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【フェブラリーS われかく戦う】イグナイター・野田善己オーナー「NARの年度代表馬として、看板を背負って走るつもりです」

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【フェブラリーS われかく戦う】イグナイター・野田善己オーナー「NARの年度代表馬として、看板を背負って走るつもりです」

今週は2024年のJRA・GⅠ第1弾、フェブラリーステークス(S)が東京競馬場で行われる。今年は地方競馬の強豪が複数参戦するが、注目はやはり2年連続NAR(地方競馬全国協会)年度代表馬に輝いたイグナイター(園田・新子=あたらし=雅司厩舎、牡6歳)だろう。オーナーの野田善己(よしき)氏に参戦の経緯や、手応えを聞いた。(取材構成・三浦凪沙)

――昨年のJBCスプリントで念願のJpnⅠ初制覇

南部杯は2着に好走しましたが、さきたま杯を勝ったあとは『よし、次はGⅠだ』と思っていたので、ものすごく悔しかったです。周りには『すごい』と言われましたが、あれだけちぎられていたので『やはりGⅠを勝つのは厳しいのか』と落ち込みましたね。そのあとすぐに勝ってくれたので、長いようで短く、劇的に訪れたように感じる勝利でした」

――当時の気持ちは


「言葉に表せなかったですね。もちろん勝つつもりで行きましたが、『さすがに頭までは…』というのが正直な気持ちでした。当日のパドックで名だたる馬主さんを見ていたので、私のような零細馬主でもGⅠ馬のオーナーになれたんだと、感慨深かったですね」

――最初の出合いは

「2019年のサマーセールで私が選びました。エスポワールシチー産駒の牡馬を探した中で、一番良く見えたのがイグナイターでした。一番気に入ったのは、柔らかさ。悪く言えばまだ子供で、良く言えば未完成。うまく成長すれば面白いと思いました。ひとつ前のエスポワールシチー産駒がすごく高かったので、予算内で買えないかもとドキドキしました。結果は思っていたよりも安く買えて『いい馬なのに』と逆に不安になりましたね(笑)」

――JRA、大井、園田と所属先を替えてきた

「2戦目の小倉(7着)が『あれ?』という負け方だったし、そのあとにソエが出ました。JRAの3歳ダート路線は、春はユニコーンSくらいしか大きいレースがなく、ヒヤシンスSはソエで間に合わない。もともとNAR(地方競馬)に抵抗はなかったですし、各地のダービーレースを目指そうとなりました。兵庫ダービーに出たかったのですが、規定で出られないことが分かったので、いったん大井に行きました。大井では思ったほどの成績が残せませんでしたし、(園田の)楠賞を目標にしていたので、大井の次に兵庫に行くのは既定路線でした」

――2022年の黒船賞で中央(JRA)馬を撃破し、交流重賞初勝利

「正直、中央と地方という呼び方があまり好きではないんです。尊敬する師匠のコパさん(小林祥晃氏)の影響もあり、芝かダートかという分け方をしています。ダートの大きいレースを目指していく中で、必然的にJRAの馬と戦うことになるだけで、NARにも(重賞6勝の)スマイルウィなど強い馬はいますから」

――間近で見てきて、これまでの成長は


「毎年、成長を感じますが、ここ最近は特に感じます。緩さが消えて、しっかりしてきました。今が充実期だと思います。先日、会いに行きましたが、少しふっくらしていて、調子もすごくいいようです」

――普段のイグナイター

「めちゃくちゃかわいいです。レースではスイッチが入るので別馬のように感じますが、普段はすごくおとなしいですよ。レースとのギャップ萌えしています(笑)」

――久しぶりのJRAに参戦を決めた理由は

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「サウジ(リヤドダートスプリント)の招待もいただいたので、フェブラリーSとすごく悩みました。海外となると、みんなが初めての経験なので、帰ってきてからどうなるか全く分からない。これは今後、NARが直面していく問題だと思いますが、検疫の問題がすごく大きかったです。栗東の検疫馬房が空いていれば貸してもらえるという話でしたが、われわれとすれば、宇宙に行くような感覚なんです。まず、今年のイグナイターの目標として、なんとかGⅠタイトルを取って種牡馬にしたい。もうひとつは3年連続でNARの年度代表馬にしたいというのがあるので、そのために一番、チャンスがあるのは、さきたま杯JBCスプリントを勝つことだと考えています。サウジに行った場合、(6月の)さきたま杯を使えるのか分からないので、気持ちはサウジでしたが、馬優先で国内を選択しました」

――西村淳騎手と初コンビ

「(近2走でコンビを組んだ)笹川(翼)騎手が規定で乗れないことが分かったので、本来ならその前に乗っていた田中学騎手に頼むのがいいと思います。しかし、彼も腰を負傷中で乗れるか分からないとのこと。そんな中、最初に〝乗りたい〟と言ってくれたのが西村淳騎手でした。今の若手で一番、乗れているのではないでしょうか。勝ちに飢えている貪欲さがいいですよね。(JRAで走らせていた)ブランアルディの3勝全てが彼ですし、私自身も意外と相性がいいんです。あとは尼崎出身だと自分から言ってきてくれました。兵庫にゆかりがあるところもいいと思いました。金曜(16日)に乗りに来てくれます」

――今後の展望は


フェブラリーSの内容次第で変わってきます。もし勝つことができれば先日、招待をいただいたドバイ(ゴールデンシャヒーン)に絶対に行きたいです。イグナイターの目標はGⅠを勝つことなので、一戦一戦、次のローテが変わることになると思います」

――レースに向けて

「周囲からの評価は距離が若干長いと言われていますが、適距離ではなくても、守備範囲だと思います。JBCスプリントも1200メートルは合わないと言われていましたし、ワンターンなら何とかなるのではと思っています。完成期を迎えた今ならこなしてくれるはず。簡単ではないのはよく分かっていますが、彼の可能性に懸けたいです」

――ファンへメッセージを

「NARの年度代表馬として、看板を背負って走るつもりです。フェブラリーSという大きな舞台でNARをアピールしたいと思います。ミックファイアスピーディキックとともにいい競馬をして、NARにも強い馬がいるんだということを、皆さまに思っていただければうれしいです」

■野田 善己(のだ・よしき)大阪府出身。株式会社ラムダ代表取締役。アパレルブランドAKMの企画、販売を行う。イグナイターのほかにJpnⅢJBC2歳優駿など通算16勝を挙げるラッキードリーム、兵庫で6勝のヒメツルイチモンジ、JRA3勝のブランアルディなどを所有。

メイセイオペラ以来のVなるか フェブラリーSがGⅠとなった1997年以降、地方競馬所属馬で勝ったのは99年メイセイオペラ(岩手)だけ。2着も2002年トーシンブリザード、11年フリオーソ(ともに船橋)と2頭しかいない。3頭に共通するのは、それまでに地方のGⅠ級レースでJRA所属馬を下していたこと。イグナイターは昨年のJBCスプリントで、リメイクなどJRAの重賞ウイナーを退けてJpnⅠVを成し遂げている。21年のユニコーンS12着以来となる中央のダートで、偉業達成といくか。


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