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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~スプリンターズステークス~

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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~スプリンターズステークス


●第45回スプリンターズステークス追い切り診断

アーバニティ 9月28日 美浦W         
66秒6-51秒7-38秒0-13秒3 仕掛け
   
8月27日の朱鷺Sを取り消したが、今月1日には調教を再開できており、影響はなかったようだ。今週は直線半ばから軽く仕掛けた程度、余力を残していたが、動きに鋭さは感じられず、むしろ硬いようにも見えた。ラスト1Fも13秒3とかかりすぎており、高松宮記念で3着したときの仕上がりにはない。

 
エーシンヴァーゴウ
9月28日 栗東坂         
49秒9-36秒8-24秒8-12秒6 仕掛け
   
前走、セントウルSを勝つ前はすでに馬体もギリギリ、ひょっとするとアイビスサマーダッシュ勝ち、北九州記念0秒1差3着好走の反動、疲れの心配もあった。しかし、そんな不安をよそに堂々のV、私個人としては驚かされた。それだけによけいにこの中間に注目していたのだが、25日に坂路57秒0-41秒6をマークし、今週がまた坂路4F50秒を切るハードゲイコ、もう一度驚かされた。時計が速いだけでなく、動きパワフル、気合い満点でさらに一段とよくなった印象だ。これは以前のようにいらつくことがなくなったおかげ。すでにサマースプリントのチャンピオンに輝き、当初の目的は達成してここは予定外(?)出走とみてもいいくらいだが、どっこい状態は前走以上、もうひと仕事やってのけるかも。それくらいの元気にあふれている。

 
エーシンリジル
9月28日 栗東坂         
51秒8-37秒3-24秒4-12秒7 強め
   
前走、直線伸びかかって伸びきれずの6着、最高潮で挑んできたと見ていただけに、残念というか、がっかりの結果だった。原因は発汗が多く、レース前の気負い込みにあったように思う。常識的にはこのケースだと状態は下降線をたどるものだが、中間2本の時計を出せるほど元気、今週の別掲の時計は前走時のそれより4Fで1秒4も速い、動きも軽快かつ力強い。前走の6着を度外視して再注目すべきか。

 
カレンチャン
9月28日 栗東坂         
52秒8-37秒9-24秒0-11秒9 G強め
   
破竹の4連勝中だが、調子に陰りはなく、中間時計4本と順調そのもの。今週はトウカイミステリーを1馬身半ほど後方から追い掛ける形。鞍上はラスト1F地点でステッキを抜くとそれだけで反応し、しびれるような手ごたえで半馬身の先着、11秒9の鋭さを見せた。仕上げはこれまで以上といってもいいが、問題は中山が初めてで長距離輸送があることだろう。前2戦が滞在競馬だっただけに、よけいに輸送が気にかかる。

 
グリーンバーディー
9月27日 中山芝          
65秒4-49秒7-36秒7-11秒6 馬なり
   
前走・セントウルSの0秒2差4着入線(14着降着)から、Vチャンスありと考える。27日に前走は上がり3F(41秒8)からしかやらなかったのに、今回は5Fから別掲の好タイム、坂をあがりながら軽く仕掛けられるとアッという間の伸び脚で1F11秒6は圧巻のひとこと。前走、地元戦より大幅な体重増だったのは目標レースではなかったからだし、叩き台をへて今回は思惑通りの仕上がり。ラッキーナインとは互角の評価をしなければなるまい。 

 
ケイアイアストン
9月28日 美浦W  
83秒4-68秒5-54秒0-40秒0-13秒5 直一杯
    
いっぱいに終えたのだから体調そのものは悪くないのだろう。しかし、別掲の通りに時計は平凡だし、第一、ラスト1F13秒5も要したように追われての伸びがない。この馬も前走からこっちの変わり身はゼロ。

 
サンカルロ
9月28日 美浦坂          
53秒3-36秒0-23秒5ー11秒7 馬なり
    
“大久保洋流”は坂路3本追いの実質3F追い。その3本めは5馬身先行するトウショウウェイヴを追い掛け、テンの1F17秒0のゆっくりスタート。しかし、3F標にさしかかるとにわかにピッチが上がり12秒5、残り1Fでは一気にトウショウに並びかけ、次の瞬間にはもう頭ひとつ出ていた。結局、ゴールでは1馬身の先着。いっぱいに追う相手を横目で見やりながら最後まで追ったところなし、それで瞬時に相手を抜き去った速さがとくに印象的で、2Fの23秒5、1Fの11秒7も秀逸である。いつも通りの追いきり内容とはいえ、今週はとくに切れに切れた。春の高松宮記念2着時を上回るデキになったとみる。

 
サンダルフォン
9月29日 栗東W  
82秒2-65秒9-50秒9-37秒2-11秒9 一杯追
   
ウッドの6Fから単走、直線は目いっぱいにノシつけられ、別掲のタイム、ラスト1Fを11秒9の速さでゴール板を駆け抜けた。とくに良化したとは思わないが、かといって8歳の年齢を感じさせる衰えもなし。ここ一連の成績が成績だからこのメンバーでの勝ち負けは望めまいが、こと体調に関してはすこぶる順調である。

 
ダッシャーゴーゴー
9月28日 栗東坂          
51秒8-37秒8-24秒1-11秒7 末強め
   
3ヶ月ぶりのセントウルSは、あくまでここに向けての叩き台、3着は気にする必要がないし、体つきにも余裕があった。大型牡馬がひと叩きされ、23日の中間ゲイコは坂路52秒9-38秒8-12秒3で目に見えて素軽さが増してきた。そして、今週は残り1Fまで持ったままできたが、このあとステッキが2発飛ぶ総仕上げ。待ってましたとばかりにストライドを伸ばし、ラスト1F11秒7を記録、もはやこれ以上は望めない仕上げと言い切れる。打倒外国馬の旗頭はやはりこの馬ということになろう。

 
トウカイミステリー
9月28日 栗東坂          
53秒2-38秒0-24秒2-12秒0 G強め
   
僚馬カレンチャンとの坂路での併せ馬、先行していたにもかかわらず半馬身の後れを取ってしまった。いっぱいに追ったわけではないので、この遅れはさほど気にすることもないが、相手の手ごたえ、動きのよさが目を引き、印象は悪かった。少なくとも前走後の良化はない。

 
パドトロワ
9月28日 栗東坂         
52秒2-37秒3-24秒2-11秒8 G一杯
   
いつもラスト1Fの動き、時計に不満の残る馬が今週は坂路で11秒8のフィニッシュ、グイと伸びてきた。前々走で勝ち、前走でカレンチャンと同タイムの勝負をしているだけあって、ここにきてうなぎのぼりに調子をあげている。前述の切れ味を見せた今回ははっきり前2戦以上である。あとは力関係、ピ-クにのぼりつめたとしてもこれだけの強敵相手である。果たして定量戦で通用するかどうか。
   
 
ビービーガルダン
9月28日 栗東W  
94秒2-63秒0-49秒7-36秒8-12秒3 馬なり
   
前走のキーンランドCで2着し、古豪の復活をアピールした。この中間も元気いっぱいで、先週には叩きいっぱいの猛ゲイコをこなしている。そして、今週は長め7Fからと悲願のGⅠ制覇に意欲むき出しだ。道中で12秒台にラップを上げるところもあったのに、3Fを36秒8、1Fを12秒3の速さでまとめ、それで余力を残していた。ずばり、実力馬の完全復活、<1、2、1、1>と実績ある中山芝でのレースだけに、なにやら一票を投じたくなってきた。しぶい古豪にいぶし銀の佐藤哲、ここにも一発大駆けムードが漂いはしないか。

 
フィフスペトル
9月28日 美浦W          
69秒3-53秒0-38秒8-13秒4 馬なり
   
もっか2連勝と勢いに乗っているが、レース間隔があまりないので中間は軽めに終始している、今週も別掲の平凡な時計。意識して控えたものだし、気力充実、動きも軽快だったのでこれでいいのかもしれないが、この大一番である、もう少し強く追うべきではなかったか。その点が物足りないといえば物足りない。

 
ヘッドライナー
9月28日 栗東坂          
54秒5-39秒7-24秒7-11秒8 G一杯
   
テンの1Fを14秒8のスローに落とせ、我慢させられたことがラスト1F11秒8の速さにつながった。動きは悪くないし、気合い乗りも上々だが、この馬は先行(逃げ)一本ヤリ、気で走るところがあり調教はいつもよくみせる。今回、ラスト1Fが速かったといってもそれが前走後の良化とは考えにくい。馬に活気があり、体調はいいが連対を外している前3戦以上ということはない。

 
ラッキーナイン
9月27日 中山芝                      
40秒7-12秒9 馬なり
   
前しょう戦のセントウルSで2着、このとき地元戦と比べると10キロ以上も体重が減っていた。おそらく初めての海外遠征が影響したのだろう。しかし、そんな背景がありながら頭差2着、評判通りの高い能力の持ち主だ。問題は59キロを背負っていたこともあり、その2着がんばりの反動だったが、23日に軽めながら時計を出せたし、27日にも3F40秒7と前走時より速い時計をマークした。動きは柔らかくて疲れは感じられず、馬体細化も見られない。今回は2キロ軽くなっての57キロ、頭差先着許したエーシンヴァーゴウを逆転するのにホネは折るまい。480キロ台の出走ならなおさらその可能性は高くなる。

 
ロケットマン 
9月27日 中山芝                
50秒5-35秒3-11秒4 馬なり
   
9月17日に来日、検疫明けの23日に中山競馬場に入厩した。主戦のコーツィーも18日に来日し、以後付きっ切りで調教している。27日は中山競馬場の本馬場に入り、2コーナーからキャンター、4F標からピッチをあげ、ご覧の好タイムをあっさりだ。坂をあがりながら軽く仕掛けただけ、全力で走らせていないので判別はしにくいが、スピード感満点、さすがは世界のトップホースとうなずけるだけの動きだった。たったひとつ難をいえば、4コーナーでふくれかげん、コーナリングが必ずしもスムースではなく、ぎこちなくも見えたことだが、これとてご愛嬌なのだろう。薄い皮ふ、毛づやのよさ、落ち着き払ったなかにも闘志が伝わり、日本馬がこの馬を負かすのは容易ではなさそうだ。


鈴木和幸

競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。

日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。

著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。

鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/

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