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第139回天皇賞・春(3日、京都10R、GI、4歳上オープン国際、定量、芝・外3200メートル、1着本賞金1億3200万円=出走18頭)古馬最高峰レースは、松岡正海騎乗で単勝12番人気のマイネルキッツが直線で抜け出して快勝。重賞未勝利、GI初挑戦での戴冠だ。3分14秒4(良)。今後は宝塚記念が目標だ。クビ差2着が4番人気アルナスライン、3着が5番人気ドリームジャーニー。18頭で開催された春の盾は91年を最後に1番人気が連敗中で今年もアサクサキングスが9着に完敗。3連単22万超馬券の波乱だった。
「チョリーッス!」。大波乱の結末で8万人を超えるファンのどよめきがおさまらぬ中、松岡騎手が最初に発した言葉だ。単勝12番人気での勝利に驚きはない。その裏にはジョッキーのファインプレーがあった。
「日経賞から天皇賞に向かってほしいとオーナーに進言しました。何回か乗って癖や性格をつかんでいたので。それが正しかったことが嬉しい」
中山金杯、AJCCを4着で終えたマイネルキッツは当初、中京記念に向かう予定だったが、松岡の進言で長距離路線へ変更。陣営も日経賞2着後にゴールデンウイークの渋滞を考慮して4月16日に栗東入りを決断。英知を結集した結果、初挑戦でGIタイトルを掴み取った。
鞍上の手綱さばきも冴えていた。1周目は中団のインで呼吸ピッタリ。いつもは序盤から追い通しのキッツだったが、国枝栄調教師が思わず「道中、スムーズにロスなく進んでいた。折り合いもついていたし、何かやってくれそう」と感じるほど余裕十分に追走した。勝負所の2周目の3コーナーの下りでスクリーンヒーローについて一緒に上がっていくと、ポッカリ開いた最内を迷い無く突いた。ラスト300メートルで先頭。外からアルナスラインが強襲してきたが、中距離路線で歯がゆいレースを続けた頃が嘘のような勝負根性を発揮。左ステッキに呼応してクビだけ差し返した。何度も左拳を突き上げた松岡は、04年イングランディーレ以来の関東馬の春の盾獲得に「やっと関東馬が勝てた」と喜びを爆発させた。
松岡は主戦を任されているマイネル軍団の馬では初GI。「これでオーナーにも大きな顔ができますね」と冗談を言いながらニッコリだ。国枝師も「いろんな理由があって栗東入りしたが、ようやく結果が出たね」と10年ほど前から続けている栗東滞在の成果に満足そうだ。
今後の目標は春のグランプリ宝塚記念(6月28日、阪神、GI、芝・内2200メートル)。次も早めに栗東入りし、万全を期す構えだ。「いつも善戦マンだったけど、これでいいリズムで行けそう。まだ強い馬はたくさんいるけど、五分の戦いをできるようにしたい」と松岡はさらに上を目指す。関東の期待を背負うマイネルキッツとの挑戦はまだまだ続く。(板津雄志)
6歳でGI初勝利
08年宝塚記念のエイシンデピュティ以来。また、6歳馬の優勝は95年ライスシャワー以来、14年ぶり。通算では4歳馬45勝、5歳馬20勝、6歳馬5勝で、7歳以上は未勝利。7歳以上は05年ビッグゴールド(7歳)の2着が最先着(47年は4歳馬限定、48~50年は4歳馬と5歳馬限定)。
重賞未勝利馬
重賞未勝利馬が天皇賞・春を制したのは80年ニチドウタロー以来、29年ぶり12回目。
松岡正海騎手
天皇賞・春は08年ドリームパスポート(9着)に次ぐ2度目の挑戦でV。GIは07年ヴィクトリアマイルのコイウタに次ぐ2勝目で、その時もマイネルキッツと同じ12番人気だった。重賞は今年のマーチS(エスポワールシチー)に次ぎ12勝目。
国枝栄調教師
天皇賞・春は04年ウインジェネラーレ(14着)、07年マツリダゴッホ(11着)に次ぎ3度目の挑戦でV。GIは07年有馬記念(マツリダゴッホ)に次いで5勝目。重賞は08年富士S(サイレントプライド)以来で20勝目。
JRAプレミアムレース
天皇賞(春)はJRAプレミアムレースで、払い戻し金(すべての式別)に売り上げの5%相当額が上乗せされた。単勝は通常4380円のところ、270円上乗せされて4650円。馬単は1420円上乗せで2万2530円。3連複は2050円上乗せで3万2390円。3連単は1万4020円上乗せで22万1080円となった。上乗せ額は計10億4861万850円だった。
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