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【日本ダービー 北の国から生産馬にエール①】シュガークン・ヤナガワ牧場「武豊騎手に兄弟のよさを引き出してもらえれば」

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【日本ダービー 北の国から生産馬にエール①】シュガークン・ヤナガワ牧場「武豊騎手に兄弟のよさを引き出してもらえれば」

競馬の世界で誰もが夢焦がれ、生涯目指し続ける日本ダービー。2021年に誕生した7906頭(国内7737頭、輸入外国産馬169頭)のサラブレッドから出走のチャンスを奪取した18頭の生産者も5月26日の本番に胸を高鳴らせている。

〝あの子馬が晴れ舞台に立つ〟〝とにかく無事に〟。それぞれのドラマを乗り越えてきたわが子に北の国からエールが届いた。

青葉賞を優勝したシュガークンの北海道・日高町のヤナガワ牧場は、兄キタサンブラックに続く夢に思いを馳せている。(取材構成・吉田桜至郎、大塚美奈)




2年連続で2016、17年の年度代表馬に輝いた偉大なる兄キタサンブラックの背中を追って、遅咲きの〝弟クン〟が東京優駿に間に合った。

シュガークンは3歳2月にデビューしたが、生産者のヤナガワ牧場・梁川正普(まさひろ)社長(53)は心配していなかった。母シュガーハートの子供はこれまで中央競馬で8頭が走り、6頭が3歳を迎えてからのデビュー。キタサンブラックも3歳1月に初戦の新馬戦を勝利した。

「シュガークンは、臨戦態勢になったのがたまたま今年だったというだけで、育成牧場の方々が大事に乗ってくれていたということだと思います」と遅咲きでもしっかり開花する血統だと自負していたから、落ち着いて愛馬を見守っていた。

初戦で2着に敗れた後、2戦目で初勝利。ダービーの優先出走権を目指した青葉賞は見事に差し切りVを決めた。梁川さんは府中競馬場でその雄姿を焼きつけた。

「まさか勝つとは考えていなかったですけど、本当に頑張ってくれました」。兄同様、クラシックに歩を進めたことに安堵と喜びを感じた。

ヤナガワ牧場は1967年に創業。梁川さんは父で現会長の正克さんの後を継ぎ、3代目として老舗牧場を切り盛りしてきた。生産馬の中央GI初勝利は2007年のフェブラリーSを制したサンライズバッカス。苦節40年で念願の大レースを獲得し、キタサンブラックという名馬にたどり着いた。

牧場を代表する繁殖牝馬シュガーハートの9番子として誕生したシュガークン。3番子だったGⅠ7勝馬の兄の成功もあり、皐月賞、ダービーの2冠を制したドゥラメンテを配合した。

「(サクラバクシンオー産駒の)シュガーハートは、サンデーサイレンス系は何でも付けられるし、ドゥラメンテは現役時の活躍を見て選びました」と振り返る。同馬は、大種牡馬サンデーサイレンスと名牝エアグルーヴを両親に持つアドマイヤグルーヴの息子。SS系の爆発力にも期待した。


種付けから約1年後、21年3月5日に産声を上げた牡馬がシュガークンだった。

「特に他の馬と変わらず、うるさすぎもなかったし、手のかかる馬でもなかったですね。今と同じように見栄えはする馬体で、周りの馬と一緒に普通に育ったんだと思います」

何事も普通が一番と言わんばかりに、仲間たちと朝夕、元気に放牧地を走り、まっすぐ育ってくれた。

良血馬ならではだが、キタサンブラックとの比較は質問される。梁川さんは「兄はね、あれだけ走った馬なので、ちょっと比べられるのは大変ですが…。スタートもいいし、前からでも中団からでも競馬ができるレースセンスはいいですね」と胸を張る。「まだ子供っぽいところはみられるけど、乗っているのが豊さんなので、逆に心強いです」とも語った。

鞍上の武豊騎手は兄キタサンブラックの主戦だったことは言うまでもない。さらにヤナガワ牧場を代表する生産馬でフェブラリーSを連覇したコパノリッキーにも騎乗していた。縁が深い名手には全幅の信頼を寄せており、「キタサンブラックの背中を知っている人なので、兄弟で似ているところがあれば、それをうまく引き出してもらえると思います。それがシュガークンの一番の強みかも」と声を弾ませた。

そして、牧場を支え続けている名繁殖牝馬シュガーハートに敬意を表す。シュガークンの半弟にあたるレイデオロ産駒の2歳とコントレイル産駒の1歳がデビューを控えているが、今年で19歳になったベテランママは〝勇退〟を考える年齢になった。

「今年、またコントレイルの子を受胎したので、馬の状態を見てですけど、来年もう1頭だけ付けて終わりかなとも思っています。本当に頑張ってくれた功労馬なので、繁殖をやめたら牧場でゆっくり過ごしてほしいです」と牧場の守り神になってもらうつもりだ。

ダービーといえば、シュガークンよりひと足先に生産馬のテーオーパスワードが日本時間5月5日に行われた米GIケンタッキーダービーに遠征し、5着に健闘した。


「この馬は(5月20日の)遅生まれで小柄だったので、無事にケンタッキーダービーに行けたのは良かったなという感じです」と今年は日米の〝ダブルダービー出走〟という栄誉に胸を躍らせている。

キタサンブラック菊花賞を制したが、ダービーは14着。弟は兄の雪辱を果たす夢も担うが、梁川さんは「もちろん一番いい結果は勝つことですが、まずは出走できたことが喜ばしいことですし、先がある馬なので、けがなく無事に1周回ってきてほしい」とキッパリ。「武騎手の指示に従って反応してくれれば、いい結果になってくれるんではないかな、と期待しています。ただ、繰り返しますが、ダービーという晴れ舞台ですから、シュガークンが無事に走ってこれるよう見守っています」と〝無事是名馬〟を切に願った。

決戦の5月26日、府中競馬場で光り輝く黒鹿毛の雄姿は、初夏の太陽よりまぶしいに違いない。

シュガークンの子馬時代秘蔵映像はこちら

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