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伊吹雅也のPOG分析室 (2014) ~第1回 データで紐解く指名馬選び~

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一年間に渡って開催された『ウマニティPOG 2013』もいよいよ今週がラストウィーク。優勝争いの結果は次回の当コラムで詳しくお伝えしますので、どうぞお楽しみに。

 そして、来週からは早くも『ウマニティPOG 2014』がスタート。6/3(火)~6/6(金)に第1回の入札が行われ、6/6(金)には最初の仮想オーナー馬が確定します。なお、ルールに関して『ウマニティPOG 2013』から変更された点がいくつかありますので、まだ確認していない方は必ずチェックしておいてください。
 今回は初回の入札に万全の態勢で臨むべく、『ウマニティPOG 2014』の指名馬選びに役立ちそうなデータをまとめてみました。

 昨年も当コラムに書きましたが、私が重視している指標はPOG期間内のレースにおける調教師、種牡馬、生産者の「1頭あたり本賞金」や「勝ち馬率」。入厩先の所属馬、父の産駒、生産牧場の生産馬がコンスタントに活躍している馬を高く評価し、どれかひとつでも不安がある馬は指名を避けています。
 より正確に表現しておくと、私が指名馬選びに使っているのは「POG期間の序盤~中盤における1頭あたり本賞金や勝ち馬率」です。POG期間全体を集計対象にしてしまうと、ダービーウィークにようやく初勝利を挙げるような馬も数字を押し上げてしまうため、意外と役に立ちません。
 そうした問題の解決方法を探った結果、私はPOG期間の中盤、具体的に言うと2回中山や1回阪神終了時点までの成績を重視するようになりました。桜花賞皐月賞のトライアルが終わる頃までに一定の結果を残した馬は、より高額な賞金が動く4月以降のビッグレースに参戦する権利を得ることができます。GIを勝ち切れる器かどうかは一旦横に置き、まずはGIやそのトライアルに出走できそうな馬をたくさん指名しよう――という方針です。

 今回は現3~5歳の3世代について、私が重視している調教師、種牡馬、生産者、さらに関心を持つ方が多いであろう馬主ごとの1頭あたり本賞金ランキングを作成しました。各世代とも、集計対象は2回中山、1回阪神までにJRAで施行された2~3歳限定のレースのみ。また、それぞれ集計対象となるレースに出走した馬が30頭以上のファクターのみをランキング化しています。年間リーディングやビッグレースでの印象とは異なる部分があると思いますので、ご自身のイメージと比較しながらチェックしてみてください。

 まずは調教師別成績(表A)から。もともと差がつきやすいファクターということもあって、上位にはいわゆる“POG本”で注目を集めるような名前がズラリと並びました。1頭あたり本賞金が一千万円を超えている松田博資厩舎、池江泰寿厩舎、勝ち馬率が50%以上に達している藤沢和雄厩舎、堀宣行厩舎、安田隆行厩舎あたりは特に注目すべき存在と言えるでしょう。




 次は種牡馬別成績(表B)。調教師別成績に比べると、やや意外な印象を受けた方が多いんじゃないでしょうか。トップがディープインパクトである点はイメージ通りとしても、他との差がこれだけ大きいと感じていた方は少ないはず。1頭あたり本賞金がディープインパクトの半分以上に達している種牡馬は10頭しかいません。身も蓋もない話ですが、安定した成績を収めたければ「ディープインパクト固め」が最良の作戦なんですね。
 ちなみに、21位以下からPOGで注目を集めがちな種牡馬をピックアップしておくと、ゼンノロブロイは353万円(勝ち馬率23.8%)、ステイゴールドは335万円(勝ち馬率16.3%)、マンハッタンカフェは313万円(勝ち馬率22.5%)、ジャングルポケットは284万円(勝ち馬率18.9%)となっていました。今シーズンの人気度を考えると、ステイゴールドあたりの取り扱いには注意しておくべきなんじゃないでしょうか。




 生産者別成績(表C)でトップに立ったのは、ケイアイレオーネバッドボーイファインチョイスらを輩出した富田牧場。低予算でも指名できそうな馬を探す際はぜひ注目してみたいところです。
 2位以下で注目すべきなのはやはり“社台グループ”勢。ノーザンファーム、社台ファーム、社台コーポレーション白老ファームあたりは、1頭あたり本賞金が優秀なだけでなく勝ち馬率も30%を超えています。あとは10位のケイアイファームもバランスの良い数字をマークしていました。




 最後は馬主別成績(表D)。個人馬主では金子真人ホールディングス、近藤利一氏、里見治氏、林正道氏あたりが抜きん出ている印象です。一方、クラブ馬主部門はキャロットファーム、サンデーレーシング、社台レースホース、G1レーシングらを押さえて東京ホースレーシングがトップに君臨。今シーズンも“レッド”軍団には引き続き注目しておくべきでしょう。



(次回は6/4(水)に更新いたします。)

■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
 埼玉県桶川市在住のフリーライター、コピーライター、競馬評論家。的確でわかりやすいデータ分析に定評があり、現在は『JRAホームページ』内「今週の注目レース」で“データ分析”のコーナーを担当しているほか、さまざまなメディアに活躍の場を広げている。競走馬への一口出資やペーパーオーナーゲーム(POG)にも造詣が深く、現4歳世代のPOGでは、参加したすべてのドラフト(いずれも参加者20名以上)においてジェンティルドンナの単独1位指名に成功。現3歳世代も“赤本”こと『POGの達人』(光文社)誌上においてカミノタサハラコディーノフラムドグロワールらを推奨し、推奨馬の獲得賞金ランキング皐月賞終了時点)で1位を獲得した。近著に『本当に儲かる騎手データブック 馬券の勝ち組は騎手を野次らない(競馬王新書EX008)』(ガイドワークス)、『門外不出! 投票データから分かった! WIN5の鋭い買い方』(東邦出版)、『WIN5(五重勝)ほど儲かる馬券はない!! 少点数で驚愕配当をモノにする絶対的セオリー(競馬王新書)』(白夜書房)。

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