2017年12月19日(火) 13:30
甘粕代三
【LONGINES香港国際競走2017】Road to HKIR⑫~超良馬場とペースが明暗分ける。HKIR4レース回顧(後編)
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【LONGINES香港国際競走2017】恒例!レース展望デブ対談~現地競馬記者”文傑(ぶん・けつ)”氏と4レースを斬る(後編)
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◆プロフィール
文傑(ぶん・けつ)
香港最大の日刊紙『蘋果日報(アップルディリー)』首席競馬記者を務め、今秋より同じく大手日刊紙『星島日報』に移籍。競馬記者経験は20年以上。香港で最も経験と知識を有する競馬記者の一人。
甘粕代三(あまかす・だいぞう)
東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。94年ミッドナイトベットの香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にのめり込む。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問。
【香港マイル】
甘粕 香港マイルは香港スプリント以上に香港馬の独壇場。この10年、香港馬以外で勝ったのは、あのモーリスだけだ。
文傑 モーリスに負かされれば、それは本望だ。
甘粕 さて、あのエイブルワンが引退して香港マイル陣は戦国時代になるかと思っていたら、ビューティーオンリー、ヘレンパラゴンとコンテントメントが天下三分、三国時代になった。と思っていたら、今度はこれに異を唱える馬が名乗りを上げた。
文傑 シーズンズブルームだろ。これが俺の一押しだ!
甘粕 モレイラも今年の香港国際競走ではシーズンズブルームがベストホースと言ってたよ。
文傑 俺もそれは聞いている。香港カップのネオリアリズム以上の評価。相当惚れこんでるね。トライアルの勝ちっぷりを見ただろ?
甘粕 もちろんだ。あの日は来年開業するJRAの田中博康調教師にパドックで一頭々々馬の見方を教わっていた。彼は一瞥して香港馬らしくないと一言。
文傑 確かに一回り小さい。1028ポンド、日本風に言えば466キロだ。
甘粕 日本では適正サイズだけど香港ではねえ。それトモの恰好が今一つだったんで狙いをちょっと下げたんだよね。そうしたらあの激走だ。
文傑 ジョアン(モレイラ)が惚れこむだけのことはあるだろ。
甘粕 その通りだね。小さな大王の降臨を予感させる。
文傑 だからシーズンズブルームを中心に考える。
甘粕 それは同感。2番手は?
文傑 ビューティーオンリー。
甘粕 今季は明らかに重め残りだね。
文傑 トニー(クルーズ調教師)は安田記念から戻って、その疲労もあるから当初、今季はトライアルまで1戦とローテーションを組んだらしいんだけど調教で絞れないんで去年と同じローテーションにしたんだよ。
甘粕 トライアルも明らかに重かった。去年に比べると10ポンド以上重い。トニーも絞る絞る、と言ってたけど金曜の朝に確認したんだよ。
文傑 なんて言ってた?
甘粕 まだファットかって訊いたら、ファットよりもフィットの方が重要だ。フィットしてきてるって。
文傑 これをどう受け止めるか、微妙だなあ。パドックでしっかりと馬体確認しないといけないか?
甘粕 そうだね。予想の前に確認できないのがつらい。3番手は?
文傑 アッと驚く「川河寶駒」!
甘粕 シシュアンダール! 香港移籍して3戦、トライアルは5着とは言え2馬身差。上昇の余地は十分だ。お前さんと仲がいいT.ミラード調教師の馬か。人情馬券じゃないのか?
文傑 それを差し引いても買いたい1頭だ。あとはサトノアラジン。ボウマンだぜ。
甘粕 ボウマン騎乗は確かに魅力。だけど香港に着いてから、これがラストランと発表したね。それが嫌なんだ。秋すでに3戦、この2戦は競馬になっていない。おつりは残っていないんじゃないか? 俺は狙えないな。
文傑 じゃあ、なんなんだ?
甘粕 お前さんのあげた2頭よりはヘレンパラゴン、ビューティージェネレーションの方が上だと思う。
文傑 ヘレンパラゴンの2日のバリア・トライアル見たのか?
甘粕 殿負けしたけど、J.ムーア調教師は砂を被ったのでT.ベリーが止めた。エースには全く影響ない、と言ってたよ。トライアル2着の競馬を見てるし、ジョン(ムーア調教師)の言葉を信じたいね。
文傑 ビューティーはビューティーでもジェネレーションは今季、重賞連勝してきてトライアル3着。力をつけてきてることは認めるけど。
甘粕 トライアルは出入りの激しい競馬で何回か首を上げていたよね。それで3着というのは価値あり。ジョンは今回逃げられるものなら逃げてもいいと言ってた。単騎スローで逃げられればあっと言わせる場面もある、かと。
文傑 夢見てればいいよ(笑)
【香港カップ】
甘粕 最後はクライマックスの香港カップだ。春のクイーンエリザベス2世カップの勝ち馬、ネオリアリズムに、あのモレイラが騎乗すると聞いた時には本当にびっくりしたよ。
文傑 ジョアンにしてみれば当然の選択だよ。
甘粕 それはそうかもしれないけど、お手馬タイムワープがトライアルで2着、それを袖にしたんだぜ。
文傑 最も可能性のある馬を選ぶのが勝負の鉄則だろ。香港では珍しい事じゃないし、世界でもそうだよ。
甘粕 でもオーナーのシウさん一家と水曜のハッピーバレーで会ったら、やはりご機嫌は良くなかったよ。
文傑 それはあるだろうな。でもジョアンほどの騎手だから、それができる。シウさん一家のだってスプリントではザウィザードオブオズの手綱をジョアンに任せてるじゃないか?
甘粕 確かにね。お前さん言う通りトップジョッキーだからこそできることだ。でも、ネオリアリズムには若干の不安を感じているんだよね。
文傑 それは俺も同じだよ。
甘粕 QE2を勝って日本に凱旋してから予定していた札幌記念を回避。天皇賞(秋)をぶっつけで使った。あの不良馬場だから着順は気にしていないけど順調さを欠いたことが馬体増につながってやしないかと。
文傑 じゃあ、何から行くんだ?
甘粕 香港馬王!
文傑 ワーザーか。俺もワーザーから行きたい。去年は香港カップに間に合わず年明けから始動。G1も勝ってQE2に臨んだけど香港ダービーを勝った頃の状態にはなっていなかった。
甘粕 今季は休み明けこそ予定通りの凡走で調教代わりだったけど、2戦目のトライアルには仕上げてしっかりと勝ち上がって香港カップに王手をかけた。
文傑 トライアルは明らかに仕上げ途上、抜け出すまでに少々もたついたのはそのせい。
甘粕 ジョン(ムーア調教師)は90%ちょっとの仕上げだとトライアル直後に言っていた。
文傑 その後の調教は順調そのもの。準備完了って感じだ。
甘粕 ジョンもそう言ってたよ。日本語で言えば仕上げは上々、あとは細工を御覧じろって感じだね。
文傑 不動の軸に据えたい。
甘粕 大賛成! 2番手には何をとる?
文傑 ネオリアリズムよりはステファノスを上位に見ている。この馬にもボウマンだぜ!
甘粕 今年はボウマン・イヤーか? しかし、ボウマンとモレイラの競演が見られるなんて香港の競馬ファンは幸せだよ。ステファノスの藤原英昭調教師と話したんだけど、1歳年取っちゃったからなあ、と一言。去年ボウマンが乗ってたら鬼に金棒だったって意味と受け止めた。
文傑 それでも十分勝負になるだろう。なんたってボウマンなんだから。
甘粕 モレイラ5馬身と言ってたことがあるけど、今のボウマンは一時のモレイラ以上かもしれない。5馬身半、いや6馬身。
文傑 大げさな(笑)。その次にはブロンドミー。
甘粕 流石UCLA卒、金髪美女と来たか(笑)
文傑 前走は仏シャンティでG1勝ち、今年はまだ3戦のみ。おつりはどっさりある。2010年のスノーフェアリーの匂いがするんだ。
甘粕 ブロンド美女の甘い香りか(笑)
文傑 冗談じゃないぜ、本気だぜ! 続いてポエッツワード。香港の馬場に合っている。
甘粕 香港には初のお目見えだぜ。合ってるかどうかは走ってみなきゃ分からない。スノーフェアリーは香港の前に日本でも走って硬い馬場への適性を示してたけど、さっきも言ったように香港の馬場は時計の速い方に進化してしまった。以前のように欧州勢が活躍できないんじゃないか、という気がしてるんだ。特に今年は時計が速そうだからね。だったら引退戦だけれどもスマートレイアーの方が上じゃないか?
文傑 7歳牝馬。おばあちゃんか。
甘粕 京都大賞典で負かした相手がジャパンカップのシュヴァルグランだからね。まあ常識的には引退戦の7歳牝馬には手出せないけど、大川オーナーは香港でも馬主資格を取って馬走らせてるじゃない。それで香港を引退レースに選んだんだと思うけど。
文傑 さて、最大の問題はネオリアリズム。どうする?
甘粕 消す勇気はないな。ジョアンだし。ワーザー中心で相手の何番手に取るか。今の段階ではステファノスと同じ2番手、直前まで観察を続けたい。
文傑 最後に日本の皆さんにお知らせがあるんだ。
甘粕 土曜夜の番組のことね。香港時間土曜夜22時、日本では23時から以下のURLで香港国際競走4レースの直前情報をたっぷり1時間お届けします。広東語ですけど……。

http://racing.dimbo.tv(PCサイトへ移動します)
文傑 日本の若い女性の皆さん、ぜひご覧ください!
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★3/26ドバイターフで3連単162,710円を見事的中させた”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロと、”競馬記者歴20年超!香港競馬界の博学多識”文傑(ぶん・けつ)プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走(HKIR)4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。現地ならではの直前ナマ情報にご期待ください。
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【LONGINES香港国際競走2017】香港マイル~C.シャム、A.クルーズ調教師インタビュー
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世界最強マイラーと謳われたエイブルワンが引退して香港マイル王、すなわち世界マイル王の座はビューティーオンリー、ヘレンパラゴンに譲られましたが、1年もたたぬうちに新星が登場しました。トライアルで重賞初勝利を飾ったシーズンズブルームです。香港馬らしからぬ華奢な馬体ながら末脚は抜群。新たなマイル王へ王手をかけました。ディフェンディング・チャンピオンのビューティーオンリーは今季3戦未勝利ながら、本番に向けて緩やかに上昇曲線を描いています。温厚で誠実な人柄、寡黙なハードワーカーとして知られるシーズンズブルームのC.シャム調教師も今回は強気のコメント。一方、騎手と調教師いずれでもリーディングに輝いた香港競馬のスーパースター、ビューティーオンリーを管理するA.クルーズ調教師は陽気な人柄そのままに本番への手応えを明るく語りました。(取材・文/甘粕代三)
C.シャム調教師(シーズンズブルーム)

──トライアルはゴール前50mで先団を測ったように差し切った。見事な勝利だったね。
シャム ありがとう。会心のレースをしてくれたよ。
──重賞初勝利がマイル・トライアル。香港マイラー陣に新星登場! それどころか本番でも堂々の大本命だよ。
シャム そうおだてないで欲しいな(笑)。
──本当にそうだよ。今季開幕時にはまだクラス1、とんとん拍子の出世じゃないか。
シャム 実は今春の4歳クラシック三冠でも期待していたんだよ。
──1600mのクラシック・マイルが2着、1800mのクラシック・カップが3着、2000mの香港ダービーが4着だった。
シャム 1頭強い馬がいたからねえ。
──香港競馬史上初の4歳クラシック三冠馬、ラッパードラゴン(注:三冠達成後のチャンピオンズマイルで故障発生し予後不良)だね。
シャム 運が悪かった。シーズンズは普段なら一つは勝ってもおかしくないだけの力を持った馬だよ。
──さて、今季の使い始めは開幕日のクラス1(注:オープン特別に相当)。この後にスプリンターズSで5着したブリザードを子供扱いした。
シャム 相手が背負い頭だったけれど、勝因はそれだけじゃなかったってことは、その後の成績が証明してくれただろ。
──そして、国慶節(中華人民共和国の建国記念日)開催のセレブレーションカップへ。ここではビューティージェネレーションに敗れる。
シャム ここで重賞をひとつスキップしてトライアルに直行したい、とオーナーに相談したんだ。馬格のない馬だけに使い詰めで本番に行くのが嫌だったんだ。しかし、トライアル直行だと勝ち負けしないと本番には出られない。危険な賭けではあった。だけどオーナーが快く理解を示してくれた。若馬だけに、ここで一息いれたことが成長を促してくれた。そして、きっちりと結果を出してくれた。ほっとしたよ。
──本番までは中2週となってしまうけど?
シャム トライアルの後も順調そのもの。状態は上昇中。本番にはトップフォームに持っていけるよ。
──あのモレイラ騎乗も頼もしいね。彼にも話を聞いたんだけど、実は国際競走の4頭の中でもシーズンズに最も期待してるって言ってたよ!
シャム そんなこと言ってたのかい。それはまた頼もしい。ところで、日本の馬はどうなの?
──安田記念の勝馬、サトノアラジンかな。日本馬が気になる?
シャム ビューティーオンリー、コンテントメントに勝ってるじゃないか。
──それはそうだけど、香港馬とは勝負付けがついたから気になるってこと?
シャム いやいや、そんなことは……。競馬は何が起こるか分からないものだけれども、自信をもって本番に臨めることは約束するよ。
A.クルーズ調教師(ビューティーオンリー)

──安田記念は残念だったね。
クルーズ 初めての左回りだったので直線で手前を変えられなかったものね。おまけに1分31秒台という香港では考えられない高速馬場で自分の時計を更新しての6着は褒めてあげたい。でも、もう日本に遠征することはないだろう。香港馬の中でも高速馬場向きのビューティーでもやっぱり合わない。
──それはさらに残念だね。さて、今シーズンは昨年と全く同じローテーションで3戦した。
クルーズ このローテーションを歩んで昨年は香港マイルを勝った。ヴィクトリー・ロードだよ。
──でも、去年は2⇒2⇒1着と来て香港マイルで戴冠したけれど、今年は5⇒9⇒4着と昨年の輝きが見られないよ。
クルーズ 安田記念に遠征した疲れもあるだろうから、当初はトライアルまでに1戦のローテーションを組んだんだよ。ところが、年齢的なものなのか馬体が絞り切れなくてね。
──去年が1149ポンドで使いだして1132⇒1137。今年は1156⇒1160⇒1155だね。
クルーズ 成長分もあるとは思うが、明らかに太いんだ。
──これまでの3走の内、2走のパドックを見ているけれど、腹回りが立派すぎると感じたよ。
クルーズ そうだろ。去年のトライアル勝ちが1137ポンド、今年が1155。18ポンド重いんだ。
──でもトライアルの末脚は光ってたね。
クルーズ 今季最低体重だったからだろう。
──そのトライアルの後はどう?
クルーズ ようやく絞れ始めたよ。今の状態は90%くらいと言っていいんじゃないか? 本番までに絞り切る時間は十分あるし、ビシビシ追って運動させて本番には100%に仕上げていくよ。
──自信あり?
クルーズ 去年のウィナーを馬鹿にしない方がいいぜ。
──分かった。それともう日本に来ないなんて言わないでくれよ。
クルーズ ビューティーはもう考えないけど、日本に合いそうな馬がいてね……。
──どの馬?
クルーズ パキスタンスターさ。
──今年春のクイーンエリザベス2世カップでネオリアリズムに迫ったあの馬だね。
クルーズ ゲートに問題があったりして国際競走には間に合わなかったけど、ビューティーよりも日本の馬場に合ってるとみてるんだ。
──それはまたいい話を聞いた。来年が楽しみになった。
クルーズ 来年のことよりも今週の日曜を楽しみにしてくれ。しっかりと仕上げて出走させるから。
★3/26ドバイターフで3連単162,710円を見事的中させた”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走(HKIR)4レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。
甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベットの香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。 |
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