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日曜日に行われる菊花賞の出走馬について、血統的な舞台適性の有無を1頭ずつシンプルに考察していきます。予想の際にお役立てください。
①ザダル
姉を含む近い親族に重賞級はいないものの、祖母は北米G1馬の全妹にあたり、母系の系譜自体は悪くない。父のトーセンラーは現役時に菊花賞で3着、ほかマイルCS、京都記念などを制し、天皇賞(春)でも2着と京都コースでは距離を問わずに活躍した。母方はパワー&スピード型の北米血統ゆえに、少々の高速決着なら対応可能。道悪のセントライト記念でも崩れていないように、馬場の良し悪しに左右されない点は高く評価できる。京都巧者の父を思えば、ノーマークにはできない存在だ。
②ニシノデイジー
アグネスタキオンを母父に持ち、祖母はセイウンスカイ×ニシノフラワーの配合馬。母方に中山のG1ウイナーが並んでいる点が大きな特徴だ。ゆえに、中山→京都のコース替わりが大きなプラスに転じるとは言い難い。パフォーマンスが頭打ちになっている現状ではなおさらだろう。近い親族に重賞勝ち馬はおらず、活力面の後押しも期待できない。そのうえ、ハービンジャー産駒の菊花賞における成績もイマイチ。今回の舞台で好パフォーマンスを望むのは難しいのではないか。
③カリボール
母は短距離指向が強く、半兄には京王杯2歳Sを勝ち朝日杯FSでも奮闘したモンドキャンノがいる。父がジャスタウェイに変わった本馬は息の長い末脚を使えるマイル~中距離タイプだろう。近年の菊花賞で好走例が多い、サンデーサイレンス系×スピード母系配合馬である点は好感が持てる。一方で、気がかりなのは自身が挙げた3勝すべてワンターンの1800m戦だったこと。連対率100%の安定感は認めても、トラックを約1周半かつ3角の坂を2度昇降するコース形態、なおかつG1で評価を上げるには厳しい印象だ。
④ユニコーンライオン
父のノーネイネヴァーは仏G1モルニ賞(芝1200m)を勝ち、ブリーダーズカップターフスプリントでも2着に食い込んだ。半兄を含む近親のG1勝ち鞍もマイル以下と、一見するとゴリゴリのスプリンター一族のようにも思える。ただ、本馬は母父ハイシャパラル(サドラーズウェルズ系)の血が強く反映されたようで、勝ち星はいずれも1800~2000m。神戸新聞杯でも掲示板を確保しており、イメージ以上に距離延長適性が高い。上がりが極端に速くならないという前提で、ヒモに組み込む手もアリだろう。
⑤ワールドプレミア
母は独オークス3着馬。英プリンスオブウェールズS、ジャックルマロワ賞などG1 3勝馬のマンデュロを叔父に持ち、全兄のワールドエースは重賞2勝のほか皐月賞でも2着と奮闘した。ゆえに活力と底力の面でヒケをとることはない。持久力と速力を兼ね備えた牝系にディープインパクトを重ねているのだから、相応のポテンシャルを秘めているのは確か。父譲りの決め脚を活かせるような展開になれば、チャンスは十分にある。
⑥ディバインフォース
今年の目黒記念を制したルックトゥワイスを叔父に持ち、父は欧州キングマンボ系のワークフォース。距離延長自体は歓迎のクチだろう。ただし、脚が遅く札幌芝2600mでも追走に苦労している現状。京都で速い上がりを求められると間に合わない可能性が高い。かといって、渋い馬場になったとしても圏内まで届くかどうか。キングカメハメハを経由しない父ミスプロ系の菊花賞におけるパフォーマンスも芳しくなく、今回はハードな戦いが予想される。
⑦ヒシゲッコウ
4分の3同血馬の半兄ステルヴィオは昨秋のマイルCSを制覇。本馬は父がロードカナロアからルーラーシップに変わり、距離適性は長め。そのぶん、完成度が低い印象を受ける。父は2017年の勝ち馬キセキを輩出、5代母にシンボリルドルフを送り出したスイートルナを擁する構成に不足はないが、なにしろ重賞初挑戦の身。休養期間中に成長を遂げたとして、菊の舞台で勝ち負けまで持ち込めるかどうか。未知の魅力を加味しても、積極的には手が出ない。
⑧メロディーレーン
父は三冠馬のオルフェーヴル。母父のモティヴェーターは現役時に英ダービーを制し、種牡馬としては歴史的名牝トレヴを送り出している。額面上の配合だけなら通用してもおかしくないが、父系祖父ステイゴールドの隔世遺伝からくるものなのか、小兵と称するのもためらうほどの小さな馬体。JRAの最少体重優勝記録を更新したことは賞賛に値するも、さすがにここに入ると厳しい感は否めない。まずは無事に、ひとつでも上の着順を、といったところか。
⑨ヴァンケドミンゴ
皐月賞2着のサンリヴァルを全兄に持ち、祖母のウメノファイバーはオークス馬、近親には中山巧者のヴェルデグリーンの名がある。ゆえに、長丁場に適したスタミナを備えていると推察される。その点、距離が延びるのは悪くないのだが、戦績を見てもわかるように、上がりを要する競馬で力を発揮するタイプ。京都外回りで速い上がりを求められると辛い。上位争いに加わるには、持ち味の持久力を活かせる馬場、あるいは展開が不可欠といえよう。
⑩カウディーリョ
母のディアデラノビアは現役時に重賞3勝を挙げ、G1で3着3回。繁殖としても4頭の重賞好走馬を送り出している優良牝馬だ。とりわけ、京都芝コースとの相性がいい一族で、母はエリザベス女王杯3着、半兄ドレッドノータスは先日の京都大賞典のほか京都2歳Sで優勝。全姉ディアデラマドレもエリザベス女王杯で3着に好走している。兄姉の当地での活躍に加え、成長力に富む父系と母系であることを鑑みれば、軽くは扱えない1頭だ。
⑪シフルマン
半兄に万葉S2着のシャンパーニュ、阪神大賞典を制したギュスターヴクライを叔父に持ち、祖母は秋華賞馬でジャパンカップ2着のファビラスラフイン、3代母は仏G1カドラン賞(芝4000m)の勝ち馬。持久力とスタミナに優れた一族で、少なくとも距離延長に対する不安はない。その一方で重厚な構成ゆえに速い脚に欠けるのが悩みのタネ。今回の舞台で結果を残すには、早めに仕掛けて後続に脚を使わせる展開利、あるいは馬場悪化など上がりを要する状況がほしい。
⑫レッドジェニアル
さかのぼると、1907年に輸入されたフロリースカップにたどり着く在来牝系。代々重ねられてきた種牡馬として、本馬の父キングカメハメハなど、5頭の日本ダービー馬が名を連ねている。母のレッドアゲートはフローラSの勝ち馬、本馬自身も京都新聞杯を制しているように、重賞戦線でまだまだ活躍を見込める血筋といえよう。スローの上がり勝負にも対応できるし、数多くの長距離G1級を送り出した牝系なのでスタミナ面の裏付けもある。侮れない1頭だ。
⑬ヴェロックス
母のセルキスはドイツ屈指の名門牝系の出自。母父は持久力と底力を伝えることに長けたモンズーン。その母方にハーツクライ直仔のジャスタウェイを配しているのだから、距離延長に対する不安は少ない。ただし、欧州色が濃いぶん、速い上がりの決め脚比べはイマイチ。とりわけ、軽い芝の瞬発力勝負では後れをとりやすい。勝ち切るには一定以上の持久力を要求される競馬、あるいは自身から動いてロングスパート戦に持ち込むことが肝要となろう。
⑭サトノルークス
ローズS勝ちなど重賞戦線で活躍したタッチングスピーチの全弟。母は英マイルG1の勝ち馬、その全姉に愛7FのG1勝ち馬、近親にも欧米のG1馬が名を連ねる良質の牝系だ。ただし、母父にサドラーズウェルズそのものが配されているぶん、上がりの速い競馬に対する適応力が低い。それは過去の戦績が物語っている。持ち味を最大限に活かすためには、早めに仕掛けて我慢比べに持ち込む、もしくは消耗戦の展開が望ましい。
⑮ホウオウサーベル
半姉のビッシュは紫苑S勝ちのほか、オークスでは積極的に仕掛けて小差の3着。母方にはアカテナンゴ、ベーリングなど欧州各国のダービー馬がひしめき、父のハーツクライは典型的な中長距離馬。持久力に秀でた血統構成だ。戦績をみるに、それなりの瞬発力も秘めているようで、いかにも菊花賞向きに思えるが、父産駒の当レースにおける好走例はウインバリアシオンの2着1回のみ。そのあたりを踏まえると、中心とするには頼りない印象。近2走の内容をそのまま評価しての連下扱いが正解ではないか。
⑯ナイママ
ディープインパクト系×ナスルーラ系の配合は、2013年の2着馬サトノノブレスと同じ。母母父のロベルト系が当レースの活躍系統である点も好感が持てる。ただし、母に確たる繁殖実績はなく、近い親族に重賞勝ち馬はゼロ。ここに入ると活力、底力ともに物足りず、今回の舞台で変わり身を示せるだけの根拠に乏しいと言わざるを得ない。展開や馬場に恵まれたとしても、馬券圏内まではどうか。ここは様子見が賢明だろう。
⑰タガノディアマンテ
母タガノレヴェントンの産駒は、タガノエスプレッソとタガノトネールの重賞ホースを含め、デビューした馬はもれなくJRAで勝ち星を挙げている。ハズレのない堅実な一族だ。その反面、祖母から広がる親族をみると、G1で足りないタイプが多く、クラシックの舞台ではパンチ力に欠ける。血筋的に長い直線のコースは悪くないし、さかのぼればトゥザヴィクトリーにつながるファミリーだが、ここでは強調材料に欠ける感。父オルフェーヴルの爆発力を加味しても、印を打つのは躊躇してしまう。
⑱メイショウテンゲン
多数の優駿を輩出している、ディープインパクト×フレンチデピュティ配合馬。母は重賞2勝、エリザベス女王杯2着のメイショウベルーガというように、額面上の血統構成はG1でも通用する下地はある。一方で、サドラーズウェルズ×ドローンの配合馬である祖母が強く出ているせいか、現状はパワーと持久力が勝っている印象。それゆえ、スピード勝負になると分が悪い。上位争いに加わるには、上がりを要する馬場の出現、もしくは前崩れの展開が必須となる。
ウマニティ重賞攻略チーム
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