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【関屋記念2024】キーホース診断 強力メンバーの中で『もう一段上』は可能か? 重賞戦線帰還の素質馬ジュンブロッサムを掘り下げる

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【関屋記念2024】キーホース診断 強力メンバーの中で『もう一段上』は可能か? 重賞戦線帰還の素質馬ジュンブロッサムを掘り下げる


ジュンブロッサム

この馬が、あの時もう少し上の着順だったら。

この時、あのレースを勝っていれば。


競馬においてタラレバは厳禁だと言われるが、こうしたことを全く考えたことがないという方は少ないはずだ。


一戦一戦が全力勝負である競馬の世界。

それがもたらす結果というものは、馬たちのその後を大きく左右する。順調に出世街道を歩む馬がいれば、その裏でなかなか勝ち上がれない馬もいる。


今回取り上げるジュンブロッサムは、そんなタラレバの権化的存在だ。

2歳秋に勝ち上がると、3歳時には共同通信杯アーリントンカップ神戸新聞杯といった出世レースへと駒を進めたが、そのいずれもで4着。このうちのどれか1つでも勝てていたら、勝てずとも2着に入って賞金を加算できていたら、この馬は全く違うローテーションを歩んでいたはずだ。


だが現実は、2勝クラスで意外なくらいの足踏み。7戦かけてようやく勝ち上がると、続く3勝クラスは2戦で突破。再び重賞路線への帰還を実現したのは良かったが、最後の重賞出走から約2年もの月日が経過してしまった。

それでもその能力を高く評価する声は多く、この関屋記念においても上位人気の一角を担うことになりそうだが、果たして本馬の現在地はどのあたりなのか。いつも通りに各要素から掘り下げていきたい。


まず指数面だが、早い時期から重賞に駒を進めていた馬なだけあって、最初から指数は高く出ていた。

特に3歳時のアーリントンカップなどは非常に高い数字だったし、2勝クラスで足踏みをしている時すらも同程度の指数を複数回叩き出している。元々重賞級の能力を秘めていたと見て間違いなく、今回出走する他の有力馬と比較してもそれほど大きな差は感じない。



だが、気になる点もいくつかある。

一つは、3歳時から現在に至るまで極端な指数上昇が見られないことだ。下級クラス在籍時から高い数字を記録していた事自体は悪くないのだが、3勝クラスまで上がってきてもその水準は大きく変わらなかった。良く言えば安定しているのだが、重賞級の馬たちを相手にすることを考えると、勝ち負けに持ち込むためにはもう一段上のパフォーマンスが欲しいところ。ここ一番でそうした走りが可能なのだろうか。


そして二つめは、左回りの舞台における指数が低めに出ていることだ。

本馬が高水準の指数を安定して叩き出しているのは阪神か京都がほとんどで、東京、中京、新潟では、指数的に見ると少し淋しい水準のレースが多いのだ。

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特に新潟に関しては実績だけ見ると連対率100%を誇り、苦手どころか得意舞台であるようにも映るだけに、その中身の指数が低めという点はややこしく、また悩ましい。


さらにこうした悩みに拍車をかけるのが、”マイルが合わない疑惑”だ。

ここ5戦は連続してマイルの舞台を使われているが、3歳時にマイル戦で騎乗していた吉田隼人騎手は「スタートが決まらないと忙しい」、福永祐一元騎手(現調教師)は「マイルは合わない感じで、もう少し長めの距離に適性がありそう」とそれぞれコメントを残している。どちらもマイルがベストの馬とは思えない内容だ。

結果は残しているが適性的には微妙な可能性があると考えると、いよいよどう評価したらいいのか……思考の沼にハマってしまいそうだ。



だが、血統的には速い時計のマイルがフィットしそうな構成を持っている。

父のワールドエースは現役時代に1分31秒台の時計でマイラーズカップを制した馬だし、母父クロフネソダシホエールキャプチャアエロリットといった名マイラーの父。特に長い直線の持続力勝負には強く、長くいい脚を使うことが要求される新潟マイルでもその影響力は無視できない。


調教面ではこれまで通りコースで終いを伸ばす内容が主。しっかりと時計はまとめており、前走よりは素軽くなっているようだが、目に見えて激変しているいう印象までは受けない。

実は、その”変わらないこと”も引っかかる点の一つ。前走で騎乗した川田騎手が「多少は良くなった。本来の走りになるには時間がかかりそう」と、派手な勝ち方を見せた後とは思えない辛口のコメントを残しているからだ。

前述の通り、重賞で勝ち負けを狙うにあたってはもう一段上のパフォーマンスが必要となるが、それが可能な状態にあるのかは馬自身の体調と陣営の手腕によるところが大きいかもしれない。


加えて今回はその川田騎手から戸崎騎手への乗り替わり。

一線級の騎手同士のスイッチなので大きな心配はいらないのかもしれないが、3歳以降本馬に勝ち星を与えてきたのは川田騎手だけ。それだけ好相性だった鞍上が替わることが大きなプラスになるとは言い難い。


こうして綴ってみると、近走の強い勝ち方や安定した戦績の裏に、判断に迷う材料がいくつも隠れている存在だということが分かる。


人気を背負って勝ち切っても何ら驚けないスケール感と、実は過剰人気じゃないか……?と思える要素の両方を持つだけに、実際の結果がどうなるのか非常に興味深い。

路線の中堅どころとフレッシュな3歳勢の中で、どのような走りを見せるか注目だ。



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