2020年12月13日()シャティン競馬場 芝2000m

レース結果 ~香港カップ 2020~

  • 出走予定馬
  • 出馬表
  • レース結果



馬名 性齢 負担重量
(kg)
騎手 調教師 オッズ 人気
1 8 3    ノームコア 牝5 55.5 Z.パートン 萩原清 6.9 5
2 3 8    ウインブライト 牡6 57.0 松岡正海 畠山吉宏 6.3 4
3 7 1    マジカル 牝5 55.5 R.ムーア A.オブライエン 2.3 1
4 2 6    ダノンプレミアム 牡5 57.0 W.ビュイック 中内田充正 4.5 2
5 4 5    フローレ セ6 57.0 J.モレイラ A.クルーズ 4.9 3
6 6 7    ダンシーズウィズドラゴン セ7 57.0 C.ホー C.ファウンズ 62.9 7
7 1 4    スカレティ セ5 57.0 P.ブドー J.レニエ 14.8 6
8 5 2    タイムワープ セ7 57.0 K.ティータン A.クルーズ 87.2 8

■払戻金

単勝8 690円
複勝8 190円
3 190円
7 130円
馬連3-8 1,920円
ワイド3-8 670円
7-8 330円
3-7 350円
馬単8-3 4,100円
3連複3-7-8 1,790円
3連単8-3-7 15,200円

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※レース結果・払戻金・オッズなどのデータは、必ず主催者(JRA)発行のものと照合してください。

最新出走予定馬情報 ~香港カップ 2020~

 香港国際競走に出走した遠征馬6頭が15日に帰国。それぞれ輸入検疫のために国際検疫施設に入厩したことを16日、JRAが発表した。

 【15日6時9分・成田国際空港着、8時30分・競馬学校へ入厩】ウインブライト(美・畠山、牡6)、タワーオブロンドン(美・藤沢和、牡5)、ノームコア(美・萩原、牝5)

 【15日午後4時11分関西国際空港着、午後7時20分・三木ホースランドパークへ入厩】アドマイヤマーズ(栗・友道、牡4)、ダノンスマッシュ(栗・安田隆、牡5)、ダノンプレミアム(栗・中内田、牡5)

【香港カップ】日本馬ワンツー!ノームコアが香港GI制覇12月14日(月) 04:55

 【香港13日】香国際招待競走がシャティン競馬場で行われ、メイン・カップでノームコアが優勝し、ウインブライトが2着と史上2度目となる日本馬のワンツーとなった。スプリントはダノンスマッシュが父ロードカナロアに次いで優勝。日本馬による海外の同一レースでの父子制覇は初めてだった。連覇をかけてマイルに出走したアドマイヤマーズは3着に敗れた。

 ◇

 メインのカップはエイシンヒカリヌーヴォレコルトで決まった2015年に次ぐ2度目の日本馬のワンツーフィニッシュとなった。勝ったのは日本馬3頭の中で最も評価が低かったノームコア。道中は中団の少し後ろに位置し、最有力候補マジカルの外で併走。直線は外から脚を伸ばし、内にいたウインブライトを力でねじ伏せて昨年のヴィクトリアMに次ぐGI2勝目を飾った。

 エリザベス女王杯16着からの見事な巻き返し。初めてコンビを組んだZ・パートン騎手=豪州出身、香港拠点=は「ウインブライトの後ろのいい位置につけることができ、直線はいい伸びを見せてくれました」と振り返った。

 結果は陰性ながら、新型コロナウイルスの再検査を求められたため騎乗できなくなったC・スミヨン騎手の代打での快挙で、萩原調教師は「うまく乗って良さを引き出してくれました」と称賛。昨年はマイルに出走して4着だったが、中距離に矛先を替えたことが成功した。

 ◆松岡騎手(ウインブライト2着) 連覇がかかり、ラストランでもあったウインブライトは3/4馬身差の2着に敗れた。唯一、日本の騎手として参戦した松岡騎手は「いい位置を取れ、この馬のスタイルを貫くことができましたが、相手が一枚上でした。最後の騎乗でしたが、これ以上ない競馬ができて感無量です」と語った。来春から北海道・新冠のビッグレッドファームで種牡馬生活に入る。

 ◆中内田師(ダノンプレミアム4着)「よく頑張ってくれました。後ろから行く馬が有利な展開となり、残念ながら流れが向きませんでした」

 ★香港国際競走の売り上げ…香港3レースの日本国内での馬券売り上げの合計は、30億5853万4000円(スプリント4億4103万7700円、マイル11億1720万4900円、カップ15億29万1400円)だった。

 ■ノームコア 父ハービンジャー、母クロノロジスト、母の父クロフネ。芦毛の牝5歳。美浦・萩原清厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は池谷誠一氏。戦績17戦7勝(うち海外2戦1勝)。獲得賞金約6億991万7500円(うち海外約2億4343万5900円)。重賞は2018年GIII紫苑S、19年GIヴィクトリアマイル、GIII富士S、20年GII札幌記念に次いで5勝目。馬名は「究極の普通」。

ノームコアの競走成績はこちら

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【香港カップ】ノームコアが日本の牝馬の底力示す!12月13日() 17:46

 12月13日の香港・シャティン競馬8R・第34回香港カップ(GI、3歳以上、芝・右2000メートル、1着賞金1596万香港ドル=約2億2344万円、8頭立て)は、Z.パートン騎手騎乗のノームコア(牝5歳、美浦・萩原清厩舎、父ハービンジャー)が直線外から伸びて差し切り勝ち。タイムは2分0秒50(良)。GIは2019年ヴィクトリアマイルに次いで2勝目。

 2着には勝ち馬の内から伸びたウインブライト(牡6歳、美浦・畠山吉宏厩舎)、3着にマジカル(アイルランド)。ダノンプレミアム(牡5歳、栗東・中内田充正厩舎)は2番手追走からインで粘り込んでの4着。

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海外の大型馬柱を公開!香港Cなど香港国際競走3レース12月13日() 07:20

 「サンスポZBAT!競馬」では、海外馬券購入に役立つ大型馬柱を公開するサービスを展開中!

 パソコン、スマートフォンで閲覧可能なので、いつでも、どこでも馬券検討に必須の馬柱をチェックできます。

 ※ベーシックパックおよびDeepに加入している方がご覧になれます。 ※サンスポ記者の予想印入り



【ベーシック加入ユーザーのみ閲覧可】★日本時間12月13日17時30分発走予定「香港カップ」の馬柱を見る



香港カップ予想 ベーシック加入ユーザーのみ閲覧可】★柴田章利の香港カップ見解を見る★栗原純一の香港カップ見解を見る



【ベーシック加入ユーザーのみ閲覧可】★日本時間12月13日16時50分発走予定「香港マイル」の馬柱を見る



香港マイル予想 ベーシック加入ユーザーのみ閲覧可】★柴田章利の香港マイル見解を見る★栗原純一の香港マイル見解を見る



【ベーシック加入ユーザーのみ閲覧可】★日本時間12月13日15時40分発走予定「香港スプリント」の馬柱を見る



香港スプリント予想 ベーシック加入ユーザーのみ閲覧可】★柴田章利の香港スプリント見解を見る★栗原純一の香港スプリント見解を見る



※ファイルをそのままあるいは加工をして再配布したり、インターネット上に公開すること、プリントサービス等を第三者へ提供することを禁じます

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【香港カップ】陣営の思惑12月13日() 04:48

 連覇を狙う(3)ウインブライトはオールウエザーコース2周の最終調整。ラストランに向けて悔いのない仕上げを施された。「追い切って体もすっきりしましたし、やるだけのことはやりました。特に不安はありません。あとはいつも通り頑張ってくれたら」と木場迫助手。

 (2)ダノンプレミアムはオールウエザーコースに入り、キャンターで1周。「ここまでやるべきことをこなしてくれました。変わらず順調です」と猿橋助手。

 (8)ノームコアもオールウエザーコースでキャンター1周の調整を消化。南田助手は「状態面は何も心配ありません。いい競馬を期待しています」と話した。

★海外の大型馬柱を公開!香港Cなど香港国際競走3レースの馬柱&予想はこちら

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【香港国際競走】ダノンスマッシュ芝4ハロン47秒412月10日(木) 04:40

 13日の香港国際競走(シャティン)に出走する日本馬が9日、シャティン競馬場で追い切りを行った。日本馬が出走する3レースは、日本国内でも馬券が発売される。

 《スプリント》ダノンスマッシュ(栗・安田隆、牡5)は初コンビのムーア騎手を背に芝コース4ハロン47秒4-2ハロン22秒2。鞍上は「いい状態だと感じました」と好感触を口にした。タワーオブロンドン(美・藤沢和、牡5)はAWコースをキャンターで2周し、パドックをスクーリング。千島助手は「落ち着いていて、ほどよい気合も乗っています」と話した。

 《マイル》連覇を狙うアドマイヤマーズ(栗・友道、牡4)は芝コースでしまい重点に4ハロン47秒5-2ハロン22秒0。「馬の行く気もしっかりとしていましたし、順調にきています」と大江助手。

 《カップ》ダノンプレミアム(栗・中内田、牡5)は芝コースをキャンターで1周。「気持ちも乗ってきて、いい状態」と猿橋助手。ノームコア(美・萩原、牝5)は芝コース4ハロン48秒3-2ハロン21秒7を計時し、「気負いすぎるところもなく順調」と南田助手。昨年の勝ち馬ウインブライト(美・畠山、牡6)はAWコースをキャンターで1周し、きょう10日の追い切りに備えた。

ダノンスマッシュの競走成績はこちら

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【沢田康文の欧州リポート】香港カップ日本馬に強力ライバル12月10日(木) 04:37

 香港国際競走まであと3日となった。欧州の馬はGI4競走中、スプリントを除く3競走に6頭が出走予定。コロナ禍で人馬の輸送にはチャーター機が使われたそうだ。

 国際競馬のシーズンの掉尾を飾るのが香港国際競走。新型コロナウイルスに感染してブリーダーズCに参加できなかったフランスのC・スミヨン騎手も無事に現地入りするなど、トップジョッキーが集い、大いに注目される。

 欧州勢の代表格は、メイン・香港カップのマジカル(愛=A・オブライエン、牝5)。今年はガイヤースを下して連覇を達成した愛チャンピオンSなどGIを3勝している。今年は6月末に始動し、5カ月半で7戦目となるが、調子のいいときはたくさん走らせるA・オブライエン厩舎らしいタフなローテーションで、日本馬にとって強力なライバルといえる。

 カップにはフランスからもスカレティ(セン5)が出走予定。シャンティイではなくマルセイユ近郊のカブリエを拠点とするJ・レニエ厩舎の所属馬で、南仏の温暖な気候のもとに鍛えられた。GIは未勝利ながら、8月の仏GIIIゴントービロン賞では後の凱旋門賞馬ソットサスを破り、前走の英チャンピオンSではマジカルに1つ先着の2着という芦毛の実力馬。日本馬3頭を含めて8頭立てと少頭数だが、楽しみなメンバー構成だ。 (在仏競馬記者)

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【香港国際競走】現地競馬場で日本勢が調整12月09日(水) 04:52

 香港国際競走(13日)のスプリント、マイル、カップの3レースに出走する日本馬6頭は8日、舞台となるシャティン競馬場で調整を行った。

 香港カップ連覇に挑むウインブライト(美・畠山、牡6)は、オールウエザーコースをキャンターで1周。木場迫助手は「大きな変化はありません。順調で、木曜に松岡騎手が乗って追い切ります」と語った。

 ダノンプレミアム(栗・中内田、牡5)は角馬場からオールウエザーコースを1周。「いい状態です。水曜は芝コースで調整する予定です」と猿橋助手。ノームコア(美・萩原、牝5)は、きょう9日に追い切る。

 香港マイル連覇を狙うアドマイヤマーズ(栗・友道、牡4)は、角馬場からオールウエザーコースに出て1周。「馬は動きたい気持ちにあふれています。水曜は芝で追い切ります」と大江助手。

 香港スプリントに出走するダノンスマッシュ(栗・安田隆、牡5)は、角馬場からオールウエザーコースに入って1周。水曜追いに向けて軽快に駆けた。「気持ちが乗っていいです」と岩本助手。またタワーオブロンドン(美・藤沢和、牡5)は、木曜追い。

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【香港国際競走】カップ連覇へ!ブライト順調12月08日(火) 04:49

 香港国際競走(13日、シャティン)のスプリント、マイル、カップの3レースに、日本馬6頭が参戦する。

 香港カップ連覇に挑むウインブライト(美・畠山、牡6)は7日、シャティン競馬場のオールウエザーコースをキャンターで1周。「輸送の疲れも見えず、元気で気になるところは特にありません」と木場迫助手はコメントした。

 香港マイル連覇を狙うアドマイヤマーズ(栗・友道、牡4)は、角馬場で引き運動。「昨日、速いところをやりましたが、食欲もありますし、引き続きいい状態です」と大江助手。

 香港スプリントでGI初制覇を目指すダノンスマッシュ(栗・安田隆、牡5)は、角馬場で乗り運動。「昨日、速いところをやりましたが、硬くなるところもなく順調です。水曜にライアン・ムーア騎手騎乗で追い切り予定です」と茶木技術調教師。

ウインブライトの競走成績はこちら

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【香港国際競走】3レースが日本国内で馬券発売12月07日(月) 04:54

 香港国際競走が13日に香港・シャティン競馬場で行われる。スプリント、マイル、カップの3レースは日本国内でも馬券が発売される。

 日本馬は計6頭が参戦。スプリントには昨年のスプリンターズS勝ち馬タワーオブロンドンに加え、父ロードカナロアとの親子制覇が懸かるダノンスマッシュがGI初勝利を目指して出走。マイルでは、アドマイヤマーズが連覇を目指す。

 メインの香港カップは、連覇が懸かるウインブライトがラストランで有終の美を飾れるかに注目。ダノンプレミアムノームコアはそれぞれGI2勝目を目指す。

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厳選コラム ~香港カップ 2020~

ただ一人日本から香港に向かった松岡正海騎手がウインブライトの最終追い切りの後、香港カップへの意気込みを届けてくれました。

香港のホテルで缶詰め
甘粕 8日に香港到着。香港もコロナ第4波に襲われ、随分厳しい態勢のようですね?
松岡 そうなんですよ。到着後、空港から香港ジョッキークラブ指定のホテルに直行。ホテルとシャティン競馬場の検疫厩舎の間の往復しかできず、外出は一切禁止です。
甘粕 香港では香港IDかワーキングビザを持っている人間は入境後隔離2週間と決められてますよね。
松岡 出走馬関係者は隔離免除されて、それは大変ありがたいのですが、その分非常に厳しい監視体制の下に置かれてしまいました。
甘粕 例えば?
松岡 手には樹脂製のブレスレッドを嵌められるんですよ。
甘粕 その中にはGPS発信機が内蔵されているから、外出したらすぐに捕まっちゃいますよ。
松岡 そうなんですか! そういえばホテルはいつものグランドハイアットではなく、シャティン競馬場の近くなんですけど競馬関係者は一つのフロアー、そのフロアーにはガードマンが常駐していて、競馬場から帰ってくると翌朝また競馬場に向かうまで部屋にいないといけなくて、助手さん、厩務員さんたちの部屋にも行っちゃいけないんです。本当の缶詰なんです。朝も指定された時間にエレベーター前に集合。エレベーターも我々の宿泊しているフロアーには止まらないようになっていて、非常用のエレベーターを使って昇り降りしてるんです。
甘粕 そりゃ大変だ(笑)。日本の甘い防疫態勢とは比べ物にならないね。
松岡 でも、そこまでして競馬を開催してくれる香港ジョッキークラブの努力、凄さには感謝しても感謝しきれないくらいですよ。日本にいては、レース前の時間にこれほど余裕を持てることはないので出走馬の資料を調べたり、レース映像をじっくりと見て本番に備えています。いろんなことが見えてきますね。
甘粕 ところで食事は?
松岡 すべてルームサービスです。
甘粕 美食天国の香港ならルームサービスでも山海の珍味がてんこ盛りなんじゃないの?
松岡 それはそうでもなくて(笑)。

最終追い切りでおつりない仕上げ
甘粕 さて、10日にはウインブライトの最終追い切りに騎乗しました。なんとマスクしてましたね?
松岡 これも香港ジョッキークラブの規則です。本番はさすがにマスクしなくてもいいんですけど。
甘粕 息苦しくはない?
松岡 何頭も乗るわけではありませんから、へっちゃらですよ。
甘粕 さて、日本の競馬ファンが何よりも期待している追い切りの感触を教えてください。
松岡 今回の輸送では思ったほど馬体が減らなくて重め残りでした。去年は香港遠征が2回、今年はドバイではレースは使えませんでしたが往復しています。ブライトも輸送慣れしたせいか馬体が減らなかったのだと思います。ですからびしっと追い切りました。
甘粕 ラストランに向けて生涯最高の仕上がり?
松岡 そこまでは大言壮語できませんけど、おつりの残さない仕上げにはなりました。追い切り後の馬体重が493キロ。ちょうどいい馬体でレースに臨むことができると思います。
甘粕 一昨年の香港カップ、昨年のクイーンエリザベス2世カップと香港では負け知らず。一昨年、昨年と比べて馬の状態はどう?
松岡 この馬は2歳の時から見ていてステイゴールドの産駒ですから、5歳には馬が出来上がると感じていました。読み通り5歳で馬が完成しました。その時に比べれば6歳は6歳の年齢的な衰えは否定はできません。ただ、これまでの2年に比べると今年はドバイへ空足で往復したりして臨戦過程が順調ではなく、その分心配していました。それは最終追い切りで問題なし、と確信しました。
甘粕 じゃあ、おつりのない仕上げというのはちょっと謙遜してない(笑)。
松岡 (笑)
甘粕 さて、ディフェンディング・チャンピオンにはどんなレースをさせましょうか?
松岡 幸先よろしく去年とゲートを同じゲートを引き当てました。縁起がいいですよね! 今年は8頭と少頭数、ペースも早くなることはないので昨年と同じように3、4番手につけて直線勝負と考えています。
松岡 さて、レース映像もたっぷり見て、シャティン競馬場で日本勢、欧州勢を自分の目で見て、相手馬はどの馬?
甘粕 ダノンプレミアムがいいですね。検疫厩舎内の角馬場、トラックで見ていてほれぼれとする出来です。しかし、ブライトなら負かせない相手ではありません。
甘粕 ヨーロッパ勢は?
松岡 マジカルはいい馬ですね。
甘粕 ヨーロッパ勢はスピードが鍵。日本の超高速馬場よりは時計一つ遅いとはいえ、スピードよりも力勝負のヨーロッパ勢はシャティンの馬場に苦戦するケースがこれまでも随分ありましたよ。
松岡 マジカルは早い時計にも十分対応できる馬体をしているように見えました。
甘粕 問題はウインと同様、臨戦過程かな? 今シーズンは6月下旬から使い始めて前走のブリーダーズカップ・ターフまで毎月一走で6戦。その最後がアメリカ遠征。
松岡 ブライトとは違った意味でおつりなくなっているといいですねえ(笑)。
甘粕 もう1頭の欧州勢は?
松岡 スカレティですね。こちらは馬体も硬くてスピード勝負にはいまいちかなあ、と。
甘粕 凱旋門賞当日のドラール賞2000mの勝ち時計が主馬場だったとはいえ2分10秒41、2200mの日本レコードよりも遅い(笑)。これはちょっとね? 地元香港勢では?

地元大将格フローレは?
松岡 前哨戦のジョッキークラブカップを勝ったフローレが人気になっているようですね。そんなに強い馬ですか?
甘粕 昨シーズンの4歳三冠シリーズの二冠馬、第2レグのクラシックカップ1800mはH.ボウマンの取りこぼしですよ。本来なら香港競馬史上2頭目の三冠馬になっていてもおかしくなかった。
松岡 そんなに強いんですか?
甘粕 香港のレジェンド、A.クルーズ厩舎に転厩して再生。今シーズンの使い始めこそ負けたものの、1800mのG2、トライアルと連勝したんですよ。人気薄で気持ちよく逃げれば、ひょっとしちゃうし、タイムワープがフローレのペースメーカーになってペースを作れる。フローレはトライアルを2分を切る時計で勝ってるから、クルーズ厩舎のこの2頭の作戦には十分注意した方がいいと思いますよ。
松岡 なるほど。地元馬のアドバンテージもありますしね。
甘粕 しかし、HKIRには地元香港の雷神ことJ.モレイラ、ライバルのZ.パートンに加え、C.スミヨン、R.ムーア、W.ビュイック、M.バルザローナ世界の名手が結集。正海くんの腕が鳴りますね!
松岡 スミヨンが香港に入れなくなったんですよ。ブリーダーズカップの前にコロナ陽性が疑われて乗り代わりになって、検査で陰性だったのに香港政府の規定ではNGが出たらしいのです。それで彼の騎乗予定馬は乗り替わりになって出走関係者は大変なことになっています。
甘粕 香港政府のコロナ対策は日本とは比べ物にならないほど厳しいね。日本もそのくらい厳しくしないといけないよ。
松岡 世界の名手とターフの上で勝負できるのは楽しみです。若い頃アイルランドで武者修行しましたし、アメリカにも調教に乗りに行ったことがあります。それに香港での騎乗で彼らの馬の動かし方はしっかりと頭の中に刻まれています。F.デットーリとC.スミヨンほど馬を動かせるジョッキーはいません。この2人には脱帽せざるを得ませんが、他の騎手の動かし方なら事前に対策を練っておけば十分対応できる。そのあたりは頭の中でしっかりとシミュレーション完了です!
甘粕 これは力強い! ウインにはこれまでの競馬の歴史のシーンが重なるんですよ。父のステイゴールド、ラストランの香港ヴァーズの鬼の末脚。そして2003年クイーンエリザベス2世カップはコロナならぬSARS禍の中で行われて、香港大将エイシンプレストンが香港で3つ目のG1制覇。ブライトもここ勝てば3つ目のG1。これは神様から大勝しろというお告げかもしれない。
松岡 それは自己責任でどうぞ(笑)。僕を大きく育ててくれたのはブライト。ブライトへ騎乗する機会を与えてくださった岡田繁幸社長の大恩に報いるためにも全力で後悔のない騎乗をします。皆さん、日本から応援して下さい!

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走3レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

【香港国際競走2020】レース展望④<香港カップ>香港勢筆頭はリーディングトレーナーA.クルーズの秘密兵器フローレ!

香港カップ(シャティン芝2000m)
ディフェンディング・チャンピオンアドマイヤマーズ、鞍上強化著しいダノンプレミアムノームコア両頭と今年の日本代表3頭は例年以上のレベルといって差し支えありません。8頭立ての少頭数になったとはいえ、相手の地元香港勢、欧州勢も例年にない手強さ。まずは香港カップの栄誉を日本から取り戻さんと必死の香港勢から。

香港の中長距離馬と言えば騎手、調教師としてともにリーディングに輝く香港のレジェンド、A.クルーズ厩舎の独壇場。香港カップ3勝、ヴァーズ3勝、QE2を3勝しています。年度代表馬にも輝いた大将格、エグザルタントが香港カップを回避してヴァーズに回りました。しかし、エグザルタントに代わる秘密兵器をしっかりと用意。日本勢を迎え撃たせました。カップ、ヴァーズのダブルを狙っての作戦です。
馬季の二冠馬、フローレ(セ6)です。ニュージーランド産馬のフローレは2018年1月、オーストラリアでデビューから4連勝。同年12月に香港に移籍して18/19馬季の4歳三冠シリーズでは香港クラシックマイル(シャティン芝1600m)、香港ダービー(シャティン芝2000m)の二冠馬となりました。三冠第2レグの香港クラシックカップ(シャティン芝1800m)は4着でしたが、これは明らかにH.ボウマンの取りこぼし。幻の三冠馬でした。

翌馬季は香港カップ、QE2を目指して中距離G1路線の王道を歩んだものの、厚い壁に跳ね返されて未勝利。今夏のシーズンオフの休養で成長を見せると、初戦こそ敗れたものの11月1日のササレディースパース(G3・シャティン芝1800m)で香港ダービー以来1年8か月ぶりに凱歌を上げました。前哨戦11月22日のジョッキークラブカップ(G2・シャティン芝2000m)では同厩のタイムワープ(セ7)が逃げ、2番手につけたエグザルタントを前に3番手につけ、直線で両馬を斬って捨てて悲願の香港カップ制覇に王手をかけました。勝ち時計は1分59秒32と香港では驚異的な好時計です。ササレディースパースでもエグザルタントに先着、この好時計がトニーことA.クルーズに重大な決心をさせます。
「斤量差があるとはいえ、年度代表馬のエグザルタントを2度も差し切った力には認識を改めた。香港カップはフローレに任せ、エグザルタントは去年、日本馬グローリーヴェイズに苦杯をなめさせられたヴァーズ2度目の勝利を狙わせることにしたんだ。ところで今年の日本馬はどうなんだ? グローリーがいなけりゃエグザルタントでヴァーズは間違いなくいただきだろ?」A.クルーズ調教師に電話をすると自信満々に答えてくれました。

17/18馬季の香港カップ覇者、タイムワープ(セ7)も忘れてはいけません。香港のエリモジョージとの異名を持つ希代のムラッ気の逃げ馬。前走のトライアルでは例によって逃げたものの殿負け。しかし、前馬季には2月16日の香港ゴールドカップ(G1・シャティン芝2000m)をまんまと逃げきっていて、切り捨てるのは早計です。今年も日本勢をクルーズ厩舎の2頭が立ちはだかる構図です。

さてさて欧州勢です。アイルランドの巨匠、A.オブライエンは多士済々の軍団からマジカル(牝5)を送り込んできました。これまで27戦12勝(12-8-1-6)、英チャンピオンズフィリーズ&メアズSを3歳の身で制しG1勝利を重ねること8勝。今年は愛チャンピオンズ・ステークス、タタソールズゴールド・カップ連覇を含むG1を3勝してブリダーズカップ・ターフ2着とG1を6戦して3勝2着2回3着1回と目を見張る活躍、実績だけから見れば堂々の大本命です。しかし、初夏から使われてHKIRに遠征してくる欧州勢はシーズン中におつりまで使ってスッカラカンの状態であることが殆ど。これまでは調教を見て取捨を決められたのですが、今年は香港渡航不可能。何とも歯がゆいことです。

もう一頭はフランスからスカレティ(セ5・J.レニエ厩舎)。G1勝ちはないものの凱旋門賞当日の名物G2ドラール賞連覇が勲章です。今シーズンは5月の使い始めから重賞ばかり5戦して2勝2着2回3着1回の好成績を残し、前走の英チャンピオン・ステークスではマジカルに先着して2着と健闘していますが、この5戦すべてが稍重から不良。10月3日のドラール賞(ロンシャン芝2000m)の勝ち時計が2分10秒41。芝2200mの日本レコード、2分9秒7よりも遅いのです。欧州勢はおつりがどれだけ残っているのか、香港は日本よりは若干時計がかかるものの、欧州よりは格段に軽い芝への適性が見極めの最大のポイント。2010年のスノーフェアリー以来、欧州勢は勝てていません。スノーフェアリー香港カップの前に日本でエリザベス女王杯を勝って軽く早い芝への適性を示していました。マジカルはそれなりに人気を集めるでしょうが、今年の欧州勢にスノーフェアリーを重ねて見ることは少々難しいような気がしてなりません。

香港ヴァーズ(シャティン芝2400m)
日本馬が出走していないため、日本では馬券発売の対象にはなっていませんが、今後のために簡単に展望致します。香港カップ展望でも触れましたが、エグザルタントが不動の大本命のこのレース、もともと長距離馬が少ない香港ですから香港勢4頭にA.オブライエン、J.レニエ厩舎の2頭と7頭立ての寂しいレースになってしまいました。
日本から有馬記念にはちょっと足りない長距離馬が遠征してくれば十分勝ち負けになったのに、と残念でなりません。実はエリザベス女王杯5着のセンテリュオ(牝5・高野友和厩舎)が駆け込みで出走を検討、雷神モレイラからも来てほしいと依頼があったそうですが、間に合いませんでした。センテリュオが出走していればエグザルタントとの一騎打ち、香港で発売が始まった二重彩、日本で言う馬単でセンテリュオを頭に勝負したかったのですが、それも夢。

閑話休題――。エグザルタントの相手になりそうなのは地元勢では前哨戦3着のコロンバスカウンティ(セ5・C.ファウンズ厩舎)は他の地元勢から頭一つ抜けています。欧州勢ではA.オブライエンのモーグル(牡3)。モーグルは武豊が2週間隔離の覚悟でパリまで出かけながら直前の出走取消で涙を飲ませたジャパンの弟です。ジャパンカップにも登録はしたもののこちらも来日見合わせ。凱旋門賞前哨戦の一つ、パリ大賞典を3歳馬の身で勝っていて、このメンバーなら頭一つ抜けた存在。もう一頭の欧州勢、ロイヤルジュリアス(牡7)は仏、伊、中東と世界を股にかけ地球を駆け回るタフな馬。この2頭がエザルタントの相手2番手を形成することになるでしょう。
香港には四重彩という4連単馬券が発売されています。エグザルタント1着固定の4連単絞り込んで勝負というのが今年の勝負馬券。しかし、香港に行けないので買えません。JRAには日本馬が出走していなくても海外の主要G1を発売して貰いたいものですし。三連単数、WIN5など魅力的な馬券を日本でも発売して貰いたいものです。
明日は松岡正海騎手の香港直前情報をインタビューでお届けします。お楽しみに!

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走3レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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【香港国際競走2020】レース展望③<香港カップ>エイシンプレストンを彷彿とさせるウインブライト連覇なるか!?

香港カップ(シャティン芝2000m)
さて、香港国際競走のメーンレース、香港カップには連覇と同一年のクイーンエリザベス2世カップとの連覇を目指す我らが日本のウインブライト(牡6・畠山吉宏厩舎)以下、3頭が出走します。ウインブライト香港カップがラストラン。父ステイゴールドも2001年香港ヴァーズで普段のジリ脚がどこにいったのかと思わせる鬼の末脚を繰り出し、有終の美を飾りました。そのまま種牡馬入りして三冠馬オルフェーブルをはじめとする良駒を輩出。ウインブライトステイゴールド晩年の最高傑作と言っても過言ではありません。
またウインブライトは今世紀初頭、香港横綱と異名をとったエイシンプレストンを想起させます。エイシンプレストンは古馬になってから超高速馬場の日本では時計一つ足りず、善戦マンに留まっていましたが、シャティンの馬場と香港の風土が余程合っていたようです。春のクイーンエリザベス2世カップ(QE2)でも暮れの香港国際競走でも、香港に到着すると毛艶が見る見るうちによくなり、調教やパドックスクーリングでは香港馬や他の遠征馬を睥睨するような横綱の風格を漂わせていたものです。

そして、忘れられないのが2003年のQE2です。あの年は今と同じようにSARSという疫病の下、国際競走が行われ、日本から香港へは渡航が制限され、日本の記者、カメラマンメディアはたった7人。私もそのうちの一人でした。エイシンプレストンはSARS禍にもかかわらず香港遠征を敢行、レースでは香港競馬史上唯一の牝馬香港ダービーウィナー、エレガントファッションを1馬身3/4ちぎってQE2連覇を成し遂げたのです。ウィナーズサークルから観客もまばらなスタンドに向けて故平井豊光オーナーはインタビューにこう答えたのです。
「プレストンは香港に育ててもらった馬です。香港がSARSで苦しんでいるときに香港の皆さんに頑張ってもらいたい。だから遠征を決めました。香港の皆さん、SARSに負けずに頑張ってください」
平井オーナーのこのメッセージには香港競馬ファンも目頭を熱くしていました。
あれから17年、コロナ禍はSARSとは違って全世界に蔓延。日本も香港も感染爆発に近い拡大を見せている中、エイシンプレストンと同じように香港で国際G1ウィナーとなって大きく飛躍したウインブライトエイシンプレストンに重なって見えて仕方ないのです。

松岡正海騎手は8日朝、日本の調教師、騎手ではただ一人勇躍香港に向かいました。出発直前の松岡騎手に連絡したところ、既に香港入りしている畠山厩舎のスタッフから香港到着後は空輸の疲れがないどころか、状態が急速に上向いてきたという連絡が入っているとのこと。松岡騎手を背に調教に臨めば状態は更に少々することでしょう。松岡騎手とは直前に連絡を取り合う約束をしましたから、レース前日までには松岡騎手からのリポートをウマニティ会員の皆さんに直前情報としてお届けする予定です。

ウインブライトのことばかり書きすぎてしまいました。コロナ禍の下、今春のオーストラリア、クイーンエリザベスS(G1・ランズウィック芝2000m)に遠征し3着と健闘したダノンプレミアム(牡5・中内田充正厩舎)が今年2回目の海外遠征を敢行しました。厩舎担当者のご苦労は如何ばかりかと心配になってしまいますが、香港ではW.ビュイック騎手を鞍上に迎えました。
イギリスを中心に活躍する彼、実は北欧ノルウェイ出身で、お父様はリーディング8回という北欧の名騎手。お母さまは馬術の名手という馬の名門家庭に生まれています。日本には2012年、ワールドスーパージョッキーズシリーズで初騎乗。2013年には短期免許を取得して1月5日から3月4日まで騎乗。クイーンカップをウキヨノカゼで勝ち、日本での重賞初勝利を挙げています。その後、ゴドルフィンの主戦騎手となり、世界各地で大活躍を見せ、2018年には再び来日、短期免許来日初週にマイルチャンピオンシップステルヴィオで制し、日本のG1初制覇を果たしていますので日本の競馬ファンの皆さんも覚えていらっしゃるかと思います。
日本の騎手には失礼かもしれませんが、W.ビュイックの起用は明らかに鞍上強化。このプラスと今年2度目の海外遠征をどう天秤にかけるか、この馬の取捨のポイントです。

昨年のヴィクトリアマイル勝ち馬、ノームコア(牝5・萩原清厩舎)は香港マイルではなく香港カップを選択しました。いずれもこなせる距離ではありますが、今年の札幌記念を快勝した2000m洋芝とシャティンの芝は酷似していますので、これが選択のポイントになったものと思われます。こちらもダノンプレミアム同様、外人騎手を鞍上に迎えました。なんと香港の雷神、J.モレイラです。
彼の技量は皆さんご存じの通りですが、実は昨馬季までは絶不調のどん底にあったのです。モレイラは2018年、日本での長期免許を目指して来日しました。香港では毎朝の調教の後、彼と雑談していましたが、その香港を卒業してJRAの通年免許に挑戦する決意を聞かされた時には、思わず早まるなと忠告しました。誰に言われたのか知らないが、日本語の拙いジョアンが合格する可能性は皆無。暫く待った方がいい、と。しかし、ジョアンは私の言うことに全く聞く耳を持たず、試験に落とされて号泣したのです。

香港ジョッキークラブは一度後ろ足で砂をかけたジョアンには冷淡で、18/19馬季はジョッキークラブお抱えのクラブジョッキーではなく、J.サイズ厩舎専属騎手とライセンスもワンランク下のものしか与えられませんでした。不合格のショックから後頭部は円形脱毛症になり、彼の指定席だったリーディングもライバルのザック・パートンに2馬季続けて奪われてしまいます。
しかし、不合格ショックから立ち直った今馬季は開幕から飛ばしてリーディングトップを独走中。シャティンコースの隅から隅までご存じの雷神さまですから、W.ビュイック以上の鞍上強化。彼が日本で短期騎乗していた際にモレイラ5馬身と私はよく書きましたが、復調したモレイラなら5馬身どころではありません。
今年の香港カップ日本代表3頭はいずれも勝負になるだけの条件を揃えています。地元香港勢、コロナ禍の中遠征してきた欧州勢の分析は明日に譲ります。お楽しみに!

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走3レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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【香港国際競走2020】レース展望②<香港マイル>香港4歳三冠馬ゴールデンシックスティが香港マイル王に王手!

香港マイル(シャティン芝1600m)
我らがアドマイヤマーズ(牡4・友道康夫厩舎)がこのレース連覇を目指して香港に遠征しました。アドマイヤマーズは既にマイルG1を3勝しています。2歳時の朝日杯FS、3歳時のNHKマイルカップ香港マイル。特に3歳日本調教馬が古馬との混合戦海外G1を制覇したのは本馬が初めてで、この勲章は燦然と輝きます。内外屈指のマイル王と言えるでしょう。昨年の香港マイルには日本から昨年の春秋マイル王・インディチャンプヴィクトリアマイル馬・ノームコアペルシアンナイトとともに挑戦。春秋のマイル王、牝馬マイル女王に比べれば2、3歳限定戦でのG1 2勝は実績的に見劣りがするため、人気では上記2頭の後塵を拝し6番人気。

しかし、レース前の11月7日、急逝した近藤利一オーナーの魂が乗り移ったような爆走を見せ、快挙を成し遂げました。俗に葬式馬券という言い方がありますが、オーナーら出走馬関係者に不幸があると、その馬は激走すると言われています。近藤オーナーは大変豪快な方で、生前は競馬場、セリ場、夜の街などで親しくお付き合いさせて下さいました。その恩ある近藤オーナーの逝去直後ですから、私はアドマイヤマーズを軸に勝負しない訳にはいきませんでした。そして、美味しいお酒を飲ませて貰いました。直線では雲の上から近藤オーナーも手をテーブルに叩きつけて絶叫し、勝利を後押しされていたことでしょう。ウィニングランで戻ってくるアドマイヤマーズに近藤オーナーの笑顔が重なって見えました。逝去から既に1年以上が経ちましたが、謹んで冥福をお祈りするばかりです。

さて、そのアドマイヤマーズは今年ディフェンディング・チャンピオンの立場でスプリント陣営と同じく世界的に高いレベルと層をもつ香港マイラー陣の挑戦を受けることになりました。17/18馬季香港マイルチャンピオンズマイル、18/19馬季香港マイルチャンピオンズマイル香港マイル戦では無敵の世界最高レーティング・マイラーのビューティージェネレーション(セ8・D.ヘイズ厩舎)も既に8歳、昨馬季から年齢的な衰えを隠すことはできず、香港マイル3連覇を目指した昨年のこのレースではアドマイヤマーズに苦杯を喫しました。その後、G3を勝って3連覇をかけたチャンピオンズマイルでもサザンレジェンド(セ8・C.ファウンズ厩舎)に及ばず2着。絶対王者の衰えに加え、コロナ禍で欧州馬が香港遠征を手控えたため10頭の少頭数になったことでアドマイヤマーズの連覇に大きな期待が集まっていましたが、ビューティージェネレーションに代わって香港マイル王に王手をかけた新星がアドマイヤマーズの前に立ちはだかってしまいました。

新星とは昨馬季の4歳三冠を総なめにしたゴールデンシックスティ(セ5・K.ルイ厩舎)です。香港競馬は南半球既走馬の移籍が主流で、かつてはマイル以下のレースが8割近くを占めるスプリント、マイル王国でした。香港ジョッキークラブは中長距離馬を増強するため4歳三冠シリーズを91/92馬季に創設。HKIR後の年明け1月の香港クラシックマイル(シャティン芝1600m)、その後は一カ月おきに香港クラシックカップ(シャティン芝1800m)、香港ダービー(シャティン芝2000m)の3戦です。この三冠創設以来、香港の中長距離馬レベルは大きく向上。香港ダービー馬のワーザーが2000年宝塚記念で2着するなど効果はてきめんに表れています。

ゴールデンシックスティは昨馬季、いずれも後方待機、直線一気の競馬で2000年のラッパードラゴンに続く香港競馬史上2頭目の三冠馬に輝きました。ラッパードラゴンは豪州クイーンズランド・ダービーを勝ってから香港に移籍。しかし、ゴールデンシックスティは未出走で香港に移籍、香港デビューというところにラッパー以上の価値があります。2019年3月31日のデビュー戦から3連勝。一旦10着と敗れてから7連勝で三冠馬の座を射止めて休養。マイル、1800m、2000mと圧勝したゴールデンシックスティは今年のHKIR、どこに照準を剥けるのか香港中が注目する中、9月27日のセレブレーションカップ(G3・シャティン芝1400m)から戦線復帰、マイル王ビューティージェネレーションに1+3/4差をつけ2着に斬って捨て、マイル戦線のトップに立ちました。このレースではゴールデンシックスティが116ポンド、ビューティージェネレーションが133ポンドのトップハンデで、ハンデ差の有利が勝利につながったとの見方もありましたが、10月18日のシャティントロフィー(G2・シャティン芝1600m)ではハンデ差が10ポンドまで縮まったものの快勝。ビューティージェネレーションは6着に敗れています。11月22日の前哨戦、ジョッキークラブカップはビューティージェネレーション不在となりましたが、1分32秒91の好時計で快勝。香港マイル王に王手をかけました。

国際レーティングでは古豪ビューティージェネレーションが123とトップ、ゴールデンシックスティが119と我らがアドマイヤマーズの118を上回っていますが、上位2頭の内ではゴールデンシックスティが連覇を目指すアドマイヤマーズの前に大きく立ちはだかっていると見ます。古豪ビューティージェネレーションは寄る年波には勝てず、かつての輝きを取り戻せていません。昨馬季で引退した千勝爺ことJ.ムーア調教師からビューティージェネレーションを受け着いたD.ヘイズ調教師は1996年から2005年まで香港で開業。15年ぶりに今馬季から香港に復帰しました。前回の香港10年間にはリーディングトレーナーに2度輝いた名伯楽。しかし、復帰後は思うように勝ち星を伸ばせないでいますが、前哨戦をスキップして懸命の巻き返しを図っています。衰えを見せているとはいえ、名伯楽がどこまで仕上げ直してくるのか、これには注目が必要です。

世代交代を争う上記2頭のほかでは、アドマイヤマーズと同じく国際レーティング118で並ぶ3頭はカーインスター(セ5・A.クルーズ厩舎)はすんなり先行できれば渋太く、このメンバーなら楽に先手をとれそう。逃げ残りには注意が必要。サザンレジェンド(セ8・C.ファウンズ厩舎)は昨馬季のチャンピオンズマイルでビューティージェネレーションを破った実績あるものの、ビューティージェネレーションと同齢の8歳で前哨戦3着とは年齢的な衰えが必要かもしれません。ワイクク(セ5・J.サイズ厩舎)はマイルG1のスチュワーズカップ勝ち馬ながら、このレースが今馬季初出走で、狙いは下げなくてはいけませんが、むら駆けな馬だけに簡単に切り捨てるのは早計かもしれません。

アイルランドの巨匠、A.オブライエンが送り込んできたオーダーオブオーストラリアを含む欧州勢2頭はこれまでの実績が示すようにシャティンの芝への適応性に疑問が残り、狙いは大きく下げた方がいいと現時点では見ています。いずれにしてもゴールデンシックスティが中心のこのレース、アドマイヤマーズとの対戦が楽しみでなりません。

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甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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【香港国際競走2020】レース展望①<香港スプリント>電撃移籍のオーストラリアのスプリント王クラシックレジェンド参戦!

ウマニティ会員の皆さん、ご無沙汰をしました。甘粕代三です。コロナ禍の下、今年も香港競馬の祭典、香港国際競走(HKIR)4競走が13日に迫りました。昨年のHKIRは犯罪人引渡条例改定に反対する大規模反政府デモの洗礼を受けました。その混乱の下でもHKIRは通常通り開催できたのですが、今年はそれどころではありません。コロナ禍に襲われた今年は正に秋霜烈日、弱り目に祟り目。日本競馬ファンはまず競馬場を訪れることはできません。競馬関係者も大きな不自由の下、香港に向かっています。香港に遠征するただ一人の日本人騎手、松岡正海騎手は8日に成田から香港に旅立ちますが、出発直前にもPCR検査が必要だということで7日、わざわざ成田空港まで出かけて2度目の検査を受けています。何ともご苦労なことで、日本政府の検査態勢と防疫態勢の不備を呪うしかありませんが、松岡騎手をはじめとする日本の出走関係者の苦労が大きな花を咲かしてくれることを祈ってやみません。

さて、香港特別行政区政府のコロナ対策は日本よりも厳格かつ適正です。コロナ禍拡大阻止のため、いま香港に入境できるのは香港IDカードか香港のワーキングビザ所有者に限られ、空港到着後は政府指定の宿泊機関で2週間の隔離を受けなくてはなりません。隔離中はGPS付きの腕輪を嵌められ、行動も監視され、外出するなどの違反行為には多額の罰金が科せられるほど厳しい防疫体制を敷いています。このため、私自身も2月初めに香港から東京に戻り、コロナ禍が発生してしまったために東京に缶詰め。砂を噛むような虚しい毎日を送っています。

しかし、HKIRに出走する各国競馬関係者に関してはHKIRが政府を説得して特別措置が取られ、香港空港到着後、隔離なしに指定されたホテルに直行できるようになりました。ただ、その後はホテルとシャティン競馬場の検疫厩舎の往復しか外出は認められず、毎日数回のPCR検査が義務付けられます。このため調教師は一人として香港へ向かえません。帰国後にまた2週間隔離されますから、2週のG1、特に27日の有馬記念には大きな支障が出てしまうことになるからです。オーナーと同行者には香港での隔離2週間免除の特例措置が認められず、行きと帰りで併せて1カ月の時間を無駄にせざるを得ません。ですからオーナーも一人として香港に向かうことができないのです。コロナ禍に直撃され、大きな困難が伴う今年のHKIRに挑戦、遠征する松岡正海騎手をはじめとする助手、厩務員の皆さんにはコロナ禍に負けず、昨年3勝の栄誉を守ってきてほしいと期待が膨らむばかりです。

さて、私もそんな訳で今年は香港に足を踏み入れられずにおりますが、ネット時代の利点を生かして現地からの情報を収集し、今日からスプリント、マイル、カップの順で今年のHKIRを展望、レース当日の日曜日には予想をお届け致します。ご期待ください。

香港スプリント(シャティン芝1200m)
世界一高いレベルと層の厚さを誇る香港スプリント勢に日本からは昨年のスプリンターズS覇者、タワーオブロンドン(牡5・藤沢和雄厩舎)、今年のスプリンターズSでグランアレグリアの鬼足に2着と涙を飲んだダノンスマッシュ(牡5・安田隆行厩舎)の2頭が挑戦状を叩きつけました。香港遠征が可能なスプリンター陣の中では最高の2頭といえるでしょう。
ただ、このレースでは世紀の日本スプリント王ロードカナロアが2012年、13年とこのレースを連覇した以外、日本勢は悉く香港勢に跳ね返されています。この2頭の取捨はロードカナロアとの比較、そして今年出走してくる香港勢との比較――このふたつが大きなカギを握ることになります。

11月22日(日)、HKIRステップレース3競走が行われました。香港スプリントに向けての前哨戦、ジョッキークラブ・スプリント(シャティン芝1200m)は香港勢10頭で争われ、葦毛のホットキングプローン(セ6・J.サイズ厩舎)が優勝しました。馬名を見て2000年の安田記念であっと言わせたフェアリーキングプローンを思い出した方は相当な香港競馬通。同じオーナー、劉錫康さんの持ち馬です。冠名前がプローン、余程のえび好きなんでしょうか(笑)
さて、ホットキングプローンは16/17年シーズン(以下、馬季)終わりに香港で新馬デビュー、新馬戦を連勝した後(未出走馬デビューが少ない香港では新馬戦は複数回出走可能)、シーズンオフを挟んで条件戦で連勝記録を5に。この5戦全てが直線1000m戦という折り紙付きのスプリンター。6戦目には2着と記録は途切れましたが、18/19馬季には初戦から重賞3連勝、香港スプリントに初挑戦しましたが、G1の厚い壁に跳ね返されてしまいます。その後は短距離重賞の常連となったものの、重賞勝ち鞍には恵まれず前走で久々の重賞勝ち、昨年は2着に敗れて悲願となった香港スプリントに3度目の王手をかけました。これまで多くのスプリント王を輩出してきた名伯楽、J.サイズ厩舎だけに断然の本命視されていました。

ところが、とんだ惑星が出現します。スプリント王国オーストラリアのスプリント最高峰、ジ・エベレストを快勝したばかりの世界の短距離王、クラシックレジェンド(セ5・C.ファウンズ厩舎)が11月9日、香港に降臨してきたのです。同馬はオーストラリアでスプリント戦ばかり使われて12戦6勝2着2回3着2回の良績。10月にはジ・エベレストを制覇したのです。オーナーが香港の何家駒さん。これはジ・エベレストを勝てば香港遠征というのが当初のプランだったようですが、何さんが故郷、香港に錦を飾りたいと強く希望し香港移籍が決まり、今馬季絶好調でリーディングをトップを驀進するC.ファウンズ厩舎に預託されました。同馬の中国馬名、川河達駒が示すように昨馬季のチャンピオンズマイルを勝った川河尊駒、英語名サザンレジェンド(香港マイル出走予定)も所有。中国語冠名は川河、英語ではレジェンドの何軍団がHKIRに2頭出しの快挙を成し遂げることになりました。香港ではオーナー1頭持ちでは4頭までの制限があるので、これは本当に名誉なことなのです。

クラシックレジェンドは移籍デビューを前に12月1日にはバリアトライアル(実戦形式の調教、地方競馬の能力検定に相当)に挑み、1000m直線のトライアルで昨馬季、ゴールデンシックスティ(セ5・F.ルイ厩舎)で4歳三冠シリーズを総なめにした香港人騎手・何澤堯(ヴィンセント・ホー)に手綱を取られ、58秒67で駆け抜け、3着と力を誇示しました。ファウンズ調教師は「世界中から注目されているのは分かっているが、皆が考えるほど簡単に事は運ばない」と慎重なコメントをしていますが、オーストラリア出国前に3週間の検疫があっただけにトライアル3着は、よくここまで仕上げたと評価すべきではないでしょうか。

昨年の覇者、ビートザクロック(J.サイズ厩舎)が姿を見せず、一昨年の勝ち馬、ミスタースタニングも引退して今年の香港スプリントには日本勢がつけ込む隙も見えたかに覚えましたが、世界最高のスプリント陣に調整途上とはいえ世界スプリント王が加わり、香港スプリントは例年通りジ・エベレスト並みの難しい頂となってしまいました。
上記2頭香港強豪に加え、国際レーティングで日本勢2頭の114よりも高い115の評価を受けているビッグタイムベイビー(セ6・K.マン厩舎)、ヴォイッジウォリアー(セ5・P.イウ厩舎)、トライアル2着のコンピューターパッチ(牡4・A.クルーズ厩舎)、ラタン(セ7・R.ギブソン厩舎)ら香港勢の伏兵も多士済々。今年も日本勢は苦戦を強いられることになりそうです。

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港国際競走3レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。


甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、香港アップルデイリー日本特約記者、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

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過去10年の結果 ~香港カップ 2020~

開催日 勝ち馬 性齢 調教国 タイム 騎手 調教師
2019/12/08 ウインブライト 牡5 日本 2.00.52 松岡正海 畠山吉宏
2018/12/09 グロリアスフォーエバー セ4 香港 2.01.71 S.デソウサ F.ロー
2017/12/10 タイムワープ セ4 香港 2:01.63 Z.パートン A.クルーズ
2016/12/11 モーリス 牡5 日本 2:00.9 R.ムーア 堀宣行
2015/12/13 エイシンヒカリ 牡4 日本 02:00.6 武豊 坂口正則
2014/12/14 デザインズオンローム 牝4 香港 2.01.96 J.モレイラ J.ムーア
2013/12/08 アキードモフィード 牝3 香港 2.01.96 D.ホワイト R.ギブソン
2012/12/09 カリフォルニアメモリー 牝4 香港 2.03.09 M.チャドウィック A.クルーズ
2011/12/11 カリフォルニアメモリー 牝3 香港 2.04.57 M.チャドウィック A.クルーズ
2010/12/12 スノーフェアリー 牡3 イギリス 02:03.0 R.ムーア E.ダンロップ

歴史・概要 ~香港カップ 2020~

香港カップは香港国際競走デーのトリとして香港マイル香港スプリント香港ヴァーズ後に施行される格式の高い国際中距離GIである。1988年に【香港招待カップ】芝1800m戦として施行されたのが始まりで1999年に現在の名称である【香港カップ】に変更され、国際GIの芝2000m戦となった。
日本馬は国際格付け以前から1995年のフジヤマケンザン、1998年ミッドナイトベッド、2001年アグネスデジタルで3勝を挙げている。とりわけ1995年のフジヤマケンザンの優勝はハクチカラ以来36年ぶりとなる海外重賞競走制覇となり、日本のファンを熱狂させた。
直近では、2019年ウインブライト、2020年ノームコア、2021年ラヴズオンリーユーと日本馬が3連勝している。

挑戦した日本馬 ~香港カップ 2020~

アグネスデジタル 1着/香港カップ(2001年)
>>全競走成績を見る
血統
父:Crafty Prospector
母:Chancey Squaw
成績
32戦12勝
9億4889万円
主な勝ち鞍
香港カップ(GI)
天皇賞秋(GI)
安田記念(GI)
マイルCS(GI)
フェブラリーS(GI)
競馬史に残るユーティリティホース

 アメリカで白井調教師が購入したアグネスデジタルは2歳の9月にダート戦でデビュー。現在は交流GIとなっている全日本2歳優駿(GII)を優勝し、重賞初制覇を遂げる。その後はNHKマイルC(GI)に出走するなど芝路線を試されたが、結果は出ず、ダート路線を歩むと名古屋優駿(GIII)、ユニコーンS(GIII)を優勝した。JCダート(GI)は1ハロン長いという陣営の判断からマイルCS(GI)に出走し、13番人気の低評価であったが、直線で目の覚めるような切れ味でレコード勝ちでGI初制覇を飾った。
 その後、芝路線に出走するも成績は奮わなく、秋初戦に出走したダートの日本テレビ杯(GIII)で復活を遂げると、続くマイルCS南部杯(GI)でダートGI初勝利。ここで陣営は再び芝路線を選択し、天皇賞秋(GI)への出走を表明。絶対王者のテイエムオペラオーなど芝の一線級が揃った一戦であったが、直線大外に持ち出されると一気の末脚で完勝した。
 充実一途で挑戦した香港カップではいつもとは違う先行策をとり、直線半ばで抜け出すと危なげない競馬で優勝。この年に地方、中央、海外でそれぞれGIを制覇するという偉業を達成した事が評価され、JRA賞最優秀4歳以上牡馬を受賞した。その後もフェブラリーS(GI)、安田記念(GI)を勝つなど幅広く活躍したアグネスデジタル。スペシャリスト全盛の現代競馬においてこれほど適応力に秀でた万能ホースは今後出てこないかも知れない。そう思わせるほどにその実績は偉大である。

エイシンヒカリ 1着/香港カップ(2015年)
>>全競走成績を見る
血統
父:ディープインパクト
母:キャタリナ
成績
13戦10勝
2億40万円
1425万香港ドル
14万2850ユーロ
主な勝ち鞍
香港カップ(GI)
イスパーン賞(GI)
世界ランクトップを獲得した快速

 ワールドベストレースホースランキングのトップに選ばれた快速馬、エイシンヒカリ。
 体質が弱く、3歳春にデビューしたが、他を寄せ付けない非凡な逃げ切りで4連勝。
 そして5戦目のアイルランドトロフィー、レースでは前半の1000m通過58秒2のハイペースで引っ張ると直線ではコース内側から外側に大きくよれ、逃げ馬ながら大外のラチ沿いを走る奇走となったが、終わってみれば3馬身半差の圧勝。規格外の能力を見せつける一戦となった。
 その後、エプソムカップ、毎日王冠と重賞連勝するなど充実期を迎えたエイシンヒカリだったが、天皇賞(秋)では見せ場なく、惨敗してしまう。そして迎えた香港カップでは、単勝38.0倍(9人気)という低評価。しかし、レースでは外枠ながらスタートを決めると快調なペースで引っ張り、4コーナーでギアを一段上げると直線でも再加速、そのまま後続を寄せつけず、念願のG1制覇を海外G1勝ちの快挙で達成した。
 鞍上の武豊騎手は『馬のコンディションはすごく良かったので、いいレースができると思っていました。道中行きたがっていたところもありますが、ギリギリ我慢できて暴走せずよかったです。直線に入って加速し、残り100メートルで勝利を確信しました。やっと勝てたレースですし、先代オーナー(平井豊光氏)が香港競馬に情熱を持っていたので勝利できてよかったです』とコメントした。

施行年馬名性齢騎手調教師着順
2022年ダノンザキッド牡4北村友一安田隆行2着
ジオグリフ牡3W.ビュイック木村哲也6着
ジャックドール牡4武豊藤岡健一7着
レイパパレ牝5J.モレイラ高野友和9着
パンサラッサ牡5吉田豊矢作芳人10着
2021年ラヴズオンリーユー牝5川田将雅矢作芳人1着
ヒシイグアス牡5J.モレイラ堀宣行2着
レイパパレ牝4C.スミヨン高野友和6着
2020年ノームコア牝5Z.パートン萩原清1着
ウインブライト牡6松岡正海畠山吉宏2着
ダノンプレミアム牡5W.ビュイック中内田充正4着
2019年ウインブライト牡5松岡正海畠山吉宏1着
2018年ディアドラ牝4C.ルメール橋田満2着
サングレーザー牡4J.モレイラ浅見秀一4着
ステファノス牡7W.ビュイック藤原英昭9着
2017年ネオリアリズム牡6J.モレイラ堀宣行3着
ステファノス牡6H.ボウマン藤原英昭4着
スマートレイアー牝7武豊大久保龍志5着
2016年モーリス牡5R.ムーア堀宣行1着
ステファノス牡5C.スミヨン藤原英昭3着
ラブリーデイ牡6H.ボウマン池江泰寿4着
クイーンズリング牝4M.デムーロ吉村圭司9着
エイシンヒカリ牡5武豊坂口正則10着
2015年エイシンヒカリ牡4武豊坂口正則1着
ヌーヴォレコルト牝4R.ムーア斎藤誠2着
ステファノス牡4戸崎圭太藤原英昭10着
サトノアラジン牡4J.マクドナルド池江泰寿11着
2014年アルキメデス牡5岩田康誠藤原英昭7着
2013年トウケイヘイロー牡4武豊清水久詞2着