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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~マイルチャンピオンシップ~

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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~マイルチャンピオンシップ

●第28回マイルチャンピオンシップ(GI)追い切り診断


・イモータルヴァース 
11月15日 京都ダ        
60秒6-47秒6-35秒7-12秒2 仕掛け

サプレザ       
11月15日 京都ダ        
61秒0-48秒1-36秒2-12秒9 馬なり
     
すでに京都競馬場入りしているこのフランス馬2頭は、日本馬にさきがけ1日早い15日に帯同馬を含めた3頭併せで追い切りをかけた。その帯同馬が先導役で、次にサプレザ、さらに2馬身あとからイモータルといった形。最後は帯同馬が遅れ、2頭は並んでゴールした。時計はご覧の速さ。

イモータルは最後方から前2頭を見ながら折り合いに専念し、13秒0で行きだしたがすぐに11秒9のハイペースに。しかし、掛かったふうはない。4コーナーを回ったときはまだ前との差は3馬身以上、このまま遅れるのかと思いきや、半ばで鞍上の手が動くとにわかに脚の回転が速まり、アッという間に差を詰めて並んでのゴール、ラスト1Fは12秒2とダートとは思えない速さだった。確かにサプレザが抑えていたので一気に追いつけたのだが、その瞬間はピューマが獲物を捕らえるときの放たれた矢のよう、超抜の瞬発力、日本の軽い芝の適性十分、いや、より走れると見た。

サプレザは別掲の時計で最後まで追ったところなし、相手を待つほどの余裕があった。こちらも重心が低く、前2年の3、4着はまったくの惜敗、日本の芝適性をすでに証明してきただけあって文句なしの内容、少しでも追えばイモータルは追いつけなかったのではないか。ちなみに今年の最終追い切り時計の5F61秒0は前2年のそれよりずっと速く、手ごたえもよかった。

 
エイシンアポロン  
11月16日 栗東坂       
51秒4-37秒4-24秒3-12秒2 一杯追
    
富士S勝ちの疲れもすぐにとれ、中間はすこぶる順調、軽めながら3本の時計を出している。今週は坂路で14秒0、13秒1、12秒1と1Fごとにピッチをあげ、最後もいっぱいに追い切ってご覧の通りの好タイム、上体のブレがなく、それこそ追われると糸を引いたような一直線の伸び、待っていましたとばかり脚を伸ばした反応の速さも目を引き、引っ張り切れないほどの気合いを含め、毎日王冠富士Sの強行軍をはねのける快調子。

 
エーシンフォワード 
11月16日 栗東坂        
51秒5-37秒2-24秒2-12秒0 一杯追
    
休み明けのスワンSをひと叩きされた効果テキメン、先週には坂路51秒1-37秒0-12秒4をあっさりだ。今週も単走ながらいっぱいに追い出されるとグイグイとストラドを伸ばし、ご覧の好タイム、ラスト1F12秒0と切れた。秋シーズン以降に調子をあげる馬らしく、連覇に向けて着実に上昇、昨年のデキを上回るといってもいいだろう。

 
キョウワジャンヌ   
11月17日 栗東坂        
54秒9-39秒4-24秒8-12秒2 馬なり
    
距離2200メートルが長すぎるとの判断からこれを見送り、ここ参戦を決めた。十分な間隔がとれたのでたっぷり乗り込め先週10日には坂路53秒5-38秒9を。これでほぼ体ができたので今週は馬なりに終始、先行1馬身先着した。上がり中心にしても2F24秒8、1F12秒2は速く、動きも機敏、秋華賞を上回る状態で古馬に挑める。

 
グランプリボス    
11月16日 栗東坂        
51秒2-37秒5-25秒3-13秒3 一杯追
    
4ヶ月半ぶりのスワンSを叩かれ、先週の併せ馬で先着と太かったからだもだいぶ絞れてきた。今週は坂路で目いっぱいの併せ馬。テンから13秒台で飛ばす意欲を見せたが、最後は脚色いっぱいとなり、馬なりの相手と併入するのがやっとやっと。この追い切り後の良化を考えてもまだ完調とまではいかない。

 
クレバートウショウ  
11月16日 栗東W 
80秒9-66秒0-51秒9-38秒1-11秒7 一杯追
    
叩き3戦め、ウッドで単走の今週の追い切りは、外ラチ沿いをいかにも気分がよさそうに流れるように軽快な走り。直線、いっぱいに追い出されると一完歩ごとに重心を沈め、真一文字に伸びてラスト1F11秒7の切れ。前2戦は4、9着でしかないが、この凡退が信じられないほど切れに切れた今週だった。むろん、この秋一番のデキ。

 
シルポート       
11月16日 栗東坂        
51秒4-36秒7-24秒2-12秒3 強め
    
天皇賞は16着惨敗だったものの、体調そのものに変化はなく、先週には坂路4F50秒5-36秒8の好タイム、前走の大負けがウソのような元気さだ。今週もテンの1Fこそ14秒7と控えたが、以後は12秒台で最後まで乱れなし、こと体調に関しては前走以上といってもいいくらいだ。

 
スマイルジャック   
11月16日 美浦P         
66秒3-51秒1-37秒5ー11秒6 直強め
    
5ヶ月半の休み明け、10月後半から時計を出し始めたが軽めばかり、本格的な調教は今月に入ってからと遅い。2、9、12日と長めから追われ、12日はポリトラック7F90秒台の猛時計をマーク、急ピッチの乗り込みだ。しかし、なにぶんにも急仕上げ、直線追い出されての伸びは鈍く、この日もラスト1F13秒2もかかってしまった。今週は先週のハード追いで体ができたとの判断からだろう、5Fぽっきりの単走、別掲の速い上がりではあったが、数字ほどの鋭さはなく、なんとか仕上がった、間に合った程度。以前のような、うなるような走り、気合いというわけにはいかず、力強さにも欠けた。

 
ダノンヨーヨー    
11月16日 栗東坂        
51秒4-37秒9-25秒1-12秒7 一杯追
    
ここが大型牡馬の叩き3戦め、調子が上がってきていいはずなのに、一向にその気配がない。今週も別掲の時計こそでたが、右ステッキ3発への反応は鈍く、中身は伴わなかった。完全復調にはもう少し時間がかかる。

 
フィフスペトル      
11月16日 美浦W        
67秒9-52秒1-37秒7-12秒4 G追う
    
スプリンターズS6着のあとも元気いっぱい、先週には併せ馬で6F80秒9-37秒8をビシッと追った。今週は単走で上がり中心のため全体時計は速くないが、しまいはしっかりと伸びて1F12秒4、これなら合格点がやれる。しかし、前走までと比べて特別によくなった、進境したところはなく、その点が物足りないといえば物足りない。

 
ブリッツェン      
11月16日 美浦W        
64秒7-50秒0-36秒9-12秒4 仕掛け
    
休み明けの前走時は追い出されてから反応イマイチで、伸び脚も不足。でも、その前走がちょうどいい調教代わりになったのだろう、今週は追われるとすぐさま反応し、外2頭に楽々先着、5F時計を4秒近くも詰めて、それでまだ脚色には余力があった。力関係はともかく、この馬としては最良の状態に持ってこられた。

 
マルセリーナ     
11月16日 栗東W 
84秒7-68秒4-53秒2-39秒3-11秒7 直強め
    
オークス以来、4ヶ月ぶりのローズS、つづく秋華賞ともに体重16キロ増の468キロ。当初は馬体の大成長と見たが、2戦とも追われて反応し切れなかったところを見ると、太めも残っていたか。そういえば、前走時の最終追い切りなど、時計は出てもいまひとつ反応が鈍かったかも。この中間はこの馬体をギリギリに仕上げるべく、坂路、ウッドで時計5本、先週にはウッドで実戦並みの併せ馬を施した。この成果だろう、今週の追い切りでは併走相手を難なく突き放し、ラスト1F11秒7とついに本来の切れ味復活だ。まだ馬体は立派に見えるものの、ハードにハードに追ってのものだけに気にすることはない。もはやすっかり人気を落としているが、今週の弾け方なら、アッと驚く大駆けもあっていい。

 
ミッキードリーム   
11月16日 栗東坂        
51秒9-37秒8-24秒9-12秒5 一杯追
    
シャープさより力強さを感じさせるタイプ、今週も鋭いというよりパワー満点の動きで併走馬との差を一完歩ごとに広げ、ゴールしたときには3馬身半もの差をつけていた。前走時の4Fが54秒4だったことからすると、今週の51秒9は出色で、それだけまた調子をあげている。はじめてのマイル戦でどんなパフォーマンスを演じてくれるか、にわかに楽しみになってきた。

 
ライブコンサート   
11月17日 栗東W 
78秒9-64秒2-50秒6-37秒3-11秒5 一杯追
    
前走時の最終追い切りはウッド6F84秒1-41秒1、それが今回は別掲の速さである。この大幅な時計短縮こそ急上昇の証拠。今度はこの相手でも3着争いくらいには加わってこよう。

 
リアルインパクト   
11月16日 美浦W        
66秒4-52秒0-38秒2-13秒1 馬なり
    
秋初戦の毎日王冠で2着の好発進、中5週でのここは予定通りで坂路、ウッドで5本の時計を出してきた。もちろん、もう毎日王冠の疲れはすっかりとれている。今週は3頭併せの内で最先着、追ったとろろなしだったのでラスト1Fは13秒1かかってしまったが、少しでも追えば大差先着、大幅に時計を短縮したと思われる手ごたえ、脚勢だったから心配無用。多分に上積みが感じられるすばらしい最終追い切りだった。

 
リディル         
11月16日 栗東坂        
51秒5-37秒7-25秒2-12秒9 強め
    
休み明けが心配された前走のスワンS、ところがレースは直線のほんのひと追いで楽勝してしまった。12キロ増えていた馬体はすべて成長分だったと気づかされる。実際、春までの華奢さが消え失せ、筋肉がついて厚みを増して体重以上に大きく見せる。今週の坂路は少し気合いを入れただけで別掲の好時計、その気なら楽々と50秒台前半が出ただろう。骨折による1年以上の長い休養があったため出世が遅れたが、いまは心身ともに充実一途、もはや怖いものなしだ。

 
レインボーペガサス  
11月16日 栗東坂        
53秒3-39秒4-26秒3-13秒2 一杯追
    
時計平凡、追われて左右にふらついたようにも見え、アピールできるものは何もない最終追い切りだった。毛づや良好、馬体の張りも悪くないので体調が悪いということはないが、レースでの一変は考えにくい。


鈴木和幸

競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。

日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。

著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。

鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/

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