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【スプリンター】新電撃王!ピクシーナイト

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【スプリンター】新電撃王!ピクシーナイト

 秋のGIシリーズ開幕戦のスプリンターズSが3日、中山競馬場で16頭によって争われ、福永騎乗で3番人気のピクシーナイトが好位から抜け出し、後続に2馬身差をつける完勝。2007年のアストンマーチャン以来、14年ぶりに3歳の短距離王者が誕生した。2着には2番人気レシステンシア、3着には10番人気シヴァージが入り、1番人気のダノンスマッシュは6着に敗れた。

 ◇

 夏を思わせるまぶしい日差しを浴びながら、538キロの巨体がダイナミックに弾んだ。残り100メートルで先頭に立つと、もう誰も追いすがれない。ピクシーナイトが2馬身差の圧勝でスプリント界の新王者に就いた。

 「率直に言って、こちらの想像を超えた走りでした。こんなに早くGIの舞台で横綱相撲の競馬ができるなんて…。前々からすごい馬になると公言してきましたが、想像を超えた馬になる可能性が出てきたと思います」


 数々の名馬にまたがってきた福永騎手ですら、この強さには驚きを隠せなかった。絶好のスタートから道中は3番手を追走。手応え良く直線を向くと、前を行くモズスーパーフレアビアンフェの間を割って力強く抜け出した。3歳馬の優勝は2007年アストンマーチャン以来14年ぶりの快挙だ。

 デビュー前の調教にまたがった鞍上は「抜群に動く。ロードカナロアの若いときと同じような感じ。海外でやれると思った」と能力の高さを確信。新馬戦から手綱を取り続け、大事に育ててきた。それでも、返し馬を終えた段階では「まだ体のバランスが取れていない。これでどれだけやれるか」と半信半疑。しかし、才能あふれるパートナーは100点満点の結果を出してみせた。

 「(今回の勝利は)格別ですね。馬の面白さをまた教えてくれました。それにキングヘイローの血が入った馬でGIを勝てたのは最高にうれしい。恩返しができたと思います」

 母の父はデビュー3年目のユーイチとともにクラシックを戦いながら、皐月賞の2着が最高で戴冠を果たせなかった。騎手人生においても思い入れの強い一頭だ。JRA・GI31勝目は、23年越しのビッグタイトルといえるかもしれない。

 次走は香港スプリント(12月12日、シャティン、GI、芝1200メートル)の予定。モーリス産駒初のGI馬として、父が3度のGI制覇を果たした地で世界に挑む。

 「この先の短距離路線を背負って、国内外を問わない馬になると思う。完成するのは来年以降、もしかしたら再来年かもしれない。そのときにどんな走りができるか、楽しみは尽きないですね」

 本格化を迎えたときに一体どれだけ強くなるのか-。スプリント界に現れた超新星は進化を続け、世界の頂点へと突き進む。(漆山貴禎)



★3日中山11R「スプリンターズS」の着順&払戻金はこちら

ピクシーナイト 父モーリス、母ピクシーホロウ、母の父キングヘイロー。鹿毛の牡3歳。栗東・音無秀孝厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績8戦3勝。獲得賞金2億2764万2000円。重賞は2021年GIIIシンザン記念に次いで2勝目。スプリンターズS音無秀孝調教師、福永祐一騎手ともに初勝利。馬名は「母名の一部+騎士」。



★待望初V音無師…スプリンターズSで3度の2着に泣いてきた音無調教師は、延べ11頭目の出走で待望の初Vとなった。同じ中2週でテンションが上がって12着に終わったNHKマイルCの反省を踏まえ、今回は5日間の“超短期放牧”を敢行。「落ち着いていたし、馬房でもおとなしかった。1200メートルの芝(GI)で2馬身差は強いね。うれしいです」と勝利を喜んだ。

福永祐一騎手…18回目の挑戦で初勝利。これまでの最高は2006年(メイショウボーラー)の2着。JRA・GIは日本ダービーシャフリヤール)以来の今年3勝目で通算31勝目。

モーリス産駒…初出走で勝利。JRA・GIは延べ9頭目の出走で初勝利。これまでの最高は20年阪神JFジェラルディーナ)、今年の桜花賞ストゥーティ)の7着。重賞はファルコンSルークズネスト)以来の今年4勝目で通算4勝目。

★初の父子4代JRA・GI制覇…本馬の曾祖父グラスワンダー、祖父スクリーンヒーロー、父モーリスはいずれもJRA・GIを勝利。父子4代によるJRA・GI制覇はグレード制が導入された1984年以降、初めて。

★馬主・(有)シルクレーシング(シルク、有限会社シルク名義含む)…所有馬延べ7頭目の出走で初勝利。これまでの最高は04年(シルキーラグーン)の5着。JRA・GIは20年ジャパンCアーモンドアイ)以来の通算17勝目で、4年連続の勝利。

★生産牧場・ノーザンファーム…20年(グランアレグリア)に続く2年連続で、通算3勝目。JRA・GIは宝塚記念クロノジェネシス)に続く今年8勝目で通算170勝目(うちJ・GI3勝)。

★最少キャリアV…8戦目での当レース優勝は97年(タイキシャトル)に並ぶ最少キャリア。

★2枠…90年にGI昇格して以降、初勝利。

★馬番4…02年(ビリーヴ)以来19年ぶりの通算3勝目。

★関西馬…18年(ファインニードル)以来の勝利。通算成績は関東馬11勝、関西馬18勝、外国馬3勝。今年を含む過去10回では関東馬、関西馬ともに5勝。

★3番人気…16年(レッドファルクス)以来の勝利で、通算4勝目。

★ベストターンドアウト賞…スプリンターズSでは、最も美しく手入れされた出走馬の担当者を表彰するベストターンドアウト賞が実施され、アウィルアウェイの松井隆志助手が受賞。「いつも通り厩舎一丸となって行っていることが評価されてうれしいです」とコメントした。

★売り上げ、入場者数…スプリンターズSの売り上げは145億5807万6900円で、前年比102・0%。入場人員は4153人(うち有料入場3720人)だった。


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