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共同通信杯に出走するユニバーサルバンクは高い能力を秘めながら、まだ1勝馬で賞金400万円の身にすぎない。クラシックを目指すには出走権を早く確保した方が調整に余裕が出るだけに、同馬にとって今回は力の入る一戦となる。
今年の3歳牡馬戦線は混沌としている。レーヴディソールという絶対的存在がいる牝馬路線と違い、オープン馬がズラリと並び、有力馬が分散しているのが現状だ。
昨年も、皐月賞出走のボーダーラインが賞金1200万円だったように、1勝馬は重賞2着があっても安心はできない。今後、トライアルをはじめ、ステップレースはいくつもあるが、早いうちに出走権を確保した方が余裕を持ってクラシックを迎えられる。その状況を承知で共同通信杯を目指す関西馬が、ユニバーサルバンクだ。
「前走は最後に差し返されてしまったけれど、4コーナーで少し窮屈になりながらも伸びてきたし、やっぱり力はありますよ。ここに来てパワーアップもしているしね」
キャリア5戦でいまだ1勝馬の身だが、担当の寺崎厩務員に悲観する様子は見られない。新馬戦2着後、2戦目で未勝利を勝つと、その後は500万下・エリカ賞(2着)、GIIIラジオNIKKEI杯2歳S(14着)、OP若駒S(2着)と出世レースを選んで連戦。直線で大きくつまずく致命的な不利を受けたラジオN杯は大敗したが、前走はその影響も感じさせずクビ差に踏ん張った。「レースが上手で器用だし、フォームが柔らかくて手足が前に出るから重心も下がる」(寺崎厩務員)という柔軟な走りがセールスポイント。前走で惜敗した相手は朝日杯FS3着のリベルタスで、3走前のエリカ賞では、先週のきさらぎ賞を制したトーセンラーにも先着している。実績なら並のオープン馬以上と言ってもいい。
「この時期に使ってきているし、重賞はやはり意識しますよ。ここは何とかしたいですね」
ディープ産駒や2勝以上の強敵相手にも、臆することはない。胸を張ってクラシックへと向かうため、1勝馬ユニバーサルバンクが意欲十分に東上してくる。 (黒田栄一郎)
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