エリザベス女王杯が10日、京都競馬場で18頭によって争われ、3番人気の
ラッキーライラックが直線で内から伸び、昨年の
チューリップ賞(GII)以来となる1年8カ月ぶりの復活Vを飾った。GIは、
阪神JFに次ぐ2勝目。クリストフ・スミヨン騎手(38)=ベルギー出身、フランス拠点=は、5年ぶりのJRAGI制覇。
クロコスミアが3年連続で2着、1番人気の
ラヴズオンリーユーは3着。
柔らかな日差しに包まれた淀のターフで、
ラッキーライラックが鮮やかに復活した。初コンビのスミヨン騎手の巧みなエスコートで、昨年の
チューリップ賞以来、1年8カ月ぶりとなるVで、2歳時の
阪神JFに続くGI2勝目を飾った。
「ありがとうございます。騎乗する前から(
ラッキーライラックが)
オルフェーヴルの子供ということに縁を感じていた。
オルフェーヴルとはまったく違い、おとなしくてびっくりしましたが、無念を晴らすことができました」とJRA・GI3勝目に笑顔を見せた。
クロコスミアが逃げて、道中は8番手のインで脚をためる。直線の入り口では一瞬進路を迷ったが「運良く内が空いていた」と内を突いた。
2012、13年と
凱旋門賞で
オルフェーヴルに騎乗したが、ともに2着に敗れた。特に12年は押し切るかと思われたが、ゴール手前で内ラチに大きくよれて失速し、クビ差で惜敗。「そのときのことを思い出した」(同騎手)というが、今回は、メンバー最速の上がり3ハロン32秒8で一気に突き抜けた。フランスで10回のリーディングを獲得し、
凱旋門賞2勝の名手がまさに本領発揮だ。
「やっと勝てたという感じ。長かったですね。レースに関してはジョッキーに何もいっていませんし、いうことない騎乗でした」と松永幹調教師はホッとした表情を見せる。騎手時代の2000年に
ファレノプシスで制しているが、トレーナーに転じてからは初勝利。当時と同じ〔1〕枠(2)番に「枠が決まったときに、いいなと思った。
ファレノプシスで勝ったときを思い出させてくれたし、いいイメージしかなかったですね」と続けた。
今後は未定で、近日中に滋賀県のノーザンファームしがらきに放牧に出される予定。これまでマイルで全4勝だが、芝2200メートルで勝って幅が広がった。「このくらいの距離でやれることが分かったし、力を出し切ればこういう勝ち方ができる。次も期待したいですね」とトレーナー。
エリザベス女王杯が3歳以上のレースになった1996年以降、最優秀2歳牝馬の同レース制覇は98、99年に連覇した
メジロドーベル以来で20年ぶり2頭目。復活を遂げた女王が、さらなる高みを目指す。 (渡部陽之助)
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エリザベス女王杯の表彰式プレゼンターを務めた女優の山本舞香 「京都競馬場は初めてでしたが、牝馬だけで繰り広げられるGIレースにとても興奮しました。優勝した
ラッキーライラック、本当におめでとうございます」
ラッキーライラック 父
オルフェーヴル、母 ライラックスアンドレース、母の父フラワーアリー。栗毛の牝4歳。栗東・
松永幹夫厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績は12戦5勝。獲得賞金4億73万9000円。重賞は2017年GIII
アルテミスS、GI
阪神JF、18年GII
チューリップ賞に次いで4勝目。
エリザベス女王杯は
松永幹夫調教師、クリストフ・スミヨン騎手ともに初勝利。馬名は五弁のライラックの花(幸運のシンボル)。
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