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第51回宝塚記念(GⅠ)の思い出
●こんなにも速くて強かったサイレンススズカに合掌!!
これまで、何頭も“速くて強い馬”を見てきたが、こんなにも速くて強い馬はいなかった。
平成10年の宝塚記念の勝ち馬サイレンススズカである。
平成9年の2月にデビューしたこの馬は、
初戦勝ちのあと、いきなり2戦目に皐月賞トライアルの弥生賞に挑戦したほどの厩舎の期待馬だった。
もちろん、それだけの素質馬でもあった。
しかし、前へ前へと行きたがる激しすぎる気性が災いし、
逃げて大バテすることもしばしば、大成するには時間がかかった。
本格化は5歳(現在の4歳)になってからのことである。
明け5歳の2月、バレンタインSで6戦ぶりに4勝目をあげ、きっかけをつかむと、
つづくGⅡ中山記念、GⅢ小倉大賞典、GⅡ金鯱賞を難なくモノにし4連勝。
その勢いで宝塚記念に挑んできたのだった。
その宝塚記念、単勝オッズ2・3倍の1番人気に支持された理由は、
4連勝の勢いとかそんなことではなく、4連勝目の金鯱賞があまりに速くて強かったからである。
当時の金鯱賞2000メートルのラップを紹介しよう。
前半の1000メートルを58秒1でとばしたにもかかわらず、
後半の1000メートルを59秒7でまとめて逃げ切ったのだ。
58秒1といえばまるで短距離戦のようなハイラップ、
どの馬もついてこなかったし、いや、ついてこられなかったというべきか。
それとも、そのうちバテるとばかりに様子をみていたのだろうか。
逃げるサイレンスと後続との差は広がるばかり、
最後の4コーナーを回るときには4、5馬身の差がついていただろうか。
直線に入ってもサイレンスの脚色に衰えはなく、
残り400メートル地点から200メートルまでの1ハロンは11秒7の速さ。
これでまた後続との差は広がり、ゴールしたときには大差(時計差1秒8)がついていた。
掲示された時計は1分57秒8、従来の記録を0秒4も短縮する驚異的なレコードだった。
手綱をとったレース後の武豊の言葉を聴くと、もう一度驚かされる。
「これまで乗ったなかでは今日が一番折り合ってくれた。道中のペースも速いなんて思いませんでしたよ。最後も肩ムチを入れた程度、まだまだ余裕がありました。58キロを背負っての2000メートルでこれだけ走るんですから、距離はもう少し延びても大丈夫。きょうの内容ならたとえどんな馬が相手でも負けなかったんじゃないでしょうか」
宝塚記念はこの金鯱賞から1ハロン延長されての2200メートル。
この距離にもかかわらず、またまた前半の1000メートルを58秒6でとばしたサイレンス。
GⅠ戦で相手が強化されたこともあり、さすがに大差勝ちとはいかず、
2着ステイゴールドに4分の3馬身まで詰め寄られたが、まったく危なげなし。
日刊ゲンダイ本紙を担当していた、
私の「サイレンススズカが逃げ切る」のタイトルそのままの完勝だった。
レースが終わった直後、見たままに強いサイレンスを実感したが、
記録を調べるとラスト2ハロン目が金鯱賞のそれよりさらに速い11秒2だったではないか。
あらためて「強くて速すぎる、これじゃあ、他馬はとてもじゃないがついてこれっこない」と。
長い記者(予想)生活のなかで、幾度となく逃げ馬に◎を打ってきたが、
この宝塚記念のサイレンススズカほど自信をもっての◎はなかったし、
安心してレースを見られたことはない。
これほどまでに速さを持続させて走れるサラブレッドは見たことがない。
まったく、サイボーグのよう、、、
平成10年の夏を越したサイレンススズカは2つめのGⅠ天皇賞(秋)を目指して始動する。
その前哨戦、毎日王冠1800メートルに宝塚記念以来3ヶ月ぶりに姿を見せたのだが、
驚くなかれこんどは前半の1000メートルを57秒7でとばしたではないか。
もちろん、相手馬8頭はとうていついて行くことはできないし、
離れた2番手を進んだランニングゲイルは直線大失速(勝ち馬と1秒6差)の9頭立て7着。
こんな、いってみれば殺人ラップを刻みながら、
サイレンスは後続のエルコンドルパサー、グラスワンダーのGⅠ馬に、
影も踏ませない2馬身半差、抑えてのゴールだから恐れ入る。
ちなみにラスト3ハロンのラップは11秒6、11秒4、12秒1。
馬なりで5ハロンを57秒台でとばし、なおかつこの上がり。
相手馬たちが並びかけることさえできないのもむべなるかな、
もはや、3週間後の天皇賞を待つばかり。
サイレンスが天皇賞でどれほどのラップを刻み、
どんなパフォーマンスで2着馬に何馬身差をつけるのか。
誰もがそれをイメージ確信し、レースを心待ちにしていたのに、
平成10年11月1日、府中の森に魔物が棲んでいようとはー。
いつも通りにスタートと同時にハナに立ったサイレンスの、
4ハロン45秒8、5ハロン57秒4と、
これまで以上のハイラップで走る姿をいまも忘れることができない。
この1分後には堂々の逃げ切りを果たしていたはずのサイレンスが、
にわかに体勢を崩し、武豊が立ち上がって止めようとしたのが4コーナーの手前である。
まさかの左手根骨粉砕骨折、
「おそらくひどい骨折だとは思いますが、あとは無事を祈るだけです」の武豊の願いもとどかず、
予後不良(安楽死処分)となってしまった。
「痛い」と訴えることもできず、
「助け」を求めることもできず、
こうべをたれて4コーナーにたたずむサイレンススズカに、
思わず涙したのは決して私ひとりではないだろう。
速くて強すぎた、あの前脚をたたきつけてのピッチ走法が、
あるいは命取りになったのかもしれないサイレンススズカに合掌!!
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