2022年12月11日()シャティン競馬場 芝2400m

レース結果 ~香港ヴァーズ 2022~

  • 出走予定馬
  • 出馬表
  • レース結果



馬名 性齢 負担重量
(kg)
騎手 調教師 オッズ 人気
1 9 3    ウインマリリン 牝5 55.5 D.レーン 手塚貴久 3.1 2
2 5 5    ボタニク セ4 57.0 W.ビュイック A.ファーブル 11.9 4
3 3 4    グローリーヴェイズ 牡7 57.0 J.モレイラ 尾関知人 2.6 1
4 7 9    パンフィールド 牡6 57.0 K.ティータン A.ミラード 99.2 9
5 10 1    ストーンエイジ 牡3 55.0 R.ムーア A.オブライエン 3.9 3
6 2 2    バブルギフト 牡4 57.0 C.ルメール M.デルザングル 21.7 7
7 6 10    セニョールトーバ セ5 57.0 C.ホー C.ファウンズ 24.8 8
8 1 6    ブルーム 牡6 57.0 武豊 A.オブライエン 20.1 6
9 8 8    バターフィールド セ7 57.0 S.デソウサ C.シャム 172.9 10
中止 4 7    メンドシーノ 牡4 57.0 R.ピーヒュレク S.シュタインベルク 12.5 5

■払戻金

単勝9 310円
複勝9 140円
5 220円
3 130円
馬連5-9 2,210円
ワイド5-9 590円
3-9 210円
3-5 510円
馬単9-5 3,710円
3連複3-5-9 1,930円
3連単9-5-3 12,130円

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※レース結果・払戻金・オッズなどのデータは、必ず主催者(JRA)発行のものと照合してください。

最新出走予定馬情報 ~香港ヴァーズ 2022~

香港ヴァーズでGⅠ初勝利を挙げたウインマリリン(美浦・手塚貴久厩舎、牝5歳)は、ドバイシーマクラシック(3月25日、メイダン、GⅠ、芝2410メートル)を目指すことが15日、分かった。所有するウインレーシングクラブがホームページで発表した。

香港ヴァーズVのウインマリリンなど関東馬5頭が帰国12月13日(火) 15:40

11日の香港国際競走に遠征した馬のうち、ヴァーズ1着ウインマリリン(美・手塚、牝5)、同3着グローリーヴェイズ(美・尾関、牡7)、カップ6着ジオグリフ(美・木村、牡3)、マイル9着シュネルマイスター(美・手塚、牡4)、スプリント10着ナランフレグ(美・宗像、牡6)の関東馬5頭が13日、午前6時47分に成田国際空港に到着。同9時20分に入国検疫を行うJRA競馬学校(千葉県白井市)の国際厩舎に入厩した。

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【香港ヴァーズ】ウインマリリン悲願のGI初制覇 牝馬Vは13年ぶり12月12日(月) 04:55

【11日香港=長田良三】香港国際競走4レースがシャティン競馬場で行われ、ヴァーズのウインマリリンがダミアン・レーン騎手(28)=オーストラリア=に導かれ、直線で鋭い末脚を披露。海外初挑戦で悲願のGⅠ初制覇を飾った。ヴァーズの牝馬Vは2009年のダリヤカナ(フランス)以来、13年ぶり。



異国の地で悲願のビッグタイトルをゲットだ。ウインマリリンが直線で豪快に突き抜けて、海外GⅠ初挑戦にしてV。2019年にウインブライトがクイーンエリザベス2世Cと香港Cを制した赤地に黒縦じまの勝負服が、再び香港のファンを驚かせた。

「気分良くリラックスして走っていました。彼女の末脚が切れるのは知っていましたし、それを生かす乗り方をしようと思いました」

エリザベス女王杯2着に続くコンビとなったレーン騎手が、渾身(こんしん)の騎乗を振り返った。スタートして序盤は激しい先行争いのなか、4番手を確保。内からグローリーヴェイズなど各馬が徐々にポジションを押し上げるなか、一旦は後方2番手までポジションを下げた。そこで慌てずじっくり脚をためると、大外から抜群の手応えで直線へ。鋭い末脚でライバルを次々と捕らえ、最後は1馬身半突き抜けた。

これが海外GⅠ初勝利の手塚調教師は「〝神騎乗〟ですね。素晴らしいです。前でレースを…と作戦を練っていて、その通りではなかったけど、結果的にすごい脚を使ってくれました。違うマリリンを引き出してくれましたね」と手放しで人馬をたたえた。

昨年の産経賞オールカマー(1着)後は、体調が整わず結果が出ないレースが続いた。「いい状態ではないときに使ってしまったので。彼女には申し訳なかった」とトレーナーは反省。立て直しを図った札幌記念で3着と復調の兆しを見せると、前走のエリザベス女王杯では勝ち馬ジェラルディーナに0秒3差の2着とGⅠで戦える力を改めて証明した。

今後は未定だが、海外で大きな壁を乗り越えたウインマリリン。来年はさらに〝ウインウイン〟となるべく、突き進んでいく。

ウインマリリン 父スクリーンヒーロー、母コスモチェーロ、母の父フサイチペガサス。栗毛の牝5歳。美浦・手塚貴久厩舎所属。北海道新冠町・コスモヴューファームの生産馬。馬主は(株)ウイン。戦績17戦6勝(うち海外1戦1勝)。重賞は2020年GⅡサンケイスポーツ賞フローラS、21年GⅡ日経賞、GⅡ産経賞オールカマーに次いで4勝目。馬名は「冠名+女性名」。

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【香港ヴァーズ】グローリーヴェイズは3着 尾関師「次は子供で挑戦を」12月12日(月) 04:54

〈GI香港ヴァーズ=12月11日・香港シャティン〉

2019、21年に続く、ヴァーズ3勝目を狙ったグローリーヴェイズ(美浦・尾関知人厩舎、牡7歳)は後方からしぶとく伸びたが3着まで。ラストランを飾ることはできなかった。ジョアン・モレイラ騎手は「頑張ってくれました。状態は良かったですが、他の馬の状態も良かったこともあり、結果は残念でした。ただ、私は彼を誇りに思っています」と健闘をたたえた。今後は種牡馬入りの予定。

尾関知人調教師は「惜しかったです。最後のひと伸びが足りませんでしたが、無事に走ってくれて何よりです。次はグローリーヴェイズの子供で挑戦したいです」とこれまでの走りに感謝していた。

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【香港ヴァーズ】ウインマリリンが大外から豪快に差し切ってGI初制覇!12月11日() 18:53

12月11日の香港・シャティン4Rで行われた「第29回香港ヴァーズ」(3歳以上オープン、GI、芝・右2400メートル、定量、10頭立て、1着賞金1254万香港ドル=約2億2572万円)は、ダミアン・レーン騎手とコンビを組んだウインマリリン(牝5歳、美浦・手塚貴久厩舎)が道中後方待機から4コーナーで大外を回して豪快に差し切り、待望のGI初制覇を果たした。タイムは2分27秒53(良)。

1馬身1/2差の2着は好位からしぶとく伸びたボタニク。さらにクビ差の3着に3度目のVを狙ったグローリーヴェイズが入った。

レースは地元馬セニョールトーバが先手を取り、ボタニクが2番手へ。ストーンエイジとバターフィールドが続き、グローリーヴェイズは中団のイン、ウインマリリンはその後ろで馬群の中を追走した。向こう正面で武豊騎手のブルームが3番手の外まで進出。流れは速くなり、勝負どころへ。直線に向くと、2番手からボタニクが抜け出しを図るが、馬群の大外を回したウインマリリンが抜群の手応えから鞍上のゴーサインに応えて末脚を伸ばし、そのまま差し切って快勝。9度目のGI挑戦、初の海外遠征でうれしいビッグタイトルを獲得した。ボタニクが2着に粘り込み、グローリーヴェイズは馬群の中から伸びたものの3着まで。ドイツ馬メンドシーノはゲートを出ず、競走中止(出走とならなくなった馬)となった。

香港ヴァーズの日本馬によるVは、2001年ステイゴールド、16年サトノクラウン、19、21年グローリーヴェイズに次いで延べ5頭目。

手塚貴久調教師「前走エリザベス女王杯で2着だったので招待される可能性があったので、オーナーと相談しました。当初から香港の2000から2400は適性があると思っていました。レース巧者で、自在性もあるので。香港でいいレースができると思っていました。向こう正面で下がっていたので、どうかと思っていたけど良かったですね。(レーン騎手が)いいところを引き出してくれましたね」

◆ダミアン・レーン騎手(ウインマリリン 1着)「彼女は気分良くリラックスして走っていました。彼女の末脚が切れるのは知っていました。それを生かす乗り方をしようと思いました。前回(エリザベス女王杯2着)負けたジェラルディーナは特別な馬だったし、きょうは彼女自身の走りができると自信がありました。日本のレースに参加し、これらの馬に乗れることを光栄に思います」

◆ジョアン・モレイラ騎手(グローリーヴェイズ 3着)「頑張ってくれました。グローリーヴェイズの状態は良かったです。ほかの馬の状態も良かったこともあり、今回の結果は残念でした。ただ、私は彼を誇りに思っています」

尾関知人調教師「惜しかったです。最後のひと伸びが足りませんでした。まだ展開、ラップがよく分からないので何とも言えませんが、無事に走ってくれて何よりです。次はグローリーヴェイズの子供で挑戦したいです」

香港ヴァーズを勝ったウインマリリンは、父スクリーンヒーロー、母コスモチェーロ、母の父Fusaichi Pegasusという血統。北海道新冠町・コスモヴューファームの生産馬で、馬主は(株)ウイン。通算成績は17戦6勝(うち海外1戦1勝)。重賞は2020年GⅡサンケイスポーツ賞フローラS、21年GⅡ日経賞、GⅡ産経賞オールカマーに次いで4勝目。香港ヴァーズ手塚貴久調教師、ダミアン・レーン騎手ともに初勝利。

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【香港ヴァーズ】ウインマリリンがG1初制覇!12月11日() 15:35

12月11日の香港シャティン競馬場で行われた香港ヴァーズ(G1)(芝・右2400m)は、日本調教馬のウインマリリン(牝5歳、美浦・手塚貴久厩舎)が勝利した。

ウインマリリンはG1初制覇。
2着にボタニク(仏)、一番人気のグローリーヴェイズ(日本)は3着。

ダミアン・レーン騎手と手塚調教師


表彰式

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【香港国際競走1R】武豊騎手は地元馬に騎乗して12着12月11日() 15:05

武豊騎手(53)=栗・フリー=が11日、シャティン競馬場で香港国際競走デーの1R・ビューティージェネレーションC(芝1400メートル)で、フォーエバーフォルクス(騸4)に騎乗。後方追走から直線でも伸びきれず、14頭立ての12着だった。同騎手は8R・香港C(芝2000メートル)でジャックドール(栗・藤岡、牡4)に騎乗する。

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【香港国際競走2R】ルメール騎手がV「大変うれしく思います」12月11日() 15:04

クリストフ・ルメール騎手(43)=栗・フリー=が11日、香港国際競走デーの2R(芝1200メートル)で、マイティストライド(騸4)に騎乗。好位で手応え良く運ぶと、先頭で直線に向いて押し切った。ルメール騎手は「勝つことができて、大変うれしく思います。能力がありますね」と評価した。

同騎手は7Rの香港マイルシュネルマイスター(美・手塚、牡4)とコンビを組む。

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【香港ヴァーズ】ストーンエイジが高評価!?世界各国競馬記者4名の直前予想12月11日() 14:48


12月11日(日)にシャティン競馬場で開催される香港国際競走。当記事では香港に集った世界各国の記者4名にレース予想を提供していただいたので公開します。皆さんの予想の参考にお役立てください。

Franco Castelfranchi
Trotto & Turf(イタリア)
◎⑩ストーンエイジ
「古馬よりも斤量が5ポンド軽いのは有利だし、ゲートの出も良い」
○⑨ウインマリリン
▲⑤ボタニク
「③グローリーヴェイズは老け込んでいる気が…」

Bob Kieckhefer
BLOOD HORSE(アメリカ)
◎⑩ストーンエイジ
「オブライエン調教師&ムーア騎手のコンビに期待」
○⑧バターフィールド
「映画”バターフィールド8”に因んで…サイン(^-^)」
▲③グローリーヴェイズ
「多分日本のグローリーヴェイズが勝つだろうな」

Neil Morrice
PA Media(イギリス)
◎③グローリーヴェイズ
「これがラストランとあって仕上げている。トラックワークを見ても素晴らしいデキだったよ」
○①ブルーム
▲⑩ストーンエイジ

Katherine Ford Cailler
Equidia TV(フランス)
◎⑩ストーンエイジ
「トラックワークで状態が良く見えたの」
○③グローリーヴェイズ
▲⑤ボタニク
「フランスの馬はG2クラスかな。だからここでは少し足りないかもね」

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【有名人の予想に乗ろう!】香港ヴァーズ2022 グローリーヴェイズがV3に挑む!あの人の見解は!?12月11日() 10:00


※当欄では香港ヴァーズについて、競馬好きとして知られる芸能人、著名人の皆さんの予想を紹介していきます。迷ったときは彼らの予想に乗るのも手。参考になさってください。



【船山陽司】
注目馬
グローリーヴェイズ

【田中歩】
注目馬
⑩ストーンエイジ



ウマニティ重賞攻略チーム

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厳選コラム ~香港ヴァーズ 2022~

香港カップ(シャティン芝2000m)
さてさて、香港国際競走の華、香港カップです。この10年間に日本勢が5勝、ウインブライトノームコアラヴズオンリーユーと3連覇中、香港G1とはいえ自家薬籠中のレース。キーボードを叩いていて昨日公開までの3レース以上に胸が高鳴り、その反面で史上最強といっても過言でない日本馬5頭をこの目でシャティンのターフに躍動する姿を見られないことが残念でなりません。ずばり一言! 日本馬の上位独占は間違いなし! 香港での甘粕代三の代名詞、穏如泰山! 鉄板です!!

まず、パンサラッサ(牡5・矢作芳人厩舎)から。ツインターボ2世と見られていたパンサは今や日本勢の総大将です。中山記念快勝をステップにドバイターフに挑戦しました。レースを引っ張り直線でも一向にその逃げ足を衰えさせることなくゴール板を通過するまで矢作夫妻と手に汗握って声をからしたことが昨日のようです。その後の戦績は皆さんもご存じの通り。前走天皇賞(秋)は7番人気の低評価を嘲笑うように、そしてあのプリティキャストを彷彿とさせる大逃げ! プリティの再現を確信させた瞬間にイクイノックスに交わされましたが、勝馬との斤量2キロ差を考えれば勝ちに等しい2着と言って差し支えありません。

シャティン芝2000mは直線が430mと短く、2015年にエイシンヒカリが逃げ切っているように先行馬有利。エイシンとパンサを比べれば月と鼈とまでは行かないまでも三役と前頭ほどの違いはあります。他に逃げ馬はおらず、パンサが自分のペースで逃げられれば後続はなし崩しに足を使い、レースの焦点はパンサが勝つか負けるかではなく着差をどれだけつけられるか、その一点にあります。

パンサの次に評価したいのがジャックドール(牡4・藤岡健一厩舎)。実はジャックドールのオーナーさんに香港渡航を誘われていたのですが、オーナーさんも私同様、ワクチン未接種のため断念。オーナーさんの社員さんが代わりに応援に行っていらっしゃいます。ジャックはスーパーG2札幌記念で強烈な逃げから先行へと脚質転換に成功。天皇賞(秋)では◎を打ちましたが、直線で不利があって4着と涙を飲みました。でも香港での予想では4連単勝負だったので大いに懐を潤してくれたんですよ。香港カップでは天皇賞(秋)同様3~4番手からパンサを追う形になりますが、シャティンの芝コースは府中よりも時計一つ以上遅く、札幌よりもやや遅い馬場。このコースのアドバンテージはパンサよりもジャックでしょう。香港では日本馬のオッズが日本以上、特にジャックは抜け目になる可能性高く、単複をちょっと買っておきたい気分です。

日本勢3番手はいずれ菖蒲か杜若、悩みは尽きません。横一線もいいところなのですが、私の馬券戦術、秋の第一条にカタカナ騎手3馬身があります。日本人騎手には申し訳ないのですが、欧州、大洋州で鍛えられてきた日本のぬるま湯競馬でぬくぬくと生きてきた日本人騎手がいくら鯱鉾立ちしても叶うものでないことは秋の一連のG1が証明している通りです。故障から復帰し引退を決意、その雨のラストライドツアーで香港に舞い戻った雷神、J.モレイラがラストランの手綱を執ることになったレイパパレ(牝5・高野友和厩舎)、調教師試験に合格し引退の決まった福永祐一から英国の名手、W.ビュイックに手が代わったジオグリフ(牡3・木村哲也厩舎)が横一線。復調著しくともカタカナ騎手ではないダノンザキッド(牡4・安田隆行厩舎)は一段下とします。

日本勢5頭を脅かせるのは地元香港昨季のダービー馬にして準三冠のロマンチックウォリアー(セ4・C.シャム厩舎)と世界の名伯楽、A.オブライエンが送りこんできた刺客、オーダーオブオーストラリア(牡5)。ロマンティックは4歳クラシック三冠の後に外国馬不出走ながらクイーンエリザベス2世カップまでぶっこ抜くという離れ業を演じて香港中距離界に敵がいないことを証明しています。今季節復帰の前哨戦、ジョッキークラブカップを不利な大外枠を引きながら快勝。本番では3~4番手からパンサに襲い掛かかり、ジャックと追い比べになります。レイパパレジオグリフの日本勢3番手以上、ジャックより若干下の評価をしたいと思います。

そしてエイダンの秘密兵器、オーダーは昨年のブリーダーズカップ・マイルを1分33秒73の好時計で快勝しているように香港ヴァーズのストーンエイジ同様、北米の芝コースの適性あり。シャティン芝も全く問題ありません。日本勢3番手と同様と見ました。

パンサラッサを中心にジャックドール→ロマンティックウォーリアー→レイパパレジオグリフダノンザキッドという番付になりますが、さてこれをどう3連単、4連単に落としこむか、眠れぬ夜が続きそうです。甘粕代三畢生の予想は10日(土)夜公開、ご期待下さい。

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

【香港国際競走2022】レース展望③<香港マイル>香港馬2強に日本馬2強が踏破を図る、という図式

香港マイル(シャティン芝1600m)
香港マイラー陣はスプリント陣とならび世界に屹立してきました。この10年間で香港スプリントは日本馬はロードカナリア連覇と一昨年のダノンスマッシュの3勝を許しましたが、香港マイルモーリスアドマイヤマーズの2勝のみ。日本馬にとってマイルの頂はスプリント以上の高みにあります。

この頂きに日本から昨年の3歳マイル王、シュネルマイスター(牡4・手塚貴久厩舎)、2019年の2歳マイル王、サリオス(牡5・堀宣行厩舎)に今年の2歳マイル王、ダノンスコーピオン(牡3・安田隆行厩舎)、フランスでG1を勝ったオーストラリア馬のローズオブインディシーズ(牡4・A.ニーシャム厩舎)が登頂に挑みます。

今年はフルゲートに遥かに満たぬ10頭立てとなりましたが、香港マイルの頂が天に迫らんとしているからでしょう。その高き頂に蟠踞(ばんきょ)しているのが、日本にもその名が知れた香港三冠馬にして、このレース3連覇を虎視眈々と狙うゴールデンシックスティ(セ7・F.ルイ厩舎)です。香港デビュー以来、25戦22勝、負けた3走も負けに負けの理由あり。香港史上最強馬といって差し支えありません。
昨季は春のマイル王決定戦、チャンピオンズマイル(G1・シャティン芝1600m)を2馬身差で快勝して休養。今季は昨季と同じく前哨戦のジョッキークラブマイルから戦線復帰。ポン勝ちして王者の王者たる姿を見せてくれました。

これに続く香港第2の頂がカリフォルニアスパングル(セ4・A.クルーズ厩舎)です。この馬は私が最も親しくしている調教師、A.クルーズの管理馬。香港に渡航できなかったこの3年間、国際競走の前には日本馬の敵情偵察で電話をかけてきてくれるのですが、昨年も一昨年も国際競走に出走しない前に、「うちの厩舎には逸材がいる」と強調していたのがこの馬でした。
スパングルはトニーの期待に応えて昨年の4歳三冠シリーズの前に6戦して5つの勝ち星をあげ三冠に臨み緒戦のクラシックマイル2着、第2レグのクラシックカップを快勝、第3レグの香港ダービーは頭差2着と準々三冠の好成績を残します。その勢いを借りて昨季春のマイル王決定戦、チャンピオンズマイルでは絶対王者、ゴールデンの胸を借りると弱冠4歳馬ながら2馬身差の2着。香港マイラー陣に新星が現れたことを強く印象づけました。

今季は若馬らしく早めに仕上げて9月25日のセレブレーション・カップ(G3・シャティン芝1400m)で戦線復帰すると2馬身差の快勝。続くシャティン・トロフィー(G2・シャティン芝1600m)もダントツの1番人気1.3倍に応えてぶっこぬくと前哨戦で絶対王者の胸に再びぶつかっていきます。この前哨戦では休み明け連勝のスパングルが単勝1.6倍と目が高い香港競馬ファンは休み明けのゴールデンよりも高い評価を与えたのです。
スパングルは2度目の挑戦でも絶対王者の軍門に屈しましたが、着差は首! チャンピオンズマイルの2馬身差から大きく縮めて天の頂に迫って見せたのです。この馬の強みは強力な逃げにあります。これまでの13戦、ハナを譲ったことは一度としてなく、道中交わされたとしてもしぶとく逃げ残る。これで13戦全連対を果たしてきたのです。今年は10頭の小頭数、スパングル以外に逃げ馬は見当たりません。一方のゴールデンは中団かさらに後ろから直線勝負の馬、ペース次第では前走首差を逆転させることも十分可能と見ます。

この2強に続く香港第三の男がワイクク(セ7・J.サイズ厩舎)です。昨季スチュワード・カップではゴールデンにあっと言わせたクラッチヒッター。その裏返しで好走と凡走を繰り返すわけですが、前哨戦では2馬身3/4差の3着と2強には及びませんでしたが、4着には2馬身1/4としっかり力の差を見せました。4着モアザンディス(セ6・C.シャム厩舎)、エクセレントプロポーザル(セ6、J.サイズ厩舎)はこの着差では挽回は厳しく、2000mの前哨戦、ジョッキークラブカップ7着から路線を変更して香港マイルに臨むビューティージョイ(セ6・A.クルーズ厩舎)はいくらなんでも家賃が高すぎ、ここでは馬場掃除の評価しかできません。

対立の構図は香港2強いずれが高いか測りかねる最高峰に日本勢が踏破を図る、という形。連なる二つの高き頂から最も近い高みにいるのはラストランにメイチの仕上げで臨み、世界の盟主R.ムーアを鞍上に迎えたサリオスと見ました。日本の秋G1シリーズでカタカナ名騎手が上位を独占したことが物語るように日本の騎手と外国人、特に欧州競馬シーズン閉幕後、短期免許を取得して来日する世界の名手との技量差は歴然。マイルCSでは3着と惜しい競馬になってしまったR.ムーアは勝手知ったるシャティンのマイル戦で前走の雪辱に燃えているはずです。
これに続くのがシュネルマイスター。こちらもマイルCSは不本意な競馬、ここでは今春のドバイ遠征の経験が着てくるはずです。

香港2強に日本の2強がどこまで迫れるか、香港マイルの焦点はここに尽きます。いずれも人気を集めると思いますので、買い目を絞って3連単勝負が王道、私は香港で4連単で大勝負をかけ田園調布に家が建つ甘い夢を見ることにします。甘粕代三の渾身の予想は12日(土)夜公開、ご期待下さい。

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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【香港国際競走2022】レース展望②<香港スプリント>日本馬ではG1未勝利ながらメイケイエールを最上位に

香港スプリント(シャティン芝1200m)
あのロードカナロアが世界最強の香港スプリンター陣の牙城、香港スプリントの厚い壁を破って日本馬として初の凱歌を上げてから10年が経ちました。そのカナロアが連覇し、一昨年にはダノンスマッシュが鬨の声を上げて10年で3勝と日本のスプリンターも世界に通用することを証明しました。今年は何と、何と日本から史上最多の4頭が名乗りを上げています。

昨年このレース2着と涙を飲んだレシステンシア(牝5・松下武士厩舎)が雪辱にかけ、気性難を克服したメイケイエール(牝4・武英智厩舎)は初のG1に虎視眈々。今年の高松宮記念であっといわせたナランフレグ(牡6・宗像義忠厩舎)がもう一発を狙えば、あの名牝馬ビリーヴの子にして前走スプリンターズSで母子2代制覇を橋とげたジャンダルム(牡7・池江泰寿厩舎)は母の成し遂げられなかったこのレース制覇に狙いを付けました。頭数は史上最多、質的にも史上最高といって差し支えありません。

しかし、競馬は相手あってのもの。世界最強の香港スプリンター陣は、というとエアロベロシティ、ミスタースタニングなど世界レベルの強豪が引退し、世代交代の端境期の真っただ中にあります。香港勢の総大将格はチェアマンズスプリントプライズ一昨季、昨季と連覇したウェリントン(セ6・R.ギブソン厩舎)なのですが、今季は使い始めのプレミアム・ボウル(G2・シャティン芝1200m)では135ポンド極量を背負いながら圧勝し、その力を見せつけましたが、トライアルのジョッキークラブ・スプリント(G2・シャティン芝1200m)は1.9倍と圧倒的な一番人気に押されながら直線伸びを欠いて6着。謎の敗退にジョッキークラブは馬体検査を行いましたが何の異常は求められませんでした。本番までの間にどれだけ復調してこられるのか? 若干の心配を感じざるを得ません。

これに昨年のこのレースで単勝22倍の大穴をあけたスカイフィールド(セ6・C.ファウンズ厩舎)はその後勝ち星を上げられず、前走トライアルもいいところなしの8着。横綱、大関が不振とは我が国の大相撲もいいところですが、層の厚い香港スプリンター陣には必ず新星が現れます

それがトライアルを快勝したラッキースワイニーズ(セ4・K.マン厩舎)。芳紀まさに4歳と新星にふさわしく、昨季デビュー以来、シャティン1200mだけ使われて10戦7勝2着2回3着1回と着外なしの好成績。今季クラス1を快勝してプレミアム・ボウルでウェリントンの1馬身差2着、トライアルを快勝して香港スプリント制覇に大手をかけました。本番でも香港現地1番人気は必至でしょうが、モレイラなき後の香港リーディングジョッキー、Z.パートンが引き続き手綱をとる以上、恥ずかしい競馬のあろうはずもなし。この馬が中心と見ています。

この2頭以下は端境期らしく帯に短し襷に長し。トライアル上位の2頭、ラッキーパッチ(セ6)とデュークワイ(セ7)は今季新規開業の新人調教師、P.ングの管理馬。P.ングは私がかねてから親しかったPはPでもピエールではなくピーター・ング元調教師の子息で、父親によれば自信満々。父が果たせ勝ったG1制覇を叶えてくれる、とのこと。2頭は決して若馬ではありませんが、調教師の新星にも大いに期待したいところです。

このレースは日本馬対ウェリントン、ラッキースワイニーズ、ラッキーパッチ、デュークワイの対立構図は極めて拮抗している、と見ています。電撃の6ハロン故、枠の内外と一瞬の判断でレース結果は大きく変動します。枠順が決まってから最終的な判断をしますが、日本馬の中ではG1未勝利ながらメイケイエールを最上位と見ます。

7日現地から入った極秘情報では、あの気性難のメイケイが豪州の盟主、J.マクドナルドを背に全く難しいところを見せず馬場入り、軽快にキャンターを見せたとのこと。骨折のために香港渡航が出来なかった池添謙一騎手にはきつい言い方になりますが、彼とマクドナルドの間には3馬身以上の技量差があります。気性難さえ出さなければ、あのソダシの近親はソダシ以上の実力を発揮できるはず。頭すら霞んで見えてきます。日本馬グランドスラムの可能性、と前回書いたのは、この馬の存在があるからです。それも内外の有利不利が大きいシャティン芝1200m、枠順抽選会の結果が待たれるばかりです。

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。

 
甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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【香港国際競走2022】レース展望①<香港ヴァーズ>日本勢2頭でワンツーは既に指呼の間にあり!

ウマニティ会員の皆さん、お久しぶりです。甘粕代三です。コロナ禍の下、香港を訪れることなく3年が経とうとしています。今年は香港ジョッキークラブから10月早々に招待が来て3年ぶりの香港、今年も強烈な布陣を敷いた日本勢の晴れ姿を見ることに期待満々でありました。航空券もジョッキークラブが手配してくれ、いざ香港へと勇んでいた途端のことでした。私は体質的にワクチンを打てず、その証明があれば香港入境は可能なのですが、ジョッキークラブは3回以上のワクチン接種証明が競馬場入場の条件。何度も折衝したのですが、最後まで首を縦に振ってくれず泣く泣く諦めたのでした。

香港ジョッキークラブのワクチン対策は香港特区政府よりも厳格、調教師でもパドックに入ることを禁じられていました。昨年の国際競走、今年春のチャンピオンズデイともトップ調教師のアントニー・クルーズが日本勢の敵情偵察に電話をかけてきてくれましたが、騎乗指示は携帯で騎手にしなかればならない、口取り写真にも加われないとこぼしていました。この12月、トニーからはまだ電話がかかってきていませんが、調教師ですらパドックに入れない状況に変化はないものと思われます。日本や欧州から遠征したオーナー、厩舎関係者も日本より格段に厳しいコロナ対策に腰を抜かすことでしょう。

トニー、そして香港を代表する騎手から調教師に転じ、既に目を見張る成績を上げているダグラス・ホワイトら旧知から直前には日本馬の定常偵察の電話がひっきりなしにかかってくることでしょう。その時には此方もホスト香港勢の敵情を詳細にとって皆さんの馬券購入のお手伝いをさせて貰います。

さあ世界競馬の祭典、香港国際競走(HKIR)2022の4レースが11日に迫りました。今年は日本馬14頭が名乗りを上げています。この14頭は正に史上最強の布陣! いまだなしえていないHKIRグランドスラム、4レース総舐めに大いなる期待が持て、体を香港に置けずとはいえ馬券は香港の友人に託して買うことは可能です。香港に行けぬ仇は香港の馬券購入で大発財! 億万長者になってやろうじゃありませんか!
さあ、今年も出走順に日本馬総なめを基本とした徹底分析を今日から毎日1レースずつ、レース前夜にはわが生涯に悔いなし、億万長者の夢の予想をお届け致します。先ずは香港ヴァーズから参りましょう!

香港ヴァーズ(シャティン芝2400m)
今年は12月5日現在で登録馬はフルゲート割れの10頭のみ。この涙ながらの小頭数には香港ステイヤー陣営は元々手薄であることに加え、欧州勢とて仏凱旋門賞、英チャンピオンズSでシーズン閉幕、A級馬は休養放牧に入ってわざわざ香港にまで足を延ばしてくるのはAダッシュ級ばかり、という変わることない香港ヴァーズの悲哀がそのものずばり反映されています。

このメンバーなら7歳とはいえ香港ヴァーズ2勝を挙げ、これまでグローリーに2勝をプレゼントして今回は香港ラスト騎乗に燃えているあの雷神、J.モレイラを三度鞍上に迎えるグローリーヴェイズ(牡7・尾関知人厩舎)、オールカマー日経賞で並みいる牡馬を蹴散らせた文字通り男勝りの牝馬、ウインマリリン(牝6・手塚貴久厩舎)の日本勢2頭でワンツーは既に指呼の間にあり! 日本勢にとってはタダ貰いと言ってもいいレースです。今年の4レースの中で最も自信あり!

さて日本勢2頭を迎え撃つ地元香港勢から見ていきましょう。セニョールトーバ(セ5・C.ファウンズ厩舎)、パンフィールド(牡6・A.ミラード厩舎)とも手薄な香港ステイヤー陣営では屈指の存在です。レーティング上位のセニョールは昨季クイーンズマザーメモリアルカップ(G3・シャティン芝2400m)を勝ち、重賞ウィナーの仲間入り。その次走は香港で数少ない2400mのG1でシーズン末のステイヤー決定戦、ザ・スタンダードアンドチャータード・チャンピオンズカップ3着と遜色ないステイヤーであることを証明。今季はシャティン・トロフィー(G3・シャティン芝1600m)から使い始めて6着、距離を伸ばしてササレディースパース(G2・シャティン芝1800m)で3着、前哨戦のジョッキークラブカップ(G2・シャティン芝2000m)で3着と名伯楽、C.ファウンズが本番を見据えて組んだローテーションを着々と歩んできています。
注目しなければならないのがセニョールのスピード能力です。香港の芝コースは年々時計が早くなってきていますが、シャティン・トロフィーでは1分33秒84、ササレディースパースでは1分46秒63、ジョッキークラブカップでは1分59秒56と日本より時計一つ以上遅いと言われた香港では破格の時計で3走を駆け抜けています。手薄、手薄と言われてきた香港ステイヤー陣に終に新星が出現した、そんな印象を強くしています。

続いてパンフィールドですが、騙馬が殆どの香港では珍しい牡馬、それだけではなくチリ産という変わり種。一昨季の香港ダービー3着からザ・スタンダードアンドチャータード・チャンピオンズカップを制覇して香港ステイヤーの頂点に立ちましたが、その後は2シーズンで9走、昨シーズン使い始めのシャティン・トロフィーを勝った以外、低迷を続けています。今季もセニョールと同じステップで本番に臨みましたが、復調の兆しは見えず、狙いづらい一頭です。

さらにもう一頭、バターフィールド(セ7・C.シャム厩舎)はブラジルG1勝ちのあと香港に移籍。2400mのG1、クイーンマザーメモリアルカップを一昨季に勝ってはいますが、その後は重賞入着がせいぜい、前走は条件戦でも着外。ここではいくら何でも家賃が高すぎます。

さて欧州勢です。今年の凱旋門賞タイトルホルダー惨敗、ジャパンカップでの欧州勢惨敗を受けて、欧州と日本は同じ競馬でも相撲とプロレスほどの差があることを改めて痛感致しました。タイトルホルダーでも勝てないなら日本調教馬は永久に凱旋門賞は勝てず、ジャパンカップには欧州は永遠に馬場掃除となるでしょう。しかし、香港は日本より時計一つ遅く、欧州勢にも付け入るスキがあります。それをどこで判断するのか? それはアメリカ芝競馬の適性です。

アイルランド、否! 世界一の名伯楽、A.オブライエンは欧州だけではなくアメリカ、オセアニアまでの主戦場に適性をみて愛馬を出走させています。今年香港に送り込んできたのがストーンエイジ(牡3)。エプソム・ダービー(G1・エプソム芝2410m)6着の後、大西洋を渡って米ベルモント・ダービー(G1・ベルモント芝2000m)、サラトガ・ダービー(G1・サラトガ芝1900m)と英米ダービーを3走。大西洋を再び一跨ぎして愛チャンピオンズS(G1、レパーズ芝2000.)、英チャンピオンズS(G1・アスコット芝1990m)と古馬に揉まれ、三度大西洋を渡ってブリーダーズカップ・ターフ(G1・キーンランド芝2400m)に挑戦すると古馬に揉まれて一段と逞しさをましたストーンは並みいる古馬を押しのけて2着と大金星! 欧州の重い芝、北米の軽い芝いずれもこなしてきたストーンは香港にうってつけで欧州勢力の筆頭は間違いなくこの馬です。
ただ、今年既に7走、それも大西洋を三度、今回は太平洋をまたにかけるわけですから3歳の若馬にどれだけお釣りが残っているのか、それだけが気がかりです。

それ以外の欧州勢には現時点では全く食指が伸びません。このレース日本馬2頭、これに香港馬1頭、欧州馬1頭の競馬。いずれも人気を集めていますから、買い目を絞り込んでどう3連単と4連単に落とし込むか、それに今から頭を悩ましているところです。

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。

 
甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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過去10年の結果 ~香港ヴァーズ 2022~

開催日 勝ち馬 性齢 調教国 タイム 騎手 調教師
2021/12/12 グローリーヴェイズ 牡6 日本 2.27.07 J.モレイラ 尾関知人
2020/12/13 モーグル 牡3 アイルランド 2.27.21 R.ムーア A.オブライエン
2019/12/08 グローリーヴェイズ 牡4 日本 2.24.77 J.モレイラ 尾関知人
2018/12/09 エグザルタント セ4 香港 2.26.56 Z.パートン A.クルーズ
2017/12/10 ハイランドリール 牡5 アイルランド 2:26.23 R.ムーア A.オブライエン
2016/12/11 サトノクラウン 牡4 日本 2:26.2 J.モレイラ 堀宣行
2015/12/13 ハイランドリール 牝3 アイルランド 2:28.43 R.ムーア A.オブライエン
2014/12/14 フリントシャー 牡4 フランス 2:29.83 M.ギュイヨン A.ファーブル
2013/12/08 ドミナント 牡5 香港 2:27.29 Z.パートン J.ムーア
2012/12/09 レッドカドー セン6 イギリス 2:28.73 G.モッセ E.ダンロップ

歴史・概要 ~香港ヴァーズ 2022~

香港ヴァーズは香港競馬年度シーズンの最初の中長距離路線のGI競走。香港では2000m以上の競走があまり日程に組み込まれていないため、ヨーロッパなど他地区の競走馬が地元勢を圧倒する事が多く見られる。1994年に国際リステッドとして【香港国際ヴァーズ】の名称で創設され、2000年に【香港ヴァーズ】に改称された。
開催時期の影響もあり、一線級の日本調教馬は、ほとんど有馬記念香港カップへ向かう傾向にあり、賞金などの理由で有馬記念に出走できない馬の挑戦が多い。日本馬ではステイゴールド(2001年)、サトノクラウン(2016年)、グローリーヴェイズ(2019、2021年)、ウインマリリン(2022年)が優勝している。

挑戦した日本馬 ~香港ヴァーズ 2022~

ステイゴールド 1着/香港ヴァーズ(2001年)
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血統
父:サンデーサイレンス
母:ゴールデンサッシュ
成績
50戦7勝
7億6299万+120万USドル+800万香港ドル
主な勝ち鞍
香港ヴァーズ(GI)
ドバイシーマクラシック(GII)
目黒記念(GII)
日経新春杯(GII)
引退レースで掴んだ金メダル

 現在は3冠馬オルフェーヴルを輩出するなどトップサイアーとして活躍しているステイゴールド、その現役時代は決して平坦な道のりではなかった。2歳の12月にデビューし、5戦目で初勝利。その後2勝を条件戦で挙げるも京都新聞杯、菊花賞では見せ場なく敗退した。しかし、年が明けるとステイゴールドのその秘めた素質が徐々に花開く。天皇賞春(GI)で10番人気の低評価ながら2着に入ると宝塚記念(GI)2着、天皇賞秋(GI)2着、有馬記念(GI)3着、その翌年も宝塚記念(GI)3着、天皇賞秋(GI)3着と第一線で活躍。
 その実力は誰もが認めていたが、GIIでも勝ちきれない善戦マンという印象が強く、池江泰郎調教師は主戦の熊沢騎手から武豊騎手へ乗り代わりの決断を下し、目黒記念(GII)へ出走。2年9ヶ月ぶりの勝利を飾った。レース後、武豊騎手は「クラシック並の大拍手だった」と語るほど多くのファンが歓喜したレースであった。その翌年、日経新春杯(GII)で重賞2勝目を挙げたステイゴールドはドバイシーマクラシック(GII)に出走。12番人気の低評価であったが、前年のワールドシリーズ王者ファンタスティックライトを競り落とし、大金星を挙げた。
 その後も国内レースに出走するも勝ちきれず、迎えた引退戦、香港ヴァーズ。これまで49戦し、GI未勝利のステイゴールドがついに報われる。レースでは後方でじっと脚を溜め、直線勝負へ。残り200mの時点で先頭馬と5馬身以上あり、厳しい展開であったが、1完歩ごとに差を詰め、「まるで背中に羽が生えたようだった」と武豊が語る鬼脚で初GI制覇を引退戦で飾った。同レースは競馬史に残るドラマチックレースに数えられ、多くのファンの語り草になっている。

施行年馬名性齢騎手調教師着順
2022年ウインマリリン牝5D.レーン手塚貴久1着
グローリーヴェイズ牡7J.モレイラ尾関知人3着
2021年グローリーヴェイズ牡6J.モレイラ尾関知人1着
ステイフーリッシュ牡6C.ホー矢作芳人5着
2019年グローリーヴェイズ牡4J.モレイラ尾関知人1着
ラッキーライラック牝4C.スミヨン松永幹夫2着
ディアドラ牝5O.マーフィー橋田満4着
2018年リスグラシュー牝4J.モレイラ矢作芳人2着
クロコスミア牝5岩田康誠西浦勝一10着
2017年トーセンバジル牡5J.モレイラ藤原英昭3着
キセキ牡3M.デムーロ角居勝彦9着
2016年サトノクラウン牡4J.モレイラ堀宣行1着
ヌーヴォレコルト牝5岩田康誠斎藤誠4着
スマートレイアー牝6武豊大久保龍志5着
2014年カレンミロティックセン6池添謙一平田修5着
2013年アスカクリチャン牡6岩田康誠須貝尚介7着
2012年ジャガーメイル牡8D.ホワイト堀宣行2着