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3歳マイル王決定戦のNHKマイルCが10日、東京競馬場でフルゲート18頭で争われ、M・デムーロ騎乗で9番人気のラウダシオンが2番手から抜け出し、重賞初制覇をGIで飾った。新種牡馬の父リアルインパクトにとっても産駒の重賞初勝利となった。逃げた1番人気のレシステンシアが1馬身半差の2着だった。
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ダートコースの砂を舞い上げる向かい風が、ラウダシオンにとって神風となった。2番手から堂々と抜け出して9番人気の低評価を覆すV。2011年に父リアルインパクトが3着に敗れたNHKマイルCを孝行息子が制し、父に初の重賞をGIでプレゼントした。
「GIに乗るのはうれしいですし、勝つのはもっと気持ちいい」
昨年のアドマイヤマーズに次ぐ連覇となったミルコ・デムーロ騎手は、検量室前で下馬すると何度もラウダシオンに感謝のキスを贈った。ラッキーライラックの大阪杯に次ぐ今年GI2勝目で、通算では歴代単独2位の32勝。「無観客で寂しいし、ガッツポーズはあまり出なかったけど、やっぱりうれしいです」と、満面の笑みを浮かべた。
スタートこそそれほど速くなかったが、すぐにスピードに乗り、逃げる1番人気のレシステンシアをかわしそうな手応え。そこを2番手でがっちり抑え込み、直線勝負に持ち込んだ。レシステンシアに並びかけた直線半ばで、強風によって隣のダートコースから砂が舞い上がると、後続の脚いろが鈍る。1番人気馬を競り落とすと、あとはゴールへまっしぐらだ。
「何度もVTRを見ました。スタートが速いし、一番いいところにつけられました。(レシステンシアの)ルメールもさすがにいいペースだったけど、これはいけるかな、差せるかなと思ったね」
この日は差し馬が伸びない馬場状態。それを見越しての先行策に強風も味方につけたミルコの作戦勝ちだ。
斉藤崇調教師はクロノジェネシスでの昨年の秋華賞以来のJRA・GI2勝目。大阪杯でクロノジェネシスがミルコのラッキーライラックの2着に敗れただけに、「あのときは悔しかったけど、味方にすると頼もしいです」と鞍上をたたえた。
今後は馬の様子を見て決まるが、父リアルインパクトはNHKマイルC3着から臨んだ安田記念をGIに格付けされた後、3歳馬として初勝利。新世代のマイル王ラウダシオンの今後の走りから目が離せない。(柴田章利)
■ラウダシオン 父リアルインパクト、母アンティフォナ、母の父ソングアンドアプレイヤー。鹿毛の牡3歳。栗東・斉藤崇史厩舎所属。北海道白老町・(有)社台コーポレーション白老ファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績7戦4勝。獲得賞金1億7540万5000円。重賞は初勝利。NHKマイルCは斉藤崇史調教師が初勝利、ミルコ・デムーロ騎手は2019年アドマイヤマーズに次いで2勝目。馬名は「グレゴリオ聖歌の続唱の一つ。母名より連想」。
★リアルインパクト産駒…初出走(今年出走2頭)で初勝利。JRA・GIは今回の2頭を含む3頭目の出走で初勝利。前回は本馬による2019年朝日杯FSの8着。JRA重賞も、今回の2頭を含む10頭目の出走で初勝利。これまでの最高は本馬によるファルコンSの2着。
★M・デムーロ騎手…史上初の連覇で通算2勝目。JRA・GIは大阪杯(ラッキーライラック)以来で今年2勝目、通算32勝目。JRA重賞も大阪杯に続く勝利で今年4勝目、通算95勝目。
★売り上げ…NHKマイルCの売り上げは140億191万7000円で前年比88・4%。無観客競馬では、最初の高松宮記念は増加したが、その後は大阪杯、桜花賞、皐月賞、天皇賞・春に次いで、5レース続けて前年比減となった。
★10日東京11R「NHKマイルC」の着順&払戻金はこちら
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