第22回
NHKマイルカップ(7日、東京11R、GI、3歳オープン国際(指)、セン馬不可、定量、芝1600メートル、1着本賞金9500万円 =出走18頭)
横山典弘騎乗で2番人気の
アエロリットが2番手から直線で抜け出して快勝。鞍上の義弟にあたる
菊沢隆徳調教師はGI初制覇となった。タイム1分32秒3(良)。2着は13番人気の
リエノテソーロで1番人気の
カラクレナイは見せ場なく17着と大敗した。
左拳を握りしめ、勝利をかみしめた。横山典騎手の会心の騎乗で混戦を断ち切ったのは、
桜花賞5着など牝馬路線で善戦を繰り返していた
アエロリット。義弟にあたる菊沢調教師に初のGIタイトルを贈った。
「菊沢とは若い頃から一緒にやってきて、調教師となってからもバックアップしたりされたり。いい素材に巡り合えて、いい結果が出せた。素直にうれしいね」
横山典騎手が喜びを口にする。
騎手時代から苦楽をともにしてきた義弟への記念すべき勝利は、ロケットスタートで始まった。抜群の発馬から2、3番手の外めをキープ。「返し馬から状態がいいのがわかったから、小細工なしで全能力を出せれば」と、4コーナー入り口では早くも先頭に立つ勢い。後続が追い上げてきても、もうひと伸び。混戦の下馬評とは違い、ライバルを寄せ付けず、最後は2着に1馬身半差をつける快勝だった。
「スタートはもともといい馬。馬場の内はボコボコしていたから馬群には入れず、エネルギーを余して負けたくなかったから(早め先頭でも)大丈夫だろうと思っていきました」
デビュー32年目の49歳の騎手は笑顔で振り返る。GI勝利は2年ぶりで26勝目だが、新馬戦からすべて手綱を取っている馬では初めて。「デビュー前の調教に乗って、この馬で大きなところを勝てたらいいね、と菊沢とも話していた」。
47歳の調教師は開業7年目でのGI初勝利。「さすがに今回はジンときました」。横山典の妹、桂子さんと結婚して天才肌の騎手と義兄弟に。騎手として639勝を挙げたが、GIには届かなかった。トレーナーとして尊敬する義兄とのタッグでつかんだGIに喜びもひとしおだ。
「(騎手として)ノリさんにはかなわないと思ったから調教師を目指した。ノリさんに乗ってもらえるような馬で大きな舞台を勝ちたいと思っていたから。夢がかなった」
春は休養に充て、「距離も含めて可能性を秘めている」と調教師、騎手とも口をそろえる。義兄弟コンビの結晶は、この秋さらにターフを沸かせるに違いない。 (柴田章利)
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