東京競馬場での5週連続GⅠ第2弾として、日曜メインに春の女王決定戦・
ヴィクトリアマイル(15日、芝1600メートル)が行われる。GⅠで幾度となく好走を重ねる実力馬が名を連ねており、例年になくハイレベルな一戦となる。
やはり注目を集めるのは2020年に史上初となる無敗の3冠牝馬に輝いた
デアリングタクト(栗東・
杉山晴紀厩舎、5歳)だろう。新馬、エルフィンSを連勝して迎えた
桜花賞では重馬場の中、次元の違う差し脚を使い完勝。続く
オークスでは直線で前があくと衝撃の切れ味を見せて差し切り。
秋華賞では外を回って他馬をねじ伏せる横綱競馬で金字塔を打ち立てた。さらに
ジャパンCでは
アーモンドアイ、
コントレイルとの3冠馬同士の決戦に挑んで3着と歴史に残る名勝負を演じた。
ところが、昨年は
金鯱賞2着、香港のクイーンエリザベス2世Cで3着に敗れた後、右前肢繋靭帯炎を発症し、1年以上の休養を余儀なくされた。大怪我からの復帰戦で状態面が最も懸念されるが、杉山晴調教師は「以前より体の使い方に物足りなさがある」、
松山弘平騎手も「一歩一歩が小さくなっていて、乗り味の違いは感じました」と吐露しており、やはり一抹の不安は感じる。しかし、師は「休養明けを考慮すると、長い距離よりめりはりが利いたマイルの方が合っていそう」と期待を込める。久しぶりにターフへと帰ってくる3冠牝馬が、感動の復活Vを遂げるか。
白毛のアイドルホース・
ソダシ(栗東・
須貝尚介厩舎、4歳)がGⅠ3勝目を狙う。新馬、
札幌2歳S、
アルテミスSで3連勝を飾ると、その勢いのままに20年
阪神ジュベナイルフィリーズで白毛馬初のGⅠ制覇を達成。さらに、翌年の
桜花賞では抜群のスタートで好位を確保すると、直線で早めに抜け出し1分31秒1でレコードVを果たした。
オークスでは2400メートルが長く8着に敗れたが、続く
札幌記念では
ラヴズオンリーユーを下して勝利を収めた。
しかし、
秋華賞で10着に沈むと、ダートに舞台を替えたチャンピオンズCでも12着と大敗。不振に陥ったかに思えたが、今年の
フェブラリーSで3着と再び好結果を残した。今回は半年ぶりに芝に戻ってくるが、
須貝尚介調教師は「芝のマイルは負けていないからね」と自信をのぞかせる。世界的にも希少な存在である白毛馬が、〝二刀流〟で競馬界をさらに盛り上げる。
レイパパレ(栗東・
高野友和厩舎、5歳)もチャンスは十分だ。前走・
大阪杯では早めに勝ちにいったところを
ポタジェに差されて惜しくも2着に敗れたが、持ち前の先行力をいかんなく発揮した強い競馬だった。久しぶりのマイル戦となるが、高野調教師は「以前にも増して馬体にボリュームが出ていますし、2200メートルは現状では少し長い印象もあります。そうなると、選択肢は必然的にこちらになります」と話しており、新馬、1勝クラスを連勝した距離なら守備範囲だろう。8日の
NHKマイルCを制した
川田将雅騎手を背に、昨年・
大阪杯以来のGⅠ2勝目をもくろむ。
昨年の
NHKマイルC2着馬
ソングライン(美浦・
林徹厩舎、4歳)は左回りで【4・2・1・0】と現役屈指のサウスポー。東京マイルは絶好の条件であり、前走ではサウジアラビアのGⅢ1351ターフスプリントを制覇と勢いも文句なし。悲願のGⅠ初制覇へ条件はそろっている。
レシステンシア(栗東・
松下武士厩舎、5歳)は3年前の
阪神JFを勝って以来、GⅠで2着5回と勝ちきれない競馬が続き、前走の
高松宮記念も6着ながら小差だった。マイルへの距離延長に対応し、昨年6着の雪辱を果たしたい。
他にも、昨年の
エリザベス女王杯勝ち馬
アカイイト(栗東・
中竹和也厩舎、5歳)、昨年3着の
マジックキャッスル(美浦・
国枝栄厩舎、5歳)、昨年の
秋華賞2着
ファインルージュ(美浦・
木村哲也厩舎、4歳)、同3着
アンドヴァラナウト(栗東・
池添学厩舎、4歳)などGⅠ実績豊富なタレントが勢ぞろいで激戦必至だ。