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●第５１回宝塚記念（ＧⅠ）の最終決断
ブエナビスタがきっちり差し切る。
巷間、１番人気が予想されるブエナビスタを不安視する声がかまびすしいのは百も承知である。
いわく、
「前走がクビ差の辛勝では」
「２着が先週のマーメイドＳで５着のヒカルアマランサスでは」
「勝ち時計が１分３２秒４と平凡ではーー」
などなど。
しかし、断じてそんな声に耳を傾けてはならない。
なぜって、ブエナにとっては前走、
ヴィクトリアマイルを勝ったことだけで十分すぎるほどの価値があったのだから。
考えてもみよう。前走のブエナは海外遠征から帰ったばかり。
ドバイからの空輸を初め、検疫やら何やら落ち着くヒマがなかっただろう。
第一、栗東に戻ってきたのはレースまで３週間とない４月２９日である。
ずばり、完璧に仕上げるには時間がなさすぎた。
当時、私は普通のデキにはなっている、超一流馬はそれで十分、
絶好調である必要はない、それでも勝つと断言したが、
正直なところ、せいぜい七分程度のデキだったと思う。
それで勝ってしまうから価値があるのであり、
そこが凡馬とは違うところなのだ。
ましてや、このときの東京競馬場の馬場は“外差し”がききにくい、
“内からがよく伸びた”状態。
それを大外からクビでも差し切った点を見逃してはいけない。
“ブエナでなければどこさもない”
状況でのＶであることを肝に銘じていただきたい。
今回は前走から６週間の時間があった。
松田博調教師は、「万全の状態で出せます」と、きっぱりである。
この大幅な体調アップ、ゆとりあるローテーションを何よりも強調したい。
もっといえば、
前走の１６００メートルより今回の２２００メートルの方がはるかにレースがしやすく、
適してもいる。
そして、あらためて思い出そう。
ブエナビスタは負けても３着は外さない、
簡単に着外に何度となく散ったウオッカの上をいくレベルの馬であるということを。
名づけて「女ディープインパクト」のブエナビスタは、
初めてだろうがなんだろうか、
前３戦からたった１キロ増の５６キロくらいで動けなくなるようなやわな馬じゃない。
ブエナの死角探しにうつつをぬかすより、２着探しに専念した方がいい、
それが第５１回の宝塚記念である。
ただし、それは雨がやんで馬場がやや重まで回復が条件となる。
重、不良馬場でブエナを走らせるのはかわいそうだ。
２着馬探しはむずかしい。
内枠からアーネストリー、スマートギア、セイウンワンダー、ロジユニヴァース、
ジャガーメイル、メイショウベルーガ、フォゲッタブル、
ドリームジャーニーまで考えておかなければなるまい。
この中でとくに食指を動かされるのは、
前走の金鯱賞後さらに一段と良化し、
デビュー以来の最高、本格化を断言できる重賞２連勝中のアーネストリー。
次いで天皇賞は直線の不利が痛かったメイショウベルーガだ。
前々走・阪神大賞典の５６キロでの同タイム３着、
最終追い切りの反応のよさに注目。
ロジ、フォゲッタ、ドリームの３頭は３連複、３連単の３着候補までかと考えている。
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