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【霧プロの重賞レースおさらい帳】東京新聞杯2024 真の能力をようやく解放! サクラトゥジュールが7歳にして重賞初制覇

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【霧プロの重賞レースおさらい帳】東京新聞杯2024 真の能力をようやく解放! サクラトゥジュールが7歳にして重賞初制覇


能力の高さは誰もが認めるところだが、それをなかなか出すことができない……今回勝利したサクラトゥジュールは、典型的な”未完の大器”であった。
振り返れば、3歳春の時点でマイルの持ち時計が1分31秒台である。いくら高速馬場の恩恵があったとは言え、能力なしには叩き出せない時計だろう。重賞タイトルは近いうちに獲るのだろうし、G1の常連になる可能性も十分と当時は考えたものだ。
しかし彼は、そこから稀代の癖馬として斜め上の成長(?)を遂げていくことになる。
まず、良く出遅れる。そして物凄く引っ掛かる。外枠を引けば全く制御が利かず、内枠を引いたとて道中機嫌を損ねればアウト。しっかり走れれば馬券に絡むが、二桁着順も何ら珍しくない。そんな戦績を積み上げながら、とうとう7歳になってしまった。人間もそうだが、馬も年をとってもなかなか本質は変わらないものだ。

そんな癖馬を、今回完璧に乗りこなしたのがコンビ2戦目となったR.キング騎手だった。
まず、スタートを決めた。ハナを切ったウインカーネリアンから2~3列ほど後ろの位置を確保。
そして、折り合いを付けた。相変わらず前進気勢の強い走りではあったが、酷い時に比べるとかなりリラックスしているほう。最内枠を活かしての立ち回りで、ロスも全くない。
ここまで条件を整えてもらえれば、難しい馬であっても真の能力を解放するのは容易い。直線まで十分に手応えを残すと、しっかりと進路を確保してウインカーネリアンめがけて強襲。年齢を感じさせない重厚な末脚で、重賞初制覇のゴールへと飛び込んだ。

7歳にして手にした初タイトル。若い馬であれば”マイル路線に舞い降りた新星”的な扱いをされるところだが、本馬はもうベテラン中のベテラン。ここから常識外の飛躍を遂げるという可能性は低いだろう。
とは言え、それなりにメンバーが揃っていた中で、完勝と言える結果を残したのは大きい。内枠や名手の手綱、馬場傾向など、色々と恵まれた部分があったのは確かだが、そうしたピースが揃っていれば、G1クラスの馬たちを完全に押さえ込むだけの能力がある……それを証明して見せたのだ。
この結果を受けて、おそらく春はマイル路線を中心に歩むことになるのだろう。前述の通り、これからも浮き沈みの激しい戦績を刻み続けるのだろうが、もし大一番で今回のように条件が整っていたら、その時は扱いをどうするべきか。悩んでしまうだけの存在感を持つのは確かだ。

2着には前年の覇者ウインカーネリアンが粘り込んだ。
他馬に合わせた競馬をするよりは、自分の競馬で淡々と運べたほうが圧倒的にパフォーマンスが高い馬なので、迷いなく逃げの戦法に出たのは正解。今回は相手の強さを褒めるべきだろう。
戦法がある程度固定されている馬なだけに、初着用となったブリンカーの効果は実感しにくかったが、少なくともマイナスにはなっていないようだし、道中の走りも軽快だった。調教では大きな効果を感じたので、このまま着用し続ける形でも良さそうだ。
この後は高松宮記念も視野に入れるようだが、母のコスモクリスタルがスプリンターだっただけに、血統的には悪くない選択。ただ、生粋のスプリンターたちと比べるとスタート直後の初速が見劣りする。これまでのように簡単に逃げ・先行する形が取れない可能性もありそうで、その際にどんな走りを見せるかが鍵になってきそうだ。


3着のホウオウビスケッツはマイルへの転戦が奏功。前走の中日新聞杯時に比べるとテンションもそこまで高くなっておらず、レースでもスムーズに脚を溜めることができていた。
馬場傾向や枠順に助けられた部分も大きいが、未完成と思える現状でこれだけ走れれば十分。新たな路線での活躍に向けて、大きな一歩を踏み出したと言えるだろう。

一方で、上位人気の2頭は苦戦。
抜けた一番人気に推されていたマスクトディーヴァはゲート内で突進して扉が開くのが遅れ、大きく出遅れる格好に。道中も直線も一番外から進めざるを得ず、内有利の馬場傾向を踏まえると致命的なロスだった。
それでも勝ち馬との差は僅かで、試走感の強い仕上がり具合であったことも思えば、やはり能力は高い。マイルの流れもそこまで苦にしているようには映らなかったし、仕上がりが進んで普通のレースができれば結果も変わってくるだろう。
ただ、ゲート内での挙動は少々心配。父のルーラーシップも致命的な出遅れをすることが多かっただけに、変な癖が付かなければいいのだが。

二番人気のジャスティンカフェは見せ場なく12着と惨敗。
この馬としてはスタートも良く、折り合いも付いていたように思えたが、逆に言えば行儀が良すぎて競争意欲に欠けていたようにも映る。中間の調教もやや違和感を覚える時計の出し方だったので、中身の面で整っていなかった可能性がありそうだ。
スランプが長くなりがちな父系の血を持つだけに、ここまで大きく崩れると心配になってしまうが、巻き返しは叶うだろうか。次走が試金石になりそうだ。


(きり)プロフィール
ウマニティ公認プロ予想家。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。2023年1月には、長年の活躍が認められ殿堂プロ入りを果たす。

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