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第81回日本ダービー(東京優駿)(1日、東京10R、GI、3歳オープン国際(指)、セン馬不可、定量、芝2400メートル、1着本賞金2億円=出走17頭)3番人気のワンアンドオンリーが、直線での叩き合いを制して世代の頂点に立った。タイム2分24秒6(良)。橋口弘次郎調教師(68)=栗東=は、通算20頭目の挑戦で悲願を達成し、歓喜に浸った。横山典弘騎手(46)=美浦・フリー=は2009年ロジユニヴァースに次ぐ2勝目。今秋は菊花賞(10月26日、京都、GI、芝3000メートル)で2冠を目指し、来年は父ハーツクライのようにドバイ、英国遠征で世界の頂を狙う。
68歳の名将でさえ、われを忘れた。残り300メートル。ワンアンドオンリーがイスラボニータに並びかけると、もう座っていられない。立ち上がって思いを叫んだが、言葉にならない。それでも橋口調教師の思いは馬に伝わり、25年越しで悲願のダービー制覇を飾った。
「地に足がついていない。こんなのは初めてだよ。今まで海外で大きなレースを勝たせてもらったときも、こんなことはなかった。やっぱり、ダービーは格別やな」
検量室前で横山典騎手と抱き合い、家族の祝福を受けると実感がわいてきた。「泣いてもええんかな」。ようやく師の目が潤んだ。
宮崎県の小さな生産牧場の息子として生まれ、幼少時代はラジオにかじりついて聞いていた日本ダービー。1982年に開業してからはさらに特別なレースになり、鬼門になり、悲願になった。96年には1番人気のダンスインザダークで挑み2着、その後も2004年のハーツクライも含め2着4回…。そして年を重ね、定年が再来年2月となり焦りもあったが、同じ宮崎県出身の二分久男氏(元調教師)から聞いた「人生には3つの山がある」という言葉を支えにしてきた。
「1つ目が(1990年に)リーディングを獲ったとき。2つ目がハーツクライで(05年)有馬記念と(06年)ドバイを勝ったとき。3つめがダービーになれば最高だよね」。1990年の初挑戦から25年。通算20頭目の挑戦で一番欲しいものを手に入れ、来年は偉大な父に続いてドバイ国際諸競走、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSに挑戦する予定だ。
「ハーツの子で挑戦したいというのは夢だった。きょうも『ハーツと一緒だ』という思いで、(05年有馬記念で)ディープインパクトに勝ったときのネクタイをしてきたからね。これから鍛え直していきたい。そうなれば、僕の競馬人生は最高ですね」
青色の勝負アイテムをなでながら、橋口調教師は目を細めていた。 (川端亮平)
★1日東京10R「日本ダービー」の結果はこちら
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