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中央競馬ニュース
ウマニティプロ予想家・霧が、今週の重賞出走馬の中から、特に的中への鍵を握りそうな1頭にフォーカス。指数・血統・調教を中心とした“予想的イマジネーション”で掘り下げていきます。
【ダノンベルーガ】
小頭数ながらかなり濃いメンバーが集った今年の天皇賞・秋。
人によって見どころは違うとは思うが、”世界最強馬となったイクイノックスがどのような勝ち方を見せるか”か、”イクイノックスｖｓドウデュース、ダービー以来の再戦”辺りが最も注目されている要素ではないだろうか。両馬が近走で残しているインパクトを考えれば、そうなるのも仕方ないと思える。
しかし、3歳クラシックの最高峰・日本ダービーにおいて、この2頭よりも人気を集めていたのは誰だったか。そう、このダノンベルーガである。昨年の共同通信杯以降、好走はすれど勝ち切れず、評価は尻すぼみ。同期が華々しいイメージを維持していることを考えると何とも寂しい現状だが、彼はこのままの地位に甘んじてしまうのだろうか。筆者が感じる可能性と共に、いつも通り各要素から掘り下げていきたい。
まず指数面だが、超強力な同期2頭としのぎを削っていただけあって、ダービーまでに刻んでいる数字は文句なしと言えるもの。皐月賞、ダービーとも敗れてはいるが、例年ならば勝ち切っても不思議ないレベルで走れている。
指数上はそこをピークに伸び悩んでいるのだが、昨年の当レースはパンサラッサの大逃げがあった特殊な展開。続くジャパンカップはメンバーレベルを考えると緩すぎる流れで指数が低く出やすいレース。ドバイターフは海外レースな分指数が出しにくく、前走の札幌記念はかなり巧拙の分かれる馬場状態で指数がアテにならず……といった具合に、単純な指数の見た目だけでは判断できない特殊なレースが連続しているのだ。
となれば、実際のレースぶりが判断材料になるが、本馬に関して明確に言えるのは”2400mは長い”ということ。ダービーにしてもジャパンカップにしても、直線半ばまではかなりの勢いで伸びているが、ゴールまでその脚が続いていない。2000mまでがベストのタイプであるのは間違いないだろう。
その2000m戦では、馬場傾向上圧倒的不利な内枠を引いてしまった皐月賞と、前述の特殊な展開だった昨年の当レースにおいて、ライバルのイクイノックスとの差はいずれも0.2秒差。ほんの些細な要素でひっくり返っても不思議のない差なのだ。
前走の札幌記念も2000m戦ではあるが、この時は戦前から状態面に関して陣営がかなり泣きを入れていたし、実際に何とか間に合わせたような調教内容だった。そこに巧拙が分かれすぎる馬場状態という要素が降ってきた上、レースでは序盤に豪快に挟まれて位置取りが悪くなっていたのだから競馬の神様は残酷である。
こうして書き連ねてみると、絶望的に”持ってない”だけで、基礎能力的にはまだまだ十分に勝ちを狙えるだけのものを維持しているように思える。
血統的には父がハーツクライでアメリカ色の濃い母系を持つという、父の上級産駒のお手本のような構成。途中「伸び悩みか？」と思える時期を挟みながらも、なんだかんだ６歳くらいまで高い能力を発揮し続ける馬が多い印象だ。
本馬と同じような血統イメージで割と早い時期から活躍していた同父産駒ジャスタウェイも、紆余曲折を経て4歳時の当レースにおいて突如大覚醒。そこから世界最強の座に上り詰めており、本馬も4歳のこの時期で枯れてしまうとは考えにくい。条件や状態、展開が噛み合えば再ブレイクを果たしても不思議はないはずだ。
だが、その状態面が本馬にとっての鬼門。前走のように体勢が整わない時もあれば、ダービー時のように強い調教を施しすぎて当日のテンション悪化に繋がるということもある。元々の体質等もあるのだろうが、仕上げ方が本当に難しい馬という印象が強い。
しかしながら、この中間は本馬としてはかなり順調に乗り込まれており、強すぎず弱すぎず、適度に負荷を掛けながらしっかりと好時計を出せている。前走時とは比較にならない状態で本番に臨めるのではないか。
こうした状態の良さに加え、鞍上も三度モレイラ騎手を迎え、下地はかなり整っている。あとは実戦においてほんの僅かの運を実力で掴み取ることができるかどうか。3強の座から遠のいた馬が、久しぶりに3頭が出揃うレースで存在感を誇示する……そんなストーリーを見てみたい気もする。
○霧（きり）プロフィール
ウマニティ公認プロ予想家。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。2023年1月には、長年の活躍が認められ殿堂プロ入りを果たす。
⇒気になる最終結論は、レース当日のプロ予想MAXでチェック！
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