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クリストフ・ルメール(44)=栗・フリー=騎乗で1番人気のブレイディヴェーグが好位から抜け出してGⅠ初制覇。史上最少タイのキャリア4戦でビッグタイトルをつかんだ。管理する宮田敬介調教師(43)=美=は開業4年目でGⅠ初勝利。2着に5番人気ルージュエヴァイユ、3着に3番人気ハーパーが入った。連覇を狙ったジェラルディーナは5着だった。
◇
寒風が吹き抜けるターフで、ブレイディヴェーグが堂々と抜け出した。年長馬やキャリアで勝る同世代を一蹴。自身GⅠ3連勝を決めたルメール騎手も破顔一笑だ。
「緩い馬場で心配しましたが、軽い馬なので全然、問題なかったね。GⅠ3連勝することができて、うれしく思います」
スタートはいつも通りひと息だったが、冷静に促して5番手のインにつけた。抜群の手応えで直線に向くと、持ち前の瞬発力を発揮。追いすがるルージュエヴァイユを振り切って、わずか5戦目にしてGⅠのゴールに真っ先に飛び込んだ。
キャリア4戦で古馬GⅠを勝つのは、グレード制が導入された1984年以降では昨秋の天皇賞のイクイノックス以来、史上2頭目の快挙。これまでのエリザベス女王杯の最少記録は2002年ファインモーションの5戦(5勝)だったが、歴史を塗り替えた。
ただ、ここまで順風満帆だったわけではない。新馬戦と未勝利戦の後に骨折。体調も安定せず、春の牝馬2冠には参加できなかった。それでも重賞初出走だった前走のローズSでは2着に好走し、改めて潜在能力の高さを証明。優先出走権を獲得した秋華賞をパスして間隔をあけ、心身ともに研ぎ澄ましたことで好結果をつかんだ。
開業4年目の宮田調教師にとっては、これがうれしいGⅠ初制覇。「感謝の気持ちでいっぱいです。普段は割と冷静に見ている方なんですけども、直線は喉が痛くなるくらいに叫ばせてもらいました」とはにかんだ。
今後は未定だが「まだ伸びしろはあると思うし、またいい結果を出すことができる」と鞍上はさらなる進化を予感する。トレーナーも「男馬相手でもやれるんじゃないかなという可能性は秘めているので、ワクワクしています」と次なる大舞台を脳裏に描いた。
馬名の意味はオランダ語で「広い道」。最少キャリアでGⅠ馬となった3歳牝馬の未来は、明るく、大きく開けている。(増本隆一朗)
■ブレイディヴェーグ 父ロードカナロア、母インナーアージ、母の父ディープインパクト。鹿毛の牝3歳。美浦・宮田敬介厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲サンデーレーシング。戦績5戦3勝。獲得賞金1億7079万8000円。重賞は初勝利。エリザベス女王杯はクリストフ・ルメール騎手が2008年リトルアマポーラ、20年ラッキーライラックに次いで3勝目。宮田敬介調教師は初勝利。馬名は「広い道(オランダ語)」。
★マイルCSのシュネルマイスターでGⅠ4連勝へ
ルメール騎手は今秋、菊花賞(ドゥレッツァ)、天皇賞・秋(イクイノックス)に続きGⅠ3連勝。JRA・GⅠの連勝記録は、自身が2020年に記録した4連勝で天皇賞・秋(アーモンドアイ)、エリザベス女王杯(ラッキーライラック)、マイルCS(グランアレグリア)、ジャパンC(アーモンドアイ)と勝った。来週のマイルCSはシュネルマイスターで参戦予定。最長タイとなるか、注目だ。
≪エリザベス女王杯・アラカルト≫
◆キャリア4戦以内の馬によるJRA・古馬GⅠ制覇 グレード制を導入した1984年以降、2022年天皇賞・秋のイクイノックス以来、史上2頭目。
◆当レースでJRA・GⅠ初制覇 3年連続。古馬混合となった96年以降で15回目(外国馬は除く)。
◆ルメール騎手 20年ラッキーライラック以来3勝目。JRA・GⅠは今年5勝目、通算48勝目。重賞は今年15勝目、通算144勝目。
◆宮田敬介調教師 初出走で初勝利。JRA・GⅠは管理馬延べ6頭目の出走で初勝利。これまでの最高着順は21年日本ダービーのグレートマジシャン、22年菊花賞のドゥラドーレスの4着。重賞は今年2勝目、通算3勝目。
◆ロードカナロア産駒 2頭目の出走で初勝利。前回は22年ホウオウエミーズの7着。JRA・GⅠは今年2勝目、通算15勝目。重賞は今年9勝目、通算65勝目。
◆馬主…㈲サンデーレーシング 22年ジェラルディーナに次ぐ2年連続4勝目。JRA・GⅠは今年6勝目、通算73勝目。重賞は今年14勝目、通算236勝目。
◆生産者…ノーザンファーム 2年連続で通算11勝目。JRA・GⅠは天皇賞・秋に続く今年12勝目、通算197勝目。(他にJ・GⅠ3勝)。重賞はみやこSに続き今年43勝目、通算804勝目。今年のヴィクトリアマイルからJRA・GIレース実施機会10連勝。
◆関東馬の勝利 15年マリアライト以来8年ぶり。通算成績は関東馬15勝、関西馬31勝、外国馬2勝。
◆馬番①の勝利 14年ラキシス以来、通算4回目。
◆3歳馬の勝利 17年モズカッチャン以来。3歳以上のレースとなった96年以降で9回目。
◆関東馬によるワンツー 15年以来、通算3回目。
■入場&売り上げ エリザベス女王杯の入場者数は3万2908人で、阪神で行われた前年と比べて174・9%と増えた。売り上げは170億406万2500円で同89・5%と減少した。
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