東京でのGI・5連戦が終わり、ビッグレースは25日の
宝塚記念までひと休み。今週の東京日曜メインはGIII
エプソムC(11日、芝1800メートル)で、秋以降の飛躍につなげたい馬が多くそろった。過去10年でも、2007年の優勝馬
エイシンデピュティが翌年の
宝塚記念を制覇、15年の覇者
エイシンヒカリが同年の香港C、翌年のイスパーン賞(仏)と海外GIを2勝している。先週の
安田記念を制した
サトノアラジンは一昨年の2着馬。先々を占う意味でも目が離せない一戦といえる。
中心は
アストラエンブレム(美浦・
小島茂之厩舎、牡4歳)になりそうだ。重賞は4戦未勝利だが、サウジアラビアロイヤルC3着、
シンザン記念、
ニュージーランドT、京都金杯で4着と勝利にもう一歩のところまで来ている。同じ東京1800メートルで行われたオープン特別の前走・メイSはクビ差の2着。勝った
タイセイサミットより2.5キロ重い56.5キロを背負っての結果で、今回は同斤の56キロだけに逆転は十分可能だ。母
ブラックエンブレムは
秋華賞馬で、半兄
ブライトエンブレムは
札幌2歳S勝ち馬。血統的なバックボーンはしっかりしており、ここで重賞初制覇を飾って秋に弾みをつけるか注目される。
タイセイサミット(栗東・
矢作芳人厩舎、牡4歳)は1600万下、オープン特別を連勝し、勢いはナンバーワンだ。近親に
ヴィクトリアマイルを勝った
コイウタをはじめ、
ビハインドザマスク(スワンSなど重賞3勝)、
アグネスアーク(天皇賞・秋2着)などがおり、一気の3連勝で重賞制覇を成し遂げても不思議はない。逃げ・差し自在な脚質も魅力。あとは前走から斤量2キロ増と、中2週での再東上だけに体調面がポイントになる。
マイネルミラノ(美浦・
相沢郁厩舎、牡7歳)は昨年の3着馬。超ハイペースになった前走の福島民報杯を早め先頭の積極的なレースで押し切ったように、7歳を迎えても活気にあふれている。毎年、夏前あたりから成績が上がっており、ここもいい状態で迎えられるはず。脚質的に同型も
マイネルハニーくらい。“同門”が相手ならつぶし合いになることはなさそうで、リズム良く運べそうだ。
クラリティスカイ(美浦・
斎藤誠厩舎、牡5歳)は一昨年の
NHKマイルCの覇者。その後、勝ち星を挙げられていないが、昨秋からだいぶいい頃の雰囲気に戻ってきた様子だ。特に1800メートルのここ2走の
小倉大賞典、メイSではともに57.5キロと重いハンデを背負いながら3着と大崩れがない。今回は別定戦で前走から斤量1.5キロ減が追い風となる。
安田記念を回避して参戦する2頭も注目だ。
デンコウアンジュ(栗東・
荒川義之厩舎、牝4歳)は前走の
ヴィクトリアマイルで2着に激走。2歳時の
アルテミスSでは
メジャーエンブレムを破っており、東京コースをめっぽう得意としている。レース間隔と相手関係を考慮してGIIIに回ってきたが、
ローズS、
福島牝馬Sともに4着の実績から1800メートルは守備範囲だろう。得意の左回り、東京で牡馬撃破のシーンも十分にありそうだ。ただし、4月8日の休み明け初戦から2カ月で4戦目というタイトなローテーションだけに、当日の雰囲気には注意したい。
ダッシングブレイズ(栗東・
吉村圭司厩舎、牡5歳)も今後のための賞金加算を目的に、矛先を
安田記念から
エプソムCへ変えてきた。前走の
京王杯スプリングC(芝1400メートル)7着はゴール前にようやくエンジンがかかった印象で、初の1800メートルはむしろ好材料かもしれない。父キトゥンズジョイは芝2000メートルと2400メートルでGIを勝っており、血統的にも距離を克服できる下地はある。
前週に
鳴尾記念、
安田記念を連勝した栗東・
池江泰寿厩舎が送り込む
ベルーフ(牡5歳)は、2年前の
京成杯勝ちの他、重賞で2着が3回ある実績馬。栗東CWコースで先行して遅れた1週前追い切りを見る限り、まだピリッとしていない印象だが、今週の最終追い切りで変わる可能性はある。
昨年2着の
フルーキー(栗東・
角居勝彦厩舎、牡7歳)は、今年に入って
小倉大賞典6着、
金鯱賞15着、
新潟大賞典4着と勢いがひと息。それでも6~8月の夏場は【1・2・0・1】と相性がいいので侮れない。
ヒストリカル(栗東・
音無秀孝厩舎、牡8歳)は昨年のこのレースでは6着だったが、続く秋の
毎日王冠では3着と強豪相手に好走しており、東京芝1800メートルは得意とみていい。8歳だが、前走のメイS(4着)では上がり3ハロン32秒7の切れ味を披露。まだまだ非凡な脚力は健在で、展開が向けば上位争いができるはずだ。
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