晴紀厩舎)、
プラダリア(牡、栗東・
池添学厩舎)、
ロードレゼル(牡、栗東・
中内田充正厩舎)の6頭が登録している(※
コマンドラインは5月24日現在、抽選対象)。同産駒は2018年
ワグネリアン、2019年
ロジャーバローズ、2020年
コントレイル、2021年
シャフリヤールと4年連続でダービーを制しているが、今年も勝利を挙げることができるかどうか。なお、同一種牡馬の産駒が同一クラシック競走を5連覇すれば史上初のこととなる。ちなみに、クラシックに限らない同一JRA・GI競走の最多連勝記録はサンデーサイレンス産駒の
マイルCS5年連続勝利(2003~07年)で、“ディープ”産駒が今年のダービーを勝てばこの記録に並ぶ。
また、京都新闇杯を制した
アスクワイルドモア(牡、栗東・
藤原英昭厩舎)の祖父は2005年のダービー馬
ディープインパクト、父は2013年のダービー馬
キズナで、
日本ダービー史上初の親子3代制覇がかかる。
キズナ産駒は初年度産駒から3年連続のダービー参戦となるが、同レース初勝利を挙げることができるかどうか。
★2年連続ダービー挑戦となる“池添兄弟”コンビ “青葉賞組”初の勝利を目指す
プラダリアで参戦
青葉賞勝ち馬
プラダリア(牡、栗東・
池添学厩舎)には、
池添学調教師の兄・
池添謙一騎手が騎乗する予定だ。“池添兄弟”のコンビは昨年のダービーに
ヴィクティファルスで挑み14着となったが、トライアルの
青葉賞を制した
プラダリアで挑む今年はどのような結果になるだろうか。Vなら、
池添謙一騎手は2011年
オルフェーヴル以来11年ぶり2回目のダービー制覇、
池添学調教師はJRA・GI初制覇となる。
なお、
青葉賞はダービーと同じ東京・芝2400メートルで実施されるトライアル競走だが、同レースに出走してダービーを勝った例は1度もない。今年は同レース勝ち馬の
プラダリアと、2着の
ロードレゼル(牡、栗東・
中内田充正厩舎)が出走する予定だが、“
青葉賞組”初のダービー制覇を遂げることができるかどうか。
★史上3位の年少ダービージョッキー誕生なるか 21歳・
菅原明良騎手は
オニャンコポンに騎乗予定
皐月賞6着の
オニャンコポン(牡、美浦・
小島茂之厩舎)には、デビュー以来すべてのレースで
菅原明良騎手が騎乗しており、今年1月には
京成杯を制している。
菅原明良騎手は昨年、JRA競走で75勝を挙げて自己最高のリーディング11位となり、JRA重賞初勝利、JRA・GI初騎乗も果たすなど大きな飛躍を遂げた。
菅原明良騎手は今回がダービー初騎乗となるが、JRA・GI初勝利をダービーという大舞台で挙げることができるかどうか。
なお、同騎手のレース当日の年齢は21歳2力月18日で、Vなら、ダービー史上3位の年少優勝となる。なお、
オニャンコポンは2010年のダービー馬
エイシンフラッシュの産駒で、同産駒初のJRA・GI制覇がかかる。
エイシンフラッシュは2010年に
京成杯1着→
皐月賞3着→ダービー1着という成績を残したが、
オニャンコポンは
京成杯に続きダービーで、親子制覇を遂げることができるかどうか。
★横山親子3人&岩田親子が揃ってダービー参戦
横山和生騎手、
岩田望来騎手はダービー初騎乗
今年のダービーでは、
横山典弘騎手(父)が
マテンロウオリオン(牡、栗東・
昆貢厩舎)、
横山和生騎手(兄)が
マテンロウレオ(牡、栗東・
昆貢厩舎)、
横山武史騎手(弟)が
キラーアビリティ(牡、栗東・
斉藤崇史厩舎)に騎乗予定だ。昨年は同親子3人にとるJRA・GIでの対決が3回あり、いずれも
横山武史騎手が最先着だったが、今年初のJRA・GIでの対決となった
NHKマイルCでは
マテンロウオリオンに騎乗した
横山典弘騎手が2着に入り最先着となった。果たして、今回の横山親子3人の対決はどのような結果になるだろうか。
また、今年のダービーには「
岩田康誠騎手(父)=
岩田望来騎手(子)」親子も揃って参戦する予定で、
岩田康誠騎手は
デシエルト(牡、栗東・
安田隆行厩舎)、
岩田望来騎手は
アスクワイルドモア(牡、栗東・
藤原英昭厩舎)に騎乗予定だ。
横山典弘騎手(2009、2014年)、
岩田康誠騎手(2012年)はダービーで優勝経験があり、
横山和生騎手、
横山武史騎手、
岩田望来騎手には親子制覇がかかるが、父に続いて“ダービージョッキー”の称号を得ることができるかどうか。なお、
横山和生騎手、
岩田望来騎手は今回がダービー初騎乗となる。