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●第77回日本ダービー(GⅠ)出走馬の短評
①エイシンフラッシュ
順調さを欠き、ローテーションに狂いがあった皐月賞でも3着、GⅢ京成杯勝ちはダテではなかった。今回は青写真通りの攻め馬を積め、皐月賞をはるかに上回るデキに。2400メートルは若干長い気もするが、もっかの上昇をもってすれば克服可能、連がらみまである。
②レーヴドリアン
追い込み一辺倒、ここ3戦の重賞では差を詰めるにとどまっている。この脚質は直線長い東京向きには違いないが、それだけで上位争いに加われるとは考えにくい。テンにいけないこと、後方からの競馬しかできないことが命とり、体調もここ一連と比べてとくによくなってはいない。3着争いも危うい。
③ルーラーシップ
ひとたび加速がつけば恐るべき脚を使う。4馬身千切った、前走のプリンシパルSのように。ちなみにこのときのラスト3Fは11秒6、11秒1、11秒4のすさまじさ、他馬がついてこられなくて当たり前である。ただし、あまりにもアクションが大きく、小脚が使えず、馬ごみでは制御するのが大変。一度スピード落とすと再びスピードをあげるには時間がかかってしまう。テン乗り四位がこの内枠でどう馬群をさばいて流れに乗せるか、そこにすべてがかかっている。Vの可能性まで秘めた一頭。
④サンディエゴシチー
ここ2戦が10馬身、8馬身差の大敗、巻き返すにはよほどの変わり身がないと。その変わり身は今週の追い切りを見るかぎり、さほどとは思えない。2歳時の3連勝、東スポ杯の0秒3差4着の実績、馬体のよさからやがては巻き返してくるとは思うが、今回は見送り。
⑤コスモファントム
これまで4着以下がなく、ラジオNIKKEI杯でヴィクトワールとクビ差の勝負をしているのがなんとも不気味。休み明けの前走でも2着しているのでなおさらだが、難をいえば決め手に乏しく、先行前残り型、果たして東京向きかどうか。3着残りがあれば上々とみる。
⑥アリゼオ
皐月賞は大外枠が不利、それにスプリングSを逃げ切ったことで、馬が前に行きたがり、横山典も苦労した乗り方に見えた。それだけに5着は底力の証明といっていい。瞬発力があってスタミナもあるこの馬には、東京2400メートルはぴったり、Vまでは厳しいが上位争いは間違いあるまい。
⑦ヴィクトワールピサ
素直に皐月賞勝ちを評価しよう。あの一瞬にして内ラチ沿いから1馬身半抜け出た脚、爆発力は群を抜いている。このダービー、皐月賞組に後れを取ることはない。問題はまだ戦ったことのない、青葉賞組などの別路線の馬たちとの比較ということになるが、クラシック本流というか、王道を歩んできたヴィクトワールに一日の長を認めたい。過去に春、皐月賞とダービーの2冠馬が21頭もいるのは、それだけ皐月賞⇔ダービーの関わりが深い証拠。これに対し、青葉賞の勝ち馬はこれまで1頭もダービー馬になっていない。やっぱり、皐月賞重視が正解、最有力だ。
⑧ローズキングダム
スプリングS、皐月賞の敗走でいささかメッキがはげた感がある。そして、挫石のアクシデント、運にも見放されたといったら失礼か。もともと、ダービーより皐月賞向きと見ていただけに、2歳時の実績を考えても電光掲示板が精いっぱい。
⑨ペルーサ
若葉Sでのちの皐月賞2着馬を破り、青葉賞がレース史上、3番めに速い2400メートル2分24秒3、それも4馬身のぶっちぎりだから、ヴィクトワールといえどもウカウカしてはいられない。最大の難敵、こちらに◎を打つ人も多かろう。もっといえば、今回がデビュー以来初めての本気の仕上げ、なおさらヴィクトワールにとっては脅威だが、それでも私は○まで。若葉S時のヒルノは2ヶ月の休み明けだったし、他馬にぶつけられる不利もあったから、きっちり仕上げた皐月賞のときのヒルノとは違う。破った価値を過大に考えるのは危険が伴う。青葉賞ははっきりいって相手が弱かった、あの4馬身差を額面通りに受け取ってはいけないとの考えからである。
⑩トーセンアレス
ダートでしか勝っていない。芝は弥生賞も皐月賞も1秒以上も離された7、14着、これが現在のこの馬の実力。見せ場のひとつも作れまい。
⑪ハンソデバンド
共同通信杯ではのちのNHKマイルCの勝ち馬ダノンシャンティを破ったほどだが、皐月賞はしんがり18着。この結果からすると、共同通信杯はスローの展開の2番手、いうところの展開の利が大きかったということに。とうてい狙えない。
⑫ヒルノダムール
究極の仕上げだった皐月賞で2着死守、さすがに藤田がぞっこんの馬だけあって一級品の末脚を持っている。二度ほど窮屈になるシーンがあってのことだけに、単なる2着確保とはワケが違う。その後の馬体の回復は早く、最終追い切りもすばらしい動き。長く脚を使えるレースぶりから、もちろん東京でこそ本領発揮だろう、ヴィクトワールを脅かしてもおかしくない。
⑬ゲシュタルト
決してスローではなかった皐月賞で2番手追走、結果は7着でも0秒5差は着順に隠れた好内容。“見どころあり”とみていたら、京都新聞杯を勝ってダービーの出走権を取ってきた。スプリングS以降、一戦ごとに力をつけている。すんなり先行したときの前残りに要警戒。
⑭リルダヴァル
NHKマイルCまでのローテーションがきつく、もう上がり目はないと見ていたら、今週の追い切りはここ2戦をしのぐほどの鋭さ、迫力さえ感じさせた。そう、疲れどころかさらなる体調アップを見せつけたのだからびっくりだ。こちらが考えている以上、スマートに映る馬体とは裏腹のタフネスである。常識的には前走以上は考えにくいのだが、あまりの最終追い切りのすばらしさ、福永の「今まで乗った中で一番の躍動感があった」にほだされて、ヴィクトワールの相手一頭に考え直す。
⑮メイショウウズシオ
前走の京都新聞杯でも先着馬が3頭もいた。今回は当時より一枚も二枚も上の馬たちがずらり、持ち前の相手なりに走る堅実さをもってしても勝負にはならない。
⑯シャイン
シンザン記念の2着はスローの単騎逃げに助けられただけ、本来なら勝っていなければならない。前2戦の結果をみれば、一線級に混じっての実力不足は明らか。スローで逃げられたとしても電光掲示板にも残れない。
⑰トゥザグローリー
GⅠ馬トゥザヴィクトリーの仔、素質は認める。でも、現時点ではまだ520キロの体を持て余している。青葉賞で2着できたのは、3着馬の位置取りの悪さ、仕掛け遅れがあったから。夏を越してからあらためて注目したい。
⑱ダノンシャンティ
1600メートルを1分31秒4の日本レコードV、それはとりもなおさず“ベストマイラー”の証だと思う。絶対能力の高さで2400メートル克服の可能性はあるが、この馬をかつてNHKマイルC→ダービーを制したキングカメハメハ、ディープスカイと同等に考えていいのかどうか。前述の日本レコード、レース前の気負い込み、掛かり癖など、この2頭と比べると、はるかにマイラー色が濃いのがダノンだからである。個人的にはつけても△まで。
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