無観客となった中京競馬場のゴールを、さっそうと先頭で駆け抜けた。デビュー3年目の団野騎手は、右手で力強くガッツポーズ。格上挑戦の7番人気
ショウリュウイクゾと人馬そろって重賞初制覇を成し遂げた20歳の若武者が、胸を張った。
「今でも、自分でも信じられない気持ちです。スムーズに、いいところから最後に力強く抜け出してくれて、いいレースができたと思います」
ゲートを出ると、積極的に3番手を確保。4コーナーで一瞬、手応えが悪くなったが、直線でもうひと伸び。ラスト1ハロン手前で抜け出し、そのまま押し切った。
「たくさんのいい馬に乗せてもらっているところで、年始から大きなところを勝たせてもらいました。本当にうれしい」
62勝と飛躍を遂げた昨年を「落馬(7月5日)以降はより気をつけて乗るようになって、レースで周りを見られるようになりました」と分析。「重賞を勝ちたい」という今年の目標を早くも達成したが「この勝利に甘んじず、日々精進して頑張っていきたい」と謙虚な姿勢は変わらない。
佐々木調教師も「パーフェクト。好スタートから、これで負けたら仕方がないという競馬をしてくれた」と目尻を下げた。僚馬の半妹
ショウリュウハル、半弟
ショウリュウレーヴもVへ導いており、注目の黄金タッグ。「思い切りがいい。騎乗にめりはりが利いていて、魅せる競馬をしてくれるね」と絶賛した。
母
ショウリュウムーンは、同厩舎での現役時代に3~5歳時に重賞計3勝。母譲りの成長力を見せた
ショウリュウイクゾに、佐々木調教師は「放牧に出すつもりだったけど、
京都記念(2月14日、阪神、GII、芝2200メートル)あたりかな」とさらなる進撃への見通しを語った。今年も無観客競馬となって重い空気が漂う競馬界に、前途洋々の若武者が新しい風を吹き込む。 (山口大輝)
団野 大成(だんの・たいせい)…2000(平成12)年6月22日生まれ、20歳。滋賀県出身。栗東・
斉藤崇史厩舎所属で、父の勝さんは同厩舎の調教助手。19年3月にデビューし、同年はJRA26勝。昨年は同62勝と大きく勝ち数を伸ばし、全国リーディング15位(関西10位)と躍進した。17日現在、JRA通算92勝。今年は4勝で全国9位(関西4位)。
ショウリュウイクゾ…父
オルフェーヴル、母
ショウリュウムーン、母の父
キングカメハメハ。栗毛の牡5歳。栗東・
佐々木晶三厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は上田芳枝氏。戦績16戦4勝。獲得賞金1億2541万5000円。重賞は初V。
日経新春杯は
佐々木晶三調教師が2005年
サクラセンチュリーに次いで2勝目。
団野大成騎手は初勝利。馬名は「冠名+行くぞ」。
★17日中京11R「
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