2023年3月26日()メイダン競馬場 ダート2000m

レース結果 ~ドバイワールドカップ 2023~

  • 出走予定馬
  • 出馬表
  • レース結果



馬名 性齢 負担重量
(kg)
騎手 調教師 オッズ 人気
1 14 8    ウシュバテソーロ 牡6 57.0 川田将雅 高木登 9.6 4
2 1 13    アルジールス セ6 57.0 J.ドイル S&E.クリスフォード 6.3 3
3 6 2    エンブレムロード 牡5 57.0 A.アル・ファライディ A.アブドゥルワーヒド 51.1 11
4 13 6    テーオーケインズ 牡6 57.0 O.マーフィー 高柳大輔 21.1 8
5 5 12    クラウンプライド 牡4 57.0 D.レーン 新谷功一 31.2 10
6 2 7    ベンドゥーグ 牡4 57.0 C.スミヨン B.シーマー 85.9 13
7 4 14    カントリーグラマー 牡6 57.0 L.デットーリ B.バファート 2.1 1
8 11 4    サルートザソルジャー セ8 57.0 A.デフリース F.ナス 77.4 12
9 10 1    リモース セ6 57.0 T.オシェア B.シーマー 236.1 15
10 9 15    パンサラッサ 牡6 57.0 吉田豊 矢作芳人 5.7 2
11 7 9    ジオグリフ 牡4 57.0 C.ルメール 木村哲也 16.9 5
12 3 10    カフェファラオ 牡6 57.0 J.モレイラ 堀宣行 29.0 9
13 15 5    ヴェラアズール 牡6 57.0 C.デムーロ 渡辺薫彦 17.9 7
14 12 11    スーパーコリント 牡4 57.0 H.ベリオス A.サンチェス 112.6 14
15 8 3    ジュンライトボルト 牡6 57.0 R.ムーア 友道康夫 17.1 6

■払戻金

単勝14 960円
複勝14 330円
1 220円
6 880円
馬連1-14 3,440円
ワイド1-14 1,230円
6-14 8,080円
1-6 2,810円
馬単14-1 7,340円
3連複1-6-14 42,030円
3連単14-1-6 266,850円

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※レース結果・払戻金・オッズなどのデータは、必ず主催者(JRA)発行のものと照合してください。

最新出走予定馬情報 ~ドバイワールドカップ 2023~

29日東京大賞典で連覇を飾ったウシュバテソーロ(美・高木、牡6)は30日朝、美浦トレセンで元気な姿を見せ、厩舎周りの運動を行った。「特に疲れもないですし、脚元も大丈夫です。今後はドバイWC(3月30日、メイダン、GⅠ、ダ2000メートル)が目標。その前にサウジC(2月24日、キングアブドゥルアジーズ、GⅠ、ダ1800メートル)を使うかどうかは、様子を見ながら考えます」と高木調教師。

【日本テレビ盃】ドバイWC覇者ウシュバテソーロが力の違い見せる09月27日(水) 09:00

伝統のダートグレード『第70回日本テレビ盃』(JpnⅡ、ダ1800メートル)が27日、船橋競馬場で行われる。今年のGⅠドバイワールドカップを制したウシュバテソーロが帰国初戦を迎える。他にも前走のGⅢエルムSを勝ったセキフウや、JDD3着馬ミトノオーなど実力馬が顔をそろえた。JBC競走の前哨戦〝Road to JBC〟として位置づけられている一戦を制して、本番に弾みをつけるのはどの馬か―。

ウシュバテソーロが世界を制した豪脚を披露する。昨年暮れの東京大賞典でGⅠ初制覇を決めると、前走のドバイワールドCでは海外の強豪を撃破し、一気に世界の勢力図を塗り替えた。米国GⅠを見据えた仕上げでも、実力の違いを示すに違いない。斤量や展開、距離適性でアドバンテージがあるミトノオーとの首位争いが有望。セキフウは包まれずに運べる大外枠は歓迎で、引き続き上位争いになる。

2日目も良で行われ、時計は水準級。前日より差しが決まる場面が増え、脚質による有利不利は見られなくなった。3日目は不安定な天候との予報だが、極端に悪化しなければ同様の傾向が続く。

◆川島正太郎騎手「展開ひとつですね。一時期より時計が速くなったけど、有利不利のない馬場だと思います」

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ドバイWC快勝のウシュバテソーロは秋まで休養 凱旋門賞や米BCが選択肢に03月29日(水) 11:58

ドバイワールドカップを快勝したウシュバテソーロ(美・高木、牡6)は、暑さに弱い面を考慮して秋まで休養に入る見込み。高木調教師が29日に明らかにした。

今秋は国内外の大レースをターゲットにしていく予定で、高木師は「凱旋門賞(10月1日、パリロンシャン、GⅠ、芝2400メートル)も選択肢のひとつですし、アメリカのブリーダーズC(11月3・4日、サンタアニタパーク)もあります」と話した。世界一に輝いたレースについては「1コーナーで姿が見えなくなってしまったのでどうかと思ったのですが、勝負どころでハミを取ってくれたのでこれならと思いました」と笑顔で振り返っていた。

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【ドバイ国際諸競走】今年引退デットーリ騎手「海外快進撃の日本馬止める!」03月24日(金) 04:56

【ドバイ(UAE)23日=内海裕介】25日に迫ったドバイ国際競走各レースの枠順が発表された。パンサラッサなど日本馬8頭が出走するワールドCで、最大のライバルとなる米国馬カントリーグラマーの手綱を取るランフランコ・デットーリ騎手(52)=イタリア出身、英拠点=が会見に臨み、日本馬への警戒感と勝利への自信をみせた。年内で引退を発表したレジェンドのラストドバイで、どんな騎乗をするかも大きな注目だ。



レジェンドの中のレジェンドがまた一つ、偉業を付け加える。今年限りで現役引退を表明している〝フランキー〟ことランフランコ・デットーリ騎手が、昨年Vの相棒カントリーグラマーでのドバイワールドC有終の美へ。その集中力を高めている。

大勢の各国メディアが待ち受ける会見場に姿を現しただけで、その場が華やかになるスーパースター。陽気な笑顔を携えつつ、歴代単独最多となる5勝目への手応えを語り始めた。

「カントリーグラマーはいつも前向きで、最後まで全力を出し切ってくれる素晴らしい馬です」

パートナーは本格化した4歳以降、ダートで9戦して連対を外していない猛者。自身の手綱でも2戦負け知らずだったが、前走のサウジCではパンサラッサの逃げ切りを許した。「日本の馬はほとんどがGⅠを勝っている。強力なメンバーだし、今年のワールドCは非常に混戦だ」とトップクラス8頭が顔をそろえる日本の布陣に警戒感を隠さない。それでも「カントリーグラマーは素晴らしい。ひとつ言えるのは、これ以上のパートナーは望めないということだ」と、この馬への信頼感は桁違いだ。

長く世界の頂点に立ち続ける至宝へ、他にも有力馬の騎乗依頼が当然のごとく集まった。

「ロードノース(ターフ)は調教で騎乗したがいい状態だと思うよ。セニョールトーバ(シーマC)は人気薄かもしれないけどファウンズ調教師の馬なのでふたつ返事で引き受けた。バファート厩舎の2頭(UAEダービー=ウスター、Gシャヒーン=ホプキンズ)のレースも混戦でしょう」

秋の米GⅠブリーダーズCが引退の花道となる予定だが、「最後のシーズンだからね。もしかするとその後に日本やオーストラリアに行くことになるかもしれない」と夢のラスト来日へ含みを持たせたフランキー。いずれにせよ、その手綱さばきを見られる機会は多くない。大攻勢の日本勢の前に立ちはだかるレジェンドの雄姿を目に焼き付けろ。

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【ドバイ国際諸競走】イクイノックス&ジオグリフ 木村哲也厩舎の2頭はダートコースで調整03月22日(水) 09:00

シーマクラシックで海外デビューを迎える昨年のJRA賞年度代表馬イクイノックスと、サウジC4着からワールドカップに転戦するジオグリフの木村厩舎2騎は、ともにダートコースでキャンター調整。イクノックスは2周、ジオグリフは2周半ほど流した。木村調教師は、「イクイノックスはナーバスなところがあり、時間をかけて(馬自身が)どう受け入れてくれるか。検疫もあって最初は苦労したが、滞在競馬なのでそこを最大限に生かしたい。ジオグリフはサウジでいい競馬をしてくれたし、環境の変化にも対応できている。しっかりした調教ができています」と話した。

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【ドバイ国際諸競走】福永祐一新調教師がサポート!シャフリヤール&ヴェラアズールの調教に騎乗03月22日(水) 07:26

【ドバイ21日=内海裕介】25日の国際諸競走に参加する日本馬がメイダン競馬場で調整を行い、1日に騎手から転身したばかりの福永祐一調教師(46)=栗=も参加した。ドバイシーマクラシックの連覇を目指すシャフリヤールドバイワールドカップに挑むヴェラアズールにまたがり、万全の態勢づくりにひと役買って出た。

異国の空の下、技術調教師としての仕事がスタートした。夜明け前の暗闇のなか、ダートコースをキャンターで流したシャフリヤールの馬上には、一昨年の日本ダービー制覇時のパートナーである福永調教師の姿が。続けてデビュー当初に手綱を取ったヴェラアズールにも騎乗。若手騎手さながらに汗びっしょりで引き揚げてきた。

「いいね。シャフリヤールは海外遠征も慣れているし、いい状態で持っていける。ヴェラアズールは来た当初はナーバスな面を見せていたけど、日に日に慣れてきて、きょうが一番感じは良かった」

先週の火曜日にドバイ入りし、翌日から調教に参加。両馬とも管理する立場にはないが、GⅠに向かう仕上げの最終プロセスを、来年3月予定の開業前に身をもって体験できるチャンスに飛びついた。「もともと国際レースは好き。1日1日で変化していく馬に、どう合わせて調教するか考えて、それに応えて変わってくれるのがうれしい。(自分の)これからの仕事はこれになるんだし、研修も兼ねていい経験になっています」と調教師としての醍醐味(だいごみ)を改めて実感。レース当日まで精いっぱいのサポートを続ける。

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ドバイワールドカップデーに騎乗する騎手6人が海外渡航届提出03月16日(木) 15:45

JRAは16日、ドバイワールドカップデー(25日)に騎乗する騎手6人が海外渡航届を提出したことを発表した。提出したのは栗東所属が武豊(54)=フリー、川田将雅(37)=フリー、クリストフ・ルメール(43)=フリー、坂井瑠星(25)=矢作、美浦所属が吉田豊(47)=フリー、三浦皇成(33)=鹿戸=。

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ドバイワールドカップのジュンライトボルトは引き続きムーア騎手03月09日(木) 14:48

サウジカップ7着のジュンライトボルト(栗・友道、牡6)は、ドバイワールドカップ(25日、メイダン、GⅠ、ダ2000メートル)で引き続きライアン・ムーア騎手(39)=英国=とコンビを組むことが9日、明らかになった。友道調教師は「前回に続いてムーア騎手です。一度乗ってもらっているのでね」と、コンビ&海外2戦目での前進に期待を込めた。

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テーオーケインズ、ドバイWCでマーフィー騎手に依頼03月04日() 15:28

一昨年の最優秀ダートホースで、川崎記念2着テーオーケインズ(栗・高柳大、牡6)が、ドバイワールドC(25日、メイダン、GⅠ、ダ2000メートル)でオイシン・マーフィー騎手(27)=英国=と新コンビを組む見込みであることが分かった。高柳大調教師は4日、「依頼をしている状況です。(騎乗が決まれば)現地で追い切りに騎乗してもらいます」と説明した。

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ジオグリフはドバイWCへの転戦を視野02月26日() 15:02

初めてのダート挑戦だったサウジCで4着のジオグリフ(美・木村、牡4)は、選出されればドバイワールドカップ(3月25日、メイダン、GⅠ、ダ2000メートル)への出走を視野に入れる。馬主のサンデーサラブレッドクラブが26日に発表した。

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厳選コラム ~ドバイワールドカップ 2023~

ドバイワールドカップデー展望第3回を公開した直後、ドバイターフの大本命に推したドウデュースが突如出走を取り消しました。その速報が伝えられたドバイのプレスルームは騒然。それもそうです。友道調教師とは夜明け前にメイダン競馬場で会ってドウデュースに自信満々のコメントを聞いていたのですから。取消発表の後、友道調教師とは会っていませんが、JRAの発表によれば左肢に跛行が原因。大本命に推していただけに残念でなりませんが、前途ある馬だけに出走取消を決めた友道調教師の決断を支持せざるを得ません。

気を取り直して残る2レースを展望します。最後の1回に2レース、字数も限られているため急ぎ足になってしまうことをお許し下さい。


ドバイシーマクラシック(芝2410m)
僅か10頭立てと寂しい顔ぶれとなってしまいましたが、これは昨年の年度代表馬イクイノックス(牡4・木村哲也)と昨年の覇者シャフリヤール(牡4・藤原英明)2頭が名乗りを上げたためではないでしょうか。当地21日、イクイノックスドバイワールドカップ出走の厩友ジオグリフの最終追い切りを終えた木村調教師は自信満々に語りました。
イクイノックスはいい動き、追い切りは上手く行った。美浦にいる時と同じくいい状態で、厩舎の仕上げは計画通りに出来た。ドバイの芝への適性は未知数だが、昨日午後雨が降って、その後も相当散水している。馬場も押し固めているようだ。気候、環境ともドバイは日本よりも良好。馬場の心配はしていない」
単勝2倍を確実に切る人気を背負うことになるでしょうが、この馬を抜きにこのレースを考えることはできません。

相手一番手も昨年の覇者シャフリヤールをおいてありません。追い切りに騎乗したかつての主戦、合格したばかりの福永祐一調教師に今朝(24日)シャフリヤールの状態を確認したところ、連覇に自信満々との由。イクイノックスシャフリヤール2頭を軸に考えれば、勝負馬券は3連単以外にありません。

もう一席も日本勢を中心にせざるを得ません。昨年12月香港ヴァーズを勝ってG1女王となったウインマリリン(牝6・手塚貴久)は世界一高速馬場の日本では時計半分足りないものの、日本よりも時計半分から一つ重い香港シャティンの芝で本懐を遂げたように、シャティン芝に極めて近いメイダンへの適性はイクイノックスシャフリヤールよりも上。逆転の可能性を否定することはできません。

ドバイの経済低迷から不振をかこつゴドルフィンですが、この舞台に取って置きの切り札を送り込んできました。レベルスロマンス(英・セ5・C.アップルビー)です。一昨年のUAEダービー勝ち馬が昨年6月から芝、それも2400mの選手権距離を使い始めるとリステッドレースからブリーダーズカップターフまで破竹の5連勝で芝ダート兼用のG1ホースに上り詰めました。芝も重い欧州、軽い北米と兼用、メイダンの芝に一転の心配もありません。純正のゴドルフィン生産馬とし上記日本馬を一気に交わす爆発力があることに留意しなければなりません。日本勢が人気を集める日本で人気薄になるようであれば、単勝の妙味に千両以上の魅力を感じています。

上記4頭に迫る可能性を唯一持つのは昨年のアイルランドダービー馬ウエストオーバー(愛・牡4・R.ベケット)までと見ています。この5頭をどう3連単に組み立てるか、このレースの焦点はこの一点に絞られます。


ドバイワールドカップ(ダート2000m)
日本勢が出走15頭の過半数となる8頭を占めました。ダート馬天国の北米勢に圧倒されてきたドバイワールドカップの歴史を振り返ると正に隔世の感があります、日本馬でここで凱歌を上げられたのは、ヴィクトワールピサ。2011年東日本大震災のあの年まで遡らなくてはなりません。

さて字数も尽きつつあるので、まずは私の本命から手短に書かせて下さい。サウジカップからここの連覇を狙うパンサラッサ(牡6・矢作芳人)です。当地22日夜、枠順抽選会からホテルへの帰途、担当の池田厩務員と同じバス、それも隣席に乗り合わせました。昨年ドバイターフで長い写真判定をパドックの中で待ち、同着となって共に歓喜の涙を流して以来、一年ぶりに言葉を交わしました。サウジからの転戦で疲労が心配ではないか、と訊ねました。
「ドバイは厩舎の周りが静か。日本では車の僅かなエンジン音、鳥の声にも敏感で煩くなるパンサラッサがドバイでは落ち着きはらって状態は更によくなっているよ。何なら明日(23日)朝、パンサラッサを触らせてあげようか?」

余裕綽々の笑顔でした。しかし、枠順は逃げ馬には致命的な大外枠。これを今朝(24日)、朝食で一緒になった矢作調教師にぶつけました。
「中途半端な競馬はしない。何が何でもハナに立たせる。それでも保つのがパンサラッサですから」
ときっぱり。パンサラッサはハナ切れなければ後はどこにもいないという一介の逃げ馬ではありません。この馬を抜きに馬券を組み立てることはできない、と2人の談話から結論を得ました。

さて、パンサラッサを脅かす一番手はサウジカップ直線で日本勢上位独占の夢を打ち砕いたカントリーグラマー(米・牡6・B.バファート)。今回パンサが大外を引いてしまった分は前回の着差を詰めてくることでしょう。この2頭のほかにはカフェファラオ(牡6・堀宣行)、ジオグリフ(牡4・木村哲也)、クラウンプライド(牡4・新谷功一)のサウジカップ上位馬にダートでは底を見せていないウシュバテソーロ(牡6・高木登)、昨年のサウジカップ覇者エンブレムロード(サウジ・牡5・M.アルムロワ)までを相手に馬券を組み立てたいと考えています。明日25日(土)の予想公開をお楽しみに!

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースのドバイWCデー4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

【ドバイワールドカップデー2023】レース展望③ドバイターフはドウデュース鉄板!日本馬で上位独占も!!

ドバイターフ(芝1800m)
あのアドマイヤムーンが2007年に勝って以来15年(当時のレース名はドバイドューティーフリー)、14年ジャスタウェイ、15年リアルスティール、17年ヴィブロス、19年アーモンドアイ、昨年のパンサラッサとこのレースは日本勢の金城湯池ともいえます。私もジャスタウェイヴィブロス優勝の際にはオーナーとともにメイダン競馬場外埒沿いで声を張り上げ、歓喜の涙に震えたものでした。そして今年も4頭が名乗りをあげました。頭数こそ少ないものの少数精鋭と言っても決して過言ではありません。

その中でも特に昨年の日本ダービー馬、ドウデュース(牡4・友道康夫)に注目しています。ドウデュース皐月賞で1番人気となりながら後方に控え、直線で猛然と追い込んできたものの足を余して3着。帰途、前のタクシーに友道調教師を発見、電話をかけて皐月賞後のローテーションに関して電話で話したことを昨日のように覚えています。私は体型から見てマイルから2000mが適距離ではないか、と友道調教師に投げると、そうかもしれないと言いながら日本ダービーへと向かいました。オーナーサイドの強い意向だったと伝えられています。

超ハイペースだった日本ダービーを後方から行って見事に差し切りレコードタイムでダービーウィナーに輝きましたが、これは超ハイペースが生んだ展開のあや。その後のニエル賞、凱旋門賞は距離、欧州の重い芝に合う訳もないと見ていたら案の定の惨敗。休み明けの京都記念で復活し、ドバイではどのレースを狙うのかと注目していたら、選手権距離のシーマクラシックではなく1800mのこのレースでした。

ドウデュースは当地23日朝、最終追い切り。ドバイ入り以降2度目の追い切りでしたが、馬体ははち切れんばかり、持ち乗りを背に15‐15程度の軽いものでしたが、とても15‐15とは見えないほどの迫力を見せました(撮影も筆者)。


その直後に香港メディアのインタビューを受けた友道調教師の答えを耳にして、わが意を得たりと思わず膝を打ちました。問いかけは、2400mの日本ダービー、2200mの京都記念を勝った馬がシーマクラシックではなく1800mのドバイターフになぜ出走したのか、というものでした。友道調教師曰く
「体型を見て貰って分かるようにドウデュースはマイラー、歳を重ねてそれがはっきりとしてきました。メイダン1800mはワンターン、ドウデュースには最適の大舞台ですから」
そして、鉄板ですか? と問われると一言。「そう願っています」


このインタビューの通訳に駆り出されて、自らの相馬眼の確かさを確信、自信満々の友道調教師の一言から馬券は決まりました。ドウデュース1着固定の3連単、香港での4連単以外にありません。

紙幅も尽きてきましたので、当地23日段階でドウデュースに迫る相手を列記してドバイターフ展望を締めたいと思います。
日本勢ではダノンベルーガ(牡4・堀宣行)。ドウデュースと同じくハーツクライ産駒のベルーガですが、適距離はドウデュースよりも更に狭い1800m。堀厩舎は鉄砲好走が大の得意、長期休養明けの恣意は微塵もありません。

そして昨年の3歳マイル王、セリフォス(牡4・中内田充正)。ドウデュース、ダノンとは反対に1ハロン延長が鍵を握ります。これとてドウデュース日本ダービー同様、ペース次第で1ハロン延長はいかようにもなります。

外国勢ですが、このレースを連覇しているロードノース(英・牡7・J&T.ゴスデン)は昨年、パンサラッサと優勝を分け合った後に3連敗。休養明けの今年2月、ウィンターダービー(G3・リングフィールド・AW2000m)を圧勝。メイダン芝の適性も含めて無視はできませんが、7歳馬だけにフレッシュな日本4歳馬3騎以上の評価はできかねます。

この7歳の老雄よりは衰退著しいとはいえホスト国、ドバイの2騎を上位に評価しなければなりません。本来であれば本命級の馬を送り出してこなければならないホスト国、ドバイがこの2頭というところにも砂漠のエルドラドの凋落がここにも垣間見えます。マスターオブザシーズ(セ5・C.アップルビー)はG1未勝利ながら今年1月のザビールマイル(G2・メイダン・芝1600m)を先行抜け出しで優勝。3月前哨戦のジェベルハッタ(G1・メイダン・芝1800m)は後方から直線猛然と追い込んで勝ったアルファリークからクビ+クビ差の3着。ゴドルフィン期待の上り馬となりました。

また同厩のネーションズプライド(牡4・C.アップルビー)は昨年の英ダービー8着を皮切りにベルモントダービー(G1・ベルモント・芝2000m)2着、サラトガダービー(G1・サラトガ・芝1900m)では終に優勝と大西洋を跨いだダービー行脚をこなしたタフな馬。その後、ジョッキークラブダービー(G3・アケダクト・芝2400m)と連勝しブリーダーズカップターフ(G1・キーンランド・芝2400m)では3歳馬としては大健闘の5着の良績を残しました。今年の使い始め、ドバイミレニアムS(G3・メイダン・芝2000m)を快勝してゴドルフィンの総大将に大出世。少数精鋭の日本勢と迎え撃つ筆頭の座におわすのは、この馬をおいてありません。

その他見落としている馬がいないのか、あと2日足らずとなりましたが、これをしっかりとこなして日本時間25日(土)公開の予想に反映させます。暫しの御猶予をお願い致します。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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【ドバイワールドカップデー2023】レース展望②ドバイゴールデンシャヒーン

前回はレースに触れることなく、「ドバイの今」ばかりに終始してしまいました。ドバイに通うようになって十数年、コロナ禍の後の凋落ぶりには驚愕を隠しえず、饒舌に語りすぎてしまいました。ご寛恕下さい。
お待たせしました。日本で発売される4レースの分析に入ります。アタクシの自信あり! 実はこの4レースには入っていないのですが(笑)。

ドバイゴールデンシャヒーン(ダート1200m)
日本勢未勝利のこのレースに昨年、一昨年2着と涙を飲んだレッドルゼル(牡7・安田隆行)が3度目の挑戦。日本勢が勝鬨の声を上げる時がいよいよ到来したようです。レッドルゼルの執念をもちろん無視はできませんが、アタクシの期待、そして自信の一頭はレモンポップ(牡5・田中博康)です。

レモンポップフェブラリーSでG1ホースとなり、堂々とドバイに名乗りを上げてきました。しかし、ここまでには紆余曲折がありました。マイルのフェブラリーSを勝ったものの最適距離は1400m。根岸Sを勝って重賞ウィナーとなった直後、田中博康調教師とドバイ挑戦に関して電話で話をしました。田中調教師はゆったりとしたローテーション求めて根岸Sからドバイに直行したい意向でした。しかし、オーナーサイドの強い意向で1ハロン長いフェブラリーSを使わざるを得なくなってしまったのです。

オーナーサイドとはドバイ首長のシェイク・モハメドが日本に設けた競馬大本営、ダーレージャパン、即ち世界のゴドルフィン日本支店です。ダーレージャパンが開場して既に15年、生産馬からはG1ホ-スを輩出しているものの、自らの服飾で出走させた所有馬からはG1ホースを出すことはありませんでした。昨今は世界の競馬シーンで黄昏を感じさせる成績しか残せていないゴドルフィンとしては何としても日本でのG1の勲章が欲しかったのです。

レモンポップはオーナーサイドの期待に応えて横綱相撲といえるような堂々のG1初勝利をおさめました。レース直後に田中調教師に祝いの電話を入れたのですが、その声は思ったほど弾んではいませんでした。
「まだまだ足りないところがあるんですよ。1ハロン長いフェブラリーSは坂井君の好騎乗に助けられて勝ったようなものです。ローテーションは厳しくなりましたが、最適の1400mから1ハロン短い1200mならマイルほどの心配はありません」

田中調教師は謙虚を絵に描いたような誠実な人柄、その控えめな表現からは十分な自信が感じ取られました。中心はレモンポップで不動、さてレモンの前に立ちはだかるのはもちろん日本勢。前出のレッドルゼルは外せず、これに有終の美とまでは行かなかったもののリヤドダートスプリント3着と引退する福永祐一に快心のラストライドを飾らせたリメイク(牡4・新谷功一)、そのリメイクに僅かに及ばぬ4着だったジャスティン(牡7・矢作芳人)も挽回を図ります。

海外勢は昨年の覇者、スイッツァランド(首・セ9・B.シーマー・9‐3‐4‐12)、昨年BCスプリント2着のシーズィーロケット(米・セ9・P.ミラー・12-7-5-12)とも既に9歳、上がり目は期待できず、この2頭よりは格下ながらリヤドダートスプリント2着のガナイト(米・牡4・S.アスムッセン・7‐5‐1‐2)、ホプキンズ(米・牡5・B.バファート・3-3-0-1)、シベリウス(米・セ5・J.オドワイヤー・6-3-3-6)の3頭が前出老齢馬よりは遥かに上位。リメイクジャスティン以上レッドルゼル未満の評価をしたいと思います。特にL.デットーリ騎乗のホプキンズとR.ムーア騎乗のシベリウスからは目が離せません。

日本では日本の4頭が圧倒的な人気を集めること必至ですが、高配当は日本では人気薄の外国勢から。レモンポップから上記3頭の外国勢を買わない訳にはいかないと展望します。

さて、当地22日夕方から注目の枠順抽選。ドバイゴールデンシャヒーンよりも枠の内外が影響するドバイシーマクラシックドバイターフドバイワールドカップは枠順が決まってから展望させて下さい。
※外国馬馬名の後の丸括弧は調教国・性齢・調教師・成績の順。※国名:首=ドバイ


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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【ドバイワールドカップデー2023】レース展望①ドバイの光と深い影

ウマニティ会員の皆さん、お久しぶりです。甘粕代三です。ドバイに向かうエチオピアはアジスアベバ空港ラウンジで小稿を叩いています。ドバイは昨年のワールドカップ以来1年ぶりになりますが、胸の中は期待と不安に二分されています。期待は勿論27頭と史上最多の出走馬を数えた日本勢の活躍であることは言を俟ちません。

さて、不安です。皆さんはエルドラド金満ドバイのどこに不安などあろうか、とお思いかもしれません。しかしコロナ禍中の昨年、3年ぶりにドバイを訪れてその豹変、いや衰退ぶりに腰を抜かしたのです。ドバイと言えば世界一高く、そして世界一高価なホテル、ブルジュハリファに代表される砂漠の中のガラス張り高楼大厦が林立しています。そのガラスは砂嵐の中でも常に磨かれたように陽光を反射させ、眩しいほどでした。しかし、3年ぶりに昨年見た高楼大厦は光を失い、砂埃に煙っていたのです。

産油量が僅少のドバイは首長シェイク・モハメドの号令一下、観光と金融で立国し繁栄を築き上げてきました。これまでも金融危機に襲われながらシェイクの逞しい指導力で克服してきたのですが、コロナの猛威は凄まじいもので、ドバイに蝟集した世界中の金満家は途絶え、立国の二本柱の一本、観光は大打撃を受けました。また、上客中の乗客だったロシアのオリガルヒは昨年1月に勃発したロシア・ウクライナ戦争によって全く姿を消したのです。
観光と金融で繁栄を築き、エルドラド、ドバイに出稼ぎにきたアジア、中近東、アフリカの安価な労働力によって砂中の高楼大厦は日に何度も磨かれ、その光を保っていたのですが、コロナ禍とロシア・ウクライナ戦争はその安価な労働力をも維持できなくなったのです。

龍宮城もかくや、と眩しいばかりに輝いていたメイダン競馬場も例外ではありませんでした。砂埃に煙っていたばかりか、親交を結んでいた競馬開催のプロフェッショナル、お雇い外国人は一人としていなくなっていたのです。今や世界最高賞金の座をドバイ、ペガサスワールドカップから奪ったサウジアラビア、これを追いかけるカタールに高額の待遇で引き抜かれてしまったのです。

メイダン競馬場に隣接して6つ星ホテルと言われたメイダンホテルにはコロナ禍以前は世界のトップオーナー、トレーナー、ジョッキーが蝟集して宿泊。ここを訪れればありとあらゆる情報を手にすることが出来ました。しかし、昨年のメイダンホテルは僅かな部屋から照明が漏れるだけで開店休業状態。日本から駆け付けた某大オーナーも我々プレス用のホテルと棟続きで名ばかりの5つ星に宿泊していました。

ホテルマン、レストランのお給仕と折を見ておしゃべりしました。彼らは口を揃えてドバイは弱り目に祟り目、コロナ禍とロシア・ウクライナ戦争で財布の底が見え、あのシェイク・モハメドが幾度も隣接する兄弟首長国、アブダビを訪れて金策の相談をしている、とか。これが事実かどうか証明する術もありませんが、ドバイの巷間ではこうした危機が呟かれ続けていることは疑いようもない事実です。

さて、昨年のドバイワールドカップデーでは日本勢が5勝と史上最強の大活躍を見せました。これは日本馬の実力強化の結果であることに何の疑問も差し挟む心算はありません。しかし、競馬は相手あってのもの。昨年の結果をもう一度見てみれば、あの突き抜けるような青空の勝負服が質量ともに以前のようではなくなっていることがお分かりになるか、と思います。欧米豪の競馬関係者からシェイク・モハメドの競馬大本営、ゴドルフィンは大丈夫なのか、という不安の声が届きます。各地のセリで高額の取引がなく、大レースでの活躍もめっきりと減っている。日本のゴドルフィン=ダーレー・ジャパンはどうなっているのか? ドバイ自身は今どうなっているのか? そして今後はどうなるのか?

聞くところによれば皇太子は競馬に全く興味がなく、シェイク・モハメドに一旦緩急あればドバイの競馬は終わらざるを得ないだろう、との観測も漏れ聞こえてきます。
このあと数時間後にはドバイ空港に到着。高楼大厦は今年も砂塵にまみれているのか、それとも昔日の輝きを取り戻しているのか――そこからも今年のドバイワールドカップデーにおける日本勢の活躍が推し量れるかもしれません。

さて、明日から早朝の調教をじっくりと確認し、日本で発売される4レースの展望をお届け致します。本音を言わせて貰えるなら、自分の勝負レースは日本では発売されないUAEダービー(笑)。日本馬が出走するのに発売されないレースがあるなんでおかしいと思いませんか? どこで買うって? それは勿論香港です。香港に立ち寄って友人に馬券代託してきましたから。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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過去10年の結果 ~ドバイワールドカップ 2023~

開催日 勝ち馬 性齢 調教国 タイム 騎手 調教師
2022/03/26 カントリーグラマー 牡5 アメリカ 2.04.97 L.デットーリ B.バファート
2021/03/27 ミスティックガイド 牡4 アメリカ 2.01.61 L.サエス M.スティッドハム
2019/03/30 サンダースノー 牡5 UAE 2.03.58 C.スミヨン S.ビン・スルール
2018/03/31 サンダースノー 牡4 UAE 2.01.38 C.スミヨン S.ビン・スルール
2017/03/25 アロゲート 牡4 アメリカ 2.02.15 M.スミス B.バファート
2016/03/26 カリフォルニアクローム 牡5 アメリカ 2.01.83 V.エスピノーザ A.シャーマン
2015/03/28 プリンスビショップ セ8 UAE 2.03.24 W.ビュイック S.ビン・スルール
2014/03/29 アフリカンストーリー セ7 UAE 2.01.61 S.デソウサ S.ビン・スルール
2013/03/30 アニマルキングダム 牡5 アメリカ 2.03.21 J.ロザリオ G.モーション

歴史・概要 ~ドバイワールドカップ 2023~

ドバイワールドカップはアラブ首長国連邦のメイダン競馬場で行われる3歳以上のダート2000mの競走。1996年にシェイク・モハメドによって創設され、サウジカップが新設される2019年までは世界最高賞金のレースとして広く認知されている。日本を含む世界各地の一流馬が出走する。
日本馬では2011年にヴィクトワールピサが日本馬として初優勝。2023年のウシュバテソーロの勝利と合わせて計2勝を挙げている。

挑戦した日本馬 ~ドバイワールドカップ 2023~

ヴィクトワールピサ 1着(2011年)
血統
父:ネオユニヴァース
母:ホワイトウォーターアフェア(Machiavellian)
成績
15戦8勝
10億8502万円
主な勝ち鞍
ドバイワールドカップ(GI)
有馬記念(GI)
皐月賞(GI)
日本に勇気を与えた歴史的快挙

 日本馬史上初のドバイワールドカップ制覇、2010年度最優秀3歳牡馬に選出されたヴィクトワールピサ。デビュー前から多くの期待を集め、それに応えて続けたネオユニヴァース産駒の傑作である。1人気の支持を集めた新馬戦では後のジャパンカップ勝ち馬ローズキングダムに惜敗したものの折り返しの未勝利戦を難なく勝利で飾ると続く京都2歳ステークス、ラジオNIKKEI杯2歳ステークスと3連勝。翌年の弥生賞も直線詰まり気味で正味100mほどしか追えなかったが、エイシンアポロンを抑え込んで完勝した。迎えた皐月賞では最内を通る形でレースを進めると直線では絶望的な位置取りも僅かなスペースをこじ開けて優勝。父・ネオユニヴァースとの父子2代の皐月賞優勝となった。続く東京優駿では3着に敗れ、秋には海外遠征を敢行したが、ニエル賞(GII)で4着、凱旋門賞では7着に敗れた。帰国後初戦のジャパンカップでは3着となり、挑んだ有馬記念では好位を追走し、鞍上ミルコ・デムーロの強気のスパートに応えて早めに先頭に立つとブエナビスタらの追撃を振り切って優勝した。この年の皐月賞、有馬記念のGI2勝を挙げた実績を評価され、最優秀3歳牡馬に輝いた。
年が明けると選出されたドバイワールドカップへの出走に向け、ステップレースとして出走した中山記念を4馬身差の勝利。迎えたドバイワールドカップではスタートで後手を踏み、最後方からの競馬となるが、ペースが遅いと見るや向こう上面で一気の大まくりで2番手に進出。直線では今でも語り継がれるトランセンドとの日本馬2頭による激しい叩き合いを制して優勝。日本馬史上初のドバイワールドカップ制覇となった。鞍上のミルコ・デムーロは『震災で大変なこの時期、日本の皆様のためにも絶対に勝ちたかった』と馬上インタビューで涙ながらに答えた。日本に大きな勇気、希望を与えた日本競馬史に残る快挙としてファンに語り継がれている。

施行年馬名性齢騎手調教師着順
1996年ライブリマウント牡5石橋守柴田不二男6着
1997年ホクトベガ牝7横山典弘中野隆良競走中止
1998年キョウトシチー牡7松永幹夫中尾謙太郎6着
2000年ワールドクリーク牡5加藤和宏新井仁6着
2001年トゥザヴィクトリー牝5武豊池江泰郎2着
レギュラーメンバー牡4松永幹夫山本正司9着
2002年アグネスデジタル牡5四位洋文白井寿昭6着
トゥザヴィクトリー牝6O.ペリエ池江泰郎11着
2004年アドマイヤドン牡5安藤勝己松田博資8着
リージェントブラフ牡8吉田豊大久保洋吉9着
サイレントディール牡4武豊池江泰郎12着
2005年アジュディミツオー牡4内田博幸川島正行6着
2006年カネヒキリ牡4武豊角居勝彦4着
スターキングマン牡7O.ペリエ森秀行7着
2007年ヴァーミリアン牡5C.ルメール石坂正4着
2008年ヴァーミリアン牡6武豊石坂正12着
2009年カジノドライヴ牡4安藤勝己藤沢和雄8着
2010年レッドディザイア牝4C.スミヨン松永幹夫11着
2011年ヴィクトワールピサ牡4M.デムーロ松田博資1着
トランセンド牡5藤田伸二安田隆行2着
ブエナビスタ牝5R.ムーア松田博資8着
2012年エイシンフラッシュ牡5C.ルメール藤原英昭6着
スマートファルコン牡7武豊小崎憲10着
トランセンド牡6藤田伸二安田隆行13着
2014年ベルシャザール牡6C.ルメール松田国英11着
ホッコータルマエ牡5幸英明西浦勝一16着
2016年ホッコータルマエ牡7幸英明西浦勝一9着
2017年アウォーディー牡7武豊松永幹夫5着
ラニ牡4R.ムーア松永幹夫8着
アポロケンタッキー牡5C.ルメール山内研二9着
ゴールドドリーム牡4J.モレイラ平田修14着
2018年アウォーディー牡8武豊松永幹夫6着
2019年ケイティブレイブ牡6J.モレイラ杉山晴紀出走取消
2021年チュウワウィザード牡6戸崎圭太大久保龍志2着
2022年チュウワウィザード牡7川田将雅大久保龍志3着
2023年ウシュバテソーロ牡6川田将雅高木登1着
テーオーケインズ牡6O.マーフィー高柳大輔4着
クラウンプライド牡4D.レーン新谷功一5着
パンサラッサ牡6吉田豊矢作芳人10着
ジオグリフ牡4C.ルメール木村哲也11着
カフェファラオ牡6J.モレイラ堀宣行12着
ヴェラアズール牡6C.デムーロ渡辺薫彦13着
ジュンライトボルト牡6R.ムーア友道康夫15着