菊花賞(GⅠ、芝3000メートル)が23日、阪神競馬場で行われる。
セントライト記念1着
ガイアフォース(牡3歳)、
神戸新聞杯を完勝した
ジャスティンパレス(牡3歳)の2頭を送り出す
杉山晴紀調教師(40)=栗東=を直撃。両トライアルを振り返るとともに、65年ぶりに
皐月賞&
日本ダービーの連対馬が不在となるクラシック最終戦に向け、舞台適性、意気込みなどを聞いた。(聞き手・増本隆一朗)
――有力馬2頭で挑む
「3000メートルという特殊な距離。クラシック最終戦で、どの馬も適性があるから使うわけではないと思うので、その中で一番強い馬が勝つレースだと思います」
──
ガイアフォースは
セントライト記念を快勝
「初めて必死に、一生懸命走った感じ。(松山)ジョッキーも一番強い相手(2着の
アスクビクターモア)を分かってくれていました。枠順的に相手が見やすく、流れも良かったです」
──一番の強みは
「速いスピードを長く使えることですね。他の馬よりスピードの持続力がある。心肺機能も当然、いいと思います」
──性格は
「最初はやんちゃで生意気で、ジョッキーも2回くらい落とされました。でも、新馬戦で膝をけが(骨折)して、牧場でのリハビリから帰ってきたら、すごくおとなしくなっていた。ジョッキーも『全然馬が違います』と話していましたね」
──父は2015年の勝ち馬
キタサンブラック。距離延長は
「折り合いは大丈夫なので、(初距離を)こなしてくれると思います。阪神も未勝利戦(1着)であれだけのパフォーマンスを見せたので。小倉でも結果を出していますし、内回りを2周という設定もいいでしょう」
──
ジャスティンパレスは
神戸新聞杯を完勝
「ひと夏越して精神的に大人になりました。それと、鮫島駿騎手の『勝つぞ』という明確な意思が伝わってくる好騎乗が大きかった。しっかり出して行ったところで折り合いをつけたのが、次に生きると思います」
──セールスポイント
「長く脚を使えるところですね。内回り2周の舞台は(持ち味が)生きるかも。中間も馬体の張りがグンと良くなり、今までになく上積みを感じます」
──距離について
「半兄
アイアンバローズなどが長いところで走っていますからね。折り合いを心配するタイプでもないし、距離が延びていいような気がします」
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皐月賞&
日本ダービーの連対馬が不在の
菊花賞は65年ぶり
「それでも
アスクビクターモアは強いですよ。前走は
菊花賞に向けての試走でしょうから」
──調教師試験の合格会見で、
菊花賞を勝ちたいレースに挙げていた
「この世界に入るきっかけが、
ダンスインザダークで
武豊騎手が勝った(1996年の)
菊花賞。あれを見て、競馬って面白いな、すごいなと。調教助手時代も、ずっと乗っていた
スリーロールスが(09年の)
菊花賞を勝って、それが調教師を目指す動機でした」
――昨年の
アリーヴォ(7着)に続き2度目の参戦
「かっこよく言えば、自分の人生で
菊花賞は運命的。そこに向かえる馬がいるので、縁があるなと思っています」
同一厩舎ワンツー 今年の
菊花賞は、1957年以来65年ぶりに
皐月賞&
日本ダービーの連対馬が不在。
日本ダービーを制した
ドウデュースは今秋、
凱旋門賞に出走(19着)し、次走は
ジャパンCを視野に入れる。
皐月賞馬
ジオグリフと春2冠ともに2着の
イクイノックスは、来週の
天皇賞・秋に出走予定だ。ちなみに、その
皐月賞は木村厩舎のワンツーで、先週の
秋華賞も1着
スタニングローズ、2着
ナミュールともに高野厩舎だった。
菊花賞の同一厩舎ワンツーなら、1979年内藤繁春調教師(1着ハシハーミット、2着ハシクランツ)以来、史上5人目になる。
■杉山 晴紀(すぎやま・はるき) 1981(昭和56)年12月24日生まれ、40歳。神奈川県出身。2016年に調教師免許を取得し、同年10月に厩舎を開業。20年に
デアリングタクトで牝馬3冠を達成した。17日現在、JRA通算186勝で重賞は12勝。GⅠは4勝。