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【阪神ジュベナイルF2024】キーホース診断 史上初の海外馬参戦! 米国のメイデイレディをどう評価する?

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【阪神ジュベナイルF2024】キーホース診断 史上初の海外馬参戦! 米国のメイデイレディをどう評価する?

【メイデイレディ】

マイルCSには欧州マイル王者のチャリン、ジャパンカップにも欧州中長距離のビッグネーム・ゴリアット、オーギュストロダン、ファンタスティックムーンが参戦。それぞれ勝つまでには至らなかったものの、大いにレースを盛り上げてくれた。

普段見ることのできない海外の強豪の走りを見られるというのはなんともワクワクするもので、その機会が多かった今年は満足感でいっぱいだ。あとはこのまま年末の有馬記念ホープフルSまで国内のスターホースたちの戦いを見届けるだけ……と思っていたのだが、海外勢豊作の年はまだ終わっていなかった。2歳女王決定戦である阪神JFに、なんとアメリカのメイデイレディが参戦してきたのだ。


メイデイレディはここまで4戦3勝2着1回。1700mのG2・ジェサミンSを制し、続くG1・BCジュヴェナイルターフフィリーズでも2着に入っている実力馬だ。


阪神JFといえば、来年の牝馬クラシックへと繋がる最重要レースの一つ。日本馬同士の力関係ももちろん気になるところだが、濃いキャリアとともに乗り込んできたこの馬が、戦線にどのような影響をもたらすのだろうか。いつも通りに各要素から評価を定めていきたい。


まず指数面……と行きたいところだが、先日当コラムで取り上げたチャリンやゴリアットと同様、海外馬であるため指数での評価は難しい。加えて本馬はまだキャリアの浅い2歳馬でもあり、当然日本馬との対戦経験はないし、日本馬と繋がるような対戦相手もいない。

その中で強引に比較対象を挙げるとすれば、前走のBCジュヴェナイルターフフィリーズで対戦して先着を許した欧州馬・レイクヴィクトリアだろうか。


レイクヴィクトリアはアイルランドの2歳女王で、ここまで5戦5勝、うちG1・3勝という素晴らしい戦績を持つ馬だ。

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結果だけ見ればメイデイレディはこの馬を捉えきれずの2着。着差を見ても完敗ではあるが、レースを見返すと少々印象が変わる。

この時本馬は外枠から行き脚が付かず後方からの競馬を余儀なくされた上、1コーナーでは膨れた他馬の影響を受けて、さらに位置取りを悪くしていた。

そこから道中インから早めに位置を上げると、その勢いのまま馬群を割って前へと接近。先に抜け出していたレイクヴィクトリアには届かなかったものの、脚色に大きな差はなく、3着以下には明確な差を付けていた。序盤のロスがなければもう少し着差は縮まったように思える。

レイクヴィクトリアの戦績を見れば彼女が純粋に”強い馬”であるのは確かで、その馬に近いところまで迫れる能力の持ち主と考えると、本馬の能力も侮れないレベルにあると言えるだろう。



さらに特筆すべきはその競走意欲と勝負根性で、本馬は2走前のジェサミンSでも発馬時に外に振られ、中盤で馬群を縫って押し上げ、その末に壮絶な3頭の競り合いも制している。この時落鉄もしていたというから驚きだ。多少のロスやゴチャつく馬群も全く苦にせず前に襲いかかってくる末脚は、キャリアの浅い日本の2歳牝馬の中に入れば十分に脅威になり得る。


血統を見ると、父がタピット、母父がモアザンレディ、母母父がケイムホームと、いかにもアメリカの馬という構成。

父タピットはアメリカのダート王道路線を中心に数多の名馬を出している大種牡馬。日本でもフェブラリーSを制したテスタマッタを出しており、芝というよりはダートのイメージのほうが圧倒的に強い。

だが、日本における産駒傾向を見ると勝率こそダートに劣るものの、連対率や複勝率は芝と同等の数字が残っており、2017年のローズSを制したラビットランのように芝で強靭な末脚を発揮した馬も出ている。

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母父モアザンレディというのは菊花賞ドゥレッツァと同じだし、母母父のケイムホームも日本で種牡馬として芝の重賞勝ち馬を出しているので、本馬の適性が日本の芝にフィットする可能性はゼロではなさそう。それどころか開催が進んだ京都の芝は”ダート血統を持つ芝馬”の活躍が目立つだけに、むしろ合う可能性までありそうだ。


あとは未知の部分として、右回りの実戦がどう出るか。

母国のアメリカはコースが左回りだし、来日後も普段のペースを崩さぬよう左回りで調整が行われている様子。この原稿を執筆している段階で右回りの感触はまだ確かめられていないようだが、レース当日までにはコースを試走することが予想される。

ここまでのレースにおける挙動を見る限りでは、回りの違いで大きく走りが変わるような印象は受けなかったが、試走時に妙な癖などを出していないかはチェックしておきたい。



日本馬ではブラウンラチェットコートアリシアンテリオスララあたりが人気を集めそうな雰囲気だが、それぞれにキャリアの浅さや多頭数経験のなさなど、半信半疑な面を残す。

本馬も決して楽なチャレンジではないだろうが、タフな経験から培った精神力で日本馬の隙を突き、新たな歴史を刻み込むかもしれない。その走りに大いに注目しよう。


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