かわいいだけじゃない。速いだけじゃない。おてんば娘から大人の女性へ進化を遂げた
メイケイエールが、強さでファンを魅了した。2馬身半差の完勝に加え、コースレコードのおまけつき。見事にエスコートした池添騎手が胸を張った。
「あまりせかさずにと思っていたら、あの位置をキープできました。勝負どころでは少し動かしていかないといけないぐらいでしたから、折り合いは楽でした。うまく誘導できて、結果を出せてよかったです」
スタートは半馬身ほど後れをとったが、そこから行きたがるそぶりをみせることなく、5番手を追走。鞍上との呼吸をぴたりと合わせ、リズムよく運ぶと、直線はグングン加速。メンバー最速となる上がり3ハロン32秒9の末脚で突き抜けると、ゴール前は手綱を緩める余裕もあった。課題の折り合いをクリアし、切れ味も倍増。2016年の
高松宮記念で
ビッグアーサーが記録したコースレコードを0秒5更新する1分6秒2で走破し、
京王杯スプリングC以来となる秋初戦で満点回答だ。
精神面だけではなく、肉体面でも成長著しい。前走から14キロ増となる馬体重484キロでの出走となったが、「今週の追い切りも太めを感じなかったので、成長分だったと思います」と池添騎手。デビュー時から22キロ増の馬体は迫力も増した。
競りに参加するため米国で吉報を聞いた武英調教師は「余裕残しだったわけではないですが、キチキチの仕上げでもなかったのでおつりも残せたと思います」と次戦の
スプリンターズSへ上積みを強調。鞍上が「あとはGⅠタイトルだけなので、しっかり、順調にいってほしい」とうなずけば、指揮官も「GⅠ取りに王手といった感じ。欲しいのはGⅠタイトルなので」と力を込めた。
白毛馬
ソダシの祖母シラユキヒメのひ孫にあたる
メイケイエール。
ソダシと並ぶ現役トップタイのJRA平地重賞6勝となったが、狙うは頂点のみ。次は、中山で短距離王の座に就く。
◇
■
メイケイエール 父
ミッキーアイル、母シロインジャー、母の父ハービンジャー。鹿毛の牝4歳。栗東・
武英智厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は名古屋競馬㈱。戦績12戦7勝。獲得賞金3億1306万円。重賞は2020年GⅢ
小倉2歳S、GⅢ
ファンタジーS、21年GⅡ
チューリップ賞、22年GⅢ
シルクロードS、GⅡ
京王杯スプリングCに次いで6勝目。
産経賞セントウルSは
武英智調教師が初勝利。
池添謙一騎手は06年
シーイズトウショウに次いで2勝目。馬名は「冠名+応援」。