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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~天皇賞・秋~

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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~天皇賞・秋~

●第144回天皇賞(秋)の全馬追い切り診断

アクシオン    
10月26日 美浦W        
66秒6-52秒3-38秒8-13秒1 直強め
   
余裕しゃくしゃくの相手に強めに追ってクビ遅れ、明らかに脚色は劣っていた。しかし、しっかり追えているので体調はいい。この馬の場合はすぐに太めになってしまうのがネックで、前走もまた体重が6キロ増えてしまい524キロの太めに。先週と今週の併せゲイコ効果で510キロ台に絞れての出走なら、札幌記念のハナ差2着からも3着争いくらいには加わっていい。

 
アーネストリー 
10月26日 栗東坂        
52秒0-37秒7-24秒8-12秒7 一杯追
   
ローテーションに狂いが生じた前走時とは違い、今回は何もかも予定通り、中間時計5本で最終追い切りを迎えられた。その最終追い切りは別掲の時計で一糸乱れぬ動き、完璧といっていい。タイプ的に追われての鋭さで勝負する馬ではないので、決してシャープさは伝わってこないのだが、完成されたというか、まったく動きにムダがない。昨年の3着馬は当時をしのぐデキで出走してくるが、果たして直線長い東京がベスト舞台かどうか。

 
エイシンフラッシュ
10月26日 栗東W 
81秒2-65秒7-51秒0-37秒2-11秒7 一杯追
   
9月の中旬から時計は長短14本、最終追い切りも併せ馬でいっぱいに追い切り、大きく2秒の先着、別掲の時計なら八分以上、いや九分の仕上げは間違いあるまい。テッポウ使いも4戦していずれも3着以上と久々を苦にしない。むろん、争覇圏の1頭だ。しかし、一見して完璧に見えたこの最終追い切り、抜け出した後の動きに難点があったように思う。力んでムダなところに力が入っているというか、硬さがあるというか。このあたりがやっぱり久々ではないかと、ちょっぴり不満を感じたのだ。追い切ったあとの良化に期待したい。

 
ジャガーメイル
10月27日 美浦P              
52秒9-37秒7-11秒8 G仕掛
   
前走は10ヶ月にも及ぶ長い休養明けにしては調教量が不足していたように思う。とすれば、ちょうどいい調教代わりになったはず。しかし、21日の1週前追い切りではポリトラック5F66秒3-37秒1-12秒5の時計は出たものの、本来のパワフルな動きとまではいかず、復調途上の感。今週は同じくポリトラックで4Fぽっきり、ラスト1F12秒を切ったとはいってもこの短めではそれも当然、迫力、鋭さが戻った内容ではない。完全復調にはもう少し時間がほしい。

 
シャドウゲイト
10月26日 美浦W        
68秒7-51秒9-37秒5-12秒5 馬なり
   
元気いっぱい、しかし、これは前走時も同じこと、それで前走・オールカマー9着がやっとだったのだ。9歳の秋を迎えた馬にこれ以上を望むのは酷。

 
シルポート  
10月26日 栗東坂        
53秒9-38秒3-25秒0-12秒5 末一杯
   
休み明けの毎日王冠を叩かれ上昇といいたいところだが、前走時、体重こそ8キロ増えていたもののほぼ仕上がっていたので大きな変わり身とまでは。動きはしっかり、追われての反応も悪くはないが、取り立てて強調するほどでもない。

 
シンゲン
10月26日 美浦W 
84秒1-69秒0-53秒7-39秒7-13秒3 G仕掛
   
かつては馬なりで速い時計がいくらでも出た馬である。それが前走時は6F83秒7-39秒5-13秒5でしかなかったし、今週もG前仕掛けても別掲の平凡な時計。動きが悪いわけではないが以前の勢い、迫力がなくなり、8歳の年齢を感じさせる。巻き返しは難しい。

 
ダノンヨーヨー
10月26日 栗東坂       
53秒6-38秒5-24秒8-12秒4 一杯追
   
ミッキードリームにいっぱい追って半馬身の遅れ、後方から追いかけたとはいってもこの遅れには不満が残る。ステッキが入ると反発するようによけいにアタマが高くなったところに、気の悪さも見えた。まだ本調子には欠けると見る。

 
ダークシャドウ   10月27日 美浦W              
53秒8-38秒6-12秒8 G強め
   
前走から中2週、速い時計を出す厩舎でもないので、別掲の最終追い切り時計でもいいのかも。少なくとも前走で究極の脚を使った反動はないようだ。しかし、最後併入に持ち込んだとはいえ、これは自身がG前伸びたというより、相手が待ってくれたから。この日、手綱をとったベリーは「100パーセントに近い」と絶賛したとのことだが、それほどの動きには私には見えなかった。意識して強くは追わず、これがこの馬に合った仕上げであることは百も承知だが、この大一番の最終追い切りがこの程度でいいのかとの疑問もわく。追い切り前日の計量では518キロあったそうな。仮に最終追い切りと当日輸送で10キロ減ったとしても、前走時の馬体重はキープしての出走ということになるが、もしレース当日、6キロ以上の体重減(500キロ以下)があるようだと危険が伴う。

 
トゥザグローリー
10月26日 栗東W 
82秒3-66秒1-51秒6-38秒3-12秒2 一杯追
    
攻め馬駆けすることでは定評のある馬だが、中間の併せ馬3回はすべて遅れ、今週もトーセンジョーダンに後れを取った。まったく余力のなかったG前の動きから判断しても、ひと叩きされてからの狙いが正解だろう。   

 
トーセンジョーダン
10月26日 栗東W 
82秒5-66秒3-51秒4-38秒1-12秒0 一杯追
   
トゥザグローリーと3歳1勝馬を加えての3頭併せ、いっぱいに叩きまくって2頭に1馬身先着した。先週までの太め残りもこれで解消されたと見ていいが、いかにもズブいというか、スピード感が伝わってこず、2000メートルはいささか距離不足の印象がした。

 
ナリタクリスタル
10月26日 栗東W        
67秒7-52秒4-39秒0-12秒0 一杯追
   
気の悪さも見せずに直線を迎え、ラスト1F12秒0なら、この馬としてはよく動いた方だろう。好調キープと判断するが、最後追い出されてからの動きには時計ほどの鋭さはなく、このメンバーでも戦えるだけの進境があったとは思わない。

 
ビッグウィーク
10月26日 栗東坂        
55秒1-38秒7-25秒4-13秒1 一杯追
   
アタマの高い、クビを使わない走法、ステッキへの反応も鈍く、時計はといえば別掲のように平凡、叩き2戦めでもよくなったところはどこにもない。


ブエナビスタ
10月26日 栗東W        
67秒6-53秒0-39秒0-12秒1 G一杯
   
昨年は有馬記念のあと年明けの2月に京都記念→ドバイ→ヴィクトリアマイル宝塚記念→休養、そして4ヶ月の休養、ブッツケで天皇賞。今年は京都記念を使わずに3ヶ月の休養、以後は昨年と同じローテーション。違うのは負けても連対を外さなかった昨年に対し、今年はドバイでデビュー以来初めての4着以下、8着に惨敗したこと。今年もすこぶる順調にきたここへの仕上げ過程、このレベルの馬なら、最終追い切りはこの時計で十分、併走遅れも気にしなくていいだろう。ただ、G前いっぱいに追い出されてからの2馬身遅れをもう一度観察すると、バテたとかそういうことではなく、抜かれてあきらめたというか、いやいやをしたかのような仕草にも見えた。つまり、もう全力で走りたくない。ひょっとすると、昨年までの闘争心はなくなっているかもしれない。体はよくいえば立派、疑ってかかれば太め、毛づやも急に気温が下がったせいか、光り輝いてはいなかった。

 
ペルーサ
10月26日 美浦芝        
65秒6-50秒1-36秒5-11秒2 馬なり
   
春の天皇賞以来のブッツケを選んだ。それだけに乗り込みは入念で9月21日の帰厩から坂路、ウッド、本馬場を併用して時計は10本以上、この6日に本馬場で5F60秒2-35秒1、20日の坂路では48秒9-36秒2と攻めに攻めてきた。おかげで馬体も絞れ、20日以降は気合い乗りも目立つようになった。今週はもう強く追う必要はないとの判断からだろう、本馬場で5Fから15秒5のゆったりとした入り、4F以降13秒台にピッチをあげて直線へ。道中は行きたがる馬を鞍上・横山典が抑えに抑えたこともあってややクビの高いフォームだったが、バネの利いたフットワークで6ヶ月の長い休み明けを感じさせないほど。半ばでGOサインが出ると大きく先行していた僚馬を並ぶ間もなく捕らえ、4馬身先着してのゴール。残り1Fからは重心も沈み11秒2の速さを追ったところなし。休んでいた間の成長が大きいので大幅に馬体重を増やしての出走になるかもしれないが、太めの心配は無用、がぜん要注意の存在となってきた。

 
ミッキードリーム
10月26日 栗東坂        
54秒4-39秒0-25秒0-12秒5 馬なり
   
いっぱいに追うダノンに馬なりで半馬身の先着、3連勝のあと、前走の毎日王冠でも3着した充実ぶりがなるほどとうなずける好ゲイコだった。以前は鞍上が叩いても押しても動かないようなところのあった馬だが、いまは自らハミをとり、走る気を前面に出して集中力もある。少しでも追えば相手馬を置き去りにしたであろう、しびれるような手ごたえと動きの鋭さ。毎日王冠の0秒1差を軽んじてはならない。 

 
メイショウベルーガ
10月26日 栗東坂        
54秒8-39秒8-25秒7-12秒5 G一杯
    
以前はもう少し鋭さを感じたものだが、今回は8ヶ月半もの長い休養もあるのだろう、バテずに上がってきた程度。それより、馬体がやけに白さを増したように見えたのは牝馬の6歳秋、ピークを過ぎたからではないか。

 
ローズキングダム
10月26日 栗東坂        
51秒9-38秒3-25秒9-13秒3 一杯追
    
ラスト1F13秒3でわかる通り、2馬身先着しても鋭いとは感じなかった。もっともこの馬は調教ではそうしたところをほとんど見せたことがない。この日の馬場状態を考えると、4F51秒9は破格、いとも簡単にこれだけの時計をマークしたのだから、二走ボケの不安一掃し、定石通り叩き2戦めの良化と考えてよかろう。


鈴木和幸

競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。

日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。

著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。

鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/

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