中山競馬場では日曜メインに2018年中央競馬の総決算レース・
有馬記念(GI、芝2500メートル)が行われる。これまで数々の
ドラマを生んだ暮れの風物詩。平成最後となる今年、ファン投票1位に支持されたのは昨年のダービー馬
レイデオロ(美浦・
藤沢和雄厩舎、牡4歳)だ。
古馬となった今春は
京都記念3着、
ドバイシーマクラシック4着とあと一歩勝ち切れなかったが、秋に入ると充実。
産経賞オールカマーで昨年の
皐月賞馬
アルアインをクビ差封じ込めると、前走の天皇賞・秋では高速決着にしっかり対応し、1分56秒8の好タイムで2つ目のGIタイトルを獲得した。中団からの鮮やかに差し切り勝ちで、2着
サングレーザーには1馬身1/4差をつけている。
その後は
ジャパンCを早い段階で見送り、暮れの
グランプリを目標に定めて順調に調整を消化。中山芝も【3・0・0・1】と好相性で、鞍上のクリストフ・ルメール騎手も今年、GI8勝と無類の勝負強さを発揮している。父
キングカメハメハ、母の父
シンボリクリスエスという血統背景から距離適性も問題なし。戴冠へ、視界はきわめて良好だ。
最強牝馬
アーモンドアイが東京芝2400メートル2分20秒6という驚愕(きょうがく)の世界レコードで駆け抜けた
ジャパンC。
ルーラーシップ産駒の
キセキ(栗東・
中竹和也厩舎、牡4歳)は逃げて過酷なラップを刻みながら、1馬身3/4差の2着に踏みとどまった。
昨年、記録的な不良馬場で行われた
菊花賞を豪快に差し切って優勝。その後は
香港ヴァーズ9着、
日経賞9着、
宝塚記念8着と不振が続いたが、この秋は
毎日王冠3着、天皇賞・秋3着、そしてJCと見事なパフォーマンスを連発し、すっかり本調子を取り戻している。中山は
日経賞の1戦のみで実績はないが、
川田将雅騎手が徹底的に教え込んだ先行策は、小回りコースでは強力なアドバンテージ。秋4戦目となり、目に見えない疲労は気になるところだが、追い切りはいたって順調に消化している。
話題性において、この2頭を上回るのが障害界の絶対王者
オジュウチョウサン(美浦・
和田正一郎厩舎、牡7歳)の参戦だ。J・GI・5勝の歴代指折りのハードラーはこの夏、平地にカムバック。
武豊騎手とコンビを組むと、500万下の開成山特別(福島芝2600メートル)、1000万下の南武特別(東京芝2400メートル)と鮮やかに連勝を飾った。今回は近2走とはまるで違う現役最強クラスとの戦い。常識的には厳しい立場といえるが、16年の
中山グランドジャンプから前走まで、実に11連勝という類いまれな勝負強さ、精神力は他のどの馬にも負けない。父
ステイゴールドは
ドリームジャーニー(09年)、
オルフェーヴル(11、13年)、
ゴールドシップ(12年)と3頭の優勝馬を出すなど、
有馬記念との相性は抜群で、最多タイの3勝をマークする
武豊騎手とのコンビも継続するだけに、平成最後のGPで劇的な二刀流の
ドラマが見られる可能性もある。
マイルチャンピオンシップ(
ステルヴィオ)、JC(
アーモンドアイ)、チャンピオンズC(
ルヴァンスレーヴ)とこの秋、古馬混合のGIを立て続けに制し、早くも近年最強との呼び声も高い3歳世代からは
ブラストワンピース(美浦・
大竹正博厩舎、牡)がエントリー。春のダービーは不利に泣き5着に敗れたが、古馬を相手にした
新潟記念では直線、馬場の大外を突き抜けるど派手なレースぶりで快勝した。前走の
菊花賞は道中、外々を回らされたこともあり4着とひと伸びを欠いたが、距離短縮は歓迎材料。
武豊騎手らとともに最多タイの3勝を挙げるGP男・
池添謙一騎手を背に、大器が本領を発揮する可能性は十分だ。
上半期の
グランプリ・
宝塚記念を制した
ミッキーロケット(栗東・
音無秀孝厩舎、牡5歳)は今回、オイシン・マーフィー騎手と新コンビを組んで両GP連覇に挑む。筋肉痛でJCを回避したが、ここにきて調整は急ピッチで進んでいる。休み明けだった天皇賞・秋でも5着と善戦しており、しぶとい末脚で上位に肉迫する。
昨年のJCの覇者
シュヴァルグラン(栗東・
友道康夫厩舎、牡6歳)は当時手綱を取ったヒュー・ボウマン騎手とのコンビが復活する。今年も天皇賞・春2着、JC4着と実力派らしいパフォーマンスを繰り広げており、不利があった昨年(1馬身1/2差3着)を上回る成績を目指す。
この一戦で引退、種牡馬入りが決まっているのが
サトノダイヤモンド(栗東・
池江泰寿厩舎、牡5歳)。この秋は
京都大賞典で久々に勝利の美酒を味わったが、JCでは最後の伸びを欠き6着に敗れた。
有馬記念は一昨年、
キタサンブラックを封じて頂点に立った思い出の舞台。ラストランを勝利で締めくくるケースも多いだけに、激走で有終の美を飾るか。
昨年の
エリザベス女王杯の覇者
モズカッチャン(栗東・
鮫島一歩厩舎、牝4歳)は引き続きミルコ・デムーロ騎手とのコンビで参戦。連覇を狙った今年のエ女王杯は3着に敗れたが、もともと叩き良化タイプ。
札幌記念でのアタマ差3着など強豪牡馬相手に一歩も引けを取らない走りを見せており、軽視はできない。
パフォーマプロミス(栗東・
藤原英昭厩舎、牡6歳)は前走の
アルゼンチン共和国杯で
日経新春杯に次ぐ重賞2勝目をマーク。中山芝2500メートルは昨年、
有馬記念前日に行われた1600万下のグレイトフルSを勝っており、クリスチャン・デムーロ騎手と新コンビを組んで上位を狙う。
クリンチャー(栗東・
宮本博厩舎、牡4歳)は
凱旋門賞(17着)遠征帰り。
京都記念(1着)で
アルアイン、
レイデオロのクラシックホースを破るなど春はトップクラスで堅実に走っていただけに、本来のデキを取り戻せるかが浮上の鍵になる。
一昨年のダービー馬
マカヒキ(栗東・
友道康夫厩舎、牡5歳)、休み明けのJCで5着と善戦した
ミッキースワロー(美浦・
菊沢隆徳厩舎、牡4歳)なども上位争いを演じても不思議はない。
★
有馬記念の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載